比嘉奈津美候補の政治活動総覧(2015–2025)

概要

比嘉奈津美(ひが なつみ、1958年生まれ)は、沖縄県沖縄市出身の歯科医師であり、自由民主党所属の国会議員です¹ 。福岡歯科大学を卒業後、地元沖縄で24年間歯科医院を経営し、海外ボランティアにも従事してきました²

政界には2012年の第46回衆議院議員総選挙で初当選し国政入りし、2014年に再選、環境大臣政務官(副大臣級の政務官)を歴任しました³ 。2017年の総選挙で小選挙区で敗れ議席を失いましたが、歯科医師界からの厚い支援を背景に2019年参院選の比例代表に立候補します

惜しくも次点で落選しましたが、2021年10月に参議院議員の繰上当選が決まり、約4年ぶりに国政復帰を果たしました 。現在は参議院議員(比例区)として1期目を務め、党派は自民党に所属しています。なお、かつて所属していた茂木派(平成研究会)は2024年12月27日に政治団体として正式解散しており、現在は政策集団として活動を継続しています ⁶ᵃ

在職期間は衆議院通算2期(2012~17年)と参議院在職中(2021年~)で、2025年7月の次期参院選が控える状況です。本レポートでは2015年から2025年6月までの10年間を分析対象期間とし、比嘉氏の政策・立法活動と政治姿勢を包括的に検証します。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

歯科医療政策を軸とした公約

比嘉氏の直近の選挙公約は、彼女自身の専門である歯科医療政策が軸となっています。2019年の参院選比例区において日本歯科医師連盟(日本歯科医師会の政治組織)の組織内候補として擁立された経緯もあり、公約の随所に「歯科界みんなの笑顔のために」というスローガンが掲げられました

公約集では歯科医師としての視点から、国民皆保険制度の堅持や歯科医療の評価引き上げ、生涯を通じた歯科検診制度の充実などを大きな柱としています 。例えば「国民皆保険制度を守ります」「歯科医療が適正な評価を得られるようにします」「生涯を通じた歯科健診を実現します」といった具体的な約束が並び、予防歯科の重要性や歯科診療報酬の改善、口腔ケアの推進が強調されました

歯科医療従事者の労働環境改善

さらに歯科衛生士や歯科技工士など歯科医療従事者の労働環境改善にも踏み込み、「復職支援の強化」「地位向上」「経済的課題の解決」といった施策を提案しています¹⁰

これら公約から浮かび上がるのは、比嘉氏が歯と口腔の健康を国民全体の健康増進に直結する重要分野と位置づけ、歯科医療への公的支援と社会的評価を高める情熱です。実際、公約文中の頻出キーワード上位には「歯科」「健診」「歯科医師」「歯科衛生士」「予防」などが並び、歯科医療政策に政策資源を集中投入する姿勢が読み取れます。

専門分野への特化

また、沖縄出身議員らしく基地問題等にも触れた2012年当選時の公約とは対照的に、参院比例区公約では地域課題より専門分野に特化したメッセージ性が強くなっている点も特徴です¹¹

歯科医療の充実を通じて「健康長寿社会の実現」や「医療費削減」に貢献しようとする比嘉氏の姿勢は、歯科界からの信頼に支えられた政策エキスパート型の候補者像を示しています。

2. 法案提出履歴と立法活動

衆議院議員時代の活動

比嘉氏の立法活動を振り返ると、在職期間中に議員立法の提出者として大きく名を連ねた法案は多くありません。2012~2017年の衆議院議員時代は与党新人議員として主に党提案の法案に賛成・共同提案者として参加する立場でした。

たとえば第189回国会では超党派で「国民の祝日法改正案」(山の日制定など)を提出する際に与党議員の一人として名を連ねるなど、個人法案というより党の方針に沿った立法に関与しています¹²