岩屋毅(いわや たけし)議員は、1957年大分県別府市生まれの政治家で、自由民主党所属の衆議院議員(大分県第3区選出)です¹。早稲田大学卒業後、1987年に大分県議となり、1990年に旧大分2区から衆院初当選しました。以後一貫して国政に携わり、保守新党・新進党への参加を経て自民党に復帰してからは通算10期当選のベテラン議員です²。
党内では麻生派(志公会)に所属していましたが、2023年11月に派閥を離脱しています³。大分3区は別府市や中津市などを含む地域で、岩屋氏は地盤とするこの地で強固な支持基盤を築いてきました。
政権では第4次安倍第1次改造内閣で防衛大臣(2018年10月2日-2019年9月11日)を務め、安全保障政策の要職を経験⁴。さらに2024年10月1日、石破茂政権の発足に伴い外務大臣(第153代)に就任し(2024年10月~現在)、日本の外交を担っています⁵。このように岩屋氏は防衛・外交分野のエキスパートとして知られています。
一方で党大分県連会長や観光政策担当なども歴任し、地元や国内経済に目配りした活動も行っています。本レポートの目的は、岩屋毅議員の2015年から2025年6月までの政治活動の実績と特徴を多角的に分析することです。
岩屋氏は2021年10月31日に実施された第49回衆議院議員総選挙において、自身の選挙公報・マニフェストで7つの重点政策を掲げました⁶。公報タイトルには「安心と活力を取り戻す。」というスローガンが大書され、コロナ禍からの立て直しと地域社会の元気回復に取り組む決意が示されています。
岩屋氏は「政治に求められている最大の課題は止まっている日本を安全に前に動かすこと」と述べ、鍵として検査の飛躍的拡大とワクチン接種の推進を挙げました⁷。無症状者でも安価に検査できる体制整備や、全国民への希望者ワクチン投与完了を2021年秋頃までに実現する目標を掲げています。
加えて、持続化給付金や雇調金など既存支援策の継続と、日常・経済活動を元に戻すための思い切った政策実行を約束しました。当時まだコロナ禍が深刻だった状況下で、有権者の最大関心事に真っ先に応える内容となっています。
世界的な米中対立の先鋭化や「分断」の流れに触れつつ、日本の繁栄の前提として地域と世界の安全と平和、透明性の高い自由貿易体制が必要と強調しました⁸。
その上で、「コロナ後」の日本外交の使命として(1)米国の同盟国、(2)中国の隣国、(3)世界第3位の経済大国という立場を活かし、地域・世界を望ましい方向に導くことだと述べています。
防衛政策では「専守防衛を堅持しつつ、米国等との防衛協力を強化することで領土を断固守り抜き、『インド太平洋地域』全体の平和と安定を維持する」と明記し、日米同盟重視と地域安定への寄与を約束しました。
岩屋氏はコロナ禍で露呈した日本のデジタル化の遅れを問題視し、「それが行政の無駄を生み生産性を下げ、所得が伸びない原因」と分析しています⁹。
このためデジタル庁設立を機に行政のデジタル化を一気に進め、個人情報保護に留意しつつ電子行政の徹底推進を誓いました。また最先端技術の革新を促し、日本経済を再び成長軌道に乗せることを目標としています。
岩屋氏は多様な人材が活躍できる日本を目指すとし、「女性、高齢者、障がい者、外国人」がもっと活躍できる社会にすると述べました¹⁰。