阿部司議員の政治活動総覧(2015-2025)

概要

阿部司(あべ つかさ)議員は、日本維新の会所属の衆議院議員(比例東京ブロック選出)で、現在2期目を務めています。1982年6月18日に東京都大田区に生まれ、埼玉県春日部市で育った生粋の首都圏世代で、早稲田大学商学部を卒業後は外資系IT企業の営業職や政策シンクタンク勤務を経て政界に挑戦しました。

2013年に大学時代の友人である音喜多駿氏(現参議院議員)の都議選を手伝ったことが政治志向の原点となり、2021年の第49回衆議院選挙で日本維新の会公認候補として初当選(東京12区で惜敗し比例復活)を果たしています。2024年の第50回衆議院選挙でも東京12区から出馬して再び惜敗するも比例復活し2期目に当選しました。

以後、党内では2024年11月13日に東京維新の会代表に就任し、さらに2024年12月2日に党本部の総務会長に抜擢されるなど要職を歴任しています。本レポートでは、2015年から2025年7月までの阿部議員の政治活動を網羅的に振り返り、その政策的特徴と実績を分析します。

1. 最新ホットイシューの動向(2025年5月現在)

財政・税制と物価対策

阿部議員は現下の物価高騰に対しては消費減税には否定的な政府方針を踏まえつつも、家計支援策の必要性を訴えています。法人税や所得税の増税で恒久財源を捻出する現政権の方針には、支出改革との両立を条件に一定の理解を示しつつ、中長期的な財政規律の堅持を主張する立場です。

防衛財源に絡む増税パッケージについては、社会保険料負担の引下げなど他の減税とセットで国民負担の総額調整を図るべきとの観点から、慎重な姿勢を崩していません。

政治資金・政治倫理

阿部議員は「政治とカネ」の問題に極めて厳格な姿勢を取ります。自民党が進めた政治資金規正法改正(領収書の電子化・公開10年後ルール)では不十分として、領収書の即時公開と企業・団体献金の全面禁止を主張する立場です。

自らも野党共同で企業・団体献金禁止法案提出に加わり、公正な政治資金の在り方を追求しています。また、議員の世襲制限や公私混同防止策についても一貫して透明性確保を訴えています。

少子化対策・家族法制(夫婦別姓・同性婚)

阿部議員は若年世代・子育て世代の代表として、児童手当の高校生拡大や育児支援の充実に積極的です。財源を社会保険方式で賄う現行方針には将来世代への投資として賛成しつつ、中長期的な負担増には注視しています。

選択的夫婦別姓については「国民の約7割が賛成する制度を政治が30年も実現できていない」として早期法制化を支持。同性婚に関しても、「5件の高裁判決が違憲と判断した現状を放置すべきでない」と述べ、超党派での結婚平等法案整備を後押しする姿勢です。

マイナンバー制度とデジタル化

阿部議員はマイナンバー制度の利活用促進には前向きですが、拙速な一本化には苦言を呈しています。マイナ保険証への切替えで生じた一連の紐付けミスや個人情報漏洩問題では、「政府の説明・謝罪・救済策は不十分」とする国民の声(約7割)に寄り添い、河野デジタル相の責任も含め丁寧な検証を主張しています。

2. 選挙公報・マニフェスト分析

阿部司議員が直近の衆議院選挙で掲げたマニフェストには、維新のスローガンである「改革断行。未来に希望を持てる国・ニッポンへ!」との大見出しが踊っていました。選挙公報(東京12区・2024年10月)を詳しく見ると、阿部氏の公約の柱は大きく三つに整理できます。

政治改革・行政改革