落合貴之(おちあい たかゆき)議員は、東京都第6区(世田谷区の一部)選出の衆議院議員で、立憲民主党所属の中堅政治家です。
1979年8月17日、東京都世田谷区生まれで慶應義塾大学経済学部を卒業後、三井住友銀行に勤めた経歴を持ちます¹。その後、衆議院議員・江田憲司氏や参議院議員・松田公太氏の秘書を務め、政治の現場を経験しました²。
2013年、当時所属していたみんなの党を特定秘密保護法への反対を契機に離党し、新党結成に参加するなど政界再編期に積極的に動きました³。2014年末の第47回衆院選で東京6区から維新の党公認で立候補し、小選挙区では惜敗したものの比例復活で初当選します⁴。
以後、2017年の第48回衆院選では新党・立憲民主党の結党に参画し、同選挙区で初めて小選挙区当選を果たしました⁵。続く2021年、2024年の総選挙でも東京6区で連勝し、現在4期目の議員として活動しています⁶。2024年の直近選挙では得票数107,222票を獲得し、自民党候補に大差をつける勝利でした⁷。
議員在職期間は2014年12月の初当選以降約10年に及び、本レポートでは2015年から2025年7月までの活動を対象に、公開情報にもとづきその政治活動の全体像を分析します。
落合氏は立憲民主党内で政治改革分野のエキスパートとして頭角を現しており、2025年現在、副幹事長(政治改革担当)や政治改革推進本部事務局長など要職を務めています⁸。国会では衆議院の政治改革に関する特別委員会で野党筆頭理事(委員会幹部)を務め、経済産業委員会委員も兼ねるなど、政治倫理・選挙制度改革と経済政策の両面で積極的に活動しています⁹。
地元世田谷区出身らしく、地域に根差した活動にも力を入れ、選挙区内での国政報告会開催やSNS発信を通じて有権者との対話も盛んです。以下、落合議員の政策公約と国会活動の詳細を、テーマごとに見ていきます。
2024年10月の前回衆院選に際し、落合貴之氏は選挙公報や発信メディアで明確なスローガンを掲げました。それは「世代交代」と「政治の透明化」です。
彼は「コネで生きてきた世襲だらけの政界では世の中は良くならない!」と宣言し、企業・団体献金に依存した古い政治体質を刷新する決意を示しました¹⁰。実際、公報に掲載した重点政策でも、「国民の信頼のない政治では重要な施策は実現できない」として政治への信頼回復を最優先に掲げ、「政策活動費や企業団体献金等、不透明な政治資金は禁止に」と明言しています¹¹。
これは与野党問わず近年問題化した「政治とカネ」の不祥事に真正面から応える公約であり、落合氏の政治姿勢を象徴する柱です。
同時に、経済政策でも落合氏は「一部の人だけに恩恵のある経済ではなく、幅広い国民が豊かになる経済の実現」を謳いました¹²。成長産業や社会に不可欠な分野へ重点投資し、中間層の厚みを取り戻す「好循環の経済」を目指すと訴えています¹³。また負担の在り方の是正、つまり消費増税や社会保険料負担の見直しにも言及しており、アベノミクス以降拡大した格差是正と家計支援に力を入れる姿勢が読み取れます。
外交・安全保障については「平和は国民の生命財産を守る礎」との信念を示し、軍事力だけに頼らず「地道で巧みな外交がより必要」と強調しました¹⁴。これは当時焦点だった防衛費増額や安保政策の議論に対し、対話と外交による平和構築を重視する立場です。
公約から浮かび上がるキーワードは「政治改革」「経済再生」「平和外交」の3本柱です。実際、落合氏の政策では政治改革、経済・財政、外交・防衛を重点分野として掲げています¹⁵。
政治改革では腐敗の温床となる企業献金禁止や「世の中のために働く人材が活躍できる政界づくり」を掲げ¹⁶、経済では国民生活を底上げする投資と負担見直し¹⁷、防衛では専守防衛と外交力強化¹⁸を説いており、公約全体を通じて「中福祉・中負担で透明な政治」の実現を目指す姿勢が一貫しています。
また、選択的夫婦別姓や同性婚についても落合氏はリベラルな立場を取っており、こうした社会的少数者の権利拡大策も含め、落合氏のマニフェストは進歩的改革志向と中間層重視が特徴だと言えます¹⁹。
野党議員でありながら、落合貴之氏は立法活動に極めて積極的です。2015年以降、本人が提出者(提案者)に名を連ねた議員立法は複数本にのぼり、その多くが彼の公約通り政治改革と経済支援に関するものです。