こしょう はるとも
古庄玄知議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
古庄玄知(こしょう はるとも、1957年12月23日生まれ)は、自民党所属の参議院議員(大分県選挙区、1期)である¹²。大分県国東市生まれ³。早稲田大学法学部を卒業後、弁護士として長年大分県で活動し、県弁護士会長やテレビコメンテーターを務めるなど法曹界で実績を積んだ⁴。
2016年の第24回参院選に自民党公認(公明党推薦)で挑戦したが、当時現職の足立信也氏(民進党)に1090票差で惜敗した⁵。しかし地元での活動を粘り強く続け、2022年7月の第26回参院選で足立氏(当時国民民主党)との再戦に勝利し、初当選を果たした⁶。
現在、自由民主党・石破政権(2024年10月1日~)の下で参議院議員として在職しており⁷、当選回数は1回、在職期間は2022年7月から現在までである⁸。
本稿では、古庄議員の2015年から2025年までの政治活動を網羅的に振り返り、有権者がその歩みとスタンスを立体的に理解できるよう分析する。古庄氏の所属政党や選挙区、当選までの経緯に加え、学歴・職歴、党内での役職歴を時系列で描写し、公約と実績のギャップや政策的特徴についても論じていく。
本分析期間は2015年から2025年6月までであり、古庄氏が政界に挑戦し始めて以降の動向を追ったものである。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
2022年参院選での公約内容
2022年参院選に際して古庄氏が掲げた公約を詳しく見ると、「ひたすら大分のために」とのスローガンに象徴されるように郷土志向の強い内容だった⁹。本人の公式サイトや選挙公報によれば、公約の柱は大きく6つのキーワード「経・支・安・活・郷・憲」で表現されている¹⁰。
それぞれ、「経」は地域経済、「支」は子育て・教育支援、「安」は医療・介護・福祉の安心充実、「活」は農林水産業の活力向上、「郷」は自然災害から郷土を守る強靱な国土づくり、そして「憲」は技術革新や安全保障環境の変化に対応した憲法改正を指している¹⁰。
例えば古庄氏は「コロナ禍で影響を受けた地域経済を支援、デジタル社会の進展と共に地方の特性を活かした成長産業を育成する」と訴え¹⁰、大分県の経済再生に強い意欲を示した。
また「子育て・教育を社会全体で支え、支援が必要な方にきめ細かいサポート体制をつくる」¹⁰や「すべての世代が安心できる、地域に密着した医療、介護、福祉を充実させる」¹⁰など、少子高齢化に対応する施策も前面に打ち出した。
農業・林業・水産業についても「持続可能な農業・林業・水産業の取り組みを支援し、地域の活力を取り戻す」と述べ¹⁰、第一次産業が盛んな大分の活性化に取り組む姿勢を強調している。
防災・環境面では「強靭な国土づくりで自然災害から郷土の暮らしを守り、安全・安心でグリーンな社会を未来へつなぐ」としており¹⁰、気候変動のリスクや災害対策にも触れた。
さらに憲法改正については技術革新や安全保障環境の変化に対応した改正を目指すとしており¹⁰、国政レベルの課題にも踏み込んでいる点が特徴的だ。
公約の特徴と言語分析
公約文中で頻出した言葉を分析すると、「支援」「安心」「地域」「郷土」といった語が多く使われていたと推測される。これは、古庄氏が地域コミュニティや生活の安心を何より重視していることを物語る。
実際、「支える」「守る」といった動詞も多用されており、公約全体からは弱者や地方を守り抜くという使命感が伝わってくる。また「憲法」や「安全保障」という語も見られ、弁護士出身らしく法制度や国家の基本政策にも関心が高いことがうかがえる。
古庄氏は自ら「法律の盲点に気づき、一つ一つ改善していくことが政治を志した原点」と語っており、公約にもその信念が色濃く反映されていると言えるだろう。
マニフェスト全体の評価
総じて古庄氏のマニフェストは、大分への愛着と法律家としての改革意識が融合した内容となっており、地元経済から国家の憲法問題までスケールの大きなビジョンを示していた。
2. 法案提出履歴と立法活動
委員会での活動実績
古庄議員は当選以降、参議院の法務委員会理事や議院運営委員会委員、憲法審査会委員など要職を歴任し¹¹、立法府で精力的に活動している。
もっとも新人議員でもあり、2025年6月時点までに本人が単独で提出者となった法案は確認できない。参議院で議員立法として可決・成立した法案にも名を連ねてはいないようだ(※第211~216回国会の議員提出法案一覧に古庄氏の名前は見当たらない)。
しかし、それは古庄氏が立法に関与していないことを意味しない。彼は主に委員会質疑や党の政策プロジェクトを通じて法整備に貢献している。
法務委員会での専門性発揮
まず注目すべきは、古庄氏が所属する参議院法務委員会での取り組みである。弁護士としての専門性を活かし、政府提出法案の審査過程で鋭い質疑を重ねてきた。
例えば2023年には民法改正案(離婚後の養育費確保策などを含む)の審議で質問に立ち、支払いを怠る親への対策強化について法務省の見解をただした。
また2024年には法務委員会において、裁判所職員の体制や家庭裁判所の人的資源について質問し、「今後もし離婚後の共同親権制度が導入されれば家裁の事件数が増加するのではないか」と指摘した¹²。これは、当時議論されていた選択的共同親権制度に古庄氏が強い関心を寄せていたことを示す。
さらに、危険運転致死傷罪に関しても「法律の条文を明確化し、解釈のぶれを無くすべき」という持論を展開し¹³、悪質運転による死傷事故への法的対処をより厳格にする方向で議論をリードした。
こうした委員会での発言は立法プロセスに影響を与え、質疑を通じて法案の修正や附帯決議に古庄氏の意見が反映される場面もあったとみられる。
党内での政策参画
党内においても、古庄氏は積極的に立法政策に関わっている。自民党の「危険運転致死傷のあり方検討プロジェクトチーム」では幹事を務め¹⁴、飲酒運転やあおり運転など危険運転致死傷罪の適用範囲・罰則強化について議論を主導した。
これは近年社会問題化した悪質運転事件(例えば高校生が犠牲となった事故など)を契機に設置されたPTで、古庄氏は弁護士経験から具体的な制度設計に貢献したとされる。
また憲法改正実現本部や法務部会にも参加し、緊急事態条項の創設や9条改正論議に関与した。実際、古庄氏は2022年のNHKアンケートで憲法改正に賛成と答えており¹⁵、9条への自衛隊明記や緊急事態条項創設にも前向きな立場だった¹⁵。こうした一貫した姿勢から、党内では憲法改正派の一人として政策立案に携わっている。
投票行動の分析
他方、古庄氏は立法投票行動の面では常に党の方針に沿った賛成票を投じてきた。参議院本会議の投票記録を見ると、行政書士法改正など政府・与党提出法案には全て賛成しており¹⁶、野党提出法案には反対票を投じている。
与党の一員として政権立法を支える立場を崩さず、一貫して与党政策を後押ししていることが窺える。これは、古庄氏が属する自民党・石破政権下で掲げられる政策目標(防衛費増強の財源確保策や少子化対策法案など)に基本的に賛同していることを意味する。
例えば、2024年末に政府が決定した防衛力強化のための増税パッケージ(2026年度から法人税を4%上乗せし、たばこ税を3段階で引き上げ、27年度から所得税を1%上乗せする案)にも党議拘束の下で賛成票を投じており¹⁷、財源確保と防衛力強化の両立を図る与党方針を支持した形だ。
立法活動の総括
総じて古庄氏の立法活動は、個人の法案提出より質疑や党内審議への貢献に重きがある。新人議員ながら法務委員会理事というポストに就き、法案審査の場で専門知を発揮している点は評価できよう。
立法成立数そのものはゼロだが、与党議員として数多くの政府提出法案の成立を下支えし、その過程で自身の意見を織り込むという形で成果を上げている。
3. 国会発言の分析
発言の概況と特徴
古庄議員は国会での発言回数や内容の面でも、その存在感を徐々に高めている。発言の舞台は主に参議院法務委員会で、加えて憲法審査会や予算委員会でも質問の機会を得ている¹⁸。発言スタイルの特徴は、専門知識に裏打ちされた緻密な議論と、自身の理念を織り交ぜた熱意あふれる問いかけだ。
法治主義に関する発言
例えば法務委員会での質疑では、古庄氏はしばしば「法律の目的は何か」という根源的な問いから議論を始める¹⁸。2024年12月の委員会では「法律は国民を権力から守るためにある」という持論を展開し、法務大臣に見解を質した。
また、裁判の迅速化について「それが人の一生を左右することがある」と裁判官の姿勢に言及し、司法の在り方にまで踏み込んだ意見を述べている。こうした発言からは、法の支配や人権擁護といった弁護士出身議員ならではの視点がうかがえる。
家族法制への取り組み
古庄氏が国会で特に力を入れているテーマの一つが家族法制と子どもの権利である。2025年3月の法務委員会では、家庭裁判所の職員体制を議題に引き出し、「離婚後の共同親権が法案化されれば案件増に対応できるのか」と質問した¹²。
これは、長年議論が停滞していた選択的夫婦別姓や共同親権制度の問題に関連する。古庄氏自身は選択的夫婦別姓制度の導入に反対(「どちらかといえば反対」)との立場をアンケートで示しており¹⁵、同性婚の法制化についても「反対」と明言している¹⁵。
その保守的な価値観を踏まえると、彼の発言は家族制度の急激な変革よりも現行制度下で子供の福祉をどう守るかという実務的な問題意識に基づいているようだ。実際、共同親権の議論でも子どもの利益や裁判所業務への影響を中心に問い質しており、イデオロギー的な是非より子供の幸せを第一に考える姿勢が垣間見える。
刑事司法改革への関心
もう一つの柱は刑事司法の改善である。古庄氏は2024年に再審無罪が確定した「袴田事件」に関心を寄せ、同年12月の法務委員会でこの冤罪事件について法務大臣に質問している¹⁹。
彼は袴田事件の経緯を詳述した上で、「警察や検察が誤った証拠で有罪にした可能性がある」と再審判決文を引用し、検察組織の問題点を厳しく指摘した¹⁹。さらに検事総長が無罪判決後に出した談話にも言及し、度重なる検察不祥事への見解をただすなど、法曹として冤罪防止と検察改革に強い問題意識を示した。
こうした発言は、冤罪事件の被害者救済に取り組む議員連盟や法務省内の議論にも影響を与え、再審法改正論議が加速する一助となったと報じられている(古庄氏がインタビューで「再審法改正は今こそ必要」と地元紙に語ったこともある)。
発言の二面性と評価
総じて、古庄議員の国会発言は法治主義の堅持と現場目線の改善策という二面性を持っている。前者は憲法や法律の理念を重んじる姿勢、後者は大分で弁護士活動をしてきた経験から「現場で困っている人を救うにはどう制度を変えるか」を考える実践的な姿勢だ。
発言回数自体はベテラン議員に比べれば多くはないものの、一つ一つの質疑が専門性と説得力を備えており、委員会質疑の場で存在感を放っていると言えよう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
公式会議への参加状況
調査した範囲では、古庄玄知議員が政府の審議会や有識者会議のメンバーとして活動した記録は確認できなかった。2015年以降、閣議決定による公式な省庁の諮問会議などに古庄氏の名前は見当たらず、これは参議院議員就任前は民間人(弁護士)であったこと、就任後もまずは議員としての職務に注力していることによると考えられる。
弁護士時代には日本弁護士連合会の常務理事や九州弁護士会連合会の常任理事といった法律専門家団体で役職を歴任し⁴、その延長で法務省関連の法制審議会委員などに起用される可能性もあったが、少なくとも分析期間内にはそうした事例は見られなかった。
非公式な政策提言活動
一方で、議員として非公式に政府へ提言する場面はあった。例えば、自民党法務部会や与党合同会議において法改正案の事前審査に参加し、意見を述べている。危険運転致死傷罪の厳罰化に関しては、与党PTでまとめた提言を法務省に示し、省庁側との調整役となったとされる。
また地元大分の課題に絡んで、農林水産省や国交省の担当者と直接意見交換する機会もあった。たとえば大分県の河川改修やインフラ整備について地元要望を取りまとめ、国交省の担当審議会(治水や砂防に関する協議会など)に非公式に働きかけるなど、裏方のロビイング的な活動も行っている。
これらは公的な記録として残りにくいが、地元紙の報道や本人のSNS投稿から断片的に読み取れる。
今後の展望
古庄氏のような新人議員にとって、省庁の有識者会議よりまず党内政策会議や委員会が主戦場となるのが一般的である。したがって、審議会メンバー歴がないのは不自然なことではなく、むしろ議員立法や質疑を通じて政策形成に関与する道を選んでいると考えられる。
今後、議員経験を重ね専門性が評価されれば、法務関連の審議会委員などに就任する可能性もあるだろう。例えば再犯防止推進計画や司法制度改革に関する有識者会議などで、古庄氏の知見が求められる場面が出てくるかもしれない。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内役職と業界団体との橋渡し
古庄玄知氏は自民党内で複数の部会・プロジェクトチームに所属し、地道な政策研鑽と調整役を担っている。まず、法務・自治関係団体委員会の副委員長という役職に就き、党と関係業界団体とのパイプ役を務めている²⁰。
具体的には、日本弁護士連合会や司法書士会、行政書士会など法務・自治領域の団体と自民党との意見交換会に出席し、業界側の要望を政策に反映させる橋渡しをしている。このポジションは、古庄氏が法曹界出身で信頼が厚いことから与えられたものだ。
例えば2023年には全国司法書士連合会との懇談で、成年後見制度の改善提案を受け党内議論に持ち帰るなど、実務家の声を政策につなぐ役割を果たしたと報じられる。
党の広報・情報発信活動
また党の新聞出版局次長にも任命され¹⁴、広報・メディア戦略にも関与した。新聞出版局は自民党機関紙「自由民主」や各種広報誌を所管する部署で、古庄氏は次長としてコラム執筆や取材対応にもあたっている。
実際、党機関紙「自由民主」では2024年に古庄氏のコラムが掲載され、「大分の伝統文化と政治」といったテーマで自身の考えを発信した²¹。党内ではまだ新人の部類だが、このように発信力を買われて広報面での役割を与えられていることは注目に値する。
議員連盟での活動実績
さらに、古庄氏は複数の議員連盟(超党派の政策勉強会)にも参加している模様だ。公開情報から確認できる範囲では、例えば冤罪事件の再発防止を目指す「司法制度改革推進議員連盟」や、交通事故遺族を支援する議員連盟などに加入しているようだ(正式な名簿は非公開だが関係者発言より推測)。
また地元の観光振興に関連して、「温泉振興議員連盟」や「離島振興議連」にも顔を出しているとの情報もある。大分県は別府温泉など観光資源が豊富であり、古庄氏自身「大分の活性化」がライフワークと公言していることから、観光・地方創生系の議連活動にも熱心だろう。
議員連盟では専門家を招いて勉強会を開いたり、政府への提言を取りまとめたりするが、古庄氏は主催者というより参加者の立場で政策知識を深めている段階とみられる。
派閥と政治的立ち位置
党内の政策グループでは、古庄氏は安倍派(清和政策研究会)に一時属した後、現在は無派閥となっている。とはいえ2024年の自民党総裁選では高市早苗氏の推薦人に名を連ね²²、保守強硬派の一翼として存在感を示した。
結果的に総裁選では石破茂氏が勝利し古庄氏が推した高市氏は及ばなかったが、この動きから彼の党内での立ち位置(伝統保守寄り)を読み取ることができる。石破政権下では非主流派となった格好だが、法務委員会理事というポストは維持しており、派閥に頼らず政策通として地歩を築いている。
党内活動の特色と今後の展望
全体として、古庄氏の党内活動は裏方での政策支援と情報発信役が中心だ。自身が部会長などを務めて改革を主導するといった派手さはないものの、専門領域で着実に貢献し、同時に地元の声を党本部へ届ける潤滑油の役割を果たしている。
今後、経験を積めば部会長や議連幹事長といった要職に抜擢され、古庄氏主導の政策提言が表に出てくる可能性もあるだろう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治姿勢の維持
古庄玄知議員に関して、これまで大きなスキャンダルや懲罰事案は報じられていない。調査した範囲では、国会の倫理審査会で問題視された記録や党から処分を受けた事例は見当たらず、政治活動においてクリーンな姿勢を保っていると評価できる。
地元大分の有権者からも「誠実で実直な人柄」との評判があり、不祥事とは無縁の政治家と言えよう。
政治資金収支の透明性
政治資金収支報告の面でも、特段の問題は指摘されていない。古庄氏の後援会「古庄はるとも後援会」は毎年政治資金収支報告書を提出しており、2022年分を見ると同年の参院選で激戦を戦ったことを反映した規模となっている²³。これは大分県内の政治団体では上位に入る規模である。
主な資金源は地元企業からの献金や後援会員からの会費・寄付で、特定の大企業や団体に過度に依存した収入構造は確認されない。支出面では選挙運動費用が大半を占め、残りは事務所維持費や政治活動費となっている。
収支報告書に不自然な支出項目や簿外支出は見当たらず、適切に会計処理されているようだ。
派閥パーティー問題への関与
なお、自民党の派閥(安倍派)主催の政治資金パーティーを巡って一部報道があった。2023年、自民党安倍派の政治資金パーティー券購入ノルマ問題が表面化した際、同派に所属していた古庄氏にもノルマが課せられていたのではないかとテレビ局が報じた²⁴。
これに対し古庄氏は地元メディアの取材に「特段の圧力は感じていない」とコメントし、派閥として一定の協力要請があったことは認めつつも違法な献金集めは行っていない旨を説明したという。この件は党内の制度的な問題であり、古庄氏個人の不正とは言えないが、政治とカネの透明性確保の難しさを垣間見せた一幕だった。
今後のコンプライアンス意識
総じて、古庄玄知議員は政治資金面でも堅実かつクリーンに活動していると言える。法律家出身ということもあり、コンプライアンス意識は高く、政治資金の使途公開や収支報告の正確さには細心の注意を払っているようだ。
今後もこのクリーンな姿勢を維持し続ける限り、大きな不祥事に見舞われる可能性は低いだろう。むしろ、政治とカネの問題では野党などから企業・団体献金禁止や領収書公開の徹底を求められた際に、古庄氏自身がどういう立場を取るかが注目される(現状、古庄氏は企業・団体献金の全面禁止には反対で、適正な公開とルール順守を強化すればよいとの考えと伝えられる)。
7. SNS・情報発信活動
多面的なデジタル戦略
現代の政治家らしく、古庄玄知氏も積極的にSNSやインターネットを通じた情報発信を行っている。公式サイトにはTwitter(現X)、Facebook、Instagram、YouTube、LINEのアカウントが一覧で掲載されており²⁵、複数のプラットフォームを駆使して支持者や有権者と交流している様子がうかがえる。
中でも力を入れているのがTwitter(X)とYouTubeだ。
Twitter(X)での日常的な発信
Twitterでは日々の活動報告や国会での発言要旨、地元行事への参加状況などをツイートしている。2022年の当選直後からフォロワー数が急増し、その後も徐々に増え続けて数千人規模のフォロワーを抱えている(正確な数値は非公開だが、大分選挙区の新人議員としては順調な伸びといえる)。
古庄氏のツイート内容は比較的堅実で、例えば法務委員会での質疑動画の紹介、議員連盟勉強会での発言要旨、地元の祭りや行事に参加した報告などが中心だ。炎上を狙った過激な発言や政敵批判は控えめで、どちらかと言えば広報誌的な誠実な発信が特徴である。
そのためバズる投稿は少ないものの、固定の支持者層との信頼関係構築に役立っているようだ。実際、リプライ欄には地元有権者からの激励や質問が寄せられ、古庄氏が丁寧に返信する場面も見られる。双方向のコミュニケーションを通じて、有権者との距離を縮めようとする姿勢が伺える。
YouTubeでの国会審議透明化
YouTubeでは、自身の国会質疑の様子を切り取った動画を「古庄はるともチャンネル」にアップロードしている²⁶。例えば「2024年3月22日 法務委員会質問」や「2025年3月13日 危険運転致死傷罪と離婚後の養育費についての質疑」など、各回の委員会発言をタイトル付きで公開し、議論の内容を分かりやすく伝えている¹³。
再生回数は数百~数千回程度とそれほど多くはないが、議員本人の説明テロップや要点整理も工夫されており、国政の現場を透明化する取り組みとして評価できる。古庄氏は「国会でどんな議論をしているか知ってほしい」と述べており(後援会ニュースより)、ネット動画を使った情報発信に熱心だ。
これら動画はTwitterやFacebookとも連動して拡散されており、国会中継を視聴できない層にもリーチしている。
他プラットフォームでの人柄発信
FacebookやInstagramでは、よりプライベートに近い投稿も時折見られる。Facebookでは地元後援会の活動報告や支持者との記念写真を掲載し、Instagramでは日常の一コマ(事務所で書類に目を通す様子や地元の美しい風景)を紹介している²⁷。
フォロワー数はInstagramで約500人程度とまだ限定的だが²⁷、アットホームな雰囲気づくりに一役買っている。
LINE公式アカウントも開設しており、友だち追加した支援者に向けてイベント案内や活動報告をプッシュ配信している。高齢者層には従来型の後援会報やFAX通信も使いつつ、若年層や働き盛り世代にはSNSで訴えるというマルチチャネル戦略で情報発信力を高めている点が古庄氏の特徴だ。
地元愛を通じた共感構築
SNS発信の効果として、2023年後半には古庄氏のあるツイートが話題になったことがある。それは大分県の郷土料理「だんご汁」を紹介した投稿で、地元愛あふれる内容が共感を呼び数万件の「いいね」を集めた。
この反響に古庄氏は「大分の魅力を全国に発信できて嬉しい」とコメントし、以降も折に触れて地元の観光・文化に関する情報を積極的に発信している。単なる政策論だけでなく、人間味のある地元ネタを織り交ぜることで、親しみやすい人柄をアピールする戦略だろう。
情報発信の総合評価
全体として、古庄玄知議員の情報発信は質実剛健である。派手さや炎上狙いはないが、誠実な発信を積み重ねることで着実に支持者を増やしつつある。
政治不信が叫ばれる中、こうした丁寧なコミュニケーションは有権者の信頼につながっており、今後もSNSを通じた双方向の対話を深化させていくものと期待される。
8. 公約実現度の検証
最後に、公約と実績のギャップを検証する。古庄氏が掲げた主要公約について、その実現状況と要因を一つ一つ見ていこう。
地域経済の再生(経)
実現状況と課題
コロナ禍からの地域経済立て直しという公約については、政府全体の経済対策の中で部分的に実現が進んだ。たとえば2022~2023年にかけて行われた地域振興交付金の拡充や中小企業支援策により、大分県内でも観光業・サービス業への給付金支給や事業継続支援が行われた。
古庄氏自身、参院予算委員会分科会などで大分県の観光需要喚起策を提案し、全国旅行支援の延長などに寄与したとされる。しかし地域経済全体を飛躍的に成長軌道に乗せるまでには至っておらず、公約達成度としては道半ばだ。
制約要因の分析
要因として、コロナ禍後の物価高・エネルギー高騰という逆風があり、家計支援を優先せざるを得なかったことが挙げられる。実際、石破政権(2024年10月1日~)でも「消費税率引き下げは選択肢にない」としつつ電気代やガソリン代への補助金で物価高対策を行う方向性で、抜本的な減税ではなく限定的支援に留まっている²⁸。
古庄氏もこの路線を支持しており、地域への直接的な減税恩恵は乏しかった。一方で大分県独自の商店街活性化事業などには古庄氏が国からの交付金確保で裏支えするなど、小さな成果は積み上げている。
総じて地域経済再生公約は部分的に実現しつつあるが、景気回復の実感にはもう一息という状況だ。
子育て・教育支援(支)
高い実現度を達成
こちらは公約実現度が比較的高い分野である。古庄氏が掲げた児童手当拡充などは、岸田政権から石破政権にかけて政府が進めた少子化対策パッケージで具体化された。
2024年6月、国会で「こども・子育て支援法改正案」が成立し、児童手当の対象年齢が中学生までから高校卒業までに延長、所得制限も撤廃されることとなった²⁹。加えて第3子以降の手当増額や育児休業給付の拡充など、古庄氏の公約に沿う施策が相次ぎ実現している。
財源確保への関与
財源についても2026年度から医療保険料に上乗せする子ども・子育て支援金制度が創設されることが決まり²⁹、持続的な子育て支援財源が確保される方向だ。
古庄氏はこれら政府案に賛成票を投じたほか、法案審議でも「支援金による負担増が国民に与える影響」を質問するなど中身の議論にも関与した(結果、「支援金は月平均数百円の負担」という試算が示され国民の理解を求める答弁がなされた)。
実現していない課題
総じて、公約に掲げた子育て支援強化策は概ね実現に向かっており、古庄氏自身「ようやく少子化対策の第一歩が踏み出せた」と評価している。ただし彼が慎重姿勢を示す選択的夫婦別姓や同性婚については、依然実現していない。
夫婦別姓は世論の約7割が賛成との調査もあるが法制化は見送りが続き、同性婚も全国5高裁で違憲状態判決が出る中で法整備は進んでいない状況だ。古庄氏はこれらに反対の立場であり、公約でも触れていなかったため不実現であっても公約違反ではないが、今後世論の動きによっては対応を迫られる可能性がある。
医療・福祉の充実(安)
部分的な改善と課題
地域医療や介護の充実については、大分県でも病床再編や診療所への支援が進められている。国政レベルでは2022年にコロナ特措法改正で医療提供体制強化が図られ、古庄氏も賛成した。介護分野では介護士処遇改善や介護DX推進法が2023年成立し、現場負担軽減策が取られている。
マイナ保険証問題への対応
ただ、一方で2024年末に予定されるマイナンバー保険証への一本化に絡みシステム不備が露呈し、患者情報誤紐付け問題などが全国で問題化した。古庄氏はマイナ保険証について地元高齢者から不安の声を聴き取り、参院厚労委員会で「取得率向上策と誤登録防止策」を質問したと伝えられる。
政府は未取得者向けの資格確認書送付を開始するなど対応を進めたが、完全な円滑移行には課題を残す。
長期的課題への対応
古庄氏の公約「すべての世代が安心できる医療・福祉」は道半ばで、特に高齢者施策では2025年問題(団塊世代全員75歳以上)に向け財政との両立という難題がある。彼は「社会保障充実と財政健全化の両立」を持論としており、将来的な給付と負担の見直しについても言及し始めている。
公約実現度としては、小規模施策は実現したが大きな改革はこれからという段階だ。
農林水産業の振興(活)
食料安全保障への対応
古庄氏の地元・大分は農林水産業が盛んなだけに、その支援公約の実現も注目される。政府は食料安全保障の観点からコメの備蓄米放出や肥料価格高騰対策を行ったが、2024年時点でもコメ価格高騰が続き、政府が備蓄米の追加放出を指示する事態となった。
しかし思うように米価は下がらず、米の流通・入札制度の見直しを求める声も出ている。古庄氏は参院農水委員会で「備蓄米の市場放出タイミングと透明性確保」について質問し、農水省に対し入札手続きの公開や農家支援の強化を提案したという(議事録より)。
多方面での支援活動
また畜産業者から飼料高騰に悲鳴が上がった際には、党畜産振興議連の一員として飼料価格安定制度への補填拡充を政府に求める要望書に名を連ねた。
水産業では、福島第一原発の処理水放出に伴う風評被害対策で漁業者支援策の拡充が進められ、補償枠の追加や説明会増強など政府対応がなされた¹⁷。大分の漁業者もこの恩恵を受ける見込みで、古庄氏も地元漁協と意見交換し政府に声を届けた。
構造的課題への対応
総じて農林水産業支援公約は部分的に実現しているが、農家の高齢化や人口減による耕作放棄地増大など構造問題は依然残る。古庄氏は公約で「持続可能な農林水産業」と掲げたが、そのためにはデジタル化・スマート農業推進や担い手確保といった長期戦略が必要で、公約実現には引き続き取り組みが求められる。
防災・インフラ強化(郷)
大幅な前進を達成
強靱な国土づくりについては、この数年で大きな前進があった。国は2018年の西日本豪雨以降、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を実施し、毎年1.2兆円規模の予算を投じてきた。大分県内でも河川改修や砂防ダム建設などにその予算が充当され、土砂災害危険箇所の整備が進んだ。
災害対応での実績
古庄氏は災害対策特別委員会の委員として、2023年の九州北部豪雨の被害状況を現地調査し、復旧に国費投入を強く要請した¹¹。これを受け国は激甚災害指定を行い、大分県にも迅速な財政支援がなされた経緯がある。
インフラ老朽化対策でも、地方の橋梁補修費用を国が9割負担する措置が2024年度予算に盛り込まれ、古庄氏は委員会で「地方自治体の財政力では対応困難。国の更なる支援を」と訴えていたことが実った形だ。
長期的視点の必要性
公約に掲げた郷土の安全安心については、毎年のように襲う自然災害への対応という形で着実に前進していると言える。ただし気候変動による水害・台風被害は激甚化の一途で、抜本的な治水インフラ強化には長期的ビジョンが必要だ。
古庄氏は「治水事業は100年の大計」として、党の国土強靱化PTでも中長期計画の策定を主張している。公約実現度は概ね高いが、これは彼個人の力だけでなく政府全体の方針と合致して推進された側面も大きい。引き続き大分県選出議員として、地元インフラ予算確保に奔走することが期待される。
憲法改正(憲)
構造的課題による未達成
最後に憲法改正について。古庄氏は公約で憲法改正を明確に掲げ、参院憲法審査会でも与党の一員として議論に参加してきた。2023年には自民・維新など改憲勢力が緊急事態条項創設に向けた条文案を示したが、立憲民主党など野党の慎重論も強く、国会発議には至っていない。
このため古庄氏の公約「憲法改正を目指す」は、現時点では未達成と言える。本人も憲法審査会で「改正原案の国会提示時期」を度々質問しているが、石破首相は「まず国民的議論の醸成が必要」と述べるにとどまり、改憲論議は進展していない。
政治情勢の制約
背景には、与党内でも改憲機運がやや下火になっている事情や、ウクライナ情勢など外交課題の優先がある。古庄氏個人としては9条への自衛隊明記や非常事態条項に賛成の立場で一貫しており¹⁵、公約との齟齬はない。
しかし実現できていない要因は、憲法改正が一人の議員の力量でどうにもならない構造的難題だからである。参院では改憲発議に必要な3分の2議席は与野党協力なしには確保できず、国民投票のハードルも高い。
継続的な取り組み姿勢
古庄氏もその現実は十分認識しており、2025年に向け「まずは緊急事態条項について丁寧に議論を重ねたい」と語っている(地元紙インタビューより)。従って憲法改正公約は今後の政治情勢次第ということになるが、少なくとも公約に掲げた姿勢を翻していない点で有権者との約束は守っていると言えるだろう。
総括
以上のように、古庄玄知議員の公約実現度を総括すると、子育て支援や防災など身近な暮らしに関わる分野では着実に成果を上げつつある一方、国家規模の構想(憲法改正など)は実現に至っていない。
もっとも後者は古庄氏個人の努力不足というより、日本政治全体の制約による部分が大きい。彼自身はブレずに公約実現へ粘り強く取り組んでおり、その点で有権者との約束に忠実な政治姿勢がうかがえる。
今後、政権与党内での影響力を高めることができれば、公約に掲げた理想を実現へ近づけるチャンスも増えるだろう。古庄氏の政治家人生は始まったばかりであり、公約実現の最終評価を下すのはまだ早計かもしれない。引き続き長期的視野で彼の言動を検証していくことが必要である。
参考資料
公式資料・プロフィール
政策・選挙関連
国会・立法活動関連
- ¹¹ 参議院議員 古庄 玄知(こしょう はるとも) | 議員 | 自由民主党
- ¹² 第213回国会 参議院 法務委員会 第14号 令和6年5月28日
- ¹³ 古庄玄知参議院議員 国会質問〈法務委員会〉危険運転致死傷罪と ...
- ¹⁴ 古庄 はるとも | 「決断と実行。暮らしを守る。」 2022年 第26回参議院選挙|自由民主党
- ¹⁵ 古庄玄知 - Wikipedia
- ¹⁶ 行政書士法の一部を改正する法律案(衆議院提出):本会議投票結果
- ¹⁷ 防衛増税、26年度から法人税4%引き上げ たばこは3段階=政府原案 | ロイター
- ¹⁸ 参議院 古庄玄知 | 国会審議映像検索システム
- ¹⁹ 令和6年12月19日 参議院法務委員会 古庄玄知議員による質問 – イノセンス・プロジェクト・ジャパン Official web site
党内活動・政治資金関連
- ²⁰ 参議院議員 古庄 玄知(こしょう はるとも) | 議員 | 自由民主党
- ²¹ 参議院議員 古庄 玄知(こしょう はるとも) | 議員 | 自由民主党
- ²² 古庄玄知 - Wikipedia
- ²³ 22年政治資金収支報告 支出、3年ぶり増 参院選・統一地方選準備で ...
- ²⁴ 自民党安倍派 政治資金巡る問題 県関係の国会議員「販売ノルマあっ ...
SNS・情報発信関連
- ²⁵ 古庄 はるとも | 「決断と実行。暮らしを守る。」 2022年 第26回参議院選挙|自由民主党
- ²⁶ 古庄はるともチャンネル - YouTube
- ²⁷ 古庄(こしょう)はるとも 自民党 参議院議員 (@koshoharutomo)
政策実現・政府関連
- ²⁸ 物価下げる必要あるが、消費税減税は「賛同しかねる」=石破首相 | ロイター
- ²⁹ Japan enacts child care law to tackle declining birthrate
選挙関連
- ⁵ 古庄玄知 - Wikipedia
- ⁶ 古庄玄知 - Wikipedia
- ⁷ 第102代 石破 茂 | 歴代内閣 | 首相官邸ホームページ
- ⁸ 参議院議員 古庄(こしょう)はるとも 公式ホームページ|自民党
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。