おおつ つとむ
大津力候補の政治活動総覧(2015–2025)
概要
大津力(おおつ・つとむ)氏は、参政党所属の政治家で、埼玉県飯能市出身。1971年9月8日生まれの53歳(2025年時点)で、駿河台大学経済学部を卒業後、学習塾経営に携わり、平成25年(2013年)に飯能市議会議員に初当選し以後3期12年間務めました¹。
市議時代には2018年に飯能市議会副議長、2019年には広域斎場組合議会議長を歴任し²、地域活性化策として「農のある暮らし『飯能住まい制度』」の創設を提案して人口増加に貢献するなど、市政発展に尽力しました³。
2022年に参政党に入党し、埼玉県第9区支部長兼「国政改革委員」として国政挑戦を表明⁴。2024年の衆議院選挙では北関東ブロック比例に立候補するため3期務めた市議を辞職し⁵、現在は2025年夏の参院選埼玉選挙区への出馬に向け精力的に活動しています⁶。
在職期間中および分析対象期間(2015–2025年)の政治活動の全体像を、以下に詳細にまとめます。
選挙公報・マニフェスト分析
大津氏の直近の選挙公報・マニフェストには、教育・健康・経済に関する大胆な改革案が並びます。スローガンは「まず地域、まず暮らし」で⁷、「日本再興に残りの人生の時間を費やす!」との決意を掲げ⁸、地元愛と国家再興を両立させる情熱をアピールしています。
教育改革の柱
政策の柱として第一に教育改革を据え、幼稚園から大学まで一貫して個性を伸ばす学びへの転換や、小中学校への飛び級導入、大学無償化(学費は国が全額補助)など、人材育成への大胆な投資を謳いました⁹。
併せて「日本人として誇りの持てる歴史教育」の推進も掲げており、伝統や愛国心を重んじる姿勢がうかがえます¹⁰。
医療・健康分野の改革
第二に医療・健康分野では、「対処療法から根本治療の医療へ」の転換を唱え、食育の推進や予防医療に重点を置くことで国民の健康増進と医療費削減を目指すとしました¹¹。
具体的には「国民が健康になり医療費が減れば、その分医療機関に報酬が入るインセンティブ制度」を導入し、医療提供者にも健康づくりの成果を還元すると提案しています¹²。
経済・財政政策
第三に経済・財政政策として、大胆な消費税減税を主張しました。消費税率の大幅引下げによって家計を支援し、その減収分はインフレ率2%に達するまで国債発行で賄うと明言しています¹³。これは「物価高から国民生活を守るためには思い切った減税も辞さない」という積極財政志向を示すものです。
国防・外交政策
一方で国防・外交では、「兵器増強のみに頼らない国防」として軍事偏重を戒め、情報戦・経済戦の強化を提唱しました¹⁴。さらに「西側に偏らない中立外交」を掲げ、米欧一辺倒ではなく多角的な外交関係構築を目指す立場を取っています¹⁵。
地方経済・一次産業
地方経済についても「管理放棄された森林・農地の国有化」や「一次産業の保護・育成」を政策に盛り込み¹⁶、食料自給や環境保全にも力を注ぐ考えです。
以上のように教育・健康・財政に関するキーワードがマニフェストの上位を占めており、実際、選挙公報から頻出する言葉は「教育」「健康」「消費税」「地域」といったものが目立ちました。これは大津氏が子どもから高齢者まで安心できる社会づくりと、日本全体の活力回復に軸足を置いていることを物語っています。
「まず地域、まず暮らし」とのメッセージどおり、地域の声を国政に届ける決意と、自らの経験に根ざした教育・福祉重視の政治姿勢が滲み出ています¹⁷。
法案提出履歴と立法活動
大津氏は分析期間において国会議員ではなかったため、国会での法案提出や立法実績はありません(提出法案数0件)¹⁸。
しかし地方議員としては、数々の政策提言と実績を残しています。中でも象徴的なのが、「飯能住まい制度」の創設です。飯能市が人口減に悩む中、「農のある暮らし」を求める移住者に住宅支援を行うこの制度を議会で提案し、実現に導きました¹⁹。
実際に導入後、制度を利用した移住者により地域活性化に一定の成果を上げています²⁰。また、市の豊かな森林資源に着目し「飯能市を森林環境教育の舞台に」と提案するなど²¹、環境と教育を結びつけた独自の発想で政策立案に取り組みました。
平成30年(2018年)には飯能市議会副議長、令和元年(2019年)には広域斎場組合議会議長に就任し、市政の要職を歴任²²。こうした経験を通じて調整力と合意形成の手腕を磨いており、議会運営にも貢献しています。
2022年に参政党に参加してからは国政への志を鮮明にし、2024年の衆院選では比例北関東ブロックに挑戦しました²³。残念ながら当選には至らなかったものの、この間に党公認候補として各種政策をアピールし、他の参政党候補者とも連携して存在感を示しました。
例えば同じ参政党の神谷宗幣代表らと街頭演説に立つ姿も見られ²⁴、草の根で支持を訴えています。
国会での法案提出こそないものの、地方発の政策を国に波及させるべく行動してきた点は大津氏の立法活動上の特徴です。市議会で培った政策提案力と現場目線を、今後国政の場でどう活かすかが期待されます。
国会発言の分析
国会議員経験がないため、大津氏には国会での発言記録がありません(国会発言回数0回・発言文字数0字)。したがって国会答弁や委員会質疑でのスタイルを語ることはできませんが、その代わりに地方での発信や選挙活動に着目すると人物像が浮かび上がります。
地方での発信スタイル
飯能市議としては、住民との対話集会や議会報告会を年10回以上開催し、直接市民の声を聴くことを重視してきました²⁵。自ら「じかに人に会い、じかに話を聞く」を信条に掲げ²⁶、地域を歩き回るスタイルは国政選挙の活動でも貫かれています。
演説では教育現場の経験や父親のギャンブル依存症克服に奔走した家庭の体験など、パーソナルな物語を交えて語りかけることで共感を呼びました²⁷。
街頭演説での反響
実際、街頭演説では「子どもたちの未来のため、もう一度日本を立て直したい」と力説し、多くの聴衆を集めています²⁸。
SNSでの発信
発言内容の傾向としては、やはり減税や教育改革といった自身の公約に沿ったテーマが多く、例えばSNS上でも「#減税世直しエイエイオーツ❣」というハッシュタグを用いて消費税減税の必要性を訴える投稿をしています²⁹。
「エイエイオーツ」は大津氏の名前とかけた掛け声で、集会などで支持者とともに唱和することもあり、一種のトレードマークとなっています³⁰。
市議会での質問スタイル
国会での直接的な論戦こそ未経験ですが、その分SNSやブログ、タウンミーティングを駆使して政策発信する草の根型のコミュニケーションが際立っています。市議会では一般質問を通じ、「第二区地域の人口減少と気候風土適応住宅」などユニークなテーマを取り上げました³¹。
これは特定の小学校区で児童数が5年で8.3%減少したことに着目し、地域の結束力維持と若者定住のため、地域の気候風土に適した住宅基準(例えば木材利用のエコ住宅)を整備すべきと提案したものです³²。
専門知識を盛り込みつつ地元の課題解決に結びつける発言スタイルからは、課題発見力と政策志向の強さが感じられます。
総じて、大津氏は国政の議場では沈黙していたものの、地方とネット空間においては雄弁な「生活者の代弁者」として振る舞ってきたといえるでしょう。
省庁審議会・有識者会議での活動
大津氏が国の省庁の審議会や有識者会議メンバーを務めた記録は確認できません。これは、彼が国会議員や中央政府の職員経験を持たないことから自然な結果です。調査の範囲では、大津氏の名前が政府の審議会議事録や配布資料に登場した例は見当たりません(該当記録なし)³³。
参政党の影響力の現状
参政党自体、まだ国政進出から日が浅く、党所属議員も少数であるため、政府の審議会に党として人材を送り込むほどの影響力は持っていないという事情もあります。
地方レベルでの活動
ただし、大津氏個人は地方において様々な有志団体や地域協議会に参加してきました。飯能青年会議所では第37代理事長を務め(2011年)³⁴、地域産業の活性化策を民間サイドから提言した経験があります。
また、飯能消防団員として地域の防災活動にも携わるなど³⁵、行政外部の立場でコミュニティ活動を主導してきました。
今後の展望
こうした草の根経験はあるものの、国家レベルの審議会という公式の場で専門知見を提供した経歴はありません。これは大津氏に限らず地方議員には一般的なことであり、むしろ今後、国政に進出した際に各種審議会への参画や有識者との議論の場に顔を出す可能性が開けてくるでしょう。
現時点では「役所に呼ばれて意見を述べる」というより、「自ら地域を回って意見を拾い上げる」役割を担ってきたと言えます。その意味で、大津氏は官主導の会議ではなく市民との対話の場で力を発揮してきた政治家であり、それが彼の活動スタイルを特徴づけています。
党内部会・議員連盟での活動
大津氏の所属する参政党は、2020年結成の比較的新しい政党で、自由民主党など伝統政党に見られるような細分化された政策部会や派閥的な議員連盟はまだ発達途上です。
党内での役職と活動
大津氏自身、2022年に党に加わった当初は埼玉県第9支部の支部長として地域組織の立ち上げに奔走し³⁶、党本部と地元支部を繋ぐ役割を果たしました。
党内役職としては「国政改革委員」の肩書きを与えられ³⁷、次期衆院選・参院選に向けた政策立案や候補者活動の取りまとめに関与しています。
党内勉強会・講演会
参政党は草の根の勉強会やオンライン発信に力を入れる政党でもあり、大津氏も党のオンライン部会的な勉強会に参加して意見交換を行ってきました。
例えば2023年には参政党埼玉支部主催の講演会で、党所属の吉川りな衆院議員(参政党ボードメンバー)を招き「参政党は陰謀論政党なのか?」といったテーマで議論する場を設けています³⁸。
こうしたイベントで司会や討論を務め、党のイメージ向上と政策浸透に努める姿がSNS等で確認できます。
議員連盟との関係
議員連盟については、国会議員でないため正式な超党派議員連盟への参加経歴はありません。ただ、思想的に近いグループとの交流は見られ、例えば神道政治連盟など保守系団体の主張に共感を示す発言も散見されます(参政党自体、伝統文化や家族制度を重視する傾向が強いため)³⁹。
政策部会的な活動
党内では教育政策部会や食と健康部会に相当するテーマで積極的に発言しており、自身の塾経営経験を活かして教育再生策を提案したり、食品添加物問題などにも関心を示しています。
参政党内の重要イベントとして2023年の「参政党フェス」討論コンテストでは審査員的な立場で参加し、若手党員の討論を評価する役回りも果たしました⁴⁰。
組織作りへの貢献
総じて、大津氏の党内活動は組織づくりと政策発信の両面で貢献しており、特に埼玉県における参政党ネットワーク拡大に力を尽くしています。今後議席を得れば、党を代表して国会内の委員会や議員連盟に加入し、さらに活動の幅を広げるものとみられます。
政治資金・不祥事関連の記録
大津氏に関して、収賄や政治倫理問題などの不祥事の報道は一切確認されていません。飯能市議3期の在任中も、政治倫理審査会に諮られるような処分歴はなく、クリーンな政治姿勢を保ってきたと言えます。
政治資金の管理
政治資金面では、「おおつつとむ後援会」という政治団体を設立し活動資金を管理しています⁴¹。
埼玉県選挙管理委員会に提出された令和4年(2022年)分の政治資金収支報告書によれば、この後援会が大津氏の主たる資金管理団体となっており、公選法に基づき適正に届出がなされています(報告書そのものはPDF形式で公開されているものの、特筆すべき巨額の収入や支出は記録されていません)⁴²。
資金源の透明性
資金源は地元有志からのカンパや自身の塾収入からの持ち出しなどが中心とみられ、企業・団体献金に大きく依存した形跡はありません。
実際、参政党は党是として企業・宗教団体からの支援を受けない方針を掲げており⁴³、大津氏も「特定のスポンサーに忖度しない政治」を標榜しています。
SNS上でも「企業献金を受け取れば都合の良い政策をしなければならなくなる」と訴えており⁴⁴、クリーンな資金調達をアピールしています。
政治資金の使途
政治資金の使途も、地元での集会開催費やビラ印刷代、選挙費用などが中心で、不明朗な支出は指摘されていません。
私的な背景
倫理面では、地元市議時代から私的な公金流用や政務活動費の不適切使用といったスキャンダルは皆無でした。また家族ぐるみの世襲政治とも無縁で、本人いわく「父親のギャンブル依存症克服の経験」が政治家を志すきっかけであり⁴⁵、むしろ家庭の苦労話をオープンにする姿勢です。
任期途中辞職への批判
このように大津氏の10年間の政治活動は、終始クリーンで不正とは無縁でした。強いて言えば、2024年に飯能市議を任期途中で辞職したことについて市民の中には「任期を全うせず国政挑戦か」との批判も一部ありました⁴⁶が、これも法令上問題はなく政治家の判断として許容される範囲です。
以上のことから、有権者は大津氏を「クリーンで誠実な人物」として認識しており、これは政治家として大きな資産となっています。
SNS・情報発信活動
大津氏はインターネットやSNSを巧みに活用し、情報発信に力を入れてきました。特にX(旧Twitter)では、党公認候補となった2022年以降フォロワーを着実に増やし、2025年時点で数千人規模の支持者にメッセージを届けています。
フォロワー拡大の取り組み
党員や支持者が中心となって「#大津力 フォロー祭り」を開催し、「目指せフォロワー1万アカ!」と呼びかける動きも見られ⁴⁷、草の根でフォロワー増加キャンペーンが行われたほどです。
SNSでの発信内容
大津氏のアカウントでは連日、遊説先での街頭演説の様子や政策主張の動画が投稿されており、「#エイエイオーツ」「#日本人ファースト」といったハッシュタグが頻繁に用いられています⁴⁸。
例えば、「減税世直しエイエイオーツ❣いよいよ始まりましたよ今回の参院選の焦点は減税vs給付。取ってばら撒くなら取らない方がいいと思いませんか?」といった投稿を行い⁴⁹、消費税減税への支持を訴えかけています。
こうしたSNSでの発信は拡散力が高く、党公式アカウントや他の候補者とも連携してリツイートし合うことで支持層を広げました。
YouTubeでの活動
またYouTubeにも自身のチャンネルを開設しており、街頭演説のライブ配信や政策解説動画を公開しています。2023年の参院補選時には地元テレビ局のニュース映像がYouTubeにアップされ、「参政党・大津氏が出馬表明」として飯能市議から国政を目指す意気込みが報じられました⁵⁰。
再生回数は決して多くないものの、コメント欄には「頑張って」「話に共感した」という声が並び、支持者との双方向コミュニケーションの場にもなっています。
ブログでの発信
ブログについては、選挙ドットコムの候補者ページ上で頻繁に記事を投稿しており、2025年7月の参院選公示以降は連日のように活動報告をアップしました⁵¹。
内容は街頭演説の日程案内から教育論、家族で観てほしい映画の紹介まで多岐にわたり、市井の目線と政策的メッセージを織り交ぜた読み物になっています。
例えば2025年2月のブログでは「紙の辞書と手書きの大切さ」について持論を展開し⁵²、デジタル時代にも基礎学力を重視する教育観を示しました。
情報発信戦略の特徴
総じて、大津氏の情報発信戦略は「自ら語り、直接届ける」というものです。大手メディアで取り上げられる機会は多くありませんが、SNSとブログを駆使して支持者との絆を深め、新たな支持者層にもリーチしています。
その姿は有権者に「飾らない人柄」と「行動派」という印象を与え、政治への親近感を醸成する効果を上げています。
公約実現度の検証
大津氏の掲げた公約と、その実現状況を照らし合わせると、国政レベルでは未達成の課題が多いのが実情です。これは一議席も持たない新興勢力の候補者であったため致し方ない側面がありますが、公約の中身と国の政策動向を比較することでギャップの所在が明確になります。
経済政策のギャップ
まず経済政策について、大津氏は「消費税減税」を公約の柱に据えましたが⁵³、現実の政府方針は真逆と言えるものでした。
2025年現在、石破茂首相(自民党政権)は「社会保障財源が必要」として消費税率引き下げを明確に否定しています⁵⁴。参院選公約で野党が提案した食料品の軽減税率ゼロ案に対しても、石破首相は「減税には賛同しかねる」と党首討論で答弁し、消費減税論を一蹴しました⁵⁵。
このため大津氏の望む大胆減税は実現どころか議題にも上がらない状況で、公約とのギャップは大きいです。
物価対策の限界
一方で物価高対策として政府はエネルギー補助金や備蓄米放出による対応を進めていますが、コメ価格は依然高止まりし「備蓄米追加放出」を重ねても抜本解決に至っていません⁵⁶。
大津氏が訴えた家計支援策(減税や現金給付)は、政府では一部現金給付(税収上振れ分の還元)が検討される程度で⁵⁷、消費税減税は選択肢に入っていません。
この乖離は、彼の属する参政党が政権を担っていないため政策決定に影響力を行使できない構造的な問題です。
教育改革の停滞
次に教育改革については、大津氏が提唱した飛び級制度や大学無償化は国政では具体化していません。政府の教育政策も近年は高校までの教育無償化やデジタル教科書推進などに力点があり、飛び級導入の議論は進んでいません。
また大津氏が主張する「歴史教育の強化」も、教科書検定基準の見直しなど間接的には動きがあるものの、彼の理想とする愛国心涵養のカリキュラム改革が断行されたわけではありません。
子育て支援の財源問題
少子化対策では政府は児童手当の拡充を決めたものの、その財源は全世代型社会保障名目で医療保険料への上乗せ徴収という形が採られました⁵⁸。
具体的には2026年度から被保険者一人当たり月数百円(平均450円)の負担増となる「子ども・子育て支援金」制度が導入される予定で⁵⁹、大津氏が期待したような国債活用ではなく事実上の"独身税"とも揶揄される手法です⁶⁰。
この点、大津氏はブログ等で「子育て支援は将来への投資」として大胆な予算投入を唱えていただけに、政府との温度差が見られます。
社会制度改革への対応
社会制度改革に関しても、公約とのギャップが存在します。参政党は伝統的家族観を重んじる立場から選択的夫婦別姓や同性婚に慎重な傾向があり、大津氏自身はこれらについて明確な賛否を公約に盛り込みませんでした。
国政では2025年に野党が選択的夫婦別姓法案を提出し国会審議入りしましたが、自民党は独自法案の提出を見送り、導入は見通せない状況です(世論調査では7割以上が賛成にもかかわらず進展せず)⁶¹。
同性婚については、2023~2025年にかけて全国5つの高等裁判所が現行法を「違憲」と判断し⁶²、立憲民主党が婚姻平等法案(同性婚を可能にする民法改正案)を国会に再提出しました⁶³。
しかし法案成立のめどは立っておらず、政府与党はシビルユニオン(事実婚)の検討にとどめているのが現状です。
防衛政策の方向性
安全保障・外交分野では、大津氏は「中立外交」「防衛費のメリハリ配分」を掲げました。これに対し政府は2022年末に防衛費対GDP比2%への増強を決定し、財源確保のため法人税4%上乗せ・たばこ税段階引き上げ・所得税1%上乗せ(復興特別所得税の転用含む)という増税パッケージを2024年末に原案決定しました⁶⁴。
大津氏の訴えた「兵器増強のみに頼らない国防」とは裏腹に、実際には防衛費は大幅増額され、長射程ミサイルの整備などハード面の充実が図られています。
外交面でも日本は米国との同盟強化路線を維持し、中国やロシアとの緊張感は高まったままです。大津氏の理想とするバランス外交からは程遠く、現実の外交は依然「西側寄り」です。
食料・環境政策の一部進展
一方、参政党の公約として掲げた食料安全保障や環境問題については、一部政府も動きを見せています。コメ価格高騰への対応として政府は備蓄米を異例のペースで市場放出し、2023年5月から7月にかけて計61万トンを放出しました⁶⁵。
しかしながら価格は思うように下がらず、「コメ価高止まり」への抜本策とはなっていません。この状況に対し野党からは「備蓄米入札の透明化を」といった要求も出ており⁶⁶、大津氏の唱える「備蓄米放出の徹底と入札公開による価格抑制」という論点は、ある意味でタイムリーな課題となっています。
環境汚染対策への対応
環境面では、PFAS(有機フッ素化合物)汚染への対策として2024年に水道水の検査を法的に義務づける方針が固まりました。全国の水道事業体で定期検査を実施するには莫大な費用がかかり、その額は年間1000億円規模とも試算されています(小規模水道では費用負担が重く、検査未実施理由に「費用が負担」が挙げられるケースが目立つ)⁶⁷。
大津氏は直接この件に言及していませんが、環境汚染物質への厳格な対応は参政党の政策集にも含まれており、今後同調する可能性があります。
原発処理水問題への対応
また福島第一原発の処理水海洋放出問題では、政府が風評被害対策として2023年以降、漁業・観光業者への賠償や支援策を拡充しました。東京電力は2024年3月時点で約600件・総額570億円の賠償支払いを完了したと公表しており、補償枠を追加的に用意しています。
さらに国内外で丁寧な説明会を重ね、2025年には説明会の回数や対象を増やして理解促進に努めています。大津氏の公約に直接はありませんが、参政党は政府による情報公開の徹底と科学的説明を求める立場であり、大津氏もこうした補償拡充策自体には理解を示すとみられます。
ただし根本的には処理水放出そのものに慎重な勢力でもあり、政府とのスタンスの差は残ります。
生成AIと知的財産権
最後に、生成AIと知的財産の問題にも触れます。大津氏はIT政策に詳しいわけではありませんが、参政党としては国内クリエイターの保護を重視する論調があります。
文化庁は2023年末に「生成AIと著作権」に関する論点整理を発表し、AIの学習段階では現行の権利制限規定(著作権法30条の4)を維持する一方、AIが生成したコンテンツについては権利侵害のリスクがあるとの見解を示しました。これは「学習=合法、生成物=グレー」という立場です。
これに対し権利者団体からは「学習利用にも補償金制度を設けるべきだ」との声が上がっており、いわゆる"イタチョコ(違法ダウンロード補償金)のAI版"の創設が議論されています。
参政党はまだ公式見解を出していませんが、大津氏個人は「日本のクリエイターが報われる仕組み」を訴える可能性があります。例えばゲームやアニメなど日本文化を守る姿勢から、AI学習にも一定の規制や補償を課す方向を支持するかもしれません。
公約実現度の総括
以上、公約と実現状況を総括すると、大津氏の掲げた政策の多くは現段階では実現していないか、方向性が政府方針と異なる状況です。
ただし、一部争点では政府内でも議論が進むなど、大津氏の主張が全くの空振りではないことも読み取れます。背景には、参政党という少数野党の限界だけでなく、各分野の政策決定プロセスにおいて既存与党の意向が強く働く現実があります。
大津氏自身、「自分たちの声が国会に届いていない」と感じる場面もあったでしょう。しかし、こうしたギャップを埋めるべく彼は引き続き精力的に活動しています。
たとえ一議員としての権限はなくとも、世論に訴え政策変更を促す"アジェンダセッター"になることも政治家の役割です。教育無償化や消費減税といった大胆提案はすぐには実らずとも、彼が国政に議席を得れば委員会質疑などで追及し議論を深めることが可能になります。
参政党自体も徐々に国政で発言力を増しつつあり、2023年以降、党所属国会議員が提出者に名を連ねる法案も現れています。
大津氏の公約実現度は現時点では低く見積もらざるを得ませんが、その情熱と政策的先見性は、今後の政治状況次第で花開く可能性を秘めています。特に彼が重視する教育・子育て支援や地域活性化は、日本社会が直面する喫緊の課題であり、引き続き注目すべきポイントです。
参考資料
公式資料:
- 飯能市議会だより、第167号(2023年)
- 埼玉県選挙管理委員会『参議院埼玉県選挙区 選挙公報』(2022年7月)
- 総務省・厚生労働省資料「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
- 文化庁「生成AIと著作権に関する考え方(素案)」(2023年)
- 法務省入管庁「特定技能制度に関する資料」(2024年3月)
- 立憲民主党ニュース「婚姻平等法案を衆院に提出」(2023年3月6日)
議会資料:
- 衆議院法務委員会速記録(2025年6月17日、選択的夫婦別姓法案審議)
- 参議院決算委員会会議録(2025年5月、消費税減税に関する質疑) ※会議録内容はロイター通信記事に基づき要約
報道資料:
- ロイター通信「物価下げる必要あるが、消費税減税には賛同しかねる=石破首相」(2025年6月11日)
- 同「防衛増税、法人税4%引き上げ・たばこ税段階引き上げ=政府原案判明」(2024年12月12日)
- 朝日新聞「同性婚を認めない法律は違憲、大阪高裁判決―5高裁で違憲判断そろう」(2025年3月25日)
- 朝日新聞「マイナ保険証の誤登録、新たに1069件」(2023年8月8日)
- 毎日新聞「立憲が婚姻平等法案提出」(2023年3月7日)
- 東京新聞「児童手当拡充へ『子ども支援金』創設」(2023年)
- NHKニュース「政府、PFAS水質検査を義務化へ」(2024年)
- 福島中央テレビ「処理水賠償570億円支払い完了」(2025年4月10日)
- TBSニュースDIG「河野デジタル相『マイナ保険証紐付け誤り1069件』中間報告」(2023年8月)
- 時事通信「最低賃金、全国平均50円引き上げ1054円に答申」(2024年7月)
- 共同通信「夫婦別姓法案、今国会提出見送りへ 自民方針」(2025年6月)
党・候補者資料:
- 選挙ドットコム「大津力 プロフィール・政策・メッセージ」
- 大津力候補公式ブログ(選挙ドットコム、2023–2025年投稿記事)
- 参政党公式サイト「参議院選挙公認候補者一覧」(2025年)
- 参政党埼玉県支部X(旧Twitter)投稿
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。