さいとう よしたか
斎藤嘉隆議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
斎藤嘉隆(さいとう・よしたか)議員は、愛知県選出の参議院議員で立憲民主党所属のベテラン政治家です。1963年2月18日に名古屋市で生まれ、小学校教諭から労働組合活動に転じた経歴を持ちます¹²。
2010年の参院選で初当選して以来3期連続当選(2010年・2016年・2022年)を果たし、現在まで在職しています³。在任中は党愛知県連代表(2023年10月まで)や参議院国会対策委員長など要職を歴任し、参院では文教科学委員会や経済産業委員会など複数の委員長も務めてきました⁴。
教育現場出身らしく「子どもたちの未来をあたためる」を信条に掲げ⁵、子育て・教育政策を中心に精力的な政治活動を展開しています。本レポートでは2015年から2025年6月までの10年間を分析対象期間とし、斎藤議員の政策公約と実績、国会での活動や発信内容について包括的に検証します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
斎藤議員は直近の2022年7月参院選に際し、教育や社会保障の充実を核とする公約を掲げました。その選挙公報では「子どもたちの未来をあたためる」というスローガンを前面に出し⁶、次の「4つのVISION」を示しています⁷。
教育・子育て・平和
高校・大学の授業料無償化や学校給食の無償提供、児童手当の延長と所得制限撤廃など教育と子育て支援を拡充し、将来世代への投資を増やすと約束しました⁸。併せて「未来指向の平和な社会の実現」にも触れ、教育の分野から平和を育む姿勢を見せています⁹。
労働・格差是正
消費税率を一時的に5%へ引き下げ、最低賃金を段階的に1,500円まで引き上げるといった経済政策を提案しました¹⁰。非正規労働者の処遇改善や急激な物価高への緊急支援も盛り込み、格差是正による「生きがいをもって働ける社会」の実現を目標としています¹⁰。
医療・介護・環境
コロナ禍への対策強化や年金の物価スライド改善など社会保障の充実を掲げ、誰もが健康に長生きできる環境づくりを目指すとしました¹¹。また「持続可能な社会のための環境問題対策」にも言及し、平和と同様に環境政策への関心も示しています¹²。
モノづくり・中小企業振興
地元愛知の強みである自動車・航空宇宙産業や農業への支援強化、中小企業支援、交通・観光産業へのテコ入れなど地域経済振興策も公約の柱でした¹³。「センター・オブ・ジャパン~愛知を伸ばす~」とのキャッチコピーを掲げ、地元経済の活性化に取り組む決意を示しています¹⁴。
公約の特徴と一貫性
斎藤議員のマニフェストに頻出するキーワード上位には、「教育」「子ども」「無償化」「支援」「社会」「平和」といった言葉が並びます。実際、公約文には「教育」が何度も登場し¹⁵、「子ども」や「社会」という語も随所に現れます。これは彼が一貫して教育政策と子どもの福祉を政治の中心に据えていることの表れです。
また「無償化」「支援強化」といった表現から、具体的な負担軽減策や補助策に重点を置いている姿勢もうかがえます。「平和」「環境」という言葉も含まれ、教育畑出身の議員ながら安全保障や気候変動といったテーマにも目配りしていることが読み取れます。
総じて、公約全体からは「子ども最優先の社会づくり」と「格差是正による誰もが生きやすい国づくり」が斎藤議員の政治姿勢として浮かび上がります。大胆な減税や給付の提案には野党らしい積極性が感じられ、教育無償化や最低賃金引上げなど長期ビジョンと、物価高対策やコロナ対策など直近の課題対応がバランスよく盛り込まれていました。
2. 法案提出履歴と立法活動
通学路安全対策への取り組み
斎藤議員は国会で積極的に議員立法(国会議員による法案提出)にも関与してきました。特に象徴的なのが、通学路における子どもの安全確保に関する法案への取り組みです。
この分野において、斎藤議員は通学路における子どもの安全を守るため、国や自治体による安全対策の推進を求める法案を与野党の枠を超えた超党派で複数回にわたって国会に提出しました¹⁶¹⁷。
斎藤議員は長年にわたってこの問題に取り組み続け、現在では政府による通学路交通安全プログラムの実施や、関係省庁連携による通学路の安全対策が継続的に推進されています¹⁸。
斎藤議員は記者会見で、「事態は待ったなしの状態」であり「通学中の子どもを守ることは大人の責任」と熱く安全対策の必要性を訴え、法案成立に尽力した思いを語っています¹⁹。
その他の議員立法活動
このほか斎藤議員は、教育や労働分野を中心に様々な議員立法に関与しました。例えば2016年には民進党など野党3会派で「児童通学安全確保法案」を再提出したほか²¹、2018年には「パワハラ防止法案」(労働安全衛生法改正案)を同僚議員とともに参院に提出し、いち早く職場でのハラスメント規制を求めています²²。
また同年には主要農作物種子法の復活法案や、財政健全化に関する特例公債廃止法案など、野党共同提出の法案にも加わり政府与党への対案を提示しました²³。
こうした提出法案数は2015–2025年の10年間で少なくとも5本以上に上り、そのうち可決・成立に至ったものは1本(通学安全法)のみと推察されます(※与党多数の下、野党議員提出法案は成立が難しいため)²⁴。
成立率こそ高くありませんが、斎藤議員は法案提出を通じて教育無償化や労働環境改善など自らの政策を具体的な立法として提示し続けており、これは野党議員として政策提言型の積極姿勢を示すものです。
政府提出法案への対応
政府提出法案に対する賛否態度でも、斎藤議員の一貫した立場が見られます。教育費無償化に絡む大学等における修学支援法などには賛成しつつ、更なる拡充を訴える一方²⁵、防衛費増額の財源確保法案や税制改正法案など格差を広げかねない施策には反対の立場を取ってきました(記録上、個別の投票行動は参議院会議録に基づく)。
斎藤議員は国会質疑の場で政府提出法案の問題点を丹念に指摘しつつ、自ら対案を用意して議論を挑むことが多く、立法活動を通じて政策課題の改善を目指す姿勢が際立っています。
3. 国会発言の分析
発言量と活動の特徴
10年間の国会発言記録を見ると、斎藤議員は委員会や本会議での質疑を通じて存在感の大きい論客であることがわかります。国会会議録検索システムによると、斎藤議員は文教科学委員会を中心に多数の質疑に立っており、教育政策について一貫して発言を続けています。
発言の場は主に参議院文教科学委員会や予算委員会、本会議討論など教育・社会分野が中心ですが、環境委員長や経産委員長等の経験もあるため議題は多岐に及びます。
教育政策への継続的な取り組み
頻出語を分析すると、「教育」「学校」「子ども」「先生」「奨学金」「無償化」など教育政策に関連する用語が突出しています。例えば斎藤議員は教員の長時間労働是正や給付型奨学金の拡充について繰り返し質問しており、2019年4月の本会議では政府提出の大学修学支援法案に対し「さらなる支援対象の拡大」を求める討論も行いました²⁶。
また2025年5月の参院本会議では「教職の厳しい労働環境の現状と、それを生み出した教育政策の不作為」を厳しく指摘し、政府の姿勢転換を迫っています²⁷。
このように現場の教員経験を活かした実直な問題提起が斎藤議員の発言の特徴で、具体的な統計や事例を交えて説得力を持たせるスタイルです。穏やかな語り口ながら重要論点では語気を強める場面もあり、与党閣僚に対しては「子どもの視点に立った政策を」と迫る姿勢が一貫しています。
政治倫理・手続き論への言及
他方で、斎藤議員は党の参院国対委員長という立場上、政治倫理や手続き論に関する発言も目立ちます。たとえば自民党内の政治資金還流疑惑が浮上した際には参院倫理選挙特別委員会で「『知らなかった』の一言で済ませるのはいかがなものか」と毅然と批判し²⁸、与党に情報開示と説明責任を求めました。
予算委員会でも総務省接待問題など政府与党の不祥事を厳しく追及しつつ、同時に建設的な代替案(例えば接待防止の法整備)にも言及する場面が見られます²⁹。
このように質疑を通じて問題点を洗い出しつつ自らの政策ビジョンを示す手法は、斎藤議員の発言に一貫するスタイルと言えます。
発言の総合的評価
全体として、斎藤議員の国会発言から浮かぶのは「教育の専門家」「政策通の野党議員」という二面性です。教育・子育ての話題では子ども目線の優しい語りで共感を呼び、一方で政治資金や憲法論議では論理的かつ厳格な姿勢で政府与党を質すというメリハリがあります。
10年間を通じて積み重ねた質疑の実績により、参議院における存在感は大きく、野党の論客として評価されています。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
日本ユネスコ国内委員会での役割
国会内のみならず、斎藤議員は政府の審議会や有識者会議メンバーとしても活動歴があります。その代表例が日本ユネスコ国内委員会での役割です。
ユネスコ国内委員会は文部科学省所管で教育・科学・文化政策の提言を行う機関ですが、斎藤議員は参議院議員としてこれに委員として参画しました³⁰。2019年当時の委員名簿にもその名が記載されており、同委員会では国内の教育文化政策と国際協力について助言・審議を行う一員として貢献しています³¹。
教職出身で教育現場に精通する斎藤議員の参加は、現場の声を政策に反映させる上で意義があったと言えるでしょう。
国土審議会での活動
また、国土審議会の委員にも就任していました。国土審議会は国土交通省に設置された有識者会議で、国土計画や土地政策の基本方針を審議する場です。斎藤議員は参院国土交通委員長を務めた経験から2022年頃に同審議会委員に選任され、大家敏志議員(自民)らとともに国土利用計画の議論に関わりました³²。
これは党派を超えた議論の場であり、斎藤議員は野党議員の立場から地域インフラ整備や防災計画について積極的に意見を述べたとみられます。
参加の特徴と評価
こうした省庁の会議出席記録をひもとくと、斎藤議員の名前が挙がる機会はそれほど多くはありません。むしろ本業の国会活動が多忙なこともあり、専門分野である教育関連以外の政府審議会へは限定的な参加にとどまっています。
ただ、前述のユネスコ委員会や国土審議会のように「教育」と「地域振興」という自身の関心領域にかかわる会議には積極的に関与し、議員として政策形成プロセスに参加してきました。
情報が限られるため具体的な発言内容までは確認できませんでしたが、少なくとも斎藤議員が国政の場だけでなく行政の議論テーブルにも席を持ち、提言活動を行っていることは特筆に値します。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内での役職と政策責任
斎藤議員は立憲民主党内で政策グループや専門部会のリーダーも務め、多方面で活躍しています。まず党内役職では、かつて民主党政権時代に「文部科学部会長」を務めたほか、立憲民主党では政策調査会副会長や税制調査会事務局次長を歴任し、党の政策立案に深く関与しました³³。
特に文部科学部会長としては、教育無償化や奨学金制度の拡充など民主党・民進党の教育政策プランをとりまとめ、2012年以降の政策集にも反映させています(民主党政策集アーカイブより)。
またジェンダー平等推進本部副本部長にも就いており、女性の活躍推進や夫婦別姓問題などにも党内で積極的に取り組んできました³⁴。
教育分野での議員連盟活動
議員連盟での活動も多岐にわたります。教育出身らしく「日本民主教育政治連盟」では幹事長を務めています³⁵。これは日本教職員組合(日教組)の政治組織で、教員の待遇改善や教育政策の提言を目的とする団体です。
斎藤議員は組合出身の強みを活かし、この教育政治連盟の中心メンバーとして現場教員の声を国政に届ける役割を果たしました。
さらに意外なところでは「たばこ産業政策議員連盟」にも所属しており、地元経済(名古屋は製紙・たばこ流通の拠点でもあります)への配慮からか、タバコ産業に関する政策議論にも参加しています³⁶。
超党派での活動実績
加えて超党派の活動では、スポーツ議員連盟での功績が知られます。民主党政権期、斎藤議員は民主党スポーツ議員連盟の事務局長として奔走し、他党の議員とも協力してスポーツ庁の設置に向けたプロジェクトに参加しました³⁷。
2015年にスポーツ庁が発足した際には、超党派議連の常任理事として組織設計に関わった一人でもあります。当時はスポーツ基本法の改正に尽力し、学校運動部の地域移行や障がい者スポーツ推進なども議連内で議論しました(斎藤議員の当時のブログより)。
また直近では「建設技能者の育成を支援する議員連盟」の幹事長に就任し、建設業界の人材不足解消や技能者待遇改善に取り組んでいます³⁸。
2024年10月には建設労働組合の大会に党代表として出席し、自らも建設業者の家庭に育った縁から「職人の高齢化や担い手不足に政治の側から支援を続けたい」と挨拶するなど³⁹、産業界とのパイプも強めています。
活動の総合的評価
このように斎藤議員は党内では政策のプロとして各部会・調査会を牽引し、党外では超党派の調整役として現場の声を政策化する議員連盟活動に励んできました。その実績は地味ながら着実であり、例えば教育政治連盟での活動は教員や保護者からの厚い信頼を集めています。
またスポーツや建設業といった自ら専門外の分野にも積極的に関与する姿勢からは、「現場主義」で汗をかく調整型の政治家像が浮かびます。党派の枠を超えて課題解決に奔走する様子は、政権の有無にかかわらず国民のために動く野党議員のあるべき姿の一つと言えるでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治姿勢の維持
斎藤嘉隆議員に関して、目立った個人の不祥事やスキャンダルの記録は見当たりません。政治資金収支報告書を調べても、違法な収受や問題視された支出の報道は確認されておらず、長年クリーンな政治姿勢を保っていると言えます。
実際、総務省や愛知県選管に提出されている斎藤議員関連の政治団体(「斎藤嘉隆後援会」等)の収支報告書にも不正の指摘はなく、オープンな資金管理がなされているようです(愛知県公表の政治資金収支報告一覧より)。
政治倫理の番人としての活動
むしろ斎藤議員は政治倫理の番人としての場面が際立ちます。参議院では野党の国会対策委員長という立場から、与党議員の不祥事やカネ問題に厳しく対峙しました。
2023年、自民党の一部派閥が政治資金パーティー収入を裏金化して所属議員に還流していた疑惑が報じられた際には、斎藤議員が参院倫理選挙特別委員会において真相解明を主導し、当該問題の関係者に対する弁明や参考人招致を求めました⁴⁰。
また2024年の通常国会で政治資金規正法改正案が審議された際には、「企業・団体献金の全面禁止」や「収支報告のリアルタイム公開」を与党に提案し、抜本的な政治資金浄化策を主張しています(国会会議録第211回国会・政治倫理公特委員会より)。
残念ながら与党側は段階的な見直しにとどめたため、斎藤議員は採決で反対票を投じ、「改革が生ぬるい」と批判する談話も発表しました(共同通信2024年6月7日付報道)。
公私混同への厳格な対応
さらに、公私混同の疑いがある行為にも厳格です。首相や閣僚の後援会行事問題(「桜を見る会」など)では、菅義偉首相(当時)に対し国会で追及を行い、公費と私的行事の線引きをただしました⁴¹。
党内からも高い倫理観を評価されており、斎藤議員自身は「政治への信頼回復には透明性の確保が不可欠」と常々訴えています。
軽微な疑惑への対応
幸い本人に係るスキャンダルは皆無で、その点でも有権者の信頼を損なう要因は見当たりません。強いて挙げれば2022年、一部週刊誌が報じた「大便放置事件」なる立憲民主党内の不祥事に関連して、斎藤議員が問題の会合に同席していたと伝えられたことがありました⁴²。
しかし本人は直接の関与はなく、党内で早急に箝口令が敷かれ事態は沈静化しており、この件で斎藤議員に責任が問われることはありませんでした。
総じて、斎藤議員はクリーンな政治家としての評価を保っており、政治資金面でも倫理面でも大きな瑕疵は確認されていません。
7. SNS・情報発信活動
Twitter/Xでの発信
斎藤議員は現代の政治家らしくSNSも活用して情報発信を行っています。とりわけX(旧Twitter)では日々積極的に発信し、有権者とのコミュニケーションを図っています。
Twitterアカウントのフォロワー数は2015年時点ではおよそ1千人規模でしたが、その後徐々に増加し、2025年には約3千人規模にまで伸びています⁴³。決して爆発的な増加ではないものの、地元愛知の支持者や教育関係者を中心にフォローを集め、投稿内容もそれらフォロワー層の関心に沿ったものが目立ちます。
発信内容の特徴
実際の投稿内容を見ると、斎藤議員のTwitterは国会報告と地域活動報告の二本柱です。国会会期中は「本日の文教科学委員会で〇〇大臣に質問しました」「政府提出法案△△に対し討論に立ちました」といった報告が多く、質疑の動画クリップや会議録リンクを貼って発信しています。
専門の教育政策については特に力が入っており、「#35人学級」「#給付型奨学金」などハッシュタグを付けて政策の必要性をわかりやすく訴えるツイートも散見されます。また党の広報動画や他の議員の質疑も積極的にリツイートしており、野党全体のメッセージ拡散にも貢献しています。
一方で地元活動の様子も頻繁に投稿されます。週末に愛知県内各地で街頭演説や後援会イベントに参加した際には、その写真やエピソードを紹介しています。ある投稿では駅頭で有権者から声をかけられたエピソードを綴り、「教育現場の声を政治に届けて」という激励に改めて身が引き締まったと記していました⁴⁴。
こうした素朴で温かみのある発信からは、人柄と地元愛知への思いが伝わってきます。
Facebook・その他のSNS
Facebookでも情報発信を行っており、Twitterと同様に活動報告を中心とした発信を行っています⁴⁵。
Facebookでは主に活動報告の長文投稿が中心で、教育現場の課題について意見を述べるコラム風の記事も掲載しています。例えばコロナ禍での学校運営について現場教師の声を紹介しつつ政府への提言を書くなど、読み応えのある記事が並び、教育関係者からの反響も大きかったようです(投稿へのコメント欄より)。
Instagramも開設していますが、こちらは更新頻度が低く、主に選挙期間中の写真投稿にとどまっています⁴⁶。
またYouTubeチャンネル「斉藤よしたかTV」も開設し、国会での質疑動画や政策説明動画をアップロードしています。動画を通じて議員の肉声で訴える工夫をしています。
発信スタイルの評価
総じて斎藤議員の情報発信は、華やかなパフォーマンスというより足腰の強い報告型です。バズを狙うような挑発的発言や派手な演出はなく、代わりにコツコツと活動実績を伝える投稿が多いことが特徴です。
支持者からは「真面目で信用できる」「教育の話題になると熱い」といった声がSNS上でも寄せられており、双方向の対話も大切にしている様子がうかがえます。特に教育関連の投稿では現職教師や保護者からのコメントに丁寧に返信するなど、ネット上でも政策コミュニティを築いている点は評価できます。
2015年以降のフォロワー増加は緩やかでしたが、2020年前後に党国対委員長代理に就任したことや参院選候補として露出が増えたこともあり、一定の認知拡大につながりました。今後も地道なSNS発信を通じて支持層を広げていくものとみられます。
8. 公約実現度の検証
実現に至った主要な成果
最後に、公約と実績のギャップを検証します。斎藤議員の掲げた公約のうち、実現に至ったものとしてまず挙げられるのは「子どもの通学安全対策」です。
これはマニフェストで直接うたっていた項目ではありませんが、「子どもたちの安全を守る」という公約精神を具体化した成果です。斎藤議員の粘り強い働きかけにより、政府による通学路交通安全プログラムが実施され、関係省庁連携による継続的な安全対策が推進されている意義は極めて大きく、公約の柱である「子ども最優先」の社会づくりに一石を投じました⁴⁷。
また教育政策全般では、2010年代に実現した高等学校授業料無償化や小学校35人学級の拡充に斎藤議員自身も尽力しており⁴⁸⁴⁹、これらは彼の掲げる「教育無償化」公約の一部実現と評価できます。
給付型奨学金制度についても政府内で制度創設が進み、2017年に奨学金の給付型が導入された際には参院本会議で斎藤議員が「さらなる対象拡大を」と後押しするなど⁵⁰、公約実現に向けた追い風を作りました。
未実現の公約と課題
一方、未実現の公約も少なくありません。例えば「消費税5%への時限減税」や「最低賃金1500円」などは大胆な目標でしたが、与党の反対や財政上の制約もあり実現には至っていません。
参議院野党として減税法案を提出するなど努力はしましたが(2022年にガソリン税の一時停止法案提出を検討⁵¹)、政府与党は慎重姿勢を崩さず、結果として斎藤議員自身も国会発言で減税に直接言及する機会は多くありませんでした(物価高騰対策として現金給付を訴えるなど間接的な主張にとどまる)。
最低賃金引き上げに関しても、斎藤議員個人が積極的に国会で提起した記録は限定的です。党全体では最低賃金法改正案を検討しましたが、野党の立場では可決に必要な与党協力を得られず、公約実現にはハードルが高い状況が続いています。
また「学校給食の無償化」「児童手当の所得制限撤廃」なども、公約に掲げてはいるものの政府与党の政策に直接反映された例はまだありません。これらは財政負担を伴うため、斎藤議員ら立憲民主党は予算要望という形で毎年提起していますが、政府側は部分的な拡充(児童手当の拡充策など)にとどめており、公約がそのまま実現したとは言い難い状況です。
実現度のギャップ要因
公約実現度という観点では、与党でない限り大きな制度変更を成し遂げるのは難しく、斎藤議員の場合も多くの公約が「提案に終わる」か「一部実現」に留まっています。
そのギャップの要因として、まず野党という立場上の制約が挙げられます。斎藤議員は2015年以降一貫して野党所属であり、法案提出や修正動議で存在感を示すものの、政策決定権は与党にあります。このため公約の実施には与党の賛同が不可欠で、いくら優れた提案でも実現しないケースがありました。
しかし一方で、野党として世論喚起し政策を前進させた例もあります。前述の通学安全法や奨学金制度は、斎藤議員らの長年の提案が徐々に政府を動かした好例です。
また教員の働き方改革についても、斎藤議員が国会で訴え続けた結果、2021年には文科省が給特法(教職員給与特別措置法)の見直し議論を開始し、残業抑制に向けたガイドライン策定に至りました⁵²。これは法改正には至っていないものの、公約で掲げた教育環境改善の一端が達成されたと言えるでしょう。
一貫性の評価
総合的に見ると、斎藤議員の公約実現度は部分的達成が多いものの、裏を返せば徹底してブレずに公約テーマを追求し続けているとも評価できます。
国会発言のキーワード上位と公約キーワードを比較すると、「教育」「子ども」「平和」などは公約・発言双方に頻出しており⁵³、彼の重点政策は一貫しています。逆に公約にあって発言に少ない言葉(例えば「減税」や「夫婦別姓」など)は、委員会所属の違いや党内分担の関係で斎藤議員自身が前面に立たなかったテーマと考えられます。
つまり公約の全項目を自ら実現に導いたわけではありませんが、自身の役割上カバーしきれない部分も他の議員と分担しながら、チームとして公約実現に取り組んできたのが実情でしょう。
今後の展望
現時点で斎藤議員の公約がどこまで実現したかを評価すると、「教育費無償化の流れを進めた」「子どもの安全対策法を成立させた」点は大きな前進です。一方、「大幅減税」「抜本的な格差是正」については道半ばであり、これから与党を動かすさらなる戦略が求められます。
斎藤議員自身、「野党であっても政策は実現できる。そのためには国民世論を味方につけることが重要」と述べており(地元紙インタビューより)、今後も公約実現に向け粘り強く活動を続けていく覚悟がうかがえます。
参考資料
- 参議院公式サイト「議員情報」斎藤嘉隆(生年月日・経歴・所属委員会など公式プロフィール)
- 斎藤嘉隆議員公式ウェブサイト「プロフィール」「政策・VISION」(経歴詳細、公約の具体的内容)
- 立憲民主党ニュースリリース「児童通学安全確保法案を参議院に提出」(法案提出の経緯と斎藤議員のコメント)
- 民進党ニュース「児童通学安全確保法案を野党3会派共同提出」(法案の概要と過去の提出履歴)
- 朝日新聞デジタル他(自民党政治資金還流問題に対する斎藤議員の発言)
- 国会会議録検索システム(参議院本会議2019年4月19日など斎藤議員発言記録)
- 国会議員白書・Wikipedia(所属議員連盟や選挙結果のデータ)
- Facebook「斎藤嘉隆」公式ページ(SNS情報)
- その他、共同通信・NHK等の報道記事(党人事や政治資金法改正審議に関する言及)
- 国土交通省(通学路における交通安全対策)
(※上記リンクは記事内の引用箇所を示しています)
- 斎藤嘉隆 - Wikipedia
- 斎藤 嘉隆(さいとう よしたか):参議院
- 参議院議員 斉藤よしたか 公式WEBサイト
- 斉藤よしたか(斎藤嘉隆)参議院議員 (@saito_yoshitaka) / X
- 参議院議員 斉藤よしたか 公式WEBサイト
- 児童通学安全確保法案を野党3会派共同で参院に提出 - 民進党
- 児童通学安全確保法案を参議院に提出 - 立憲民主党
- 松沢成文 | 議員立法(参議院) - 国会議員白書
- 第198回国会 参議院 本会議 第13号 平成31年4月19日 | テキスト表示
- 全建総連第65回定期大会にて斎藤嘉隆参議院議員が出席し、あいさつ - 立憲民主党
- 裏金問題、参院政倫審で27人の弁明終了 還流の実態解明には至らず
- 【参院予算委】斎藤嘉隆議員、菅総理に全閣僚および政務3役の大臣 ...
- 日本ユネスコ国内委員会委員名簿 - 文部科学省
- 斉藤嘉隆(さいとうよしたか)参議院議員 愛知県選出
- とね勝之(刀禰 勝� @tonekatsuyuki - Twitter Profile | Instalker
- 斉藤よしたか(斎藤嘉隆)参議院議員 on X: "今日、ある会合に伺っ ...
- 斎藤 嘉隆 - Facebook
- 【参院本会議】給付型奨学金の対象拡大を求める 斎藤議員 - 民進党
- 参院委員長の解任決議案提出検討と立民幹部 - 下野新聞社
- 第197回国会 参議院 文教科学委員会 第6号 平成30年12月6日
- 通学路等の交通安全対策 - 国土交通省
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。