うらの やすと
浦野靖人議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
浦野靖人(うらの・やすと、1973年4月4日生)は、日本維新の会所属の衆議院議員です。大阪府松原市出身で、聖和大学教育学部を卒業後に保育士として福祉施設で勤務した経歴を持ちます。
2003年に自民党公認で大阪府議会議員に初当選し、その後橋下徹氏とともに大阪維新の会の結党に参加。2012年の第46回衆議院総選挙で日本維新の会公認として国政に転じ、大阪15区選出の衆議院議員となりました。
以降、衆議院議員を通算5期務めており(在任期間2012年12月~現在)、直近の2024年10月の総選挙では大阪15区で5選を果たしています。党内では政務調査会長代行や広報局長、青年局長など要職を歴任し、2024年11月からは衆議院の消費者問題特別委員長にも就任しました。
本レポートでは、2015年から2025年7月までの浦野氏の政治活動を、選挙公約、立法活動、国会発言、政策分野での取り組み、政治資金やSNS発信まで包括的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
日本維新の会の4大改革路線
浦野靖人議員の直近の選挙公約を詳しく見ると、日本維新の会の掲げる「4大改革」が全面に打ち出されています。2024年総選挙の選挙公報では、「子どもたちの未来のために。やることは変わらない!政治改革!統治機構改革!」というスローガンを掲げ、以下の4本柱の政策を提示していました。
- 政治改革(政治腐敗を浄化する)
- 社会保障改革(世代間の不公平を打破する抜本改革)
- 減税・成長戦略(可処分所得倍増を目指す規制改革)
- 教育無償化(所得制限のない教育無償化と教育改革)
改革への強い意志
浦野氏は地元大阪での行政改革の成果を引き合いに、「しがらみのない政治で大胆な改革を国政でも推進する」と強調しています。
実際、公約文面には「政治改革」「統治機構改革」「教育無償化」「減税」といったキーワードが繰り返し登場し、「改革」への強い意志が読み取れます。頻出上位のワードを見ると、「改革」「子ども」「政治」「大阪」「支援」などが目立ちました。
こうした言葉遣いから、浦野氏の政治姿勢は既得権の打破と未来世代への投資に重きを置いていることが伺えます。例えば「裏金問題で政治不信が頂点」「大企業や大労組というしがらみがない維新だからこそ大胆な政策ができる」と公約で述べ、腐敗一掃と統治機構の再編による政治刷新を訴えています。
また自身も比例重複立候補せず「背水の陣」で挑む覚悟を示し、有権者に改革断行への決意を印象付けました。
要するに、浦野氏のマニフェストはクリーンな政治と経済成長・教育への大胆投資が二本柱であり、子どもの未来や国の構造改革への情熱が強調されています。
2. 法案提出履歴と立法活動
議員立法への積極的取り組み
浦野靖人議員は、国会で積極的に議員立法に携わってきました。その提出法案を追うと、地方行政から労働政策、選挙制度改革まで多岐にわたります。
2010年代半ばには、例えば「地方自治法及び国会法の一部改正案」(第183回国会)を浦野氏含む維新議員団で提出し、国会議員の歳費削減や地方議会改革を狙った動きを見せました。この法案は維新のスローガンでもある「身を切る改革」を具体化するものでしたが、成立には至りませんでした(継続審議のまま終了)。
保育士出身の専門性を活かした法案
近年では、野党間で協調した法案提出も目立ちます。2023年の通常国会(第211回)では、浦野氏が筆頭提出者となり「特定教育・保育施設における保育教諭等の配置の充実のための措置に関する法律案」を立憲民主党の議員らと共同提出しました。
この法案は認定こども園などで保育教諭の配置を充実させる内容で、少子化対策・保育の質向上を目的としたものです。浦野氏自身が保育士出身ということもあり、現場の人材不足改善に情熱を注いだ形です。法案は超党派の9名で提出されましたが審議未了となり、第212回国会以降に継続されました。
選挙制度改革での成果
最も大きな立法成果と言えるのは、選挙制度の公正化に関する法案です。浦野氏は2023年末から党選挙対策本部長代理として、公職選挙法の改正に深く関与しました。2024年6月、浦野氏ら維新と国民民主党の議員は「選挙妨害罪」の創設を盛り込む公職選挙法改正案を提出しました。
これは選挙期間中の違法な選挙妨害行為に新たな罰則を設けるもので、同年の衆院補選で起きたビラ配布妨害事件等を契機に立案されたものです。浦野氏は「与野党の枠を超えて公正な選挙環境を守る」として立憲民主党とも協議し、この法案は維新・国民の共同提案としてまとめられました。
提出当初の第213回国会では審議時間の都合で継続審議となりましたが、超党派の支持もあり2025年には成立の見通しです(実際、政府原案にも組み込まれ、2026年度施行予定)。
政治改革への継続的取り組み
浦野氏の提出法案数は調査期間中で複数件に上ります。成立率自体は高くありませんが、これは野党議員立法全般に言える傾向です。
ただ浦野氏の場合、与党との協調や他党と共同提出する戦術で、法改正に現実味を持たせている点が特徴です。例えば政治改革特別委員会での与党への働きかけにより、文通費(現「政策活動費」)の領収書公開ルール強化についても与党案に一定の修正を反映させました。
2023年末に成立した政治資金規正法改正では、浦野氏の所属する維新が自民党と合意し「支出領収書の10年後開示」を盛り込みました。野党側は"不十分"と批判しましたが、浦野氏は委員会で「抜け穴のない透明化をさらに進めるべき」と主張し、企業・団体献金の禁止まで踏み込むよう訴えています。
このように、自身が提案者の法案だけでなく、政府・他党提出法案への賛否や修正協議を通じて、政治改革や社会政策の立法過程に積極的に関与していることが伺えます。
3. 国会発言の分析
豊富な発言実績
浦野靖人議員は5期にわたる国会活動の中で、相当に多くの発言機会を得ています。2015年以降の国会会議録を分析すると、浦野氏が委員会質疑や討論で精力的に発言してきたことを示す記録があります。これは全衆議院議員の中でも平均を上回るボリュームと考えられ、政府提出法案の審議で鋭い質問を投げかける場面が度々見られました。
頻出語句にみる関心領域
浦野氏の発言には「改革」「支援」「自治体」「家族」「大阪」といった単語が浮かび上がります。これは彼の関心領域を如実に物語っています。
実際、浦野氏は行政改革・地方分権や家族政策(子育て支援・少子化対策)に関する議論で存在感を発揮してきました。例えば2017年の本会議で、政府の働き方改革関連法案に対し維新を代表して反対討論に立ち、「同一労働同一賃金の実効性が担保されない」と問題点を指摘。
また2023年には内閣委員会でマイナンバー制度の不備やデジタル行政の課題を追及し、岸田内閣に苦言を呈する場面もありました(令和5年3月10日、内閣委員会)。
大阪出身らしい率直な物言い
浦野氏の話しぶりは明快かつ歯切れが良いと評されます。大阪出身らしい率直な物言いで知られ、党の立場にとらわれず持論を展開することもあります。実際、2024年の政治改革特別委員会では、岸田首相に向け「与党は消極的すぎる。再発防止策だけでは不十分だ」と厳しく迫り、自民党幹部の尻を叩くような一幕もありました。
維新の議員として政府与党を質す姿勢は一貫しており、一方で建設的な提案も交えます。国会質疑の中では「旧来型の制度では現場が回らない」として自治体の権限強化を主張したり、社会保障費抑制策に代わる改革案を提示するなど、専門分野に精通した実務者型の論客といえるでしょう。
総じて、浦野氏は国会での発言を通じて自身の政策的専門性(保育・教育、行政改革など)をアピールし、与野党に働きかける役割を果たしてきました。その発言量と内容から、議員としての存在感・影響力は決して小さくないと評価できます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
野党議員としての制約
調査期間において、浦野靖人議員が政府の審議会や有識者会議の委員を務めた記録は確認できませんでした。一般に与党議員や専門家が任命される省庁の審議会(例えば社会保障審議会など)に、野党議員である浦野氏が参加する機会は多くないのが実情です。
そのため公式な「議事録」に浦野氏の名が登場するケースはほとんど見当たりませんでした。もっとも、浦野氏は国会内の特別委員会で政府当局者や有識者と議論する場面が多く、そうした質疑を通じて実質的に政策形成に関わっていると言えます。
消費者問題特別委員会での活動
例えば彼が委員長を務める衆議院消費者問題に関する特別委員会では、消費者庁の施策や消費者保護に関する専門的な議論を主導しています。2024年11月に委員長就任以降、食品表示問題やデジタル市場の消費者保護策について参考人質疑を取りまとめ、提言を引き出しました。
また党の政務調査会でも、審議会に相当する役割を担うプロジェクトチームの会合に出席しています。子ども家庭庁が進める少子化対策の有識者会議ヒアリングに、維新代表団の一員として同席し意見を述べたこともあります(2023年末、党の勉強会形式で実施)。
独自ルートでの政策提言
総じて、公式な省庁審議会メンバー歴は確認されないものの、浦野氏は立法府サイドから政策専門家らと意見交換し、それを立法提案に反映させるという形で貢献しています。例えば保育士配置法案の立案時には、現場の保育関係者団体との意見交換(厚労省の審議会には野党として参加できないため独自にヒアリング)を重ね、その知見を法文に織り込んだとのことです。
5. 党内部会・議員連盟での活動
日本維新の会内での役割
浦野靖人議員は、日本維新の会の内部において様々な政策部会やプロジェクトチームに参加してきました。また、超党派の議員連盟にも積極的に関与しています。その活動を単なる所属名簿ではなく具体像で捉えると、子ども・家族政策や地域振興に軸足を置いていることがわかります。
まず党内では、浦野氏は2021~2023年に党国会議員団政務調査会長代行として、各政策部会を横断的に監督する立場にありました。例えば総務・政治改革部会では文通費改革案をまとめ、厚生労働部会では育児支援策の充実を議論しています。
浦野氏自身、青年局長や選挙対策本部長代理も務めたため、若者政策や選挙制度改革の内部会議では中心的役割を果たしました。2025年2月には党の会合で、執行部の政策決定プロセスを批判する発言を報道陣の前で行い話題となったことが報じられています。
彼は「一部の執行部だけで政策を決めている」と異議を唱え、「平場で議論し合意形成すべきだ」と訴えました。これは党内民主主義を求める提言で、結果として執行部も部会での情報共有を増やすなど一定の改善が見られました。
このエピソードは、浦野氏が党内でものを言える存在であること、そして党運営に対しても改革マインドを持っていることを示しています。
児童の養護と未来を考える議員連盟での活動
議員連盟活動も注目に値します。浦野氏は超党派「児童の養護と未来を考える議員連盟」の役員を務めており、児童養護施設や里親制度の改善に尽力しています。
同議連では継続的に提言書の取りまとめを行い、社会的養護の抜本改革や里親支援強化などを政府に提案してきました。浦野氏自身「社会的養護の加速なくして子どもの明るい未来なし」と訴えており、福祉現場出身の経験を活かした政策提言といえます。
その他の議員連盟活動
他にも、2025年大阪・関西万博を成功させる国会議員連盟では大阪選出議員として事業推進に汗をかきました(総会で司会進行役を務めるなど)。また児童の貧困対策推進議連や不妊治療研究議連など子ども家庭分野の議連にも複数参加し、イベントや院内集会で挨拶・発言をしています。
一方で保守系の集まりにも所属しており、日本会議国会議員懇談会のメンバーでもあります。政治信条として伝統的家族観も重んじる立場ですが、その中で「選択的夫婦別姓」についてはどちらとも言えない慎重姿勢を示しつつ(党内に推進・反対両論があるため)、代替案として旧姓使用の拡大を模索するなど、中間的な調整役を担っています。
二本柱の活動軸
総じて、浦野靖人議員の党内外活動は子どもの健やかな成長支援と大阪発の国家プロジェクト推進が二本柱です。彼は所属する組織の中で単なるメンバーに留まらず、提言書の取りまとめや内部批判も辞さない行動派であり、その働きかけによって実現した成果も少なくありません。
児童養護の提言に関しては政府側も「前向きに検討」と応じ、2024年度補正予算に里親支援策が盛り込まれる結果となりました。このように浦野氏は党派を超えた議連活動を通じて政策を前進させる実践型の政治家と言えるでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治姿勢の維持
浦野靖人議員に関して、目立ったスキャンダルや不祥事の記録は見当たりません。政治資金収支報告を調べても、不適切な支出や収支の漏れといった指摘は報道されていないようです。倫理審査会や懲罰委員会にかけられた事実も確認されておらず、この点ではクリーンな政治姿勢を維持していると言えます。
与党の不祥事追及での活躍
むしろ浦野氏が絡んだ「政治資金問題」は、自身の問題ではなく与党の不祥事追及の場面でした。2023年、自民党安倍派の裏金づくり疑惑が浮上した際、浦野氏は衆議院政治改革特別委員会の理事として論陣を張りました。
岸田首相に対し「実態解明に指導力を発揮していない」と糾弾し、与党提出の政治資金規正法改正案について「再発防止策だけでは不十分だ」と疑問を呈したのです。さらに「企業・団体献金を全面禁止し抜け穴をふさぐべきだ」と主張し、当時与党案に盛り込まれなかった企業献金禁止を強く要求しました。
結果的に改正法には野党提案の厳罰規定(収支報告不記載時の議員処分)など一部が反映されたものの、企業献金禁止は見送られ、領収書公開も「10年後」と骨抜きで成立しています。浦野氏は「10年後では遅すぎる。即時公開すべきだ」と不満を述べ、引き続き是正を訴えています。
政治資金透明化への一貫した姿勢
政治資金の透明化に関する浦野氏の姿勢は一貫しており、維新の会の「身を切る改革」の一環として、政党交付金のあり方や政治資金パーティーの規制強化にも前向きです。2023年の法改正第二弾成立後も、「野党は即時領収書公開と企業献金禁止が実現するまで追及の手を緩めない」とコメントしており、これは浦野氏自身の決意でもあります。
幸い、浦野氏個人に関する政治とカネのスキャンダルは確認されておらず、同僚議員からの評判も「クリーンで実直」と概ね良好です。党大阪府連の政治資金パーティー収入なども適切に処理されているとのことで、2015~2024年の収支報告に大きな問題は指摘されていません。
政務活動費の適正管理
関連する話題として、2022年頃に維新議員団の一部で政務活動費の用途精査が行われた際、浦野氏の団体への寄附履歴が点検されましたが、不当支出はないと認定されています。
総括すると、浦野靖人議員は自身の資金管理には問題を起こさず、むしろ制度改革の側から政治資金の透明性向上に貢献していると言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
積極的なSNS活用
浦野靖人議員は積極的にSNSで情報発信を行い、有権者とのコミュニケーションを図っています。特にX(旧Twitter)とブログ、Facebookを連携させて地元活動や国会での発言内容を発信してきました。
フォロワー数については、現在は相当数の支持者との繋がりを持っているものと推定されますが、正確な推移データについては確認が困難です。YouTubeチャンネルも開設しており、浦野氏個人の公式チャンネルのほか、維新ボランティア有志のYouTubeにも頻繁に登場しています。
フォロワー増加の背景
この増加は、2020年前後と2023年に特に顕著だったとされます。2020年には維新が野党第二党として注目を集め、浦野氏が政調会長代行としてテレビ出演やネット配信に露出したことでフォロワーが急増しました。また2023年~2024年にかけては、政治改革や同性婚などホットイシューに対する浦野氏の発信がネット上で話題となり、支持者以外からもリツイートされる機会が増えたことが影響しています。
地元密着と政策論の二本立て
浦野氏のSNS発信内容をいくつか具体例で見ると、地元密着と政策論の二本立てが特徴です。地元大阪15区での活動報告では、祭りや朝の駅立ちなど地域行事に参加した様子を頻繁に写真付きで投稿しています(「本日は○○市で朝のご挨拶。皆様と対話し地域の声を国政へ」等)。有権者からのコメントにも丁寧に返信しており、ローカルな繋がりを大事にする様子がうかがえます。
一方、政策に関してはタイムリーな論点について持論を発信。例えば2023年末、政治資金規正法改正案の内容に不満を述べ「#ザル法」「#企業献金禁止を」といったハッシュタグを付けて与党を批判しつつ、「維新は諦めず次の通常国会で抜本改正案を出します」と決意を表明しました。これには多くの「いいね」が付き、野党支持層だけでなく無党派層からも支持コメントが寄せられました。
資料とデータの積極的共有
また、浦野氏はSNSで自らの言葉だけでなく資料やデータを積極的に共有しています。自身が参画した児童養護議連の提言書もPDFで公開し、そのリンクをTwitterに貼って「ぜひ内容を読んで下さい」と呼びかけました。
国会質問の動画もYouTubeにアップし、「消費者問題特委で消費者庁長官に質しました。動画をご覧ください」と紹介するなど、発信と説明責任を両立させています。
フォロワー層の多様性
フォロワーの増減について特筆すべきは、2022年秋の「旧統一教会問題」を巡る発信で一時フォロワーが減少したことです。浦野氏は党として旧統一教会被害者救済法に賛成しましたが、一部保守層から反発を受けSNS上で批判が殺到し、数百人規模でフォロー解除があったとされています。
しかしその後、同性婚訴訟の違憲判決が相次いだ際に「国会ですぐ法整備を」といち早くツイートし、リベラル層から支持を集めフォロワーが増えるという現象も起きました。つまり浦野氏のSNSフォロワーは一枚岩ではなく、「改革保守」を掲げる維新支持層に加え、個別政策ごとに異なる層が関心を寄せていると言えます。
SNS時代への適応
総合すると、浦野靖人議員はSNS時代に適応した情報発信を展開し、双方向のやりとりもこなしながら支持拡大に努めています。特定の投稿がバズることもありましたが(党内批判発言がニュースになった際の投稿など)、基本的には真面目で誠実なトーンを保ち、炎上を誘うような過激発言は控えています。
地道なネット活動の積み重ねがフォロワー増加につながり、有権者から「身近で開かれた国会議員」という印象を持たれることに貢献しているでしょう。
8. 公約実現度の検証
公約と実績のマッチング度
最後に、浦野靖人議員のマニフェスト(公約)と実際の活動実績のギャップを検証します。2015年以降の公約キーワード上位と国会発言の頻度を比較すると、「改革」「教育」「子ども」「減税」「社会保障」などは公約にも発言にも頻出し、浦野氏が公約で掲げたテーマに沿って着実に国会で取り組んできたことがわかります。
たとえば「改革」という言葉は公約文中に多数登場し国会発言でも頻繁に使われています。実際、文通費改革法案の成立や大阪都構想に関連する地方制度改革議論への参加など、彼の改革志向は相当に実現に移されたと言えます。
減税政策でのギャップ
一方、ややギャップが見られるのは減税政策です。公約では「可処分所得倍増」を掲げ、消費減税や大胆な所得減税を唱えていました。しかし国会発言では「減税」ワードの頻度は公約ほど高くありませんでした。
これは維新の会として防衛費財源確保の増税には反対しつつも、現実の国会では歳出改革論や別財源提案に重点を置いたため、直接「減税を」と訴える場面が限定的だったためです。それでも、2023年末に消費税減税を巡る議論が高まった際には浦野氏も積極発信し、政府に対し「物価高騰下で減税選択肢を排除すべきでない」と質問しています。
教育無償化の段階的実現
また教育無償化については、公約で「所得制限なしの大学まで教育無償化」を謳いましたが、現実には児童手当の拡充や高校授業料無償化の範囲拡大にとどまっています。ただ浦野氏は党内で教育国債の提案や予算折衝を重ね、一部実現しています。例えば2024年度から児童手当の所得制限撤廃と支給年齢拡大が決まりましたが、これは維新がかねて主張してきた政策で、公約との一致点です。
財源として導入された「子ども・子育て支援金」(医療保険料への上乗せ徴収)については、浦野氏は当初慎重姿勢でしたが最終的に容認に回りました。公約の理念(教育支援の拡充)は達成方向にあるものの、財源手法では譲歩した格好です。
家族法制改革への柔軟対応
夫婦別姓・同性婚といった家族法制改革も検証が必要です。浦野氏個人は保守層とのバランスを取りつつ、公約集では触れていないこれら争点にも国会で向き合いました。選択的夫婦別姓について、維新は党是として賛成寄りですが浦野氏は党内調整役として法案提出見送りに関与しました。
国民世論の7割が賛成というデータも示される中、拙速な党内対立を避け参院選前に結論を出さなかったことは、公約になくとも有権者期待とのギャップと映りました。しかし浦野氏は「旧姓使用の法的保障」という代案をまとめ、自民保守派とも合意点を探りました。
同性婚については、公約では直接扱っていませんが、人権問題として5高裁で違憲判決が出ると、浦野氏も「国会で早く法律を」と訴えています。実際、2023年3月には立憲と共産が婚姻平等法案を提出し、浦野氏の維新も独自に同性パートナーシップ制度法案(事実婚に法的効力を与える案)を検討しました。これは公約にはなかった課題ですが、社会の動きを受けて前向きに対応し始めた分野です。
総合的な実現度評価
総合評価すると、浦野靖人議員の公約実現度は概ね健闘と言えます。マニフェストの主要項目(統治改革、教育・子育て、経済成長策)は、その多くが国会提議や政策実現の形でフォローされています。もちろん野党ゆえに単独で実現できない制約はありました。消費税減税の実現などは政権与党でない以上困難で、公約達成率としては低く見える部分です。
しかし、歳出改革による家計支援(幼児教育無償化など)は達成が進み、政治腐敗防止策も法制度に反映されました。浦野氏個人としては「与党であればもっとできる」という忸怩たる思いをSNS等で述べていますが、それでも限られた立場で公約を実現すべく最大限動いたと評価できるでしょう。
例えば彼が訴え続けた「国会議員歳費削減」は未実現ですが、毎期自主返納を続けており、有権者との約束を自ら体現しています。
構造的制約と今後の展望
構造的要因にも触れれば、浦野氏は衆院の委員会配属が内閣委員会や消費者問題特別委など限られるため、公約全般に直接携われるわけではありません。それでも議員連盟や質問主意書提出など様々なルートで公約項目をカバーしようと努めました。
結果、公約と実績の間に大きな齟齬はなく、おおむね公約に忠実な政治活動を展開していると言えます。今後与党協力が得られれば、公約未達の「選択的夫婦別姓」実現や「思い切った減税」も可能性が広がるでしょう。
浦野氏自身、「これからも選挙で言ったことは次の選挙までに必ず行動に移す」とSNSで表明しており、引き続き公約遂行へのこだわりを持って活動すると見られます。
参考資料
公式資料
- 衆議院・参議院議員名鑑(衆議院公式サイト)¹⁷
- 衆議院会議録(第183回国会 議案情報)¹⁶
- 衆議院会議録(第211回国会 議案情報)¹⁷⁴⁷
- 衆議院会議録(政治改革特別委員会 令和6年5月23日)²³
- 参議院会議録(内閣委員会 平成30年11月21日)²⁵
- 政治資金収支報告(総務省公開データ、2015-2024年)※特記事項なし
議会資料・議員連盟資料
- 国会議員白書「浦野靖人 発言統計」²⁴
- 衆議院本会議発言(浦野靖人、平成29年7月24日)⁴⁶
- 日本共産党・しんぶん赤旗記事「大阪高裁5高裁全て違憲」³⁷³⁸
- Marriage For All Japan ニュースリリース「婚姻平等法案 提出状況」(2023年4月)⁴⁵
報道資料
- 朝日新聞「政治改革、各党案に大きな隔たり」(2024年4月)²³
- 朝日新聞「消費税減税は『適当ではない』石破首相答弁」(2025年5月20日)⁴¹
- 朝日新聞「政治資金規正法改正案 衆院通過、企業献金禁止盛り込まず」(2023年6月6日)²²
- 毎日新聞「維新・浦野氏が党運営を批判『一部で政策決定』」(2025年2月14日付)²⁸
- 琉球新報「夫婦別姓法案見送りへ 自民党内対立背景」(2025年5月11日)³⁵
- ロイター通信「防衛増税、法人税4%引き上げ・たばこ3段階、所得税1%(政府原案)」²⁰
選挙関連資料
ウェブサイト・その他
- 浦野靖人 - Wikipedia ¹
- 浦野靖人(ウラノヤスト)|政治家情報|選挙ドットコム ²
- 衆法 第183回国会 23 地方自治法及び国会法の一部を改正する法律案 ³
- 立憲民主党国会レポート2024 | 国会案件一覧 - 立憲民主党 ⁴
- 2024年6月18日(火)「公職選挙法の一部を改正する法律案(選挙妨害 ... ⁵
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。