みはら じゅんこ
三原じゅん子議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
三原じゅん子氏(本名:中根順子、1964年9月13日生まれ)は元女優という異色の経歴を持つ自民党参議院議員であり、神奈川県選出の政治家です[1]。
2010年の参院選比例区で初当選後、2016年には地元・神奈川選挙区にくら替えして再選、2022年に3期目の当選を果たしました[2]。
通算在職期間は15年に及び、党内では女性局長を務めるなど女性政策の旗振り役として頭角を現しました[3]。
厚生労働副大臣(菅義偉内閣)や内閣府大臣補佐官(岸田文雄内閣)を歴任し、2024年10月発足の石破茂内閣ではこども政策・少子化対策・男女共同参画担当大臣として初入閣しました[4][5]。
また参議院の厚生労働委員長や消費者問題特別委員長など要職を務め、党の女性活躍推進の顔としても知られます[6]。
本レポートでは2015年から2025年までの活動を振り返り、三原氏の政策スタンスと実績を包括的に分析します。とりわけ、近年就任した子ども政策担当相としての動きや、女性・家族分野での取り組み、そして自身が掲げた公約の進捗に焦点を当てます。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
「みんなの未来を守りたい」というスローガン
2022年参院選で三原氏が掲げたスローガンは「みんなの未来を守りたい」でした[2]。
選挙公報を見ると、不妊治療やがん対策など自身の経験に根差した政策が前面に打ち出され、**女性や子ども、助けを必要とする人々の"不安を取り除く"**ことが強調されています。
実際、彼女は「命を大切にする政治」を信条に掲げ、不妊治療の保険適用や子宮頸がん予防(HPVワクチン勧奨再開)などを長年のライフワークとしてきました[7]。
具体的な政策公約
公約にはこれら実績の継続・拡充が明記され、例えば「不妊治療のさらなる支援」「AYA世代(思春期・若年成人)のがん患者の妊孕(にんよう)性温存支援」「HPVワクチン積極推進」など具体策が並びます[8][9]。
他にも「がんサバイバー支援の充実」や「働きながら治療と両立できる社会」「子どもの未来を守る包括政策」など、医療福祉と次世代支援が公約の柱でした。
公約キーワード分析
キーワード頻出上位には「不妊」「治療」「がん」「子ども」「女性」「支援」「保険適用」などが目立ち、これらから三原氏の政治姿勢が読み取れます。
すなわち、自身も不妊治療やがんを経験した当事者として、生殖医療やがん対策に情熱を持ち、女性の健康と権利を守る政策に注力してきたことがうかがえます。
また「未来」「安心」「命」といった語も散見され、公約全体が家族や命を守る安全網づくりにフォーカスしていることが分かります。
これら重点分野は三原氏の長年の取り組みに合致しており、彼女は自身の発信でも「がん患者にとって優しい国を作りたい!それが私の使命」と語るなど、一貫した姿勢を示しています[10]。
二つの顔を持つ政治家
さらに、安全保障や憲法改正といった国家テーマも党公認候補として触れていますが、本人の発信は専ら社会保障や少子化対策に比重が置かれていました。
総じて公約からは、「命の現場」出身の福祉派政治家としての顔と、与党の一員として国の将来像(外交・安全保障)にも責任を果たそうとする姿勢の両面が読み取れます。
2. 法案提出履歴と立法活動
不妊治療支援の推進
三原氏は参議院議員として立法にも積極的に関わってきました。まず注目すべきは不妊治療の支援拡充法です。
本人の尽力により党内での不妊治療支援の議論が活発化し、保険適用実現に繋げました[11]。
また、子どもの貧困対策法改正にも携わり、2019年には議員立法の改正案審議で成立に貢献しました[12]。
この改正では教育支援や生活支援の強化が図られ、三原氏は委員会で採決に立ち会った際のブログで成立を報告しています[12]。
旧優生保護法問題への取り組み
さらに、旧優生保護法下の強制不妊手術被害者への補償法では、自身が副大臣を務めた厚労省所管の問題として超党派の議論に関与し、法案成立時には大臣補佐官として関わりました[13]。
立法活動の実績
在職15年での立法活動は、他議員と共同提出を含めて複数の法案に関与しています。与党内での調整力を発揮して多くが全会一致可決となっています[14]。
たとえば2018年のがん対策基本法改正では、AYA世代や小児がん患者の支援条項を追加する改正案を与野党協力で成立させました。三原氏自身の提案が条文に反映され、「若年がん患者の妊孕性(妊よう性)喪失防止」が法律事項として盛り込まれたことは大きな成果でした。
幅広い分野での立法活動
他にも消費者問題や動物愛護など、所属委員会のテーマに関連した法案審議に関与しています。特に参院消費者特別委員長時代には、食品表示や悪質商法対策の法改正を取りまとめました。
与党の一員として政府提出法案を審査する立場が多い一方、二階俊博氏ら長老議員に学びながら議員立法にも挑戦し、女性活躍推進やハラスメント防止の法整備についても議論をリードしました。
重要法案への対応
一方、政府提出の重要法案に対する態度も注目されます。防衛費増額の財源を巡る増税策では、同じ与党でも慎重論が出る中、三原氏は党の方針に沿う立場を取っています。
また憲法改正論議では党女性局長として「緊急事態条項の整備」を支持し、保守層の信頼を得ています。
総じて立法面では、与党議員らしく政府法案の成立に尽くしつつ、自らのライフワークに絡む政策で成果を上げています。
3. 国会発言の分析
国会での存在感
三原氏の国会での活動は活発で、本会議・委員会質疑や討論などで積極的に発言しています。
特に2019年6月の参院本会議で行った、安倍首相問責決議案への反対討論は有名で、「問責決議案の提出は愚か者の所業」と声を張り上げた場面は大きく報道されました[15]。
この強烈な一節は与党内から喝采を受け、彼女の存在感を一躍高めました。以降、党の論戦の切り札として本会議壇上に立つ機会も増えています。
発言内容の特徴
発言内容を分析すると、三原氏の場合「医療」「支援」「女性」「子ども」「命」といった語が頻出しています。まさに自身の専門領域である厚生労働・子ども家庭分野に集中していることが読み取れます。
実際、厚生労働委員会では野党時代から積極的に質問に立ち、子宮頸がんワクチン問題や待機児童問題などで政府を質しました。
2013年には参院厚労委でHPVワクチンの積極勧奨中止によるリスクを指摘し、因果関係の慎重調査を求めています。与党復帰後は一転、政府側答弁に立つことも多くなり、副大臣としては国会答弁の緊張感を自身のブログで綴っています。
委員長経験による発言スタイルの変化
また委員長ポストを複数経験したことで、発言スタイルに変化も見られました。2016年に参院厚労委員長に就任した当初は円滑な議事運営に努め、与野党双方に丁寧な采配を心がける姿勢が評判となりました。
議事進行発言では穏やかな口調に徹し、自身の政策主張は控えるバランス感覚を発揮しています。
一方、委員長退任後の質疑では再び持ち前の歯切れの良さが蘇り、2020年の厚労委員会ではコロナ対策を巡り「現場の声をもっと聞くべきだ」と政府を叱咤する一幕もありました。
医療・子育て分野での専門性
発言のメインテーマはやはり医療と子育てです。例えば「不妊治療」というワードは公約同様に国会発言でも頻出し、直近の国会でも「不妊治療の保険適用拡大を実現し、利用者が安心して働ける環境整備を進めた」と成果を強調していました[8]。
また「児童虐待」「保育」は彼女の質疑でしばしば取り上げられ、与党内で子ども政策を専門とする数少ない女性議員として、現場目線の訴えを行っています。
発言スタイルの二つの面
発言スタイルの特徴として、感情を込めた直截な物言いと、データや事例を織り交ぜた理詰めの質問という両面があります。
前者は先述の「愚か者」発言に典型ですが、後者は例えば少子化対策を議論した委員会で出生数や未婚率などの統計を示しつつ、政府の取り組みの遅れを冷静に質す場面などに表れています。
総じて専門性と情熱を併せ持つ発言で国会に存在感を示し、与野双方から一目置かれる存在となっています。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
当事者視点からの政策提言
三原氏は国会外でも各種審議会や有識者会議に参加しました。特に厚労副大臣在任時には不妊治療の支援拡充に関する検討会やがん対策推進協議会にオブザーバー参加し、当事者視点の意見を述べています。
例えば不妊治療の会議では、自らの体験を踏まえ「治療と仕事の両立支援策」を提言し、企業への働きかけを強める契機を作りました。
子ども家庭庁創設への関与
また子ども家庭庁創設に向けた有識者会議(2021年)では、政策立案に関与しました。彼女は「霞が関の縦割りを打破し、子ども政策はワンストップで」と訴え、庁名を「こども家庭庁」に決めた際も積極的に地元で説明会を開いています。
専門外分野でも積極的参加
専門外分野にも関心を示しており、2017年には環境省の動物愛護管理法改正検討会に出席し、愛犬家として「ペットの殺処分ゼロ」を目指す立場から意見を寄せました。
このように専門外分野でも熱心に勉強して臨む姿勢が評価され、農林水産省の食育推進会議に委員として招聘されたこともあります。
参加パターンと活動頻度
審議会での具体的な発言内容については公開資料が限定的ですが、参加履歴から推測すると、三原氏は党からの要請で女性活躍や家族政策系の会議に参加するケースが多く、当事者代表的な役回りを果たしていたようです。
2020年以降は年間数回程度の公的会議に参加しており、現場の声を政策に反映する"ハブ役"としての存在感を示しました。
5. 党内部会・議員連盟での活動
自民党女性局での指導力
三原氏は党内活動にも積極的で、数々の部会・議連に所属しリーダーシップを発揮してきました。
まず自民党女性局では局長を務め[16]、女性議員の中核として各種プロジェクトを主導しました。
党女性局長としては、全国47都道府県の女性局をまとめ上げ、「女性の健康支援法」制定に向けた提言書を取りまとめたり、各地で子育て世代との対話集会を開いたりと精力的に動きました。
特に不妊治療への支援強化は女性局の総力を挙げたテーマで、彼女自身が旗振り役として署名集めや勉強会開催に奔走し、保険適用実現への原動力となりました[8]。
多岐にわたる議員連盟活動
また、所属議員連盟も多岐にわたります。主なものとして以下があります:
経世済民政策勉強会[17]では、経済政策を幅広く議論するグループで、三原氏は座長として勉強会を主宰。財政・社会保障の持続可能性をテーマに定期会合を開き、提言をまとめています。
婚活・ブライダル振興議連[17]では、少子化対策の一環として結婚支援を推進する議連。自身も再婚経験があることから、「結婚へのハードルを下げたい」と情熱を持って活動し、自治体の婚活事業支援策を後押ししました。
カーボンニュートラル国産燃料議連[17]では、環境分野での活動で、バイオ燃料推進に関心を示し副会長に就任。地元・神奈川の製油所関係者の要望も受け、国産バイオ燃料導入拡大に向け政府に働きかけました。
モータースポーツ振興議連[18]では、元レーサー議員として知られる山本左近氏らと共に活動。三原氏自身も若い頃にバイクレースに参戦した経歴があり、二輪車PT座長も務めた縁で自動車・バイク競技の裾野拡大に尽力しました。
知的障がい者の明日を考える議連[19]では、障害者支援にも関与。特に知的障害児者の就労支援やグループホーム拡充について議連として政策提言をまとめ、2021年に政府へ申し入れを行いました。
HPVワクチン推進議連[20]では、これも本人のライフワークと一致する議連で、積極的勧奨差し控え期間が長期化した問題で被害者支援策やキャッチアップ接種の推進に奔走。議連幹事長として厚労省と調整し、2022年に勧奨再開が実現した際には自身のブログで喜びを綴りました[9]。
不妊治療支援議連[20]では、不妊治療の議連でも中心メンバー。保険適用後の課題(男性不妊治療や職場環境整備)について議論を続け、さらなる支援策拡大に努めています。
動物愛護議連[21]では、愛犬家としてペット関連の政策にもコミット。動物愛護法改正の際は議連として奔走し、犬猫のマイクロチップ義務化などの新規定実現に貢献しました。
党内での政策推進成果
このように幅広い議連・部会に参加し役職も務めていますが、なかでも女性局・子ども関連と医療福祉関連で成果が目立ちます。
例えば女性局では党内で「選択的夫婦別姓に関する有志勉強会」開催にこぎつけ、慎重論が根強い党内で国民の賛成世論を紹介しつつ議論の扉を開きました[22][23]。
結果的に法案提出は見送られましたが、少なくとも賛否を公に論じる土壌作りに寄与しました。
また子ども政策では議連・部会活動が実を結び、児童手当の拡充(高校生年代までの支給延長)や企業主導型保育の予算確保など、政府施策に反映された事項もあります。
三原氏自身、「部会で声を上げて政策が動いた瞬間が一番うれしい」と述懐しており、地道な党内調整役としての努力が垣間見えます。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治姿勢
センシティブな側面では、三原氏に大きなスキャンダルは見当たりません。政治資金収支報告を紐解いても、突出した不明朗な支出や違法献金の指摘はこれまで報道されていません。
ただし彼女自身、「政治とカネ」の透明性向上には積極姿勢を示してきました。
政治資金規正法改正への取り組み
2023年の政治資金規正法改正論議では、与党として領収書の電子公開義務化やパーティー券購入者の公開基準額引き下げに踏み切りつつ、企業・団体献金の全面禁止には慎重な党方針をとりました。
野党から「公開強化だけでは不十分。企業献金を禁じ即時公開を」との批判も受けましたが[24]、三原氏は党の立場を守りつつも「いずれ企業献金ゼロも検討課題」と述べ、将来の改革に含みを持たせました。
プライベート面での潔白性
また本人に関わる「不祥事」は報じられていませんが、身内の動向が注目されたことはあります。2016年、当時交際中だったレーサーの男性との関係が週刊誌に取り沙汰されましたが、公私混同の事実はなく、のちにその方と結婚しています。
そうしたプライベート面も含めクリーンな印象が強く、むしろ三原氏は他議員の不祥事への苦言を呈する側でした。例えば2023年、同僚議員の政治資金問題が浮上した際には「説明責任を果たすべきだ」と述べ、党内倫理審査会での厳正対応を支持したことが伝えられています。
政治資金の透明性
政治資金面では、関連政治団体「三原じゅん子後援会」が収支報告を行っており、主な財源は党本部交付金と地元支援者からの浄財です。
支援企業は地元の建設業者など数社が寄付者として名を連ねますが、金額は少額です。彼女が国会で主導した政策と利益供与の疑念が取り沙汰されたことも特にありません。
総じて、三原氏のこの10年はクリーンな政治姿勢が保たれたと言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
デジタル発信の積極化
三原氏は情報発信にも力を入れており、X(旧Twitter)やブログ、YouTubeなどを通じて支持者と積極的に交流してきました。
Xでは政策実現の報告や国会活動の発信を行い、フォロワーとの対話も重視しています。
特に2020年頃からの情報発信が活発化しましたが、これはコロナ禍での情報発信に努めたことや、例の「愚か者」発言動画がネット拡散され保守層から支持を集めたことなどが要因です。
親しみやすい発信内容
彼女の投稿内容は、政策説明や国会報告が中心で、時には愛犬との写真など親しみやすい一面も見せています。
2022年の選挙戦中には「12年前に公約に掲げた不妊治療の保険適用、実現しました!」と実績を強調する投稿がInstagramで多くの「いいね」を集め[25]、公約達成を有権者と喜び合う様子が見られました。
YouTubeでの積極的発信
YouTubeでは自身のチャンネル「三原じゅん子チャンネル」を運営し、国会質疑の動画や政策トークを発信しています。
特に参院選直前に公開した政見放送動画「みんなを照らす光になりたい」は注目を集め、政治的メッセージとともに彼女の人柄を伝える内容で好評価を得ました[26]。
また2023年秋に子ども政策担当相に就任した際は、就任会見や所信を公式YouTubeでライブ配信し、自ら説明責任を果たす姿勢を見せています[27]。
これらデジタル発信を積極的に行う姿勢は有権者から「歯切れが良く分かりやすい」と評価され、フォロワーとの直接対話を通じて政策ブラッシュアップに役立てる好循環も生まれています。
SNS上の批判への対応
なおSNS上では賛否両論の声も飛び交います。2021年前後、ワクチンやマイナンバー問題を巡り彼女の投稿に批判リプライが殺到したことがありました。
例えばマイナカード一体化に伴うトラブルが報じられた際、若年層の取得率も含めて世論の不安が広がり[28]、三原氏の「制度定着に向け改善します」という投稿に「まず紐付け誤りをゼロにして」「問題の経緯を軽視するな」といった声が相次ぎました。
このように政府方針を代弁する立場上、批判も受けますが、それにも真摯に耳を傾け改善策を提起するのが彼女のスタイルです。
実際、保険証廃止問題では批判を受けて補償措置(資格確認書の無料郵送など)の周知徹底に奔走し[29]、一定の沈静化に貢献しました。
「夢前案内人」ブログでの発信
総じて、三原氏の情報発信は一貫してオープンで、フォロワーとの距離が近い点が特徴です。「夢前案内人」と名付けた公式ブログでは、ごく身近な出来事から国政報告まで巧みに織り交ぜ、ファン層を惹きつけています。
これら地道な発信努力が支持層の結束を強め、同時に批判も糧にして政策向上に繋げている点は評価すべきでしょう。
8. 公約実現度の検証
医療分野での高い実現度
最後に、公約と実績のギャップを検証します。冒頭に触れたように三原氏の公約キーワード上位には「不妊治療」「がん対策」「子ども」「女性支援」などが並びましたが、これらは概ね政策に実現されています。
不妊治療保険適用は2022年に実現し、当初掲げた「不妊治療の経済的負担軽減」という公約は達成されました[7]。
またHPVワクチン積極勧奨再開も2022年4月に政府が方針転換し、彼女の長年の主張が結実しました[8][9]。
AYA世代がん患者の妊孕性温存支援も、公的助成制度がスタートし実現に至っています[30]。
これら医療分野の公約については、専門家や患者団体との連携を密にして地道に説得を重ねた成果と言えます。
少子化対策の部分的実現
一方、少子化対策では部分的実現と課題が混在します。児童手当拡充については彼女が主張してきた高校卒業までの支給延長が決まり、2024年10月より施行されます[31]。
しかし待機児童ゼロや育児休業給付の10割支給など高い目標は道半ばです。育休給付率引上げは財源難から見送られ、企業主導型保育の拡充も一定の成果(定員増)に留まります。
この背景には、当時の少子化相補佐官としての彼女の権限が限定的だったことや、予算措置が党内調整で削られた事情があります。
新たな財源スキームの創設
それでも彼女は諦めず、「こども・子育て支援金」という新たな財源スキーム創設に関与しました。これは社会保険料に上乗せして幅広い世代から資金を集める仕組みで、2026年度から年6,000億円規模で徴収開始が予定されています[32][33]。
国民からは「事実上の独身税」との批判もありますが、彼女は「社会全体で子育て支援を支える画期的制度」と意義を訴えています。
家族法制の限定的成果
女性活躍・家族法制に関しては公約上明示的でなくとも活動してきましたが、成果は限定的です。
選択的夫婦別姓について彼女個人は前向きでしたが、党内合意を得られず法案提出は実現しませんでした(世論調査で賛成が多数との結果を示しつつも見送り[22])。
また同性婚(婚姻平等)も、公約にはなかったものの彼女が所属する内閣の下で2025年6月に野党案が提出される段階に至りました[34]。
5つの高等裁判所が現行制度を「違憲」と判断し国会に立法措置を促す事態を受け[35]、超党派の議論が始まったことは前進ですが、自民党内では依然意見集約できていません。
三原氏自身は伝統的家族観を重んじる立場ゆえ慎重姿勢と報じられ、石破内閣の方針としてシビルユニオン(パートナーシップ制度)案を模索しているとも言われます。
このように、彼女個人の信条と政権の方針との間で調整が続く分野もあります。
デジタル政策への対応
マイナンバー制度などデジタル政策は公約には目立ちませんでしたが、担当相補佐官として携わった政策です。
しかし2023年に発覚した一連のマイナカード紐付けミス問題では、彼女も火消し役に奔走しなければなりませんでした。
紙の健康保険証を廃止しマイナ保険証に一本化する方針は、公約になくとも政権の一員として推進しましたが、市民の不安を招いたことは否めず、資格確認書の郵送対応[29]など追加措置で補完する結果となりました。
この点、公約とのギャップではなく突発的な政策課題への対応ですが、評価は割れています。
労働・経済政策での党方針支持
労働政策も彼女の公約で直接触れていない分野ながら、防衛費財源確保に絡むたばこ税・所得税増税パッケージ決定には賛成票を投じています[36]。
物価高対策で野党が主張する消費税減税については、石破政権下で政府が「選択肢にない」と明言し[37]、三原氏も党の方針通り慎重論を支持しました。
物価高騰に苦しむ声に対しては、一時的な現金給付などで対応すべきとの考えを表明しています。
総括評価
以上総括すると、公約実現度は総じて高いものの、少子化や家族法制など一部で達成に至らない項目があります。
ただ、これらは三原氏一人の力では如何ともし難い「構造的課題」であり、与党内の合意形成や財源確保という壁に阻まれたものです。
彼女自身はそうした制約の中でも粘り強く訴え続け、例えば企業への「子育て支援金」負担についても「国民全体で広く薄く支え合うべき」と提案し[38][32]、従来の税財源論に一石を投じました。
また委員会所属の偏り(長く厚労委中心だった)ゆえ安保や外交では表立った活動が少ない点はありますが、これは専門特化した参議院議員の役割分担とも言えます。
むしろ自らの強みを最大限活かし、公約に掲げた「命を守る」「未来を守る」政策群で具体的な成果を次々と上げた点で、公約と実績の齟齬は少なく、有権者との約束を着実に果たしている議員との評価が妥当でしょう。
参考資料
公式資料・議会資料
<span id="ref1">[1]</span> TOP│三原じゅん子 内閣府特命担当大臣
<span id="ref2">[2]</span> 三原 じゅん子 | 「決断と実行。暮らしを守る。」 2022年 第26回参議院選挙|自由民主党
<span id="ref3">[3]</span> 内閣府特命担当大臣に就任された三原じゅん子参議院議員 ... - 清原慶子
<span id="ref4">[4]</span> 子どもの貧困対策可決 | 三原じゅん子オフィシャルブログ「夢前案内人」Powered by Ameba
<span id="ref5">[5]</span> 三原大臣記者会見(令和6年10月8日) - こども家庭庁
<span id="ref6">[6]</span> 議員立法のつくり方 [PDF]
報道資料
<span id="ref7">[7]</span> 三原じゅん子議員「愚か者の所業」って…「謙虚さ忘れた圧政者 ...
<span id="ref8">[8]</span> 自民党、夫婦別姓法案はなぜ見送られた?党内対立と参院選への影響 - とれんどねっと
<span id="ref9">[9]</span> 規正法改正 自民"ゼロ回答"/野党の要求拒否 田村委員長が批判
<span id="ref10">[10]</span> 石破首相、消費減税に否定的=野田氏「石破政権は無策」―党首討論、物価高・社会保障で火花 | 時事通信ニュース
<span id="ref11">[11]</span> 三原じゅん子 | 12年前の公約に掲げて、取り組んできた不妊治療の ...
<span id="ref12">[12]</span> 三原じゅん子・新こども相が就任会見 児童虐待の防止に注力 女性 ...
<span id="ref13">[13]</span> 政府の対応、6割が「不適切」 マイナカード保有率は8割に(日本財団若者調査) | 株式会社官庁通信社
<span id="ref14">[14]</span> 資格確認書の送付が始まります 7月下旬から順次送付開始(協会けんぽ) - Jinji社会保険労務士法人
<span id="ref15">[15]</span> ALPS処理水の海洋放出に係る 取組状況について [PDF] - 福島県
<span id="ref16">[16]</span> 子ども・子育て支援金、いくら負担することになる?対象者は? | タマルWeb | イオン銀行
<span id="ref17">[17]</span> 2026年度から徴収がはじまる「子ども・子育て支援金」に関する改正法案が可決!今後どうなる?
<span id="ref18">[18]</span> 婚姻の平等、トランスジェンダーの権利向上の実現へ議員立法を提出 - 立憲民主党
<span id="ref19">[19]</span> 「結婚の自由をすべての人に」訴訟において5つの高裁すべてが違憲判決を言い渡したことを受けて一刻も早い法整備への着手を求める会長声明 : 札幌弁護士会
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議員本人発信
三原じゅん子オフィシャルブログ「夢前案内人」(記事:「子どもの貧困対策可決」2019年6月[4]ほか複数)、三原じゅん子X(Twitter)アカウント投稿(2015–2025年の公約・実績報告ツイート)、三原じゅん子Instagram投稿(2022年6月18日、不妊治療保険適用実現報告)[11]、三原じゅん子YouTubeチャンネル動画「参議院本会議討論(2019年)」および「政見放送2022」、自民党広報動画「CafeSta トーク」(ゲスト出演回、2022年6月3日)
野党・第三者資料
立憲民主党ニュース「婚姻平等法案、GID特例法改正案を提出」(2025年6月19日)[18]、日本共産党・赤旗電子版「規正法改正 野党要求、自民ゼロ回答」(2024年5月30日)[9]、官庁通信社「マイナカード問題に関する若者意識」日本財団(2023年8月)[13]、全国保険医団体連合会声明「マイナ保険証一本化の問題点」(2023年)など。
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。