くしだ せいいち
串田誠一議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
串田誠一(くしだ せいいち)議員は、日本維新の会所属の参議院議員(比例区選出、1期)であり、元衆議院議員(比例南関東ブロック選出、1期)です¹²。
1958年6月20日に東京都大田区に生まれ、法政大学法学部を卒業後、1984年に司法試験に合格し1987年に弁護士登録した弁護士でもあります³。2006年から2016年3月まで法政大学大学院で教授を務め、政治の道を志し、2003年に民主党公認で神奈川県議選に挑戦するも落選しました⁴。
その後、大阪維新の会(現・日本維新の会)に参加し、2016年参院選(比例区)に維新公認で立候補しましたが18人中最下位で落選⁴。翌2017年の第48回衆院選では神奈川6区から維新公認で出馬し、小選挙区は3位落選でしたが惜敗率28.304%で比例復活し初当選を果たしました⁵。
衆議院議員として1期務めた後、2021年衆院選で議席を失います。しかし諦めずに2022年の第26回参議院選挙に維新から比例区で出馬し、全国比例で当選して国政に復帰しました⁶。
在職期間は衆議院が2017年10月〜2021年10月、参議院が2022年7月〜現在までとなっており、通算当選回数は2回(衆参各1期)です⁷。党内では動物愛護関連の議員連盟で役職を務めるほか、参議院では環境委員会理事や外交安保調査会理事など要職も担っています⁸。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの10年間におよぶ串田議員の政治活動を網羅的に分析し、有権者がその人物像と実績を立体的に理解できるようまとめます。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
動物愛護を前面に掲げた政治活動
串田議員の直近の公約を見ると、何よりもまず動物愛護を前面に掲げている点が特徴です。2022年参院選の全国比例候補として彼が訴えたスローガンの一つが「#動物はモノじゃない」でした⁹。
これは「明治以来120年間変わっていない民法85条(動物は『物』と規定)を改正すべきだ」という主張で、ペットや動物を法律上「命ある存在」と位置づけ直すことを目指すメッセージです。実際、選挙戦では犬や猫の写真をあしらった街宣カーで全国を遊説し、「犬や猫は自ら戦えない。皆が納める税金は皆が幸せになるために使うべきで、その税金で殺処分が行われている現状は放置できない」と訴えるなど、動物の命を守る政策に強く焦点を当てました¹⁰。
動物愛護政策の柱
公約の柱として掲げたのは:
- 「犬猫の殺処分ゼロの実現」
- 「動物虐待を取り締まるアニマルポリス創設」
- 「アニマルウェルフェア(動物福祉)の推進」
これらを動物愛護管理法や民法改正によって制度化する決意を明確にしていました¹¹。
幅広い政策領域への取り組み
もっとも、串田議員のマニフェストは動物だけに留まりません。弁護士出身らしく法制度の近代化や国民の権利拡充にも強い関心を示し、例えば選択的夫婦別姓の導入に賛成し「社会の混乱を防ぐためにも別姓を選べるようにすべきだ」との立場を取ります¹²。
また同性婚の合法化についても「現行制度で同性婚を認めないのは憲法違反だ」と明言するなど¹³、リベラルな人権感覚を公約に盛り込みました。
経済・教育政策
経済政策では、日本維新の会の基本方針に沿って消費税10%への増税に反対し、当面は財政再建より景気対策を優先すべきだと主張しています¹⁴。教育面では幼児教育から大学までの教育無償化を掲げ、子育て支援策の充実を約束しました¹⁵。
安全保障への姿勢
一方、安全保障では2015年に成立した安保法制(平和安全法制)を評価し、北朝鮮対応や共謀罪法にも肯定的なスタンスを示すなど¹⁶、保守政党らしい一面も持ち合わせています。
政治姿勢の特徴
これら上位公約キーワードを分析すると、最も頻出したのは「動物」で、次いで「命」「殺処分ゼロ」「法律改正」「教育無償化」「憲法改正」「増税反対」などが並びました。
そこから浮かび上がるのは、串田議員が動物愛護という自身のライフワークを軸に据えつつ、維新らしい改革志向(憲法・行政改革、歳出削減)と社会自由主義的な価値観(個人の権利尊重)を組み合わせた政治姿勢です。特に動物の命を守るというテーマでは終始一貫しており、「人間中心ではなく動物にも目を向けた優しい社会を」という物語を有権者に強く訴えかけていました¹⁷¹⁸。
2. 法案提出履歴と立法活動
衆議院議員時代の立法活動
串田議員の立法活動は、与党の立場ではありませんが野党議員として積極的に議員立法に取り組んできた点が注目されます。衆議院議員在任中(2017〜2021年)には、超党派の一員としていくつかの重要法案を提出しました。
性暴力被害者支援法案
その一つが2018年、「性暴力被害者の支援に関する法律案」です。これは伊藤詩織さんの告発などでクローズアップされた性暴力被害者支援の充実を図るため、立憲民主・国民民主・共産・維新・社民など野党7会派が共同提出したもの¹⁹。
串田議員も維新代表として名を連ね、ワンストップ支援センターの全国整備や被害直後からのケア体制強化、性教育の推進などを盛り込んだ同法案の成立を訴えました²⁰(※この法案は提出後継続審議となりましたが、被害者支援強化策の必要性を国会に突き付けた意義は大きいと評価されています)。
教育・青少年支援の立法
また2019年前後には、与党議員とも手を携えて教育や青少年支援の立法を進めました。例えば第197回国会では遠藤利明議員(自民)ら与野党議員と共同で「学校教育のICT化推進法案」を提出し、教育現場のデジタル化基盤整備に道を開きました。
同じく第198回国会では「青少年の自然体験活動推進法案」を超党派で提案し²¹、子どもたちが野外活動やキャンプ等を通じて成長できる環境を支援する仕組み作りに尽力しました。これら青少年支援の法案は、自民・公明の与党議員も賛同者に入ったことで可決・成立しており、串田議員にとって貴重な立法成果となっています。
動物愛護分野での取り組み
一方、串田議員自身のライフワークである動物愛護分野では、現時点で単独の議員立法提出には至っていませんが、関連法改正への布石を着実に打っています。具体的には、民法の改正(動物の法的地位見直し)や動物愛護管理法の改正について、議員連盟やプロジェクトチームでの議論を通じて条文化を進めている段階です²²²³。
2025年の次期法改正に向け、超党派で問題点を洗い出しているところで、串田議員も中心メンバーとして奔走しています。現在は議員立法として法案提出はされていませんが、彼自身「正面からの法改正までの間にも救える命は全て救う所存です」と語っており²⁴、質疑や請願などあらゆる手段で行政を動かす戦略を取っています。
既存法解釈の拡充による実績
実際その一例として、2023年の参院環境委員会で「飼い主不在の緊急事態下で動物を救出できるか」を質問した際、警察庁の答弁から「警察官職務執行法の解釈で保護可能」との政府見解を初めて引き出しました²⁵。
この質疑応答は議事録や動画として残り、現場の警察や行政職員が参照できる先例となっています。「法律を変えねば救えない命がある。しかし改正を待つ間も、既存の法律の解釈で救える命は救いたい」という串田議員の信念が、この成果に表れています²⁶。
その他の立法活動
立法面では他に、串田議員は「質問主意書」の提出も行っています。衆議院議員時代には「公文書の割り印の在り方」に関する質問主意書を提出し(2019年)、行政手続の合理化やデジタル化に関連して細部の法令運用を問い質しました。
維新の会が掲げる「身を切る改革」「既得権打破」の文脈では、歳費削減や文書通信交通滞在費の見直しを主張する一方、自身も2017年には文通費の一部(月額20万円×3ヶ月分)を党支部に寄付するなどクリーンな姿勢を示しています²⁷。
法案採決での立場
法案の賛否行動に目を転じると、基本的に党議拘束に従い与党提出法案には是々非々で臨んでいます。憲法改正に前向きな維新の一員として、例えば日本学術会議法改正案の採決では賛成票を投じるなど政府寄りの立場も見せる一方²⁸、消費増税や行政肥大化に繋がる法案には一貫して反対するなど筋を通しています。
総じて、串田議員の立法活動は「野党でも実現可能なことは実現する」現実路線と、「自らの信念は妥協せず訴え続ける」理念追求の両面を合わせ持っていると言えます。
3. 国会発言の分析
発言回数と活動量
国会での発言回数と内容からは、串田議員の存在感と関心領域が浮かび上がります。2017年の初当選以降、衆参あわせて数百回規模の質疑発言を行っており、その発言文字数は累計で数十万字に及ぶと推計されます(※国会会議録における発言を集計)。
発言の舞台は本会議から委員会まで多岐にわたりますが、とりわけ法務委員会・環境委員会・予算委員会などでの質疑が目立ちます。
法務委員会での活動
弁護士資格を持つ強みを活かし、法務委では民法や家族法に関する議論に積極的に参加しました。例えば2018年3月の法務委員会では夫婦別姓制度について質問し、「夫婦が同姓同名だった場合に不動産登記で誰の所有物か混乱するケースも起こり得るのではないか」とユニークな観点から指摘しています¹²(この問いかけは、戸籍上強制的に同姓にする現行制度への疑問を呈する趣旨で、別姓容認論の一環でした)。
また2019年10月には河井克行法相(当時)に初質問し、離婚後の共同親権制度導入の必要性を提起しました。子どもの利益を第一に考え、単独親権が主流の日本の家族法を見直すべきだとの問題意識からで、これも自身の公約(家族法制の改革)と軌を一にする発言でした。
動物愛護に関する質疑
一方、環境委員会や予算委員会では、まさに彼の代名詞である動物愛護や動物福祉のテーマが頻出しました。2019年2月の衆院予算委員会で質疑に立った際の第一声は「まず最初に動物のことについてお聞きしたいと思います」でした²⁹。
国政の最重要課題が議論される予算委で、あえて動物の話題から切り出すあたりに並々ならぬ熱意が感じられます。このとき串田議員は、自身が所属する維新の「未来共創ラボ」で取り組む政策として動物愛護を紹介しつつ、行政の対応を質しました。
質疑の特徴と成果
その語り口は丁寧かつ論理的で、感情論に走りがちなテーマをデータや事例で裏付けるスタイルです。例えば前述の犬が車内に取り残された事件では、当時の警察対応を具体的に挙げながら法律の不備を指摘し³⁰³¹、「結果的に4時間も救出にかかったのは現行法の限界によるものだ」と訴えています。
こうした具体例の活用と冷静な語りは、傍聴する他党議員や大臣にも強い印象を残しました。実際、警察庁から前向きな答弁を引き出せたことは先述の通りで²⁵、質疑を通じて行政解釈を一歩進める成果も挙げています。
串田議員自身、その講演で「国会では先生というより小学校の先生のような優しい口調で話す」と称されるほど³²、専門家然とせず平易な言葉で本質を突くタイプの論客です。これは議場だけでなく有権者にも伝わりやすく、議事録を読み返しても平明な日本語で綴られているのが特徴です。
幅広い政策領域での発言
もちろん動物以外のテーマにも幅広く発言しています。外交・安全保障では2019年4月の衆院安全保障委員会で、米軍普天間基地の世界一危険と言われる現状について質問し、沖縄の基地問題に踏み込んだ議論も行いました³³。
また財政金融委員会では、消費増税や財政赤字問題について政府に見解を正し、維新の掲げる行財政改革の観点から厳しい追及を見せています。コロナ禍以降は経済支援策やマイナンバー制度の不備、ワクチン政策など時局の課題にも取り組みました。
発言活動の推移と特徴
発言頻度のピークは衆議院議員時代の2019年頃で、毎週のように委員会質疑に立ち、年間の発言回数は数十回規模に達しました。2022年に参議院へ鞍替え後も、一年目から予算委員会や決算委員会で質問の機会を得ており、少数政党の新人参議にもかかわらず積極的に手を挙げる行動力が窺えます。
全発言のキーワード分析では「動物」「法律」「子ども」「家族」「安全保障」「税金」などが上位を占め、これは公約時の重点項目とほぼ重なります。つまり公約で掲げたテーマを実際の国会でもしっかり追求していることになり、発言内容からも公約実行度の高さが読み取れます。
ただし、憲法改正のように党是であっても議論の場自体が限られるテーマは発言機会が少なく、この点は後述する公約実現度の項で触れるとおりです。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
公式な審議会メンバーとしての活動
調査の範囲では、串田議員が政府の公式な審議会メンバーや有識者会議の委員を務めた記録は確認できませんでした。与党議員でないため行政側の諮問機関に入る機会は少ないと考えられます。
民間団体主催の会議への参加
ただし、議員連盟主催の勉強会や民間主催のラウンドテーブルには積極的に参加しています。例えば2024年9月にはWWFジャパン(世界自然保護基金)主催の円卓会議に国会議員の一人として招聘され、開会挨拶を務めました³⁴。
この会議は翌年の動物愛護管理法改正を前に、「野生動物のペット利用のあり方」をテーマに開催されたもので、串田議員は冒頭で野生動物が無秩序に利用されている現状を変える必要性を訴えるメッセージを述べています³⁴³⁵。
また議論の中では「人だけでなく動物にも配慮した飼養が求められる時代になってきた」として³⁶、サルやカワウソなど法律の網が十分届いていない分野への対応について問題提起しました。
行政当局との独自のアプローチ
このように、公的な審議会メンバーではないものの、事実上専門家と立法府をつなぐハブ役として動物福祉の議論に深く関与しています。
他方、環境省など行政当局とのやり取りは主に国会質疑の場で行われてきました。串田議員は委員会質疑を通じて環境省や法務省の見解を引き出し、それを改正立法論議にフィードバックするという独自の戦術を取っています³⁷。まさに前述の警察庁答弁の件などはその好例です。
これにより政府内にも問題意識を芽生えさせ、次期改正の下地を作るというアプローチと言えます。加えて、2023年には自身の地元・横浜の地域紙に意見広告(議会報告)を掲載し、「動物愛護を中心に国会活動中」と題して環境省・法務省への働きかけ状況を報告しています³⁸³⁷。
ここでは「法改正にあたり環境省・法務省に改正への理解を求める質疑を多々行ってきました」と述べ、行政にボトムアップでプレッシャーをかける戦略を明示しています³⁷。
このように串田議員は、公式な政府委員ではない立場から議員立法を後押しするための議論を精力的に展開しており、審議会メンバーに勝るとも劣らぬ影響力を発揮していると言えるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
超党派の動物愛護議員連盟での活動
串田議員は党派を超えた議員連盟活動に非常に熱心で、その中心もやはり動物愛護分野です。先にも触れたように、超党派の「動物愛護議員連盟」では事務局次長を務めています³⁹。
この議連は政党の垣根を越えて「犬猫殺処分ゼロ」を目指す集まりで、与野党の有志議員が参加しています⁴⁰。串田議員はその実務を取り仕切る立場として、法改正に向けた論点整理や関係団体との調整に奔走しています。
さらにもう一つ、「アニマルウェルフェア議員連盟」(動物福祉議連)では副会長を務めており³⁹、こちらは産業動物(畜産動物)の福祉向上や実験動物の扱いなど幅広いテーマを扱っています。議連内では動物園・水族館の在り方についても議論しており、有識者ヒアリングも実施済みとのことで⁴¹、事務局次長として各方面の声を集め改正案に反映させる役割を果たしています。
維新党内での活動
維新の党内に目を転じると、同党は他党のような細分化された「部会」制度はありませんが、代わりにテーマ別のプロジェクトチーム(PT)や勉強会があります。串田議員は維新内で動物愛護PTの中心メンバーであり、横断的政策グループ「未来共創ラボ」に所属して動物政策を提言してきました⁴²。
禁煙対策議員連盟での活動
維新の議員として特筆すべきは、「タバコ対策議員連盟」(正式名称:「国際基準のタバコ対策を推進する議員連盟」)への参加です⁴³。喫煙規制強化は維新の政策ではありませんが、串田議員個人は禁煙運動に熱心で、日本弁護士連合会の禁煙推進フォーラム等にも関与してきました⁴⁴。
この議員連盟は旧称を「東京五輪に向けて受動喫煙防止法を実現する議連」といい、2020年の受動喫煙防止法成立に向けて超党派で取り組んだ団体です⁴³。
串田議員も2016年の公開アンケートで「飲食店など一般市民が出入りする場所は2020年までに罰則付き全面禁煙とすべき」と回答しており¹¹、こうした信念に基づき議連で活動しました。結果、健康増進法改正による受動喫煙対策は東京五輪前に一歩前進し、串田議員もその立役者の一人となりました。
国際人権・安全保障分野での活動
また、国際人権や安全保障分野では、「日本ウイグル国会議員連盟」や「対中政策に関する国会議員連盟」にも名を連ねています⁴⁵。中国新疆ウイグル自治区の人権問題や対中戦略について、こちらも党派を超えて議論する場であり、維新所属の串田議員は人権派弁護士としての視点から貢献しています。
これら議員連盟では決して表舞台に立つ目立つ役職ではないものの、会合に出席し提言や声明の取りまとめに加わるなど地道な活動を続けています。
議員連盟活動の総括
以上のように串田議員は、自身の専門分野でリーダーシップを発揮する議連(動物関係)と、個人の信条から参加する議連(禁煙・人権)の双方で活躍しています。その姿は、単に党の方針に従うだけでなく自分のテーマを持って超党派協力を進める政治家像を体現しています。
動物議連の同僚議員からも「政党の枠を超えて一貫して動物保護を訴える姿勢」に信頼が寄せられており¹⁸、何度落選しても信念を曲げなかった串田議員の粘り強さが各議連で実を結びつつあります。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
過去10年間のクリーンな活動
串田誠一議員に関するスキャンダルや不祥事は、この10年間において大きく報じられたものはありません。国会での懲罰事案や倫理審査会の記録も見当たらず、政治資金を巡る違法行為の指摘も確認できませんでした。
クリーンなイメージの背景には、本人の几帳面な性格もあるのでしょう。わずかに記録が残るのは政治家になる以前の話で、2000年に弁護士として高額報酬を受け取った件で日本弁護士連合会から戒告処分を受けたことがあります⁴⁶。これは弁護士倫理上の注意処分ですが、その後政治活動に入って以降は法令遵守に努め、同様の問題は起こしていません。
政治資金の適正管理
政治資金の収支報告を見ても、収入支出は概ね適正に管理されているようです。本人が代表を務める主たる政治団体は「維新を大きくする会」という名称で、毎年の収入・支出報告書は神奈川県選管に提出されています⁴⁷。
収入源は主に政治資金パーティーの開催や寄付で、大規模な企業献金などの記載はありません。特徴的なのは、パーティー名にも「動物」の文字が見られることです。例えばある年の報告では「動物にやさしい仲間たち」と題した資金パーティーを6回開き、計約129万円の収入を得ています⁴⁸。
これは串田議員の支持者層が動物愛護活動に共鳴する個人中心であることを物語っています。収入規模自体も決して多額ではなく、地道な範囲と言えるでしょう。使途についても、事務所維持費や広報費など常識的な範囲に収まっており、特異な支出は見当たりません。
政治改革への積極的姿勢
また、維新の会が提唱する政治改革の一環として、串田議員自身文書通信交通滞在費(月100万円の議員活動費)の透明化・使途公開に積極的です。前述の通り、2017年には未使用分を党に返上し話題となりました²⁷。
加えて、2022年以降同費が日割り支給・公開義務化された際も、「当然の改善だ」と支持するコメントを出しています。公私混同の疑いがある振る舞いは見られず、政治資金のクリーンさでは比較的安心して任せられる議員と言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
X(旧Twitter)での発信
串田議員は現代の政治家らしくSNSも駆使して情報発信を行っています。特に力を入れているのがX(旧Twitter)とInstagramです。Xのアカウントは2019年1月に開設し(初当選からやや遅れて開設)、2025年6月現在で約2万4千人のフォロワーを抱えています⁹。
プロフィール欄には「全国誰でも候補者名で投票できる全国比例議員」「#動物はモノじゃない」と、自身の立場と信条が簡潔に示されています⁹。
投稿内容は国会質疑の報告や動物保護に関するイベント案内が中心で、ハッシュタグ「#動物はモノじゃない」を頻繁に付して法改正への世論喚起を図っています。例えば2025年6月6日の本会議発言では、再生可能エネルギー開発が野生動物の生息地を奪っている問題を取り上げ、その映像クリップとともに「再エネであっても野生動物の住処を奪ってはならない」という決意表明を投稿しました⁴⁹。
国会での主張を即座にSNSで拡散することで、支持者だけでなく環境・動物保護団体関係者にも情報共有しています。
Instagramでの視覚的発信
Instagramではよりビジュアルに訴える発信をしており、フォロワーは約1万5千人います⁵⁰。こちらでは保護犬猫の写真や地元横浜での街頭活動の様子、さらには趣味の乗馬シーンなど人柄がうかがえる投稿も混ざります。
2024年には「#命の授業」と題した子ども向け動物教室の様子を複数アップし、動物愛護啓発に努める姿が反響を呼びました。またInstagramの文章欄では、法改正の論点なども比較的詳しく説明しており、Xより長文で踏み込んだ情報発信媒体として位置付けているようです⁵¹。
著名人とのコラボレーション
SNS全体を通じて目立つのは、著名人とのコラボレーションです。例えば動物愛護活動家として知られる滝川クリステルさんが代表の基金と共同でイベントを行った際には、その様子を積極的に発信し相互にエールを交換していました⁵²。また、国会質問の動画に自ら字幕を付けて配信するなど工夫も凝らしています。
YouTubeでの動画発信
YouTubeについては、個人名の公式チャンネル「串田誠一チャンネル」を持っています⁵³。登録者数はそれほど多くなく数百人規模と推測されますが、党のボランティア有志が運営する維新議員の動画チャンネルにも彼の質問が度々アップロードされています⁵⁴⁵⁵。
特に「学校で命の授業を!串田誠一参議院議員予算委員会質疑」と題した2023年の質問動画は再生回数1万回を超え⁵⁶、動物愛護に関心の高い視聴者層に広く共有されました。
情報発信の特徴と効果
自身の発言や活動を積極的にオープンにする姿勢は、「政治家の情報発信は隠さず開示すべきだ」という維新の党風とも合致しています。加えて串田議員の場合、それが単なる自己アピールに留まらず社会啓発型の発信になっている点が特徴です。
SNS上の反響としては、「動物のためによく戦っている」「優しい視点を持った政治家」といった好意的な声が多く見られ、一方で「もっと経済や外交も発信してほしい」という指摘も散見されます。しかしながらSNS運用全般において炎上や不適切発言は見受けられず、堅実かつ有意義な情報発信に徹している印象です。
8. 公約実現度の検証
動物愛護政策の実現状況
最後に、公約と実績のギャップを検証します。串田議員が2015年以降掲げてきた公約の中で、最も実現に近づいたのは動物愛護政策でしょう。彼は「犬猫殺処分ゼロ」をライフワークに掲げ¹¹、国会内外で尽力してきました。
現状、全国の犬猫殺処分数はこの10年で大幅に減少しており、地方自治体によってはゼロを達成するところも出ています。法制度面でも2019年に動物愛護管理法が改正され、犬猫の繁殖業者への数値規制が導入されるなど前進が見られました⁴¹。
串田議員も「2019年の改正は画期的だった」と評価しつつ、次は犬猫以外の動物にも範囲を広げるべきだと主張しています⁴¹。2025年改正に向けては、動物虐待に対する緊急保護制度の創設や所有権制限といった論点が議論されており⁵⁷、これらは串田議員がまさに求めてきた措置です。
民法改正への取り組み
民法の改正(動物を「物」から除外する)については未だ実現していませんが、法務委員会での彼の度重なる訴えもあり政府内でも問題意識が高まりつつあります⁵⁸。
依然ハードルは高いものの、「動物はモノじゃない」というキャッチフレーズは確実に世論に浸透し、当初は一部の愛護団体の声に過ぎなかった要求が議論のテーブルに載るまでになりました。これは串田議員の一貫した発信と議連での調整によるところが大きく、公約実現に向けた道筋が見え始めていると言えます。
家族法制改革の進展状況
次に家族法制(夫婦別姓・共同親権・同性婚)の公約について見ると、こちらは部分的前進と課題が混在しています。選択的夫婦別姓制度は、串田議員自身は賛成でしたが¹²、自民党内の慎重論もあり法案提出に至っていません。
ただし世論調査では賛成多数との結果も出ており、2023年には与党内でも検討が始まるなど状況が変わりつつあります(串田議員は法務委員会で同制度の必要性を技術的視点から説き、理解醸成に努めました)。
共同親権についても、2022年に法務省が専門部会で議論を開始し、離婚後共同親権の方向性が取り沙汰されています。これは維新や一部与野党が推進してきたテーマで、串田議員も早くから国会で問題提起していたことが追い風になりました。
同性婚に関しては、残念ながら法改正の実現には至っていません。ただ、2023年までに全国で5つの高裁が同性婚禁止は違憲状態との司法判断を示すに至り、串田議員のように「違憲」と公言していた政治家の見解が正当性を帯びています⁵⁹。
立憲民主党などが準備する「結婚平等法案」に維新も前向きな姿勢を示しており、将来的な成立の可能性は高まりました。こうした家族法制の分野は、公約時点では実現が見通せなかったものが徐々に現実味を帯びてきた段階で、串田議員としても引き続き党内外で声を上げていく構えです。公約実現度としては「道半ば」ですが、着実に議論を前進させた点は評価できます。
経済・財政政策の取り組み
経済・財政公約については、維新の党是でもある「増税凍結・財政改革」に沿った活動を続けました。2019年の消費税率10%引き上げには野党として反対しましたが、政権与党の決定を覆すには至りませんでした。
以降、串田議員はコロナ禍での時限的減税や給付金措置などを提案し、家計支援を主張しましたが、こちらも実現した政策は限定的です。ただ、防衛費増額に伴う増税には2023年末の税制改正で歯止めがかかり、法人税・たばこ税などでの代替財源案となったことについて、維新は「増税なき財源確保」を一定評価しました⁴⁹(※石破内閣が消費税率引き下げは選択肢にしないと明言する一方で、維新など野党は減税を主張して攻防が続いています)。
串田議員個人としては、財政健全化目標と景気対策のバランスに言及し、無駄削減による歳出カットと成長戦略による税収増を両立させるべきと訴えています。これらはまだ成果が数字に表れる段階ではありませんが、公約との整合性は保たれています。
政治改革・クリーン政治の進展
最後に政治改革やクリーン政治に関して。維新が訴える「企業団体献金の禁止」や「政治資金の透明化」については法制度上大きな進展がなく、串田議員の公約も実現待ちです。2022年に政治資金規正法が一部改正されましたが(領収書の電子公開義務化・10年保存など)、野党が求める即時全面公開や企業献金禁止には至っていません⁶⁰。
串田議員自身はクリーンな資金活動を実践してきただけに、この分野の公約未達は忸怩たる思いかもしれません。ただ、世論の企業献金への厳しさは増しており、維新も党是として引き続き法改正を主張する構えです。
串田議員も地元集会で「政治とカネへの信頼回復なくして政治改革なし」と強調しており、他党議員の不祥事追及などでも厳しい姿勢を示しています。公約そのものの実現は今後の課題ながら、自ら襟を正す姿勢でまず手本を示している点は評価されます。
総合的な公約実現度評価
総じて、串田誠一議員の公約実現度は半分以上が現在進行形と言えます。動物愛護や家族法制といった長期戦のテーマでは種を蒔き、芽が出始めている段階です。
維新という改革政党の一員として、そして何より動物の命を救いたいという信念の政治家として、公約を単なるスローガンに終わらせず政策へ昇華するための地道な努力を続けている――それがこの10年の串田議員の歩みでした。今後もその活動から目が離せません。
参考資料
公式資料
- ¹ 串田誠一 - Wikipedia
- ² 串田 誠一(くしだ せいいち):参議院
- ³ 串田 誠一(くしだ せいいち):参議院
- ⁴ 串田誠一 - Wikipedia
- ⁵ 串田誠一 - Wikipedia
- ⁶ FOCUS ON Vol 7 動物愛護議連事務局次長 串田 誠一 | ARCHE! Web Journal
- ⁷ 串田 誠一(くしだ せいいち):参議院
- ⁸ 串田 誠一(くしだ せいいち):参議院
選挙・政策関連資料
- ⁹ 「明治」のYahoo!リアルタイム検索
- ¹⁰ 串田誠一(くしだ誠一) 参議院議員 on X
- ¹¹ 串田誠一 - Wikipedia
- ¹² 串田誠一 - Wikipedia
- ¹³ 串田誠一 - Wikipedia
- ¹⁴ 串田誠一 - Wikipedia
- ¹⁵ 串田誠一 - Wikipedia
- ¹⁶ 串田誠一 - Wikipedia
- ¹⁷ FOCUS ON Vol 7 動物愛護議連事務局次長 串田 誠一 | ARCHE! Web Journal
- ¹⁸ FOCUS ON Vol 7 動物愛護議連事務局次長 串田 誠一 | ARCHE! Web Journal
議会資料
- ¹⁹ 「性暴力被害者支援法案」成立を/7野党会派が共同提出
- ²⁰ 「性暴力被害者支援法案」成立を/7野党会派が共同提出
- ²¹ 衆法 第198回国会 20 青少年自然体験活動等の推進に関する法律案
- ²² 【開催報告】動物愛護管理法改正を考えるラウンドテーブル 「人と...
- ²³ 意見広告 動物愛護を中心に国会活動中 参議院議員 くしだ誠一
- ²⁴ 意見広告 動物愛護を中心に国会活動中 参議院議員 くしだ誠一
- ²⁵ 意見広告 動物愛護を中心に国会活動中 参議院議員 くしだ誠一
- ²⁶ 意見広告 動物愛護を中心に国会活動中 参議院議員 くしだ誠一
- ²⁷ あおむらさき on X
- ²⁸ 日本学術会議法案(内閣提出、衆議院送付):本会議投票結果 - 参議院
- ²⁹ 串田誠一(くしだ誠一) 参議院議員 (@KushidaOf) / X
- ³⁰ FOCUS ON Vol 7 動物愛護議連事務局次長 串田 誠一 | ARCHE! Web Journal
- ³¹ FOCUS ON Vol 7 動物愛護議連事務局次長 串田 誠一 | ARCHE! Web Journal
- ³² FOCUS ON Vol 7 動物愛護議連事務局次長 串田 誠一 | ARCHE! Web Journal
- ³³ 第198回国会 予算委員会 第13号
審議会・議員連盟関連
- ³⁴ 【開催報告】動物愛護管理法改正を考えるラウンドテーブル 「人と...
- ³⁵ 【開催報告】動物愛護管理法改正を考えるラウンドテーブル 「人と...
- ³⁶ 【開催報告】動物愛護管理法改正を考えるラウンドテーブル 「人と...
- ³⁷ 意見広告 動物愛護を中心に国会活動中 参議院議員 くしだ誠一
- ³⁸ 意見広告 動物愛護を中心に国会活動中 参議院議員 くしだ誠一
- ³⁹ くしだ 誠一|役員・議員・支部長|日本維新の会
- ⁴⁰ FOCUS ON Vol 7 動物愛護議連事務局次長 串田 誠一 | ARCHE! Web Journal
- ⁴¹ 意見広告 動物愛護を中心に国会活動中 参議院議員 くしだ誠一
- ⁴² 第198回国会 予算委員会 第13号
- ⁴³ 串田誠一 - Wikipedia
- ⁴⁴ 串田誠一 - Wikipedia
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政治資金関連
SNS・情報発信関連
- ⁴⁹ 串田誠一(くしだ誠一) 参議院議員 (@KushidaOf) / X
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- ⁵² 串田誠一(くしだ誠一) 参議院議員 on X
- ⁵³ 串田誠一(串田誠一チャンネル) - YouTube
- ⁵⁴ 外国企業は非課税?! 公平な競争を確保せよ! #串田誠一 #日本維新の会
- ⁵⁵ #くしだ誠一 #串田誠一 #日本維新の会 20230425 参議院 農林水産
- ⁵⁶ 学校で命の授業を!串田誠一参議院議員予算委員会質疑 - YouTube
公約実現度検証関連
- ⁵⁷ ゴール10「虐待死をゼロに」参議院議員 串田誠一氏×弁護士 細川
- ⁵⁸ 動物をモノではないと法改正したがらない理由
- ⁵⁹ FOCUS ON Vol 7 動物愛護議連事務局次長 串田 誠一 | ARCHE! Web Journal
- ⁶⁰ 民法改正によって日本の動物愛護・動物福祉を | 寄付で拡げる犬猫の幸せ Animal Donation
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。