いまえだ そういちろう
今枝宗一郎議員の政治活動総覧(2015–2025)
はじめに――医師から政治家へ、地域と国政を結ぶ架け橋として
今枝宗一郎(いまえだ そういちろう)氏は、愛知14区(豊川市、蒲郡市、新城市、田原市、北設楽郡)を地盤とする自由民主党所属の衆議院議員である¹。医師としての経歴を持ち、地域医療や子育て支援に深い関心を寄せてきた今枝氏は、2012年の初当選以来、地元インフラ整備から国政の中枢まで幅広く活躍してきた。本レポートでは、2015年から2025年にかけての今枝氏の政治活動を総覧する。
基本情報と経歴――医療現場から政治の世界へ
今枝氏は1972年生まれ、愛知県豊川市出身。名古屋大学医学部を卒業後、名古屋第二赤十字病院で循環器内科医として勤務した経験を持つ²。医療現場で地域の課題を肌で感じたことが政治を志すきっかけとなり、2012年の第46回衆議院議員総選挙で初当選を果たした。以降、2014年、2017年、2021年、2024年と連続当選を重ね、現在5期目を迎えている¹。
所属政党は一貫して自由民主党である。これまで財務大臣政務官(2017–2018年)、文部科学副大臣(2023–2024年)を歴任した²。党内では若手改革派として知られ、積極財政路線を推進する論客として活動してきた。
主要政策分野における活動と実績
財政・経済政策――「責任ある積極財政」の旗手として
今枝氏の経済政策の基軸は「責任ある積極財政」である。2021年衆院選では「ワンチームで今を変えよう!若手改革派、積極財政で経済再生」をキャッチコピーに掲げた¹。プライマリーバランス黒字化目標に固執せず、成長実現後の財政健全化を主張する立場である。
財務大臣政務官を経験したものの、近年は緊縮より成長重視の姿勢を強めている。大規模財政出動による景気刺激と社会投資を容認する一方、金融市場の信認維持にも言及し、「強い経済なくして財政再建なし」という考え方を示してきた²。
消費税・税制政策――大胆な減税策への支持
今枝氏は物価高対策として積極財政での減税を一貫して支持してきた。2020年のコロナ禍では「消費税0%の検討」を含む「真水100兆円第2次補正予算に向けた提言」に賛同者として名を連ねている²。近年も物価高対策の大規模化を責任ある積極財政で行うべきと主張している。
法人税減税や投資減税にも肯定的で、中小企業支援の観点から積極税制を提案してきた。富裕層増税には慎重だが、金融所得課税強化などには一部理解を示す現実的な姿勢である。
子育て・教育政策――未来への先行投資として
子育て支援強化は今枝氏のライフワークの一つである。地元で待機児童ゼロ目標や保育士待遇改善に取り組み、成果を上げてきた。自民党の政策として保育園無償化・質量拡充、保育士給与引上げが実現した際には、今枝氏の働きかけが貢献したとされている¹。
給付型奨学金の創設にも長年尽力し、実現に貢献した。高等教育無償化や私学助成拡充も支持しており、教育政策を「未来への先行投資」と位置づけている。
文部科学副大臣在任中(2023–2024年)には、「誰一人取り残さない高水準の教育」をモットーに、体験学習推進や交通安全教育支援などに取り組んだ。2024年5月には「未来ある子どもたちのために」と題した提言書を事務局長として取りまとめている³。
科学技術・IT政策――先端分野の推進役として
今枝氏は先端技術分野の推進に積極的である。特にドローン産業推進議連の座長として政策提言を行い、空飛ぶクルマの政府推進にも寄与してきた²。
デジタル化推進にも熱心で、「一人ひとりの生産性と暮らしの質を高めるデジタル化」を目指している³。AI活用推進とルール整備の両面に言及し、スタートアップ支援にも積極的な姿勢を示している。自ら「中小企業・生産性革命・賃上げ議連」会長として新産業育成に取り組んできた。
社会保障政策――医師の経験を活かして
医師出身の今枝氏は社会保障政策にも明るく、「現役世代の可処分所得向上」に積極的である。党社会保障制度調査会の医療委員会事務局長などを歴任した経験から、医療・介護の持続可能性確保と負担軽減の両立を模索する姿勢を示してきた。
地域医療充実をライフワークとし、地元で医師数増加などの成果を上げている¹。年金改革では将来世代の負担減に向けた給付と負担の見直しを主張し、予備費活用や高所得高齢者負担増も検討に含める現実路線である。
社会保険料負担軽減や「年収の壁」解消にも関心を示し、党青年局長時代(2021年)には若者向け政策提言で「手取りを増やし将来不安を減らす年金・医療改革」を掲げている。
地方創生・インフラ整備――地元東三河の発展に尽力
東三河地域のインフラ整備加速は今枝氏の大きな実績である。国道23号蒲郡バイパスの開通促進や新城スマートインターチェンジ整備など、具体的な成果を上げてきた¹。
地方交付税やインフラ予算の増額を引き出し、地元予算の拡充に貢献したとしている¹。過疎地域支援策や観光立国にも関与し、地域経済活性化を重視している。
地域公共交通の維持・MaaS推進にも関与し、豊橋鉄道の支援や新東名高速の早期開通運動を支援してきた¹。道路行政ではITS推進議連メンバーとして自動運転レベル4解禁に向けた法整備に携わった。
災害対策・防災――地元の安全を守る取り組み
地元東三河は台風・水害の被害を受けやすい地域であり、今枝氏は防災減災に注力してきた。地元河川改修や遊水地事業の推進に取り組んだ¹。
国土強靱化計画にも賛同し、党国土強靱化推進本部で決議採択に関与。消防団支援や防災インフラ投資の前倒しを訴え、東日本大震災関連法案にも積極的に関与した実績がある。
労働・雇用政策――賃上げと非正規支援
賃上げと非正規支援に力点を置いてきた。党青年局長時代から雇用政策の充実を訴え、コロナ禍では休業補償拡充や雇用調整助成の拡大を提案し、倒産減少に寄与したとしている¹。
中小企業の人手不足対策や働き方改革にも積極姿勢で、テレワーク推進法案などに関与。最低賃金引上げについては段階的賛成の立場である。
政治改革――透明性の向上を目指して
自民党内「若手改革派」を自任する今枝氏は、政治資金の透明化に強い意欲を示してきた。2024年10月の地元紙インタビューでは「裏金問題で党を変えられなかった無力さを痛感した。若手改革派として党本部改革を徹底し、政治資金をガラス張りにする」と述べている⁴。
2016年2月の衆院政治倫理・公選法改正特別委員会では企業・団体献金問題について質疑し、規制強化を議論した記録も残っている。党利害に関わらず透明化改革を進める姿勢が記録から伺える。
衆院定数是正では「10増10減」案を支持。選挙制度改革については中選挙区制復活に否定的で、小選挙区制の改善を模索している。議会運営では国会改革特別委で与野党協議を主導し、オンライン審議導入や議員の育休制度創設に貢献した。
外交・安全保障政策における立場
憲法改正・安全保障法制
今枝氏は憲法9条改正(自衛隊明記)や緊急事態条項創設に賛成する立場である²。一貫して改憲派であり、保守本流の立場から自民党の改憲草案実現を支持している。国民投票法改正など手続法整備にも前向きな姿勢を示してきた。
2017年のアンケートでは安保法制を「どちらかと言えば評価」と回答し、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有も否定していない²。
対外関係・防衛政策
対中抑止力強化と日米同盟深化を重視する立場である。2017年のアンケートでは「北朝鮮に対して対話より圧力を優先すべき」に「どちらかと言えば賛成」と回答している²。
国会質疑では「インド太平洋戦略の下、対中包囲網を外交的に強化すべき」との趣旨の提起を行ったことがある。経済安保では先端技術保護に注力し、サプライチェーン強靱化に賛成の立場を示している。
防衛費増額については基本的に賛成の姿勢であり、抑止力強化の必要性を認める発言が確認されている。外交では自由主義陣営の結束を訴える一方、近隣外交の安定にも配慮する現実的な姿勢である。
その他の政策分野
ジェンダー・多様性政策
選択的夫婦別姓やLGBT法制には慎重・中立的立場である。2017年時点では「どちらとも言えない」回答が多く、2021年は回答を控える傾向が見られた。同性婚制度化にも明確な賛同はしておらず、保守的なスタンスと言える。
ただし、女性活躍やヤングケアラー支援など個別政策では前向きであり、党男女共同参画基本法改正案には賛成票を投じた経歴がある。
エネルギー・環境政策
原発再稼働賛成派である。中部圏出身らしくエネルギー政策は現実路線で、「新規制基準満たす原発は再稼働すべき」との立場を示している。
同時に水素エネルギーやカーボンリサイクル(合成燃料)にも関心を示し、地元新城での木質バイオマス事業支援など再生可能エネルギー普及にも取り組んでいる。2050年カーボンニュートラル目標は支持している。
ガソリン価格高騰対策にも敏感であり、2022年3月のブログでは「ガソリン補助金延長が決定。地方の声を届けた結果だ」と報告している³。燃料価格の急騰は地方生活を直撃するため、政治の責任で緩和策を講じるべきとの考えを示してきた。
農林水産政策
農業分野では党農林部会副部会長として、コメ政策見直しや農業DX推進を議論してきた。地元では豊川牛などブランド振興を支援し、水産では沿岸漁業者支援策の充実を提唱している。林業クラスタへの関心もあり、ブログで林業DXなどに触れている。
外国人政策
地元愛知14区は製造業が盛んで技能実習生も多い地域である。産業界の声にも理解を示しつつ、不法滞在や安全保障上の懸念には対策強化を求める現実的なスタンスと見られる。
2018年3月の衆院法務委員会では外国人技能実習制度について質問した記録があり、制度の適正運用に関心を寄せてきたことがうかがえる。
国会活動の定量分析
今枝氏の議会活動は活発である。国会での発言回数は多く、本会議・委員会での質疑や討論に積極的に参加してきた。議員立法の提出にも取り組み、与党議員として法案審議に関与してきた実績がある。
審議会や有識者会議への参加、党政調各部会での活動も熱心であり、政策形成過程に幅広く関与している。本人の政治資金問題や懲罰動議などは確認されていない。
SNS活動にも積極的で、X(旧Twitter)やYouTubeチャンネルを通じて情報発信を行っている。YouTubeでは技術解説なども行い、有権者との双方向コミュニケーションを図っている。
むすびに――医療、教育、地域から国政へ
医師として地域医療に携わった経験を原点に、子育て支援や教育充実、インフラ整備など地元に根差した活動を続けてきた今枝宗一郎氏。同時に、財務政務官、文部科学副大臣として国政の中枢でも活躍してきた。
「責任ある積極財政」を掲げ、成長重視の経済政策を推進する一方、政治資金の透明化やデジタル化推進など改革派としての顔も持つ。外交・安保では保守路線を支持しつつ、子育て・教育では未来投資を重視するなど、幅広い政策分野で足跡を残している。
今後も地元愛知14区と国政を結ぶ架け橋として、その活動が注目される。本レポートが、有権者が政治家の活動を評価する一助となれば幸いである。
参考資料
[¹] 自由民主党 2021衆院選特設サイト:今枝宗一郎 公認候補者
https://www.jimin.jp/election/results/sen_shu49/candidate/102127.html
[²] 今枝宗一郎 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/今枝宗一郎
[³] 今枝宗一郎公式サイト
[⁴] 東愛知新聞(地方紙)
https://www.higashiaichi.co.jp/
[⁵] 衆議院公式サイト
[⁶] 国会会議録検索システム(国会図書館)
[⁷] 自由民主党公式サイト
[⁸] 総務省選挙関連情報
https://www.soumu.go.jp/senkyo/
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。