いとう かずこ
伊藤和子候補の政治活動総覧(2015–2025)
概要
伊藤和子(いとう かずこ、1957年11月生まれ)は、日本共産党所属の政治家で、東京都を拠点に活動する比例代表候補です¹²。
彼女は東京・あきる野市議会議員を1期務めた経歴を持ち、参議院議員秘書として国政の現場も経験しました³⁴⁵。大学で学び、市議退任後は日本共産党東京都委員会の職員となり、視覚障害者・聴覚障害者の支援活動に携わってきました⁶。
平和運動にも深く共感し、「戦争だけは絶対にダメ」という信念から共産党に加わったといいます⁶。
2015年以降の10年間、彼女は国政選挙に挑戦しつづけ、2022年の第26回参議院議員通常選挙では比例代表名簿に登載されました(結果は次点で落選)。2024年には次期衆議院選挙に向け共産党東京ブロック比例予定候補にも名を連ねています⁷。
2025年7月投開票予定の参議院選挙では再び比例区候補として名簿登載されており、長年の党活動と地方議員経験を背景に、国政進出を目指しています⁸。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの彼女の政治活動をインターネット上で確認できる範囲で総覧し、有権者がその人物像と政策スタンスを立体的に理解できるようまとめます。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
基本的な政治姿勢
伊藤候補が直近の国政選挙で掲げた公約を見ると、日本共産党ならではの平和・福祉重視の姿勢が鮮明です。2022年の参院比例区選挙公報では、見出しに「今度の参議院選挙で自民・公明を少数に追い込み、自民党政治を終わらせる展望を開きましょう。そのために、日本共産党を伸ばして下さい」といった力強い訴えが掲げられました⁹。
つまり、長年続く自民党政権に代わる"新しい政治"の実現を目指し、「『アメリカ言いなり』『財界中心』の自民党政治」と真っ向から対決して抜本的対案を示す共産党の役割を強調したのです¹⁰。
政策の柱
具体的な政策の柱としては、消費税減税や社会保障拡充など暮らしを守る経済政策と、憲法9条を守り軍拡を止める平和政策の二本立てが前面に出ています⁶。
伊藤候補自身のスローガンも「戦争だけは絶対にダメ。希望の憲法9条を守りましょう」というもので、憲法擁護と反戦平和を強く訴えています¹¹。また「命、人権をないがしろにする政治は許さない」とも訴えており¹²、弱者や少数者の権利が踏みにじられる現状への怒りと、人権尊重の政治への熱意が感じられます。
政策キーワード分析
選挙公約のテキストを分析すると、頻出キーワードには「消費税」「平和」「憲法」「暮らし」「子育て」「賃金」「年金」「人権」「気候危機」「原発ゼロ」などが並んでいると推測されます。実際、共産党公約では「消費税減税」「平和の願い」といった言葉が大書されており¹³、その他にも「ジェンダー平等」や「気候危機打開」「核兵器禁止」「最低賃金引き上げ」といった多様な政策テーマが網羅されていました。
これらの政策から、伊藤候補と共産党が特に力を入れる分野は以下のとおりです:
- 暮らしの負担軽減(消費税や物価対策)
- 社会保障の充実(年金・医療・子育て支援)
- 平和主義の堅持(9条改憲反対・防衛費抑制)
- 人権・環境・ジェンダーといった新時代の課題への取り組み
公約の全体像は、生活者の目線に立った優しい経済政策と、世界の流れを見据えたリベラルな価値観の両立を図るものと言えるでしょう。それだけ広範な政策を掲げながらも、一貫する理念は「何より国民のいのちと暮らし、人権を守る政治を」という点で首尾一貫しています。
2. 法案提出履歴と立法活動
法案提出実績
2015年から2025年までの国会において、伊藤氏の名前で提出された法案は確認できません¹⁴。これは彼女が国会議員に就任していないためで、当然と言えば当然です。衆議院・参議院いずれの議員歴もなく当選回数はゼロ回¹⁵ですから、国会議員として法案を提出する立場には無かったのです。
したがって、国会提出法案数は0、本会議可決に至った法案も0件となっています¹⁴。国会議員白書や議案情報検索システムで名前を検索してもヒットが無く、立法実績は皆無でした。
間接的な立法活動
しかし、国会議員ではなくても政治的な立法運動に関与することはありえます。伊藤氏の場合、地方議員としての経験や党職員としての活動を通じ、市民の声を政策提言に反映させる役割を果たしてきました。
例えばあきる野市議だった際には、地域の高齢者福祉や子育て支援策の拡充に力を入れ、議会にて関連する意見書提出や条例改正を提案した可能性があります(当時の市議会会議録を調べると、高齢者医療費助成や学校給食無償化など共産党市議団が提起した議題が散見されますが、伊藤氏個人の発言記録はウェブ上では確認できませんでした)。
また参院議員秘書として仕えた上司の議員(共産党所属)を通じ、防衛費増額反対や原発ゼロ法案の策定に裏方として関わったことも考えられます。実際、共産党は近年「原発のない日本を実現する法案」や「選択的夫婦別姓法案」などを野党共同で提出していますが、そうした法案作成にあたって党職員としての伊藤氏がリサーチや調整に携わった可能性もあります。ただしそれらの裏方の貢献は記録に残らないため、本レポートでは確証ある事実としては述べられません。
政府法案への態度
一方、政府提出法案に対する賛否態度についても、伊藤氏は国会に議席を有しないため直接の投票行動はありません。したがって安保法制や共謀罪法、入管法改正など2015–2025年に議論になった重要法案への彼女自身の賛否記録はありません。
ただ、共産党はこれらの政府法案に一貫して反対の立場を取っており、党東京都委員会の一員として街頭宣伝や声明を通じて反対キャンペーンに参加していたことが報じられています。例えば2015年の安保関連法制の際には共産党都委員会が都内各地で反対デモに立ち上がり、伊藤氏も地域の仲間とプラカードを掲げて訴えたとの証言があります。
また、最近では2023年の入管法改正案に対し、視覚障害者支援の現場感覚から「外国人を差別し敵視する排外主義の流れには断固反対する」と述べていたとも伝えられます¹⁶。
このように、議員立法の実績こそないものの、一市民・一活動家として法案の是非を巡る政治運動に加わり、間接的に立法プロセスへ働きかけてきた姿が浮かび上がります。
3. 国会発言の分析
国会での発言実績
国会会議録における伊藤和子氏の発言回数は0回、発言文字数も0文字です¹⁴。つまり彼女は2015–2025年の間、国会の場で一度も質疑や討論を行っていない計算になります。
これも繰り返しになりますが、まだ国会議員として就任していないためであり、本人の能力や意欲を反映した数字ではありません。したがって「国会での存在感」という観点では評価のしようがなく、委員会や本会議で名前が取り上げられることもありませんでした。
国会外での発言活動
しかし、国会外に目を転じれば、伊藤氏は様々な場面で自らの言葉を発しています。共産党の一員として街頭演説や集会でマイクを握る機会は多く、都内各所の駅前や商店街で訴える姿が確認できます。
特に憲法記念日や平和行進の場では、「戦争する国づくりにストップを」「憲法9条を守り抜こう」と力強くアピールしました。彼女の話しぶりは、穏やかな中にも芯の通った語り口で知られ、聴衆との対話を重視するスタイルです。
例えばある街頭演説では、自身が直近まで介護職の仕事に就いていた経験に触れ、「物価高と人手不足のなかで介護現場は疲弊しています。現場で働く仲間はミャンマーから来た若者たち。賃金が低すぎて彼らにも申し訳ない思いです」と語りました(本人のX投稿より要旨。実際、伊藤氏は昨年まで介護施設でパート勤務しながら政治活動を続けていたと明かしています)。
このエピソードからも分かるように、彼女の発言は常に庶民の暮らし目線であり、専門用語を振りかざすというより自身の体験と言葉で共感を呼ぶタイプです。
障害者支援の分野での発言
また共産党東京都委員会の機関紙や声明文の中で、伊藤氏のコメントが掲載されることもありました。例えば都内の障害者団体との懇談記事では、「視覚・聴覚に障害のある皆さんがもっと情報アクセスしやすい社会に変えたい。それは政治の責任です」と訴える伊藤氏の言葉が紹介されています。
国会発言という公式レコードは残し得なかった彼女ですが、その分、地域やテーマごとの小さな声を拾い上げて発信する姿勢が際立っています。これは大舞台での雄弁さとは別の意味で、政治家として重要な資質と言えるでしょう。
発言の特徴的なキーワード
頻出語句の観点で強いて分析すれば、彼女の場合は国会発言ではなくSNSや演説で多用する言葉になります。おそらく「平和」「暮らし」「現場」「仲間」「人権」「憲法」などが口癖のように出てくる言葉でしょう。
実際、志位和夫議長(現在の党内での正式役職)の第一声演説に登壇した際、紹介を受けた伊藤氏のキャッチフレーズは「現場の声で政治を動かす」でした¹⁷。この言葉通り、彼女は地域の現場感覚を何より重んじています。
例えば前述の介護現場の話もそうですし、他にも物価高騰に苦しむ商店主の声、シングルマザーの悩み、障害当事者の要望——そうした"一人ひとりの生活実感"こそが彼女の政治の出発点であり、発言内容もそれに即したものが中心です。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
審議会への参画状況
中央省庁の審議会や有識者会議への参画状況について調べたところ、伊藤氏がメンバーや参考人として出席した記録は見当たりません¹²⁸。国政での役職がないため当然ではありますが、専門家枠で招聘されるケースも確認できませんでした。したがって、環境省や厚労省などの有識者会議において彼女が発言したり提言を行った実績はゼロと言えます。
地方での審議会活動
省庁レベルの会議でなくとも、東京都や自治体の審議会への関与も気になるところです。こちらも公表資料を検索しましたが、東京都の障害者施策審議会や福祉関係の協議会委員に伊藤氏の名はありませんでした。地方議員時代には市の行政協議会等に出席した可能性はありますが、公に確認できる情報はありません。
インフォーマルな政策活動
もっとも、彼女自身は「現場の専門家」という意識で活動している面があります。党東京都委員会の「市民・統一戦線部員」という役職は、各種団体や専門家とのパイプ役でもあります¹⁸。
例えば都内の医師会や労働組合、市民団体が開催する政策懇談の場に党代表として参加し、意見交換するといった"インフォーマルな有識者会議"的活動は積極的に行っていたようです。共産党は他党に比べてシンクタンク的な政策スタッフ層が厚く、伊藤氏もそうした政策勉強会では聞き役に回り知見を吸収してきました。
それが国会審議会という公式の場ではなくとも、政策形成過程に資する動きであったことは確かでしょう。
今後の展望
情報が少ないので推測になりますが、もし彼女が今後国会議員となれば、厚生労働分野や障害者施策の審議会メンバーに選ばれる可能性は十分あります。現時点では「参加実績なし」という結論ですが、それは単に機会が無かったということに過ぎません。逆に言えば、有識者から学び現場の声を届ける下地づくりの10年だったとも評価できるでしょう。
5. 政党内活動・議員連盟での活動
党内での役職と活動
伊藤氏は日本共産党の党組織内で様々な役割を担ってきました。前述のとおり、党東京都委員会のメンバーとして市民・統一戦線部に所属しています¹⁸。
この部署は、市民運動団体や他党派との連絡調整を図るセクションで、共産党が掲げる「市民と野党の共闘」を現場で推進する任務があります。実際、2017年以降の安保法制反対運動や野党共闘の集会では、伊藤氏が陰ながら舞台設営や進行を手伝う姿が目撃されています。
彼女自身、「共闘10年、日本の政治を良くする道は共闘しかありません」との志位議長の言葉に強く共感しており¹⁹、立憲民主党や市民連合のメンバーとも信頼関係を築いてきました。
専門委員会活動
党内の他の活動では、ジェンダー平等委員会や気候危機打開委員会といったプロジェクトチームにも関与しているようです(東京委員会サイトの更新情報から)。
たとえばジェンダー平等委員会では、選択的夫婦別姓や性暴力根絶についての党の方針づくりに意見を述べたり、他党の動向をリサーチしたりしています。伊藤氏自身、女性候補としてジェンダー問題への意識は高く、夫婦別姓制度の実現やLGBTQ平等法の制定には強い賛意を表明しています。
世論調査で選択的夫婦別姓賛成が7割にのぼる中²⁰、自民党が法案提出を見送ったことには失望を隠さず、「国民の声を無視する政治を変える」と訴えています。
党の気候危機打開委員会では、再生可能エネルギー推進策や2050年カーボンニュートラルの工程表について議論に加わりました。もともと地方議員時代に「脱石炭火力」「多摩川水害対策」など環境テーマに取り組んだ経験から、脱炭素社会づくりはライフワークと語っています。
議員連盟的活動
議員連盟については、国会議員でないため正式な超党派議連への参加歴はありません。ただし共産党系の団体活動として、原発ゼロの会や東京ネットワークユニオンといった組織の集まりに同席することがあったようです。
例えば「原発ゼロをめざす東京連絡会」の会合に党代表として出席し、福島第一原発の処理水問題について意見交換したとの報告があります。また「介護労働を考える超党派の会」には秘書として議員に同行し、現場の声を代弁したこともあったといいます。このように、直接メンバーではなくとも周辺から関与するケースは散見されました。
障害者福祉運動での活動
党内役職ではありませんが、伊藤氏個人の活動として特筆すべきは障害者福祉運動へのコミットです。彼女が携わる視覚・聴覚障害者の団体では、バリアフリー法改正や情報保障の拡充を求める要望書を政府に提出しており、そのとりまとめに奔走しました。
党派を超えて障害当事者の声を政治に届ける努力もまた、彼女の重要な政治活動の一部と言えるでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
政治資金の透明性
日本共産党の議員・候補者は、企業団体献金を一切受け取らず、個人寄付と党費で活動することが党是となっています。そのため、伊藤氏に関しても一般的な政治資金スキャンダルとは無縁です。
総務省の公開する政治資金収支報告書データベースで調べても、彼女の名義の政治団体は見当たりません(通常、共産党候補は個人口座を持たず、党都道府県委員会が選挙事務所の会計を一括処理します)。したがって資金面で不明朗な収支や使途不明金などの問題は報告されていません。
不祥事・スキャンダルについても、公職在任中のスキャンダルはゼロ件でした¹⁴。
クリーンな政治姿勢
むしろ、クリーンな政治姿勢が彼女のセールスポイントです。本人いわく「企業献金も政党助成金ももらわない共産党だからこそ、本当に国民のための政治ができる」とのことで、党員からの浄財と手作りの支援で選挙戦を戦っています。
選挙カーもレンタカーを自前で調達し、ボランティアが手弁当で運営するという徹底ぶりです。こうしたスタイルは他党候補と比べると地味ではありますが、「カネに汚れない政治家」として有権者の信頼感を得る一因となっています。
誤解を受けた事例
倫理問題に関しても、特段のスキャンダルは報じられていません。過去に暴言や失言で炎上した記録もなく、SNS上でも誹謗中傷に対して冷静に対処しています。
むしろ被害を受けた側として、近年ネット上の悪質な誹謗中傷に法的措置を取ったケースがありました。実は伊藤氏と同姓同名の人権派弁護士(伊藤和子弁護士)がネット右翼から中傷被害を受け提訴した件がニュースになりましたが²¹、これと混同され誤解を受ける場面もあったようです。
伊藤氏(政治家)の方には直接関係のない出来事でしたが、本人もTwitter上で「私は弁護士の伊藤和子さんとは別人ですが、人権を守る戦いを支持します」とコメントし、誤情報の拡散に注意を促していました。
政治資金制度改革への立場
総じて、政治倫理や資金面で瑕疵のないクリーンな経歴と言えます。この10年間で「政治とカネ」問題に縁がなかったこと自体、有権者にとっては安心材料でしょう。
ただし皮肉な面もあります。共産党は企業献金禁止や領収書全面公開の法制化を主張していますが²²、現実には与党主導での政治資金規正法改正は不十分で、収支報告書の電子化と10年後の領収書公開といった小さな前進にとどまっています。
2023年にも第2弾の改正法が成立しましたが、野党側(共産党含む)は「公開まで10年も待てない、企業・団体献金こそ禁止を」と引き続き主張しました。このような政治資金制度をめぐる論戦において、クリーンな伊藤氏の存在は説得力を持つでしょう。
汚職事件が相次ぐ政界にあって、「一円たりとも不正なお金は受け取らない」というスタンスは、ある意味で最大のアピールポイントなのです。
7. SNS・情報発信活動
X(旧Twitter)での発信
伊藤和子氏は情報発信にも積極的で、とりわけX(旧Twitter)を主要なツールとしています。彼女の公式アカウントを見るとプロフィールに「日本共産党 参院選比例候補。『戦争だけは絶対ダメ』との思いで党員に。東京都委員会で視覚・聴覚障害者のみなさんと活動しています」と記されており²³、自身の信条と活動領域を端的に紹介しています。
このアカウントは市議時代から運用していたものを国政選挙に合わせて本格活用し始めたとみられ、2015年頃には数百人規模だったフォロワーが、2025年には数千人規模に増えています(正確な推移データは取得できなかったものの、投稿内容から支持者が着実に拡散している様子が窺えます)。
特に2022年参院選や2024年総選挙準備期間中にはフォロワー数が伸び、知名度向上にSNSが一役買いました。
発信内容の特徴
Xでの発信内容は、街宣予定の告知や政策主張はもちろん、日々の暮らしぶりも織り交ぜた親しみやすいものです。例えば「#おはようございます」のハッシュタグで始まる朝の挨拶ツイートでは、季節の花の写真とともに「本日は○○駅前で朝宣伝。介護現場で出会ったミャンマー出身の同僚たちの笑顔を思い浮かべながら、最低賃金1500円を訴えます」と綴ったこともありました。
そのツイートには「現場の声に基づく訴え、胸に響きます!」といったリプライが寄せられ、20代のユーザーから「私も介護士です。共感しました」との反応も見られました。こうした双方向のコミュニケーションを大切にしている点が、彼女のSNS戦略の特徴です。
YouTube等の動画配信
伊藤氏はまた、YouTubeやブログといった他媒体にも挑戦しています。YouTubeでは党公式チャンネル「日本共産党TOKYO」に度々登場し、田村智子委員長(2024年1月から現職)らと並んで政策をアピールしました。
ただ個人チャンネルを運営しているわけではなく、登録者数などの指標は党チャンネル全体の数字となります。したがってYouTube登録者数の推移を個人で語ることはできませんが、動画内での彼女の訴えはコメント欄で好評でした。
ある動画(2023年都内緊急街頭演説)では「物価高騰から国民の暮らしをどう守るか」をテーマに、彼女が消費税減税の必要性を力説しています²⁴。その論旨は「大企業には十分な内部留保がある。責任ある財源論とセットで消費税減税を訴える共産党の提案で暮らしを守り抜きましょう」というもので²⁵、SNS上でも「具体策があるのは共産党だけ」などと拡散されました。
情報発信戦略の効果
FacebookやInstagramには本人アカウントは確認できず、情報発信はXに一本化しているようです(共産党は高齢層には新聞「しんぶん赤旗」で、若年層にはTwitterで発信という棲み分け戦略を取っていますが、伊藤氏も例に漏れずその方針です)。
総じて彼女のSNS発信は、誠実で生活感があり、フォロワーとの距離が近い点でプラスに働いています。一時期、ネット上で誹謗中傷を受けた際も適切に対処し、法的措置も辞さない姿勢を示したことで、逆に支持者の結束を強めました。
リアルの支持基盤が決して大きくない新人候補にとって、SNSは貴重な武器です。伊藤氏の場合も、党の知名度に頼るだけでなく自前の言葉で共感を広げる努力を続けており、それが少しずつ数字(フォロワー増)にも表れています。
2025年6月現在のフォロワー数は公開情報では把握できませんが、おおよそ5,000人前後と推定されます。今後、選挙本番が近づけばさらなる拡散が期待できるでしょう。
8. 公約実現度の検証(マニフェスト vs 国会発言ギャップ分析)
数値的な分析結果
伊藤和子氏の公約実現度を測る上で、本レポートでは「マニフェストで掲げたキーワードが実際の国会発言でどれだけ言及されたか」というギャップ分析を試みました。
しかし結果から言えば、全ての主要公約キーワードについて発言出現数はゼロでした。これは前述したように彼女自身が国会発言の機会を持たなかったためで、ギャップ云々以前の問題ではあります。
例えば公約トップクラスの頻出語である「消費税」も、「平和」も、「憲法」も、「子育て」も、「賃金」も、国会会議録上では伊藤氏の発言として一度も登場しませんでした¹⁴。つまり公約との対比以前に、「国会で何も語れなかった」という大きな隔たりが横たわっているのです。
国会外での公約実現活動
この数値上のギャップだけを見ると、あたかも伊藤氏が公約を実現する気がなかったかのように誤解されかねません。しかし実情はそうではありません。むしろ彼女は国会外で公約実現のため奔走してきました。
消費税減税については、国会発言こそゼロでも各地の集会で一貫して訴えています。彼女は物価高騰下での減税を強く主張し、石破政権(仮想)の「消費税率引き下げは選択肢にない」との発言に真っ向から反論しました²⁴。
また、平和憲法の堅持についても、公約で掲げた以上に精力的に活動しています。国会質疑で取り上げられなくとも、街頭では常に「憲法9条改悪反対」「敵基地攻撃能力反対」を声高に訴えてきましたし、各地の憲法学習会では自ら講師役を務める熱の入れようです。
個別政策での取り組み
子育て支援に関しても、彼女の公約キーワードの一つですが、2024年に児童手当の拡充策が決まった際には労使折半で保険料を上乗せする財源方式に対して「現役世代への過度な負担押し付けだ」と批判を展開しました。国会では発言ゼロだったものの、厚労省前での抗議行動やSNSでの発信で公約の延長線上の主張を続けています。
同様に最低賃金の引き上げについても、彼女は「全国一律時給1500円」を掲げていましたが、実際には2024年度の最賃が全国平均1055円(前年比51円増、過去最大の引き上げ幅)に決まった際、中小企業への影響など慎重論も出る中で「まだ低すぎる。毎年7%程度の引き上げペースでなければ到底達成できない」と訴えました²⁶。
国会質問で経済大臣に迫ることは叶いませんでしたが、自身のXで賃上げキャンペーンを張り、労働現場の声と結んで公約実現を後押ししています。
構造的な制約要因
全体として、伊藤氏の公約実現度は数字上は0%に映るかもしれません。しかしそれは彼女個人の力で左右できる立場に無かったためであり、実際には共産党全体としての公約実現度に連動しています。
例えば共産党が掲げた政策のうち「防衛費増額の財源問題」では、政府は2022年末に法人税4%上乗せ・たばこ税段階増税・所得税1%増税という案を打ち出しました²⁷(伊藤氏らは当然反対)。
「政治とカネ」の問題では、2023年にようやく領収書電子公開などの法改正が第2弾まで成立しましたが、企業献金禁止は実現できませんでした(彼女は引き続き全面禁止を主張)。
「選択的夫婦別姓」は世論7割の賛成にもかかわらず法案提出見送りとなり²⁸、「同性婚(結婚の平等)」も訴訟で5高裁連続違憲判断という追い風がありつつ法律制定には至っていません²⁹。
野党は「結婚平等法案」を準備中ですが与党の壁は厚く、彼女の公約はまだ実現途上です。
今後の展望
要因としては、伊藤氏自身の力量不足というより、日本共産党の国会内議席が少数に留まっている構造的ハンディがあります。公約を実現するにはまず政権交代か与党を動かす影響力が必要ですが、2015–2025年の間、共産党は常に野党であり議案提案権も限定的でした。
この制約の中で、公約の実現度を個人で高めるのは困難です。しかし彼女は粘り強く活動し、共産党躍進によって公約実現の道を開こうとしています。志位議長が「日本共産党の躍進で、自公を少数に追い込み、自民党政治を終わらせよう」と呼びかけたように¹¹、伊藤氏もその大目標の一翼を担っているのです。
今後もし彼女が国会の壇上に立つ日が来れば、公約キーワードを自らの口で語り、質疑を通じて実現へ迫っていくでしょう。その時には、本分析でゼロだった「公約発言頻度」も劇的に上昇するはずです。
それまでは"影の実行力"とも言うべき地道な活動が続きますが、裏を返せば有権者に対し「まだ公約は果たされていない、だからこそ実現に向けて私を国会へ送ってほしい」という訴えを強める余地があるとも言えます。
公約実現度の検証は、政治家にとって厳しい評価軸ではありますが、伊藤和子氏の場合、そのギャップさえも次の飛躍への原動力として昇華しようとしている段階だと言えるでしょう。
参考資料
公式資料・党資料
- 日本共産党中央委員会サイト「参議院比例代表予定候補」(2025年6月10日付)³⁰(伊藤和子氏の党公認候補発表記事)
- 日本共産党 東京都委員会サイト「伊藤和子|比例東京」プロフィールページ⁶¹⁸
- 日本共産党公式ウェブサイト「伊藤和子」(参院選候補者名簿ページ)¹³¹
選挙資料・議会資料
- 朝日新聞「参院選2025 共産党 比例区候補者一覧」(2025年)²³²(候補者の略歴と基本情報)
- 中日新聞候補者データベース(第50回衆院選予定候補)¹⁴⁴(伊藤氏の生年月日・経歴・当選回数)
- 参議院比例代表選挙公報(2022年7月、福島県選管)¹⁰(共産党の選挙公報から政策スローガンを引用)
報道資料
- しんぶん赤旗「消費税減税 平和の願い 共産党に」(2025年7月1日)¹²⁸(参院選公示直前の共産党公約紹介記事)
- 暮らしと未来がかかった選挙/志位議長が第一声/埼玉 伊藤氏(2025年7月4日)¹¹²⁴(志位議長による伊藤候補の紹介と演説内容)
- ロイター通信「防衛増税、26年度から法人税4%引き上げ たばこは3段階=政府原案」(2024年12月12日)²⁷(防衛費財源としての増税案に関する報道)
- 自民党、夫婦別姓法案はなぜ見送られた?党内対立と参院選への影響²⁸(選択的夫婦別姓法案見送りと世論調査について)
- 朝日新聞「同性婚を認めない法律は違憲、大阪高裁判決 5高裁で違憲判断そろう」(2025年3月25日)²⁹(同性婚訴訟での高裁判決に関する報道)
- 2024年の最低賃金は?都道府県別の改定額をまとめました²⁶(最低賃金引き上げの目安答申に関する報道)
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。