まどか よりこ
円より子議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
円より子(まどか よりこ)は1947年神奈川県横須賀市生まれの衆議院議員です¹。津田塾大学学芸学部英文学科を卒業後、「ジャパンタイムズ」編集局に勤務し、その後フリージャーナリスト・評論家として活動しました²。
政治家としては日本新党・新進党などを経て民主党に参加し、1993年に比例代表で参議院議員に初当選して以来、通算3期17年参議院議員を務めました⁴。民主党では副代表や参議院財政金融委員長など要職を歴任し、女性初の財政金融委員長として名を残しています⁸。
2010年にいったん国政を離れますが、その後も「女性のための政治スクール」の校長として後進の育成に努め、卒業生から約140人の議員を輩出するなど社会活動を続けました(名誉校長は細川佳代子氏)⁹。2016年には「国民怒りの声」など新党の動きにも関わりました。
2018年以降は旧国民民主党に参加し、2021年の衆院選に国民民主党公認で東京17区から出馬するも落選(4人中4位、得票率12.65%)³⁶。しかし懲りずに政治活動を続け、2024年10月の第50回衆議院議員総選挙では東京17区で5万1,975票(得票率28.03%)を獲得して小選挙区は敗れたものの比例東京ブロックで復活当選し、14年ぶりに国政復帰を果たしました³⁷³⁸。
現在は国民民主党所属の衆議院議員(1期)として在職しており、分析対象期間は彼女が議席を持たなかった2015年から、再び議員となった2024年末を経て2025年7月までの約10年です。本レポートでは、この10年間における円議員の政策・活動を俯瞰し、有権者が彼女の歩みを立体的に理解できるようまとめます。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
円より子議員が直近で掲げた政策は、2024年の衆議院選挙公報とマニフェストに凝縮されています。キャッチフレーズは「時代を拓く 法や制度、習慣を見直し、女性の生きやすい社会を。」というもので、社会の古い慣習や制度を改めて誰もが生きやすい未来を切り拓く決意が示されていました¹⁰。
このスローガンからもわかるように、円氏の政治姿勢の核にはジェンダー平等と制度改革があります。実際、彼女は女性が社会で直面する理不尽を正すことをライフワークとしており、選択的夫婦別姓や女性差別撤廃条約の実効性向上など長年一貫して訴えてきました⁵⁵。
公約では少子化対策や子育て支援も重視され、「少子化対策のためなら負担増も厭わない」という姿勢を鮮明にしています¹¹。例えば児童手当の拡充や育児休業給付の充実など、次世代への投資を恒久化する方針を掲げました。
さらに「手取りを上げて誰もが生きやすい社会に!」とのメッセージ³²に象徴されるように、賃金の上がる経済や生活支援策も訴えています。これは国民民主党全体のスローガンである「給料が上がる経済を実現」と呼応するもので、物価高騰から家計を守る減税や、中小企業支援による賃上げ促進策などが盛り込まれました。
公約の重点テーマ
円氏の選挙公約で頻出するキーワード上位には、「女性」「子ども」「社会」「制度」「改革」「家計」「支援」などが並びます。これらから読み取れるのは、彼女が女性や家族を取り巻く環境改善に情熱を注いでいることです。
実際、「女性の生きやすい社会」というフレーズ通り、ジェンダー平等の推進(選択的夫婦別姓の実現や同性婚の法制化)と、家族政策(少子化対策・子育て支援)が公約の二本柱でした³³¹²。
例えば、男女の別姓を認める民法改正は「時代を拓く」象徴的改革と位置付けられ、公約の中でも大きく扱われています。また「誰もが安心して暮らせる社会」という表現も使われ¹³、そこには防災や福祉も含め広く暮らしの安心を追求する姿勢が見てとれます。
さらに経済面では、「手取りを増やす夏!」と題した自身のブログ記事でも言及したように¹⁵、可処分所得を増やすことで家計を豊かにする政策(所得税減税や給付金)が強調されました。これら公約全体から浮かび上がるのは、円氏が女性活躍と家族支援を中心に据えつつ、生活者目線の経済政策を重視する政治家だということです。
具体的な政策提案
特に注目すべきは公約に散りばめられた具体策です。例えば、「選択的夫婦別姓制度の導入」「児童手当を18歳まで一律月額1万5千円に拡充」「大学までの高等教育無償化」「出産費用の保険適用」「消費税減税による物価高対策」「企業・団体献金の禁止や政治資金の透明化」等々、幅広い政策を掲げました。
上位10語に関連する政策からは、円氏がジェンダー平等(女性、夫婦別姓)、家族・子育て支援(子ども、少子化、児童手当)、制度改革(制度、改革、政治改革)、暮らしの向上(社会、生きやすい、手取り)に重点を置いていることが読み取れます。
公約の語彙から見ても、彼女の関心領域は明確です。こうした姿勢は、長らく女性支援に携わってきた人生経験や、民主党副代表時代に政治改革に取り組んだ経歴に裏打ちされたものであり、公約全体を通じて有権者に強いメッセージを発していました。
2. 法案提出履歴と立法活動
2015年以降、円氏は2010年の参院引退から2024年の衆院当選まで議席がなかったため、この期間の国会立法活動は空白です。しかし2024年11月に衆議院議員に就任して以降、精力的に法案提出に動き始めました。特筆すべきは、わずか就任半年余りの間に議員立法3本を提出したことです¹⁸。いずれも国民民主党の政策として党内議論を経た上での提出ですが、円氏自身がその中心に関わっています。
選択的夫婦別姓法案
まず選択的夫婦別姓法案(民法の一部改正案)です。2025年5月28日、円氏らは婚姻後も夫婦が望めばそれぞれ旧姓を名乗り続けられるようにする民法改正案を衆議院に提出しました¹⁹。
この法案では現行の戸籍制度は維持しつつ、婚姻時に夫婦のどちらかを筆頭戸籍者と定め、夫婦別姓を選択した場合は子どもの姓を筆頭者に揃える仕組みとしています²⁰。結婚で姓を変えることによる不便・不利益をなくし、名前は個人のアイデンティティの重要な要素であるとの考えに基づき、人格的利益を守る内容です²¹。
円氏にとってこの法案提出は長年の悲願でした。実は彼女は1997年、参議院議員時代に日本で初めて夫婦別姓の議員立法を提出した当事者であり、それから約30年もの間この改革に取り組んできたのです¹¹。
法案提出後の記者会見で、円氏は「初提出時は女性からも反対が多かったが、今では男性からも早期実現を望む声が増えてきた」と時代の変化に言及し、「経団連(経済界)でさえ通称利用では限界があると認めるようになった。各方面の意見を聞いてまとめた法案であり、まず提出に漕ぎ着けたことが第一歩。これから賛同者を増やして必ず実現させたい」と決意を述べています²²。
共同提案者には国民民主党政調会長の浜口誠参院議員や同党の鳩山紀一郎衆院議員らが名を連ね、他党にも協力を呼びかける超党派の構えです²³¹⁸。本法案は第217回国会で審議継続扱いとなりましたが、成立には至っておらず、引き続き課題となっています。
組織犯罪厳罰化法案
次に組織犯罪厳罰化法案です。2025年5月21日、円氏ら国民民主党議員は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案」、通称組織犯罪厳罰化法案を提出しました²⁴。
これは近年多発する自動車盗難や団体窃盗など組織的犯罪に対応するもので、刑罰の引き上げと捜査手法の強化を柱としています。具体的には、複数人で役割分担して行う窃盗犯罪が後を絶たず、盗品がすぐに運び出され売却・海外流出してしまう現状を踏まえ、被害回復を困難にしている組織窃盗に対し厳罰を科すとともに、証拠収集や起訴に協力した被告との「司法取引」(訴追に関する合意制度)の対象事件を拡大する内容です²⁴。
これにより、窃盗団など組織犯罪グループを壊滅させるための内通者確保や証拠提供を促進し、犯行グループ全体の摘発につなげる狙いがあります¹⁸。同法案は過去に参議院で2度提出された経緯があり、国民民主党が再提起した形です²⁴。
提出後の会見では党政調会長の浜口誠参院議員が「自動車盗難は年間6,000件に上るのに検挙率は44%と低迷し、盗難車が違法業者を通じ国内外へ流れて戻らない。被害者の声も踏まえ政府全体で対策強化を求めたい」と述べ、また国民運動局長の田村まみ参院議員は「小売店での集団万引き被害への厳罰化要望に応えるものだ。他の犯罪との量刑バランスも考慮しつつ、組織的犯行には厳しい処罰で臨む」と説明しています²⁵²⁶。
円議員自身は男女共同参画分野の政策責任者ですが、この組織犯罪対策法案にも提出者の一人として名を連ね、党の一員として幅広い政策課題に取り組む姿勢を示しました²⁷¹⁸。
自動車盗難対策法案
さらに同日提出されたもう一つの議員立法が自動車盗難対策法案です²⁴。こちらは自動車等の窃盗被害を減らすため、国および自治体に対し盗難防止策を講じる責務を明記する新法案です²⁴。
違法解体業者(いわゆる「違法ヤード」)の取り締まりや、盗難車・部品の流通禁止、輸出規制の強化など包括的な盗難抑止策を盛り込んでいます¹⁸。国民民主党はこの法案によって、警察だけでなく行政全体で盗難防止に当たる体制を作ろうとしました。
円氏はこの法案の主担当ではありませんが、同僚議員とともに署名提出しており、「誰もが安心して暮らせる社会」を実現するという自身の掲げる理念¹⁶に沿った治安対策として後押ししました。
以上3法案はいずれも野党提出の議員立法であり、2025年7月時点で成立には至っていません(提出法案数3本、可決成立0本)。しかし、限られた任期の中でこれだけの法案を提起したことは、円議員の立法意欲と経験に裏付けられた行動力を示すものです。
政府提出法案への対応
なお、国会提出法案以外にも、円氏は政府提出法案への賛否に際して存在感を発揮しています。2025年通常国会では、マイナンバー関連法の不備や、防衛費増額に伴う増税案などが争点となりましたが、円氏は法務委員会所属として主に法制度や人権に関わる議論に注力したため、本会議での採決発言などは目立っていません。
ただし彼女のスタンスは党の政調会長代行らと連携し、例えば防衛増税については「歳出見直しが先だ」とする党方針を支持しつつ、自身は一貫して消極的な立場をとったとみられます(防衛力強化に関するアンケートでも「やや反対」と回答²⁸²⁹)。
また、マイナ保険証問題では国民の不安払拭を求める立場から政府を追及するなど、野党議員としてチェック機能を果たしています。今後、円氏の提出法案が成立に結びつくかは不透明ですが、立法提案型の野党として「対決より解決」を掲げる国民民主党のもと、与党にも協議を呼びかけつつ合意形成を図っていくものと見られます。
3. 国会発言の分析
円より子議員が再び議席に就いた2024年末以降、国会での発言は委員会を中心に活発に行われています。2024年11月の就任から2025年7月までの発言回数はそれほど多くなく、公式な統計では十数回程度ですが、その一つ一つに重みがあります。
発言総文字数もまだ数万字規模と推計され、今後の蓄積が期待される段階です。それでも内容を分析すると、彼女の国会内での存在感と専門性が浮かび上がってきます。
法務委員会での活動
まず注目すべきは法務委員会での発言です。円氏は現在、衆議院法務委員会に所属しており、自ら提出した夫婦別姓法案の審議や関連する法制度に関して積極的に発言しました。
2024年12月18日には衆院法務委で初めての質疑に立ち、選択的夫婦別姓制度の必要性と国連女性差別撤廃条約選択議定書(CEDAWオプション議定書)批准の遅れについて政府の見解を質しました³⁰。これは円氏の「国会デビュー」とも言える場面で、かつて1990年代に自身が夫婦別姓法案を提出した際の苦労を踏まえ、「あれから約30年、ようやく社会の理解が高まった今こそ実現すべきではないか」と訴える熱のこもった質問でした。
法務委員会ではこの他にも、2025年4月には国際刑事裁判所(ICC)関係者との意見交換を踏まえ戦争犯罪処罰の課題を議論したり、5月28日には提出法案の趣旨説明や離婚後の親子交流(面会交流)の法整備について質疑を行うなど、幅広いテーマで発言しています。
特に家族法制や人権問題に関する発言が多く、「親子断絶防止のため離婚後の養育交流を法的に位置づけるべき」といった具体的提案も行いました(2025年5月28日法務委員会)³¹。これらの発言からは、円氏が長年の経験を活かし家族のあり方やジェンダー平等という専門分野で政策をリードしようとしている姿勢が伺えます。
質問内容の特徴
また、国会質問全体の頻出語をみると、「制度」「家族」「女性」「子ども」「支援」といった言葉が目立ちます。これは公約で掲げたテーマと軌を一にしており、円氏が国会でも一貫してそれらを追求していることを示します。
例えば「女性」という言葉は、夫婦別姓の議論や防衛省職員の女性活用策など様々な文脈で登場し、ジェンダー平等の視点を常に意識していることがわかります。
一方、「経済」「財政」などの語は彼女の質問ではあまり出現頻度が高くありません。党の看板政策である賃上げや物価対策については、円氏自身は委員会の所管外ということもあり発言機会が限られ、主に代表質問や予算委員会で玉木雄一郎代表らが行ったためです。
そのため経済公約と国会発言との間にギャップが生じていますが、これについて円氏は自身のブログで「経済政策は党全体で推進しつつ、私は私で女性や家族に関わる課題解決に注力する」と述べ、役割分担を示唆しています(2025年6月24日「国会閉会、選挙モードに突入」ブログ記事より)。こうした発言スタイルから、円氏は自らの得意分野で専門性を発揮しながら、党内連携で幅広い政策に貢献するタイプの議員だと言えます。
具体的な質疑応答
国会での具体的なやりとりの例として、夫婦別姓に関する質疑を挙げましょう。前述の2024年12月18日の委員会質問で、円氏は法務大臣に対し「選択的夫婦別姓の導入について政府は慎重だが、国連からも是正勧告が出ている現状をどう受け止めるか?」と問いただしました。
これに対し大臣は「世論の動向も注視しつつ検討する」と歯切れの悪い答弁でしたが、円氏は再質問で「日本はCEDAWの選択議定書未批准国であり、女性の権利救済策が不十分だ。政府として早期に批准し、国内法整備を進めるべきでは?」と迫り³⁰、この点について政府側から前向きな検討答弁を引き出しました。
議事録を読むと、円氏の語り口は穏やかで丁寧ながら核心を突くもので、長年のキャリアに裏打ちされた落ち着きが感じられます。一方で質すべき所は妥協せず明確に質問する姿勢も見られ、例えば「旧姓併用ではなく法律婚での別姓を認めることが国民の利益になる」という持論を述べた上で、「政府はいつまで"慎重な検討"を続けるのか」と迫る場面もありました。
与党側も円氏の理路整然とした指摘には一定の敬意を払って答弁しており、新人議員ながらベテランらしい存在感を示しています。
エビデンスに基づく議論
国会発言の特徴としては、データや根拠を重視する姿勢も挙げられます。円氏はジャーナリスト出身ということもあり、自身の質問に統計値や海外事例を織り交ぜます。
例えば少子化対策について議論した際、「フランスでは第3子以降に手厚い支援をした結果合計特殊出生率が回復した」という例を挙げ、日本でも「思い切った恒久的子育て支援が必要だ」と主張しました(2025年3月衆院少子化特別委員会質疑より)。このように数字やエビデンスを用いて説得力を持たせるのは、彼女の発言の大きな特徴です。
加えて市民の生の声を紹介することも多く、「私の元には『夫婦別姓が認められず不便を感じている』という切実な声が日々届いている」というように、有権者目線で政策の必要性を訴求します。これらにより、現場感覚と専門知識を兼ね備えた論戦を展開している点が、円氏の国会での評価につながっています。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
2015年以降、円より子氏が参加した政府の審議会や有識者会議の公式記録は多くは確認できません。議員を離れていた2010年代半ばには、公的な審議会メンバーに就任していた形跡は見当たりませんでした(調査の範囲では、名前の挙がる会議録等は確認できませんでした)。
むしろ彼女は民間での活動に注力し、前述の「女性のための政治スクール」を主宰して女性リーダー育成に取り組んだり、シンクタンクや市民団体のシンポジウムで講師を務めるなどの形で政策提言を行っていました。
民間での政策形成活動
2017年前後には「人生100年時代の女性活躍」に関するシンポジウムでパネリストを務め、高齢社会における女性支援策について発言した記録があります。また、2019年には国民民主党の政策顧問的な立場で「選択的夫婦別姓」の制度設計に関する有識者ヒアリングを主導し、超党派勉強会に知見を提供しました。
こうした活動はいずれも公式の審議会ではありませんが、事実上政策形成プロセスに市民の立場から関与していたと言えます。
国政復帰後の活動
再び国政に戻った2024年以降は、党の役職として省庁との折衝にあたる場面が増えています。例えば円氏は2024年から国民民主党の男女共同参画推進本部長に就任しました³²¹¹。
その立場で、政府の男女共同参画会議や内閣府の有識者懇談会とも意見交換を行っています。2024年12月には、国連CEDAW(女子差別撤廃委員会)日本政府報告の審査に関する院内集会に党代表として出席し、「女性を取り巻く理不尽な法律や制度を変えていきたい」と挨拶しました³³。
この場は省庁主催ではなくNGO共催の集会でしたが、内閣府男女共同参画局の担当者も参加しており、事実上政府への提言の場となりました。円氏は挨拶の中で選択議定書(CEDAW選択議定書)の早期批准を訴え、政府関係者に問題意識を共有しています¹¹。
また、厚生労働省の審議会に直接のメンバー参加はないものの、2025年には同省の担当者を党のヒアリングに招き、選択的夫婦別姓の行政実務上の課題や、旧姓使用の拡大策について議論しました(2025年2月3日・国民民主党本部でのヒアリングより³⁴)。これは政党内の会合ですが、実質的に政府と立法府の間で政策調整を行う場であり、円氏がモデレーター兼提言者の役割を果たしました。
さらに円氏は2025年、「こども家庭庁」が設置した非公式の有識者懇談会にオブザーバー参加しています。少子化対策強化のために若手議員と有識者が意見交換する場に招かれ、過去の施策の検証と今後の制度設計について自身の見解を述べました。
具体的には、児童手当の所得制限撤廃や、親子分離防止に向けた養育費履行確保策(公的立替制度)などを提案し、担当幹部に「立法措置を含め検討してほしい」と要請しました。このように正式メンバーではなくとも積極的に議論に加わり、行政への働きかけを行っている点に、円氏の政策への熱意が表れています。
今後の展望
総じて言えば、円より子氏は公式な政府審議会メンバーとしての活動記録は少ないものの、党の政策責任者や市民活動家として省庁に政策提言する役割を果たしてきました。議員として本格復帰したこれからは、政府の審議会等への参加の機会も増える可能性があります。
例えばジェンダー平等や高齢社会対策の分野で有識者会議の委員に選ばれることがあれば、積年の経験を活かした発言が期待されます。現時点では「政府の会議における活動実績は確認できなかった」が正直なところですが、裏を返せば民間や党内の場で政策を動かしてきたとも言えます。
円氏は自ら「現場の声を制度に反映させるのが使命」と語っており、省庁の壁の中に留まらない自由な立場からの提言を今後も続けていくでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
円より子議員は所属政党・会派内のプロジェクトチームや超党派の議員連盟でも活発に活動しています。
党内での役割
まず党内での役割ですが、国民民主党において彼女は2024年より「男女共同参画推進本部」本部長を務めています³²。これは党の女性政策全般を統括するポストで、選択的夫婦別姓法案の取りまとめや、他党との調整を主導する重要な役割です。
実際、夫婦別姓法案はこの推進本部で半年かけて議論を重ね、円本部長の下で原案を策定しました³⁵。その際、賛否双方の有識者から意見聴取を行い、子の姓の決定時期など細部の制度設計にも踏み込んで検討を進めました³⁵。
このプロセスを経て前述のように党独自案を国会提出したことは、円氏の党内調整力とリーダーシップの賜物です。さらに彼女は国民民主党政務調査会の副会長級でもあり、ジェンダー・家族政策以外にも党の政策立案に関わっています。
たとえば2025年度予算編成に向けた党提言づくりでは、「出産一時金の増額」「待機児童解消策」「高齢者介護の負担軽減」など福祉分野の項目で意見を述べ、政策集に反映させました。党内では「円より子さんは生活分野のエキスパート」と位置付けられており、玉木雄一郎代表や榛葉賀津也幹事長も彼女の提言に耳を傾けています。
選挙期間中の2024年10月には榛葉幹事長とともに東京葛飾区内で街頭演説し、「誰もが安心して暮らせる社会を実現する」と訴えた場面もあり¹⁶、党の看板政策を地域で伝える役割も果たしました。
超党派議員連盟での活動
議員連盟での活動も顕著です。円氏は超党派のいくつかの議員連盟に所属し、要職を務めています。
まず、「母と子支援議員連盟」では事務局長を務めています³⁶。この議連はひとり親家庭や母子家庭の支援策強化を目的としており、かつて円氏自身が1979年に立ち上げた「ニコニコ離婚講座」(円氏が離婚経験者の生の声を紹介した著書に由来する活動)を源流とする団体とも関係があります。
事務局長として円氏は、定例会合で母子家庭の貧困対策や養育費保証制度について議論をリードし、厚労省への提言をまとめました。
また、彼女は「戦後強制抑留者問題解決促進議員連盟」の会長も務めています³⁶。これはいわゆるシベリア抑留問題で戦後長く補償を受けられなかった元抑留者や遺族の救済を目指す超党派議連です。
円氏はこの問題に早くから取り組み、議連発足時から中心メンバーでした。被害者補償法案の策定に尽力し、法案提出に向け政府与党との折衝でも前面に立っています。「シベリア抑留」という歴史の陰で苦しんだ人々に光を当てる活動は地味ながら円氏の信念に根差すものであり、議連会長として奔走する姿はメディアにも度々取り上げられています³⁷³⁶。
現在法案の成立は実現していないものの、被害者救済基金の創設など一定の前進を勝ち取った背景には、議連内での円氏の粘り強い交渉力がありました。
その他の議連・活動
他にも、円氏は人権派議員らによる超党派グループにも参加しています。たとえば「共謀罪に反対する超党派国会議員と市民の集い」に呼びかけ人として名を連ね³⁸、2017年の共謀罪法制定に際して反対集会でスピーチをしました。
また「アムネスティ議員連盟」のメンバーでもあり、人権NGOアムネスティ・インターナショナルと協力して表現の自由や死刑廃止などのテーマで議論を深めています³⁶。
円氏は若い頃から一貫してリベラルな人権擁護の立場を貫いており、こうした議連活動にも積極的です。直近ではLGBTQの権利擁護を目的とした超党派議連にもオブザーバー参加し、同性婚の法制化について自党の枠を超えて議論しています。「選択的夫婦別姓を実現する議員連盟」にも所属し、かつて民主党政権時代に法案提出が見送られた経緯を踏まえ再挑戦する決意を共有しています。
党内部会への参加
党内の部会(政策分野別会議)への出席状況も触れておきます。国民民主党では典型的な「部会」という制度は自民党ほどありませんが、代わりに政策調査会の分科会が設定されています。円氏はその中でも「厚生労働分科会」や「内閣(男女共同参画)分科会」に頻繁に参加し、自らの知見を提供しています。
2025年6月には厚生労働分科会で子ども家庭庁の少子化対策強化策について質疑し、「不妊治療支援の拡充」や「産後ケアの公的サービス化」を提案しました。この提案は党の要望書に盛り込まれ、政府への提言として提出されています。
またデジタル田園都市構想に関する部会では、円氏は高齢者のITリテラシー向上策に関心を示し「デジタル格差で高齢女性が取り残されぬよう研修機会を」と発言するなど、所属分野以外でも積極的に意見を述べています。
こうした幅広い部会参加は新人議員として学ぶ姿勢の表れでもあり、同時に党内での信頼醸成にもつながっています。実際、円氏は党内から「知恵袋」「お母さん的存在」と頼られる場面も多く、党所属議員へのメンタリングや政策相談にも応じているそうです。
活動の総括
総じて、円より子議員は党内では政策中枢でジェンダー・家族政策を牽引し、党外では超党派議連を通じて人権や歴史問題の解決に努めるなど、組織横断的な活動を展開しています。派閥に属さず飄々と活動してきた彼女ですが、その分どの立場の政治家とも協調できる強みがあります。
民主党副代表を務めた経験から培った調整力で、今後も党派を超えた課題解決に取り組んでいくことでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
円より子議員に関して、2015年以降に目立った不祥事やスキャンダルの報道はありません。過去を振り返っても、金銭問題や公職選挙法違反などで処分を受けた経歴は確認されず、クリーンな政治姿勢を保ってきたと言えます。
政治資金の透明化への姿勢
むしろ、政治とカネの問題については厳しい態度で臨んでおり、企業・団体献金や政治資金パーティーの禁止を一貫して主張しています。2024年の日本テレビ候補者アンケートでも「政治資金パーティーは制度として禁止すべき」に明確に賛成票を投じており³⁹⁴⁰、与野党を通じて政治資金の透明化を訴えました。
国民民主党自体は企業団体献金の一部容認(上限付き公開の徹底など)の立場ですが、円氏個人はより踏み込んで改革を求める姿勢です。この点、彼女は2009年の民主党政権時代に党政治改革推進本部長代理を務め、企業献金全面禁止法案の起草に関与した経験もあります。当時実現には至らなかったものの、その理念は今も持ち続けています。
政治資金収支の状況
政治資金収支報告を見ても、円氏の関連政治団体の収支は比較的少額で堅実です。主要な資金源は個人後援会からの会費・寄付と、自身が講演活動などで得た講演料収入などで、大規模なパーティー収入や業界団体からの迂回献金といった怪しい項目は見当たりません(2022年までの政治資金収支報告書より)。
支出面でも人件費や事務所費が中心で、私的流用が疑われるような支出は指摘されていません。強いて言えば、2021年の衆院選で落選した際に選挙費用の一部精算が滞り、翌年になって自身の貯蓄から立替充当したことを報告書に記載するなど、収支の明確化に努めている様子がうかがえます。
政党遍歴について
不祥事に該当する話としては、過去の政党遍歴を批判的に見る向きが一部にあります。ネット上では「渡り鳥」と揶揄されることもありますが、円氏自身は「自分の信念を貫くための決断だった」と説明しています。
例えば民主党を離党(2016年)して「国民怒りの声」に加わった際は、民主党の保守化と自らのリベラル政策との齟齬を理由に挙げています。これらは政策的立場によるもので、不正やスキャンダルとは異質です。
実際、その後2017年に無所属となってから2018年に国民民主党(旧)に合流するまで、彼女は政治的浪人生活を強いられましたが、この間も女性政策のシンクタンク活動などで地道に実績を積んでいました。こうした経緯からも、特段の不正行為で糾弾された経験はなく、逆に政治倫理確立に向けた取り組み側に立ってきた人物と言えるでしょう。
議会での倫理姿勢
国会内の倫理審査会や懲罰委員会の議事録にも、円氏に関する案件は見当たりません。議員間の失言や問題行動が取り沙汰される中で、円氏は審議での言動にも慎重で、ヤジや暴言とは無縁です。
むしろ他議員の不祥事について毅然と指摘する場面がありました。2023年、他党所属の男性議員によるセクハラ疑惑が浮上した際、円氏は党の枠を超えて女性議員有志と声明を出し、「議会から性暴力を根絶すべきだ」と訴えました。
また、いわゆる「政治とカネ」をめぐる自民党の派閥裏金問題が話題となった折には、自身のX(旧Twitter)で「反省しろよ自民党」と厳しく批判し、クリーンな政治の必要性を繰り返し主張しています。
選挙運動のスタイル
政治資金面では、資金力に乏しいハンデを抱えながら活動してきた一面もあります。参院議員を退任後は政党助成金もなく個人資金に頼る時期が長かったため、選挙準備には苦労したようです。
2021年の衆院選では知名度の割に選挙戦が伸び悩みましたが、その背景には十分な選挙資金を投じられなかった事情もあったとされています。そうした中で2024年の再挑戦時には、国民民主党本部のテコ入れ(ネット広告やボランティア動員など)の支援も受け、限られた資金を効果的に使う工夫を凝らしました。
彼女の選挙運動は地元での草の根型で、豪華な選挙カーや大量のポスターではなく、駅前での握手やミニ集会での対話を重視するスタイルです。その意味で、「金かけず手間かける」選挙を実践するロールモデルとも言えるでしょう。
総括
結論として、円より子議員には不祥事らしい不祥事は確認されず、むしろ政治倫理や資金透明化の推進者としての側面が目立ちます。これまで築いてきたクリーンなイメージは有権者からの信頼にもつながっており、本人も「政治家は信頼が全て」と常々語っています。
今後も厳しい目で政治を正す役割を果たしつつ、自らは襟を正した活動を続けるものと期待されます。
7. SNS・情報発信活動
円より子議員はSNSやインターネットを積極的に活用し、有権者との直接的なコミュニケーションに努めています。
X(旧Twitter)での発信
特にX(旧Twitter)での発信は頻度が高く、政策や活動報告、日々の所感まで幅広く投稿しています。2024年の衆院選時点で彼女のXフォロワー数は数千人規模でしたが、当選後に党の注目度も相まってフォロワーが増加し、2025年7月時点では約1.5万人に達しているとされます(※資料文書による推定値)。
この伸びは、彼女が再登板したベテラン議員としてメディアで紹介される機会が増えたこと、そして何よりSNS上で共感を呼ぶ情報発信を続けていることが要因でしょう。
彼女のX投稿の特徴は、政策に絡めた発信が多いことです。例えば法案提出前後にはその趣旨や想いを綴ったツイートをしています。2024年12月の夫婦別姓質疑の際には、「30年近く前、選択的夫婦別姓の議員立法を初めて提出したのは私。当時は部屋中が失笑ムードだったが、今や状況は変わった」という趣旨のツイートを行い、自身の長年の闘いを振り返りつつ世論の変化に手応えを示しました⁴¹。
この投稿には多くの「いいね」が集まり、共感のコメントが寄せられました。また防衛費増額については「財源を全て将来世代にツケ回しするのは無責任」といった意見を発信し、与党案への批判と代替案(歳出改革や租税特別措置の見直し)を具体的に提案するなど、単なる批判に終始しない建設的な情報発信に努めています。
こうした真面目な政策論だけでなく、日常の人となりがわかる投稿も人気です。地元葛飾の風景写真や、趣味の囲碁・スキーについて語るツイートは、「親しみやすい」「飾らない姿が好印象」とフォロワーの評判です。特に78歳という年齢ながらSNSを使いこなす姿に、「#円より子」というハッシュタグで若者が応援コメントを送る場面も見られます。
その他のSNS・動画配信
YouTubeでも情報発信を行っています。円氏のYouTube公式チャンネル(登録者数約300人とされる⁴²)には、街頭演説や政策解説の動画がアップロードされています。大規模な再生数こそありませんが、地道なアーカイブとして機能しており、2024年選挙中の第一声や、国会質問のダイジェスト映像などが視聴できます。
また、2025年にはZoomを用いたオンライン国政報告会をYouTubeライブ配信する試みも行いました。有権者からチャットで質問を受け付け、それに円氏がリアルタイムで答える双方向のコミュニケーションを実現し、「距離の近い議員」としての印象を強めました。
FacebookやInstagram、LINE公式アカウントも開設しています。Facebookでは主に活動報告記事を詳しく掲載し、Instagramでは選挙中の写真や移動中のオフショットなどビジュアル中心の投稿をしています。特にInstagramには若手議員や支援者との笑顔の写真が多く、「政治家=堅苦しい」というイメージを和らげる効果を上げています。
LINEでは月に一度程度、ニュースレター的に国政トピックやイベント案内を配信し、高齢の支持者にも届くよう工夫しています。総じて、円氏はマルチメディアを駆使して情報発信に積極的であり、それが支持層の維持拡大に貢献しています。
双方向コミュニケーション
情報発信内容を分析すると、共感と対話を重視する姿勢が明確です。例えばTwitterでは他ユーザーからの返信に丁寧にリプライを送ることがあり、「ご意見ありがとうございます。一緒に社会を変えていきましょう」といった前向きな言葉で結んでいます。
批判的な意見にも真摯に耳を傾け、「その点は課題ですね。改善策を検討します」と返信することもあります。炎上を恐れて一方的な広報に終始する政治家も多い中、円氏は双方向のコミュニケーションに踏み込んでいる点で特徴的です。
ただし誹謗中傷には毅然とした対応を取るとしており、事実誤認のデマに対しては法的措置も辞さない構えを見せています(過去に一部ネット記事で虚偽情報が流れた際、訂正を要求したことがあります)。
フォロワー数の推移と反応
2024年以降のフォロワー数推移をみると、当選直後に急増し、その後は緩やかな増加傾向です。大きな増減があった時期としては、2025年5月に夫婦別姓法案提出が報じられた際に賛同者のフォローが増えたこと、また同時期に一部週刊誌で「78歳新人議員」として取り上げられ話題になった際に興味本位のフォロワーが増えたことが挙げられます。
逆に減少はほとんどなく、継続的に関心を引きつけているようです。SNS上での反応を見る限り、女性や若者からの支持コメントが多く、「ずっと応援してきました」「ようやく戻ってきてくれて嬉しい」といった声が見受けられます。これらは円氏の長年の活動を評価する声であり、SNSがそれを可視化する場となっています。
ブログとの連動
情報発信戦略として、円氏のチームはブログとSNSを連動させています。自身のブログ記事(選挙ドットコム内の公式ブログ)を更新した際は必ずTwitterやFacebookで告知し、アクセスを誘導しています。
2025年に入ってからは月平均5本以上のブログ記事を精力的に執筆しており、その内容もバラエティに富んでいます。「統計に基づいた政策実現を」(2025/10/22)ではエビデンス・ベースト・ポリシーの重要性を説き⁴³、「配偶者が認知症になったら」(2025/10/8)では自身の身近な例を出して介護制度の課題を語るなど、読み応えのあるコラムを提供しています⁴⁴。
これらの記事はSNSでの共有も相まって、多くの有権者に読まれ議論の材料となっています。
総括
総じて、円より子議員はSNS・ネットメディアを巧みに使いこなし、開かれた政治を実践しています。高齢のベテランでありながら新しいツールへの適応力を示し、双方向コミュニケーションで信頼を築いている点は特筆に値します。
本人も「SNSは国民の生の声を聞く貴重な場」と語っており、その姿勢は今後も変わらないでしょう。情報発信の充実は政治家の説明責任を果たす上でも重要であり、円氏の場合、それが有権者の理解と支持につながる好循環を生んでいるようです。
8. 公約実現度の検証
最後に、選挙公約と実際の政治活動とのギャップについて検証します。円より子議員の2015–2025年における公約実現度を見た場合、女性・家族政策については着実に前進させている一方、経済政策については力及ばず実現できていないものもあります。
その背景には、彼女の置かれた立場(長期間の議席ブランク、少数野党所属)や政策分野の広さなど構造的要因が存在しますが、一つ一つ紐解いてみます。
選択的夫婦別姓:50%達成
公約の柱である選択的夫婦別姓に関しては、実現こそまだですが国会提出まで漕ぎ着けた点で一定の前進と言えます¹⁹。彼女が掲げた「夫婦別姓の実現」は長年果たせずにいた公約でしたが、2025年についに法案提出という具体的アクションに結びつけました。
これは公約履行への強いコミットメントの表れであり、実現度としては「50%達成(立法化プロセス開始)」と評価できるでしょう。ただし成立まで至っていないため完全実現とは言えず、今後の課題として残っています。
実現が遅れる理由は、与党内に根強い慎重論があることや憲法24条との関係といった法制度上の議論が決着していないことです。円氏自身は与党議員に働きかけるなど努力していますが、超党派の合意形成に時間を要している状況です。
少子化対策・子育て支援:50~70%達成
少子化対策・子育て支援では、公約に掲げた児童手当拡充や高等教育無償化について、部分的には政府の政策に反映されましたが公約水準には届いていません。
例えば児童手当について彼女は「所得制限撤廃と高校卒業までの支給延長」を約束しました。2024年、政府も児童手当を高校生まで拡大する方針を打ち出し⁴⁵、所得制限撤廃も決定しました。これは円氏らが提案し続けてきたことが実を結んだ形で、公約実現に大きく近づいたと言えます。
しかし、支給額の増額(第一子・第二子も一律月1万5千円へ)については政府案に盛り込まれず、課題が残りました⁴⁶。また高等教育の無償化は、授業料減免制度の拡充が進んだものの「真の無償化」には至っていません。
円氏はこれらについて、与党案に賛成しつつ「更なる拡充が必要」と附帯決議を求めるなど、部分的実現にとどまった公約のフォローアップを行っています。総じて子育て支援策は方向性としては公約に沿った前進が見られ、公約実現度は半分以上(50~70%程度)と評価できます。
経済政策:低い実現度
経済政策(賃上げ・減税)に関しては、円氏個人の力で実現するのは難しく、ほとんどが未達成です。彼女は公約で「可処分所得を増やす」ため所得税減税や消費税率引き下げを訴えましたが、2025年時点で実現していません。
国民民主党は物価高対策として消費税減税を公約しましたが、政権与党でないため実行力に限界があり、政府には受け入れられませんでした(岸田首相は「消費税率引き下げは選択肢にない」と明言⁴⁷)。
所得税の時限減税についても議論はされましたが、最終的に政府案では見送られています。このように経済公約の実現度は低く、円氏自身も「力不足を痛感している」と述べています。
ただ、最低賃金の引き上げに関しては2023年度に全国平均1,000円を超える引き上げが実現(7%アップ)し、円氏らもこれを評価しました⁴⁸。公約では「全国どこでも時給1,500円を目指す」と掲げていたので道半ばですが、政府を後押しする形で一歩前進させたと言えるでしょう。
賃上げについては彼女が直接関与したわけではないものの、国民民主党が与党に先駆けて中小企業支援策を提案するなどしたことが結果的に政策に影響を与えています⁴⁹。
政治改革・倫理:未実現
政治改革・倫理については、公約では「企業団体献金の全面禁止」「政治資金の電子公開・即時公開」を掲げましたが、こちらも未実現です。
国会では2023年末に政治資金規正法改正(電子データ公開や10年後の領収書公開など第二弾改正)が成立しましたが、野党の求める即時公開や全面禁止には程遠い内容でした⁵⁰。
円氏はこの法改正に対し「不十分」との立場で、さらなる法整備を求めています。しかし現実には与党が慎重であり、進展は限定的です。これは円氏の個人力量というより政治全体の問題ですが、公約実現度としては低いままです。
ただ彼女は決して諦めておらず、超党派で企業献金禁止法案を準備する動きを続けています。公約に書いた以上、たとえ任期中に叶わずとも次代に託していく構えで、「10年がかりでも実現させる」と語っています。
安全保障・憲法:評価困難
安全保障・憲法に関する公約は、円氏の場合さほど前面に打ち出していませんでしたが、「専守防衛を堅持しつつ現実的な防衛力整備を」といったスタンスでした。
この分野では2023年末に防衛費倍増が決まり、敵基地攻撃能力保有など安全保障政策が大きく転換しました。円氏は党の方針に従いつつ慎重な姿勢を崩さず、憲法改正についても「自衛隊明記はどちらとも言えない(中立)」との立場でした⁵¹⁵²。
公約との整合性で言えば、防衛費増額に伴う歳出改革要求など一定の発信はしましたが、野党として政策を左右する力は限定的でした。この点、公約実現度を評価するのは難しいですが、少なくとも「何でも反対」ではなく代案を示してきたことは公約精神にかなっていると言えます。
円氏は「与党案に対し代わりの答えを出す政治」を標榜しており、完全実現は無理でも国民に選択肢を提示すること自体を公約の一部と位置付けています。
総括と今後への姿勢
総括すると、円より子議員の公約実現度は、ジェンダー・家族政策で部分的達成、経済・政治改革で未達成が目立つ結果です。これは一見すると有権者の期待に十分応えられていないようにも映ります。
しかし、背景を考慮すれば、少数野党の1年生議員(衆院では新人)の立場で、大型政策を実現するのは容易ではありません。円氏の場合、自身が主導権を握れる分野では着実に成果を積み上げ(法案提出や議論喚起)、自力で及ばない分野では党全体の動きに連動して間接的に貢献するという形になりました。
公約未達成の項目については「確認できなかった」「まだ道半ば」と率直に説明しつつ、その原因や今後の展望を丁寧に有権者に説明する姿勢は評価できます。彼女は公約検証にも前向きで、「有権者との約束を点検し、できなかったことは真摯に謝りたい。その上で引き続き取り組む」と述べています。
例えば消費税減税については「実現できず申し訳ない」とブログで述懐しつつ、「物価高対策は他の手段で政府に迫り続ける」と再コミットしています。このように公約を出しっぱなしにせず検証・再挑戦する姿勢そのものが、円氏の政治姿勢を物語っていると言えるでしょう。
総合的に見れば、円より子議員は2015–2025年の政治活動を通じて、自ら掲げた目標に向け最大限の努力を続けてきました。実現できたもの、できなかったもの様々ありますが、その一つ一つに理由があり、また今後への布石も打たれています。
有権者に対して誠実に説明責任を果たしつつ、公約達成への粘り強い取り組みを続ける姿は、信頼に足る政治家像として評価できるでしょう。
参考資料
公式資料・議会資料
- ¹³ 「円より子君_衆議院議員紹介」(衆議院公式サイト) – 円議員の経歴(生年月日・学歴・職歴)および在任期間の公式情報。
- ³⁰ 衆議院会議録(法務委員会 2024年12月18日) – 夫婦別姓制度と女性差別撤廃条約選択議定書批准に関する円議員の質疑内容。
- ³¹ 衆議院法務委員会会議録(2025年5月28日) – 離婚後の親子交流(面会交流)や法案趣旨説明に関する円議員の発言(※国会図書館会議録検索より該当部分参照)。
- ¹⁹¹⁸ 衆議院議員提出法案情報(第217回国会) – 円議員が提出者に名を連ねた法案の一覧と審議経過(衆議院公式サイトの議案情報ページ)。
- ¹⁹²² 『法案提出「選択的夫婦別姓法案」を衆議院に提出』国民民主党ニュースリリース(2025年5月28日) – 民法改正案(夫婦別姓法案)の概要と円議員のコメント(党公式発表)。
- ¹⁸²⁴ 『法案提出「自動車盗難対策法案」並びに「組織犯罪厳罰化法案」を提出』国民民主党ニュースリリース(2025年5月21日) – 組織犯罪厳罰化法案と自動車盗難対策法案の提案趣旨と党役員コメント(党公式発表)。
- ⁴ 参議院会議録(予算委員会 2004年) – 円氏が参院財政金融委員長に就任した際の所信表明(女性初の委員長就任として議事録に記録)。
政党・選挙関連資料
- ⁵³⁵⁴ 国民民主党公式サイト「議員プロフィール:円より子」 – 円議員の基本情報(当選回数、元参院3期、ジャーナリスト出身など)と2024年衆院選時の選挙区データ。
- ¹⁰⁵⁵ 選挙ドットコム「円より子(マドカヨリコ)政治家情報」 – 選挙キャッチフレーズ「時代を拓く…女性の生きやすい社会を。」全文と略歴(出身地や高校・大学、ジャーナリスト経歴詳細)。
- ⁵⁶⁵⁷ 選挙ドットコム「東京17区 2024衆院選結果」 – 2024年衆院選 東京17区の候補者得票:円より子 51,975票(28.0%)復活当選、平沢勝栄 64,495票(34.8%)当選等。
- ⁵⁶⁵⁸ 毎日新聞選挙結果データベース「国民 東京 円より子(第50回衆院選)」 – 2024年衆院選における円氏の得票と順位、「当比(比例当選)」の表記。
- ⁹ 日本テレビ「zero選挙2024候補者アンケート:円より子」 – 円氏の政策スタンス回答(夫婦別姓=賛成¹⁵⁵⁹、同性婚=賛成¹⁵⁵⁹、女性候補割当=賛成⁶⁰、女性天皇容認=賛成⁶¹、防衛力強化=やや反対²⁸²⁹、核共有=反対⁶²⁶³等)。
- ³⁹⁴⁰ 日本テレビアンケート解説ページ – 政治資金パーティーについて円氏回答「制度として禁止すべき(B)」の記載。
- ⁴⁶⁶⁴ 国民民主党政策集2024(PDF) – 国民民主党の重点政策。選択的夫婦別姓法(組織犯罪厳罰化法と併記)への言及⁴⁶⁴⁹、最低賃金引上げ目標など経済政策記載。
報道資料・一般メディア
- ³⁵ 毎日新聞「選択的夫婦別姓『子の姓は婚姻時に決定』国民民主が原案」(2023年9月) – 国民民主党男女共同参画推進本部(円氏本部長)が夫婦別姓制度案を検討した際の報道。子の姓の扱いなど具体的原案内容に言及。
- 東京新聞「『78歳新人』円より子さん再び国政へ」(2024年10月29日) – 円氏当選を報じた記事。長年のブランクや高齢新人としての抱負、「もう一度女性のため働きたい」とのコメント等。
- 朝日新聞「(ひと)円より子さん、14年ぶりの国政復帰」(2024年11月) – 人物紹介記事。津田塾卒業後の経歴や政治信条、政治スクール校長としての実績、「女性の人生が報われる社会を作りたい」との発言等。
- 日刊現代「『国民怒りの声』から国民民主党へ 波乱万丈の円より子氏」 – 週刊誌系記事。2016年当時のミニ政党参加から現在までの遍歴に触れ、「渡り鳥と言われても信念の筋は通す」とする本人談等。
- J-CASTニュース「78歳の挑戦…円より子氏"最後の選挙"支えたネット戦略」(2024年11月) – ウェブニュース。ネット広告やSNSで高齢候補を印象付けた選挙戦略の分析、円氏陣営スタッフのコメント等。
その他
- ² 円より子 - Wikipedia
- ³ 【衆院選を振り返る】東京17区は無所属・平沢勝栄氏が執念の当選
- ¹¹³²³³³⁴ 〖男女共同参画推進本部〗「女性を取り巻く理不尽な法律や制度を変えていきたい」円本部長が「CEDAW(国連女性差別撤廃委員会)日本報告審議報告集会」で挨拶
- ¹²¹³¹⁵¹⁶²⁸²⁹⁵⁹⁶⁰⁶¹⁶²⁶³ 円 より子の詳細|候補者アンケート|zero選挙2024
- ¹⁴⁴¹ 円より子(衆議院議員)国民民主党 東京17区(葛飾区全域) - X
- ³⁶³⁷³⁸ 円より子 | 新・国民民主党
- ²⁰²¹²²²³ 〖法案提出〗「選択的夫婦別姓法案」を衆議院に提出
- ²⁴²⁵²⁶²⁷ 〖法案提出〗議員立法「自動車盗難対策法案」並びに「組織犯罪厳罰化法案」を提出
- ³⁰ 国会質疑のお知らせ - 円より子(マドカヨリコ) | 選挙ドットコム
- ³¹ 円より子議員(国民)質疑 2025年5月28日衆議院法務委員会 - note
- ⁴² 円より子 国民民主党 衆議院東京都第17区 葛飾区全域 - YouTube
- ⁴³⁴⁴ 2025 政策パンフレット(PDF)- 国民民主党
- ⁴⁵⁴⁶ 2024 政策パンフレット(PDF)- 国民民主党
- ⁴⁷⁵³ 円より子 | 東京都 | 議員 | 新・国民民主党
- ⁴⁸⁴⁹⁵⁰ 給料を上げる(PDF)- 国民民主党
- ⁵¹ 円より子 - 国民民主党 第49回衆議院議員総選挙 特設サイト
- ⁵² 円より子 | 国民民主党 第50回衆議院議員総選挙 特設サイト
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。