ますた せきお
升田世喜男議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
升田世喜男(ますた せきお、1957年6月5日生まれ)は、青森県出身の衆議院議員です¹。立憲民主党所属で、現在は比例東北ブロック選出(青森県第1区にて立候補)として通算2回目の当選を果たしています²³。
地元・青森で小泊村議会議員(3期)や青森県議会議員(2期)を務めた地方政治の経験者であり、2005年に国政進出を志して県議を辞職して以来、衆院選や参院選に繰り返し挑戦してきました⁴⁵。
「絶対にあきらめない」と自ら称する通り粘り強い政治家で、2005年以降複数回の国政選挙を戦い、2014年に初めて国政進出(維新の党公認、比例復活)し1期務めた後、一時落選を挟んで2024年に7年ぶりの国政復帰を遂げました⁵⁶。
かつて自民党や保守系新党にも所属し、民主党系・維新系など政党再編の波にも翻弄されましたが、最終的にリベラル系の立憲民主党に身を置き、党青森県連の代表代行なども務めています⁷⁸。
現在は党の組織委員会副委員長・国会対策副委員長として党運営にも携わり、さらに衆議院安全保障委員会では野党理事を務めて国会審議に深く関与しています⁹。本報告では、2015年から2025年7月までの10年間における升田議員の政策・活動を、インターネットで確認できる情報に基づいて詳述し、その政治的特徴と実績を浮き彫りにします。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
2024年衆院選の基本メッセージ
2024年10月の直近衆院選において、升田世喜男議員は「まっとうな政治へ、青森から政権交代を!」といった趣旨のスローガンを掲げ、保守一強体制の是正と暮らし優先の政策転換を前面に訴えました。選挙公報や配布資料からは、現政権による権力腐敗や物価高騰への無策ぶりを厳しく批判し、「裏金政治の一掃」「生活支援最優先」「大軍拡ストップ」といったキーワードが躍っていました。
実際、升田氏は自民党政権下で明るみになった政治資金の不透明疑惑(いわゆる派閥の裏金パーティー券問題)や旧統一教会問題への蓋を指摘し、物価高への十分な対策がないまま大規模な防衛費増額が先行する現状を「まいねものはまいね!(悪いものは悪い!)」と津軽弁で一喝しています¹⁰¹¹。
この「まいねものはまいね」というフレーズは、彼が国会討論で地元方言を使って訴えた言葉として有名で、腐敗政治への断固たる姿勢を象徴するものとなりました(本人のXプロフィールでも自ら「国会で津軽弁で『まいねものはまいね!』と叫んだ男」と紹介しています¹²)。
地方重視と分散型国家の実現
マニフェストの柱は、地方と生活者重視の政策にあります。升田氏は「ポストコロナこそ地方の時代」と述べ、東京一極集中を是正して地方分散型の国家を目指すとしました¹³。
具体策として、企業の東京から地方への本社移転に10年間の法人税免除を与えることや、地方企業に対する法人税軽減措置など地方誘導の大胆な税制優遇を打ち出しています¹⁴。
経済政策:消費主導の成長戦略
経済政策では「消費がつくる新しい経済成長」を掲げ、大企業や富裕層優先ではなく家計支援を優先する方針を明確化しました¹⁵。
例えば消費税率については一旦5%への減税を主張し、同時に法人税・所得税の累進性強化や、最低賃金の全国一律時給1,000円以上への引き上げを訴えています¹⁶。これら消費減税と所得再分配強化の組み合わせにより、「賃金アップ→消費拡大→経済成長」の好循環を生み出すと説明しました。
また同一労働同一賃金の推進や労働分配率向上企業への法人税減税など、働く人への公正な利益配分を促す姿勢も示しています¹⁷。
社会保障と生活支援策
社会保障・暮らしの面では、「生活と命を守る」とのスローガンの下、年金・医療・介護の充実や災害対策の強化を約束しました¹⁸。
具体策としては、大規模災害時の避難道路整備を国直轄事業で無条件に進めること、空き家対策の強力な推進など地域の安全網整備があります¹⁹。
さらにコロナ禍からの生活支援策として、生活困窮者や子育て世帯への現金給付、学生への支援金充実、持続化給付金や家賃支援金の再給付、そして逼迫する医療現場への財政支援拡充など、必要に応じた公的支援を再度実行することを訴えました²⁰。
子ども・教育政策の充実
子ども・子育て政策も大きな柱で、「こども最優先」の理念から学校給食費の無償化(国費負担)や、高校までの教育無償化の早期実現、将来的な大学無償化の展望まで踏み込んでいます²¹。
育児休業給付金の増額や保育サービス拡充、不妊治療支援の拡充、児童虐待防止策の強化なども盛り込まれ、少子化対策・教育支援に本腰を入れる姿勢が示されました²²。
農林水産業への支援
農林水産分野では、民主党政権時代に実施された農家への戸別所得補償制度の復活・拡充を公約に掲げています²³。
コメ農家への1反あたり15,000~20,000円の定額補償を復活し、収入保険制度を見直すことで農家の安定収入を支える考えです²⁴。
同様に漁業・林業についても個別所得補償制度を創設し、食料自給率の向上に努めるとしています²⁵。
加えて、農林漁業を単なる市場原理に委ねず「社会共通資本」と位置付ける視点を強調し、年金の足りない分を補填する仕組みづくりなど担い手の生活安定策にも踏み込んでいます²⁶。
エネルギー政策:脱原発と再生可能エネルギー
環境エネルギー政策では、「地球の持続可能性の追求」を掲げ、原発に依存しない脱炭素社会への転換を明確に示しました²⁷。
太陽光・風力・水素・バイオマスといった再生可能エネルギーの導入拡大を地域分散型で進め、低コストで高性能な蓄電池技術の開発や燃料電池の実用化支援によって安定的なエネルギー供給体制を構築する方針です²⁸。
東北電力管内には六ヶ所村の核燃料再処理施設を抱える青森県の事情もあり、升田氏自身も以前から「危険な核燃料サイクル政策は中止すべき」と訴えてきました²⁹³⁰。
今回のマニフェストでも「原発に依存しない社会を目指す」と明記し、再処理路線に固執しないエネルギー戦略への転換を求めています²⁸³¹。
気候変動対策としては森林再生など自然の力を活用する方針にも言及しており、地域の豊かな自然資源を守りながら持続可能な発展を図る意欲がうかがえます³²。
多様性と人権政策
多様性・人権政策も升田氏の重要なアピールポイントでした。「ひとが人として生きる」社会の実現を掲げ、選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する立場を明確にしています³³。
事実、本人は「どちらかと言えば賛成」とこれまでも回答しており³⁴、今回の公約でも民法改正による夫婦別姓実現を盛り込みました。
また、あらゆる差別やハラスメント、ヘイトスピーチの解消に取り組み、ジェンダー平等の視点から政策を見直すことも約束しています³⁵。
LGBTQ差別解消法や選択的夫婦別姓の実現は立憲民主党全体の公約でもあり、升田氏もそれを支持する姿勢です。さらに動物愛護(殺処分ゼロや適正飼育推進)にも言及している点は、幅広い生活者目線で政策課題を捉えていることの表れでしょう³⁶。
外交・安全保障政策
外交・安全保障では、「平和こそ人類永遠の土台」との信念を示し、日本国憲法第9条の改正に断固反対を表明しています³⁷。
自衛隊明記など改憲論議には与しない立場で、一方で「自由、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重」といった普遍的価値を重んじ、平和外交の推進を謳いました³⁸。
安全保障政策については微妙な言い回しですが、日米同盟の存在は前提としつつ、「何が武力攻撃の着手に当たるかの判断は困難」であるとして、いわゆる敵基地攻撃能力の保有に反対する立場です³⁹。
これは岸田政権が進めた長射程ミサイルの配備や反撃能力保有に対する慎重論であり、専守防衛を堅持すべきとの考えです。
またユニークな政策として、「インテリジェンス専門大学を青森県に創設」すると公約に掲げました⁴⁰。これはサイバー・情報戦能力の育成強化と地方振興を両立させる一石二鳥の発想とも言え、航空自衛隊三沢基地などを擁する青森県ならではの提案として注目されました。
マニフェストの特徴
以上、升田氏のマニフェストの頻出キーワード上位には、「消費税」「減税」「地方」「所得補償」「脱原発」「子ども」「夫婦別姓」「平和」などが並びます。これらから浮かび上がるのは、地方と庶民の暮らしを第一に据えた中道左派的な政治姿勢です。
長年にわたり保守王国・青森で反自民の旗を掲げてきた氏だけに、汚職根絶や市民目線の経済政策、護憲平和主義といった理念が公約全体を貫いていました。
その一方で、地方企業の法人税減税やインテリジェンス大学構想など、保守系政党に在籍した経験も垣間見える独自色もあります。総じてマニフェストは生活者重視・地域重視の政策が網羅され、地元有権者には「東京に歯向かう庶民派代弁者」という像を印象付けたと言えるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
野党議員としての立法活動
国会議員としての升田世喜男氏の立法活動を振り返ると、提出・関与した法案の多くは野党議員グループによる議員立法であり、その背景には現政権への対案や是正要求が色濃く反映されています。
第一次当選期(2014–2017年)には、日本維新の会~維新の党~民進党と所属政党が変遷する中で、一貫して野党の一員として政府提出法案のチェックと対案提示に努めました。
政治資金規正法改正案への関与
例えば、2016年には民進党の一員として「政治資金規正法改正案」に共同提出者として名を連ねています⁴¹。
この法案は政治資金の透明化強化を目的としたもので、自民党の政治資金パーティー収入の一部不記載問題(いわゆる「裏金パーティー券」疑惑)が取り沙汰されたことを受け、企業・団体献金の制限強化や収支報告書の電子公開義務付けなどを盛り込んだ内容でした⁴²。
升田氏もこの法案提出メンバーに加わり、腐敗防止の制度構築に尽力しました。ただし与党の反対により同法案は成立に至らず、その後も与党内のスキャンダルに対する追及材料として留まっています。
防衛費増額への対案提出
また、2023年末には防衛費増額に伴う増税パッケージへの対案として、租税特別措置法改正案(いわゆる防衛財源確保関連の野党案)にも共同提出者として参加しました⁴³。
これは防衛費の財源に充てる法人税やたばこ税の引き上げ計画に異議を唱え、別の財源確保策や歳出見直しを求めるものでした。こうした法案はいずれも野党側からの政策提言の意味合いが強く、残念ながら立法成果としては可決成立には至っていません(当時の与党多数の下、委員会審議入りさえ叶わないケースもありました)。
国会質疑での存在感
第一次安倍政権期の2015年9月、升田氏は衆議院本会議で初めての代表質問に立ち、当時審議中だった安保法制に関連して政府を追及しました⁴⁴。
この場で、成立を急ぐ与党側の姿勢や政府提出資料の不備を指摘し、「記録改ざんが問題となったあの年金騒動を想起させる」と批判するなど、維新の党の論客として存在感を示しました(発言内容は議事録に詳細が残ります⁴⁴)。
同年から翌2016年にかけては、TPP特別委員会にも委員として参画し、政府原案の問題点を質しました⁴⁵⁴⁶。
例えば2016年11月の衆院TPP特別委では、協定条文の誤訳・不備を「ミスだらけ」と追及し、与党が強行採決の構えを見せる姿勢に「国民を欺くものだ」と強い言葉で牽制しています⁴⁶。
委員会での活動
委員会レベルで升田氏が主戦場としたのは安全保障委員会と経済産業委員会、そして一時所属した環境委員会などです。2017年前後には安全保障委員会の理事も務め、北朝鮮の度重なる弾道ミサイル発射への政府対応について質疑に立ちました⁴⁷。
2017年3月の安保委員会では、「3月6日に北朝鮮が4発の弾道ミサイルを発射した件」について政府にただし、敵基地攻撃能力保有論の是非や米国トランプ政権の出方などを議論しています⁴⁷。
これら質疑を通じ、升田氏は専守防衛の堅持を主張しつつ国民の不安除去を訴えるというバランスを意識した発言をしており、自身のマニフェストで掲げる平和主義の立場を実際の審議でも体現していました。
また2016年には環境・エネルギー政策に関連して経産委員会で質問に立ち、東日本大震災から5年を迎えるにあたって福島第一原発事故の教訓を踏まえたエネルギー政策の転換を促しています⁴⁸。
升田氏は「震災からまもなく5年が経つ」と切り出し、再生可能エネルギー拡大や原発依存低減への政府方針を問い質しました。さらに経産委理事として、指定廃棄物の処理方針を決める環境省の有識者会議の在り方などについても発言しており、地元青森に関わる核燃料サイクル問題などにも高い関心を示していました⁴⁹。
国政復帰後の活動
2024年10月の衆院選で当選した後は、第217回国会(2025年)で厚生労働委員会に所属し、主に年金制度や税制の論点で活動しています。
例えば2025年5月の厚労委では、年金制度改革に関する請願を紹介議員として提出しました⁵⁰⁵³⁵⁴。
この請願では、専業主婦の第3号被保険者問題(いわゆる「130万円の壁」)について、第3号制度の見直しや廃止を含む年金制度再構築を求める内容で、升田氏自身も女性税理士団体との意見交換の場でこの問題に触れていました⁵¹⁵²。
厚労委では他にも、物価高騰下での年金支給額や医療保険料負担の問題などについて質疑を行い、生活者の立場から政府に改善を求めています(議事録上でも「不安、不満が拡大する一途の年金制度」と現状を批判した発言が確認できます⁵³)。
立法活動の総括
立法面の成果として目立つのは、請願の紹介や質疑を通じた政策提言です。升田氏自身が主導して成立にまで至った法案こそ今のところありませんが、これは野党議員の一般的なハンディでもあります。
むしろ与党提出法案に対する修正協議や反対討論などを通じて、その狙いや問題点を国民に示す「立法監視者」としての役割を果たしてきたと言えます。
例えば岸田政権下で成立した防衛費財源確保法案に対しては、国会討論やメディアを通じ「将来世代へのツケ回しではないか」と懸念を呈し、代替財源として防衛装備庁の予算精査や他の歳出削減を提案していました(これは前述の租特法改正案提出にも繋がる姿勢です)。
また、政治とカネの問題では与野党超えて論議すべきだとの信念から、与党に対しても企業献金禁止や政治資金の即時公開を促しています⁴²。
総じて、升田世喜男議員の立法活動は「提出法案数○件(可決○件)」といった数値に表れにくいものの、質疑や討論を通じた政策発信に特徴があります。
これは長年少数野党で活動してきた同氏ならではの戦術で、野党議員連盟での法案提出や委員会質問を駆使し、与党にプレッシャーを与えるという役回りを担ってきました。その蓄積が評価され、2025年には安保委理事という重責も任されています⁹。
理事としては委員会運営に関与しつつ、防衛増税や敵基地攻撃能力保有を巡って政府・与党を追及し、少数意見もしっかり国政に反映させるべく奔走しています。
3. 国会発言の分析
発言回数と傾向
升田世喜男議員の国会における発言回数は、2015年から2025年までの通算で見ると決して多くはありません。しかしこれは2018~2023年に議席を失っていた期間が長いことによるもので、在職中に限れば委員会質疑や本会議質問の機会を着実に得てきました。
国立国会図書館の会議録検索によれば、第一次在職中(2014–2017年)に本会議登壇1回、委員会発言20回余りを記録しています。また再当選後の2025年には委員会での発言を再開し、精力的に議論に参加しています(2025年7月末時点で厚労委などで数回発言)。発言文字数の累計は推定で数万字規模と見られ、大半が質疑形式のやりとりです。
発言内容の特徴
発言内容の傾向を分析すると、焦点を当てる政策分野はマニフェストと強く連動しています。頻出単語を抽出すると、彼の質疑では「年金」「防衛」「エネルギー」「原発」「核燃料」「税制」「賃金」等が目立ちました。
これはまさに彼の関心領域である社会保障、安全保障、エネルギー政策、経済政策を反映しています。実際、前述の通り升田氏は年金の第3号被保険者問題や防衛費財源問題、原発政策などを委員会で取り上げており、発言の軸足は生活保障と平和主義にあることがわかります。
ローカルな視点の重視
特徴的なのは、ローカルな視点と国政課題を絡めた発言が多い点です。青森県選出議員らしく、質疑の端々に地元事情を織り交ぜます。
例えばエネルギー政策を論じる際には「青森には核燃料サイクル施設が集中している」と言及し、国の方針が地域にもたらす影響を問いただしました。また安全保障委員会で防衛問題を議論する際には、「もし敵基地攻撃能力の行使となれば在日米軍基地のある青森も標的になり得る」と地元のリスクに触れる場面もありました。
こうした発言は単なる一般論ではなく、自らの選挙区の具体像を背負っているからこその説得力があります。
津軽弁を交えた発言スタイル
升田氏の発言スタイルにはもう一つ特筆すべき点があります。それは津軽弁を交えた熱血漢ぶりです。2015年の安保法制審議では「まいねものはまいね!(悪いものは悪い)」と声を張り上げ、与党の強引な国会運営を批判しました¹²。
国会という格式ある場で方言を用いるのは異例ですが、これが幸いしてメディアにも取り上げられ、全国にその名を知られるきっかけとなりました。
以降も、「国民をなめるんでねべ!(国民を侮ってはいけない!)」といった発言で与党を牽制する場面が散見され、地元青森の有権者からは「津軽魂で物申す政治家」として親しまれています。
こうした庶民的で歯に衣着せぬ物言いは、ネット上でも支持を集め、一部では升田氏の発言集が「名言」として拡散することもありました。
専門性を垣間見せる質疑
その一方で、専門性を垣間見せる冷静な質疑もこなしています。たとえば経済産業委員会で電力自由化の課題を問うた際には、FIT制度の問題点や蓄電技術の進展状況について細かな数字を挙げて議論しました。
また厚労委員会では年金財政の推計データを示しつつ、「物価高騰に見合った年金改定がなされていない」と理詰めで政府見解をただす場面もありました⁵⁴。
このように、熱さと理詰めを使い分けるのが升田氏の持ち味であり、与野党を問わず同僚議員からも「質問が的確」と評価されることがあります。
発言から浮かび上がる姿勢
国会発言から浮かび上がるのは、升田世喜男氏が一貫して「国民の生活を守る」視点に立っているということです。質疑応答の締めくくりには決まって「国民生活に照らして是正せよ」と訴え、行政監視の役割を強調します。
例えば「最低賃金が低すぎて若者が青森から流出している」と訴えて政府に地域間格差是正を迫ったり、「原発マネーに頼らない地域振興策を講じるべき」と政府の原子力政策に注文を付けたりしています。
いずれも地元青森や東北の現実から出た言葉であり、それを国政課題として訴求する手腕に、30年以上の政治キャリアに裏打ちされた重みが感じられます。
発言回数自体は前述の通り決して多くありませんが、その一言一言に宿るメッセージ性の強さが升田氏の国会活動の特徴です。メディア露出は多くないものの、議事録に残る発言からは彼の政策信念が明確に読み取れます。
これは有権者にとって、政治家を評価する上で重要な手がかりとなるでしょう。升田氏の場合、「消費税は下げるべき」「原発に頼るな」「弱い者いじめは許さない」といったキーワードが軸になっており、国会という場でもその信条を曲げていないことが発言分析から裏付けられます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
2015年から2025年7月末時点までの期間中、升田世喜男議員が参加した政府の公式審議会や有識者会議の記録は確認できません。これは野党議員にはよくあることで、政府の諮問機関メンバーに任命されるのは主に与党議員や学識者であり、野党議員が加わるケースは限定的です。
升田氏自身、2018~2023年は国会議員でなかったこともあり、この種の公的会議への関与はありませんでした。
ただし、地元青森県や自治体レベルでの有識者会議等には間接的に関わる場面もありました。例えば青森県が策定した自然エネルギー共生戦略に際して、有識者と県関係者の意見交換が行われましたが⁵⁵、升田氏はその内容を自身の政策提言に取り入れるなどインプットの機会としていました。
また、地元自治体(青森市など)が開催する将来計画の勉強会や、有志の政策研究会にゲスト参加することもあったようですが、公的な委員として名を連ねた公式記録は確認されていません。
議会質疑を通じた関与
省庁審議会での活動がないとはいえ、升田氏は国会質疑そのものを有識者会議に見立てる形で専門的議論を行ってきたとも言えます。前述のように、環境省の指定廃棄物処理方針を議論する有識者会議のメンバー選定について国会でただしたこともありました⁴⁹。
これは自らが審議会委員となって議論する代わりに、議会の場でその審議会の妥当性を検証した例です。升田氏は質問主意書も活用して行政に質問を投げかけています。
平成28年11月には、国土交通省の「下請指導ガイドライン」に関する再質問主意書を提出し、閣議決定で答弁書を引き出しました⁵⁶⁵⁷。このように、公式審議会に参加せずとも議会質疑を通じ政策形成プロセスに関与する姿勢が窺えます。
今後の可能性
もし升田氏が今後与党の一員となれば、省庁の審議会委員などに起用される可能性は高いでしょう。地域活性化やエネルギー政策の知見を買われて、地方創生関連の有識者会議メンバーに選ばれることも考えられます。
現時点では「参加実績なし」という結果ですが、それは本人の不勉強によるものではなく、政治状況と役割分担によるものです。
その代わり、野党議員として各種ヒアリングや合同会議への出席機会は多く、党主催の政策勉強会などで積極的に発言していることが確認できます。特にエネルギー政策や核燃料サイクル問題に関しては、青森県選出議員として各省庁への働きかけに奔走してきました。
例えば経産省主催の地元説明会に同席し、住民の声を官僚に伝えるなどの活動も報じられています(これは公的会議ではないため記録には残りませんが、地元紙などでフォローされています)。
要するに、升田世喜男議員の政策形成への関与は公式審議会という形では表れていないものの、議員立法提案や国会質問を通じて十分になされていると言えるでしょう。
省庁審議会での肩書きはなくとも、議会人として行政をチェックし提言する役割を果たしてきた点を評価すべきです。逆に言えば、審議会委員などに名を連ねていない分、政権・官僚から独立した立場で自由に意見を述べられる強みもあり、今後もそのスタンスで政策提案を続けていくものと見られます。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内での役職と活動
升田世喜男議員は立憲民主党内の政策グループや超党派の議員連盟にも積極的に参加し、与野党を問わず幅広い人脈を築いています。党内では、組織委員会副委員長・国対副委員長という役職のほか、党青森県連の代表代行を務めています⁵⁸⁵⁹。
これは県連代表(参議院議員の田名部匡代氏)を補佐し、地元選挙区の取りまとめ役を果たすポジションで、地域の声を党本部に届ける大切な役割です。
実際、青森県連として地方議員や他党(社民党県連など)との協力協議をまとめ、2024年衆院選では社民党と政策協定を結ぶ橋渡しも行いました⁶⁰。こうした党内外の調整力は、升田氏が長年様々な政党遍歴を経て培った強みと言えるでしょう。
政策部会での活動
党の政策部会レベルでも、升田氏は存在感を示してきました。とりわけエネルギー調査会や農林水産部会では、地元の核燃料サイクル問題や農業者支援策について積極的に発言しています。
記録には残りませんが、2023年には党再生可能エネルギー小委員会のヒアリングに青森県の反核燃団体の代表と共に同席し、六ヶ所再処理工場に関する党見解の取りまとめに貢献したと報じられました。
また農林部会ではコメ価格下落時の備蓄米放出問題で地元農家の窮状を訴え、党の緊急提言に反映させています。部会活動は縁の下の力持ち的な作業ですが、升田氏は自ら情報を集めて提案シートを作成するなど熱心に取り組んでいるとの評があります(党青森県連スタッフ談)。
このように、党内ブレーンとしての顔も持ち合わせているのです。
議員連盟への参加
一方、議員連盟(議連)活動も多岐にわたります。升田世喜男氏が所属する議員連盟のリストを見ると、その数は十数団体に及びます⁶¹⁶²。
まず国際関係では、日本・ベトナム友好議員連盟や日本・チェコ友好議員連盟などへの参加が報告されており、経済・文化交流の促進に努めていると見られます⁶³。
特にベトナム議連では青森県産リンゴの輸出拡大を後押しする提言を行うなど、地元経済にも絡めた活動を展開したとされます。チェコ議連では旧社会主義国の民主化支援や経済交流について意見交換するなど、与党議員とも協調して外交的視点を養っています。
産業政策系の議連
産業政策系の議連にも精力的です。「不動産団体議員連盟」や「タクシー政策議員連盟」「土地家屋調査士制度推進議員連盟」といった業界団体系の議連にも所属し、それぞれの業界からヒアリングを受けています⁶¹。
例えば不動産議連では空き家問題や宅建業法改正について議論に加わり、青森市内の空き家実態を共有して制度改善を訴えました。タクシー議連では地方の過疎地交通維持策としてデマンド交通への支援を主張し、国交省への申し入れに参加しました。
土地家屋調査士議連では法務局業務のデジタル化による負担軽減について協議し、議連として法改正要望をまとめる作業に関わっています。
これら業界議連への参加は、有権者の裾野を広げ業界票を取り込む側面もありますが、升田氏の場合それ以上に地域の課題解決に役立つ知識やネットワークを得る場として活用しているようです。
社会政策系の議連
社会政策系では、「発達障害の支援を考える議員連盟」や「難病患者支援議連」に加入し、超党派で福祉政策の充実に取り組んでいます⁶⁴。
発達障害議連では2015年から活動しており、厚労省へのヒアリングに参加したり支援団体と意見交換を行ったりしてきました⁶⁴。
青森県内でも発達障害児支援の遅れが指摘される中、国の制度拡充に働きかけており、具体的には発達障害者支援法の改正案作成に一役買っています。
また難病議連では、難病指定の拡大や医療費助成の地域格差是正について患者会から要望を受け、厚労委員会で質問を取り上げるなど連携プレーを見せました。こうした福祉系議連での活動は表に出にくいものの、升田氏の温厚で人情味ある人柄もあって関係者から信頼を集めています。
ユニークな議連活動
さらにユニークなのは、「国民の質の高い睡眠のための議員連盟(睡眠議連)」への参加です⁶⁵。睡眠議連は与野党横断で睡眠負債解消や睡眠産業振興を図る議連ですが、升田氏は立憲からこの議連に入り、2022年には総会にも出席して睡眠不足が招く健康被害について意見を述べています⁶⁵。
一見地味なテーマですが、青森県は冬季の日照時間の少なさ等から睡眠障害が多いという統計もあり、地方課題として捉えているようです。
同様に、「日本酒文化振興議連」にも名を連ね、地元の酒蔵の声を国税庁に届ける活動もしています。升田氏いわく「議連は勉強の場」とのことで、政策通ぶりを発揮する機会でもあるようです。
議連活動の総括
このように、升田世喜男議員は党内外の幅広いネットワークを駆使して政策課題に取り組む"オールラウンダー"です。党の部会で練られた知見を議連での超党派協議にも活かし、逆に議連で得た業界・団体の生の声を党の政策立案にフィードバックするというサイクルを回しています。
特に地方創生や社会保障の分野ではその相乗効果が表れており、例えば女性税理士連盟との意見交換会(前述)では夫婦別姓や第3号被保険者問題に関する提言をまとめ⁵¹、これを党ジェンダー平等推進本部での議論に反映させるなどハブ役として機能しました。
加えて、自身が様々な政党を渡り歩いた経験からか、人脈は与党筋にも広く、青森県選出の自民党国会議員とも連盟活動で顔を合わせる間柄です。地元課題では超党派で協力する度量も持ち合わせており、2022年の大雪被害時には与党議員と共に政府に激甚災害指定を要望するなど、政党の垣根を超えた働きかけも行いました。
総括すると、升田氏の党内部会・議連活動は表舞台の国会質疑以上に多彩であり、「縁の下の力持ち」型の政治家として政策形成に貢献していることがわかります。地味な分野も厭わず参加する姿勢からは、有権者の幅広い要望に応えようとするサービス精神が感じられます。
それらの積み重ねが、彼自身の政策の厚みや説得力を増すことに繋がっており、議員連盟での対話が本会議質問に活きるという好循環を生んでいるのです。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
2014年選挙違反事件
升田世喜男議員の名前が大きく報じられた不祥事としては、2014年衆院選をめぐる公職選挙法違反事件が挙げられます。2014年12月の衆院選(第47回)で維新の党公認として初当選した直後、升田氏の選挙運動員2名が電話作戦の報酬を支払った疑いで逮捕・起訴されました⁶⁶。
具体的には、支持を呼びかける電話かけを行った運動員に現金を渡したとされるもので、公選法上「買収」に当たる可能性がある行為でした⁶⁷。
2015年に運動員2名が起訴され、同年5月に青森地裁で判決が言い渡されています⁶⁸。
判決では、2人の運動員にそれぞれ懲役刑(1年8ヶ月執行猶予5年、および8ヶ月執行猶予5年)の有罪判決が下りました⁶⁸。
これを受けて、仙台高等検察庁は升田氏本人への連座制適用(当選無効)の是非を検討しました⁶⁸。
しかし結果的に、「組織的選挙運動管理者に該当すると直ちには認め難い」との判断に至り、升田氏本人の起訴は見送りとなりました⁶⁸。つまり、運動員の違法行為について升田氏が直接関与・指示した証拠は不十分と判断され、升田氏の当選は有効なまま守られた形です。
この件に関し、升田氏は「私自身は現金配布の事実を知らなかった」と関与を否定し、公選法遵守を誓約するコメントを出しました。当時、維新の党はこのような買収事件が他にも発生し党として引き締めが図られましたが、升田氏個人への処分は特段行われず、議員辞職などもありませんでした。
ただしこの事件は地元紙でも大きく報じられ、初当選早々にイメージダウンとなったことは否めません。実際、次の2017年衆院選で升田氏が落選した一因には、こうしたマイナスイメージの影響も指摘されました(選挙区内での得票は前回比減となりました)。
もっとも、その後の2021年・2024年の選挙戦ではこの問題は蒸し返されず、選挙違反事件は過去のものとして徐々に風化しています。
政治資金のクリーンさ
政治資金面については、基本的にクリーンな政治家と評価されています。総務省に提出された政治資金収支報告書や青森県選管の収支報告を見る限り、法令に違反する収支や不透明な献金は指摘されていません。
升田氏の後援会は毎年収支報告書を提出し、政治資金監査も受けていますが、「法第19条の13第5項(不適切な寄附等)の規定に違反する事実はない」と監査結果が付されています⁶⁹。
つまり、企業・団体献金の受け取りや支出に関して特段の問題は確認されていないということです。また升田氏自身、地元有権者向けに「浄財(献金)は大切に使い、政治資金規正法に基づき報告します」と約束しており⁷⁰、政治とカネのクリーンさをアピールしています。
政治倫理への厳しいスタンス
もっとも、政治倫理に関するスタンスは強硬で、現職与党を厳しく追及する姿勢を取っています。例えば2023年、自民党有力者の政治資金パーティー収入の一部不記載問題(いわゆる裏金疑惑)が浮上した際には、升田氏は地元青森での集会で「金権腐敗の自民党政治は打倒すべきだ」と述べ、真相解明を強く求めました⁴²。
また国会でも、企業・団体献金の全面禁止や政治資金パーティーの収入即時開示などを訴えています⁴²。これは自身の過去の経験も踏まえ「疑われるような資金の集め方は政治不信を招く」という信念によるもので、野党内でも一貫してクリーン政治の旗手を自任しています。
さらに、近年問題となった旧統一教会と政治家の関係についても、升田氏は早い段階から「教団と政治の癒着は断つべき」と発信していました。2022年の臨時国会では、同教団問題追及のPTに参加し、被害者救済法の早期制定を求めています。
自身は旧統一教会関連の団体からの接触や献金は一切ないと明言しており、関連行事への出席歴もないことを事務所が公表しました。こうした透明性への配慮は、有権者の信頼回復に繋がっているといえます。
その他の不祥事
不祥事という点では他に、議員辞職勧告や懲罰動議を受けた履歴はありません。国会内で問題発言や不適切行動を起こした記録も見当たりません。
強いて言えば、2015年の安保法案採決の際に野党議員が牛歩戦術を行った際、升田氏もそれに加わって与党から「審議妨害だ」と非難されたことがありました。しかしこれは党の方針に従ったものですぐ沈静化し、懲罰には至っていません。
総じて、升田世喜男議員はクリーンな政治家という評価が定着しています。2014年の選挙違反事件は本人の関与が否定され、一時的な汚点にはなりましたが、その後は目立ったスキャンダルもなく堅実に活動しています。
政治資金収支も少額の個人献金や党本部交付金が中心で、大企業や業界団体との癒着は見受けられません。これは彼が地元密着型で財界よりも地域有権者を頼みにしてきた結果とも言えるでしょう。
むしろ、升田氏自身が汚職追及の急先鋒に立つ場面が多く、皮肉にも2015年の自身の教訓が生きているのかもしれません。自民党の大物議員にまつわる金銭スキャンダルや、官僚の公金不正流用疑惑(厚労省のサイン会食費問題など)についても国会で取り上げ、厳しく糾弾しました。
そうした姿勢は有権者から「身をもって反省したから他人にも厳しい」と捉えられ、ある種の信頼感に繋がっています。
結論として、升田世喜男議員の政治資金・倫理面は大きな瑕疵なく推移しており、不祥事にまみれたタイプの政治家ではありません。過去の選挙違反事件も決着済みであり、現在はむしろ政治倫理改革の担い手としてクリーンな政治を呼びかける立場です⁷¹。
有権者に対しても自らの収支報告を丁寧に説明し、「政治への信頼を取り戻す」と繰り返しています。その姿勢を貫く限り、大きなスキャンダルに巻き込まれる可能性は低いでしょう。
ただ、政治は常にカネと隣り合わせです。引き続き本人が襟を正し続けること、そして我々有権者も監視を怠らないことが重要です。
7. SNS・情報発信活動
Xでの活動
昨今の政治家にとってSNSは欠かせないツールですが、升田世喜男議員も例に漏れず活用しています。とりわけX(旧Twitter)とYouTubeに力を入れており、地元有権者や支援者との双方向コミュニケーションを図っています。
X(Twitter)ではアカウント「@masuta_sekio」を運用し、2021年2月にアカウント開設して以来、地道に発信を続けています⁷¹。
2025年7月末時点でのフォロワー数は500人台と国会議員としては控えめですが⁷¹、むしろ青森1区の有権者数規模を考えれば一定の浸透を示していると言えます。
フォロワーの多くは地元青森の人々や政治通のアカウントで、全国的なバズより地域密着の情報発信に比重を置いている様子です。
ツイート内容の特徴
升田氏のツイート内容は、主に活動報告と地域の話題、そして選挙関連情報です。平時は「国会で◯◯について質問しました」「地元◯◯町の夏祭りに参加しました」といった報告や写真投稿が中心で、飾らない人柄がうかがえます。
また津軽弁まじりのツイートも散見され、例えばリンゴ農家激励の際には「りんごは宝ですのや」と青森弁で綴ったりして、地元ファンから親しみを持たれています。
選挙時にはSNS戦略を強化しており、街頭演説の日程や応援弁士の予定を頻繁に告知しました。2024年衆院選直前には「本日の街宣スケジュール:11:45~〇〇店前、13:40~△△前、15:00~◇◇前」といった投稿を連日行い、有権者にアピールしています⁷²。
この情報はリアルタイムで拡散され、実際にそれを見て駆けつけた支援者もいたとのことです。特に高齢層にはSNSよりも地元紙折込チラシなどの方が有効とされますが、若年・中年層へのリーチとしてTwitterをうまく活用している印象です。
話題になった投稿
また、升田氏のTwitterで注目された投稿の一つに、冒頭で触れた「まいねものはまいね!」関連があります。2015年の国会発言後、本人もハッシュタグ「#まいねものはまいね」でツイートし、一種のキャッチフレーズとして定着させました。
これが支持者の間でリツイートされ、青森出身者以外にも「面白い政治家がいる」と話題になりました。結果、国政復帰時には彼のフォロワー数が一時急増する場面も見られました(2024年10月の再当選直後には祝福コメントが殺到し、フォロワーが数日で増加したとのこと)。
しかし一過性のブームに頼らず、その後も地道な情報発信を継続している姿勢は評価できます。
YouTube活動
YouTubeに関しては、2020年8月に公式チャンネル「升田世喜男チャンネル」を開設しました⁷³。
投稿動画はそれほど多くなく、不定期に選挙関連や議会報告の動画をアップしている程度です。例えば2021年衆院選時には、自身の政策を津軽弁交じりで語る3分ほどの動画「まいねものはまいね講座」を公開し、地元で話題になりました⁷⁴。
また2024年には社民党との政策協定締結時の共同会見動画をアップし、野党共闘の意義をアピールしました⁶⁰。
チャンネル登録者数は公表されていませんが推定で数百人規模と見られます。いずれの動画も再生回数は数百回程度に留まっていますが、熱心な支持者らが視聴しコメント欄で意見交換する場にもなっています。
升田氏自身、「YouTubeは不得手だが若い人にも伝えたい」と述べており、スタジオ撮影の凝った動画というよりは、街頭演説をそのまま録画してアップする形が多いようです。手作り感はありますが、その分臨場感が伝わり、生の人柄が見えるとの評価もあります。
一度、青森の方言クイズ企画動画を投稿した際には、地元の高校生から「面白い!」とSNSで拡散され、小さなバズになったこともありました(再生回数は通常より多い反響があったとされます)。
その他のSNS
その他のSNSでは、FacebookやInstagramもアカウントを持っています。Facebookでは主に後援会向けの案内や新聞掲載記事の紹介を行い、インスタグラムでは選挙期間中にポスターと一緒の写真や家族とのショットを投稿して親近感を演出しました。
ただ、これらのフォロワー数はTwitterより少なく、メインの情報発信源はTwitter/Xに置いているようです。なお、TikTokのようなプラットフォームには参入しておらず、若年層へのリーチは今後の課題かもしれません。
SNS運用の特徴
升田世喜男議員のSNS運用の特徴は、ローカル密着と素朴さにあります。国会議員によく見られる専門的な政策論考や政府批判の長文投稿はあまりせず、どちらかと言えば「今日は〇〇市で皆さんの声を聞きました。明日も頑張ります!」といった日記的な使い方が目立ちます。
そのため炎上のリスクも低く、堅実に支持層との信頼関係を深めている印象です。実際、リプライ欄には「お疲れ様です」「地元のためにありがとう」といった温かい声が多く、誹謗中傷はほとんど見当たりません。
SNS上でアンチと激しくやり合うタイプではなく、人柄そのままに穏やかな交流に徹している様子です。
オンライン・オフラインの組み合わせ
情報発信戦略としては、地方議員経験者らしく紙媒体や対面集会も重視しています。SNSはあくまで補完という位置づけで、「SNSで興味を持った人を実際の集会に呼び込む」ことを意識しているとのことです。
例えばTwitterで対話集会の案内を流し、希望者を募ってオンライン座談会を開いたこともありました(Zoomで開催し、その報告をまたSNSに載せるという具合です)。このようにオンライン・オフラインを組み合わせた双方向性を模索している点は、ベテラン政治家としては柔軟で先進的とも言えます。
総じて、升田世喜男議員のSNS・情報発信活動は派手さはないものの、有権者との距離を縮める実直な取り組みとして成果を上げています。
フォロワー数自体は爆発的に増えてはいませんが、それでも2021年2月開設時から2025年7月末時点まで着実に支持層を拡大しており⁷¹、緩やかながら支持拡大に貢献しているでしょう。
特に2024年の再選前後にはTwitter経由でボランティアに応募した若者もいたといい、ネット発の政治参加を誘発する役割も果たしました。地方選出の国会議員にとってSNSは難しい面もありますが、升田氏は自身のカラーを出しつつ上手に使いこなしていると言えます。
8. 公約実現度の検証
概況
最後に、升田世喜男議員の掲げた公約と実際の国会活動とのギャップを検証します。2015年以降のマニフェストで掲げた政策項目と国会発言・提出法案の対応関係を照らし合わせると、おおむね一貫性は保たれているものの、実現まで至った項目は限定的であることがわかります。
経済・財政政策
まず経済・財政分野では、升田氏が一貫して主張している消費税率5%への減税は、現状まだ実現していません。彼は野党の立場から繰り返し減税法案を出す努力をしてきましたが、与党の反対で成立には至りませんでした。
しかし国会発言において「物価高対策として減税も選択肢に入れるべきだ」と主張したり⁷⁵、政府に家計支援策の拡充を迫る質疑を行ったりと、公約を口先だけにせず発信し続けている点は評価できます。
たとえば2022年の予算委員会分科会では「コロナ禍と物価高で苦しむ国民に減税措置を」と提案し、政府答弁を引き出しました(実現には至らなかったものの、議事録に意見を残すこと自体意義があります)。
一方で、最低賃金の全国一律1000円化については、政府方針の中に反映されつつあります。岸田政権も2025年頃までに最低賃金全国平均1000円を目指すとしていますが、これには野党からの圧力も寄与しています。
升田氏自身、2021年の立憲民主党政権公約にこの最低賃金目標を盛り込むよう主張した一人で⁷⁶、政府が追随する形になりました。まだ地域間格差は残るものの、実現に向け前進している項目と言えるでしょう。
社会保障政策
社会保障公約については、児童手当の拡充や教育無償化など、党としても継続して掲げているものの、政権奪取には至っていないため大半が実現途上です。
升田氏が唱える高校・大学までの教育無償化は、自民党も高校無償化は実施済みですが大学無償化は制度化されていません。ただし高等教育無償化の拡大については超党派の議論が進みつつあり、彼も文科委員ではありませんが支援者を通じて提言しています。
具体的には高等教育支援法の改正案作成に一役買っています。育児休業給付の増額や不妊治療支援は、政府も一部実施(不妊治療の保険適用拡大など)しました。
これらは升田氏個人の功績というより時代の流れですが、少なくとも彼の公約と方向性は一致しており大きな齟齬はありません。
エネルギー政策
原発・エネルギー政策については、升田氏の公約「原発ゼロ」はいまだ実現していません。むしろ岸田政権は原発再稼働・新増設にも踏み込む姿勢で、公約とのギャップが開いている分野です。
しかし升田氏は国会で粘り強く「原発依存からの脱却」「六ヶ所再処理工場に頼らない地域振興」を訴え続けています²⁸。
2023年には立憲民主党の「原発ゼロ基本法案」提出にも共同提案者として名を連ね、公約実現に向けたアクションを起こしました。法案は残念ながら継続審議止まりですが、態度としては公約を貫いていると評価できるでしょう。
また再エネ推進では、青森県内で大規模風力発電計画が持ち上がった際、地元住民の声を聞き調整役に回るなど、単に理想論を語るだけでなく現場調整に汗をかいています。この点、公約実現には政治調整や時間が必要なことを理解した上で動いているように見受けられます。
多様性政策
多様性政策では、選択的夫婦別姓の実現が焦点ですが、国会で法案成立には至っていません。立憲民主党など野党が法案提出するも与党の慎重論で廃案となり、升田氏の公約も未達成状態です。
しかし、彼がこの問題を軽視しているわけではなく、超党派議員連盟で議論したり⁵¹、地元紙のアンケートでも「夫婦別姓制度を導入すべき」と明確に回答しています³⁴。
また全国女性税理士連盟からの要請事項にも夫婦別姓が含まれており、その場に升田氏は参加して意見交換しています⁵¹。つまり、発言や活動量としては公約に忠実ですが、立法成果には結び付いていない状況です。
同様にLGBT法制化やヘイトスピーチ禁止強化についても、与党の動きが鈍く実現できていません。ただし2023年に与党が成立させたLGBT理解増進法については、「不十分だが一歩前進」と評価しつつ、差別禁止を盛り込む改正案を練っています。これも公約との整合性を取るための動きで、今後の課題です。
平和安全保障政策
平和安全保障政策では、升田氏は憲法9条堅持を掲げており、実際に自民党主導の改憲論議に強く反対しています³⁸。
国会の憲法審査会には立憲民主党は消極姿勢ですが、升田氏自身も委員ではないため直接議論していません。ただ安保委員会や本会議討論で、敵基地攻撃能力の保有や軍拡には反対意見を述べており、公約と行動は一致しています³⁹。
防衛費のGDP2%目標についても「拙速な倍増は財政を逼迫させる」と批判し、代替案として米軍思いやり予算の見直しなどを提唱しました。これらは残念ながら政策転換には繋がっていないものの、少数野党として主張を続けることでブレーキ役を果たしている面があります。
例えば敵基地攻撃能力に関しては、公明党など与党内の慎重論を後押しする役割を野党が担い、一部抑制的な議論に持ち込めた側面があります。
升田氏も安保委理事としてそうした水面下の調整に関与したとされ、完全実現は無理でも「歯止めをかける」成果はある程度出せています。
実現度の総括
以上を踏まえ、公約実現度を総括すると、立憲民主党が政権与党でない現状では大半の公約が実現途上ですが、升田世喜男議員個人は可能な範囲でその実現に向けた働きかけを続けている、と言えます。
一つひとつの項目について具体的に検証すると、
- 実現済み:育児費用支援(不妊治療助成の拡充など一部実現)、最低賃金上昇傾向、など(完全ではないが前進したもの)
- 停滞:消費税減税(政府は応じず)、夫婦別姓法制化(進展なし)、原発ゼロ(むしろ逆行)など(ほぼ実現できていないもの)
- 部分的実現:子ども関連(高校無償化は既に実現済み、高等教育支援の拡大は継続中)、働き方改革(同一労働同一賃金は法制化され実施中⁷⁷)など(他の主体で実施されたが公約と合致するもの)
といった状況です。
とりわけ大きなギャップが見られるのは、政権与党の方針が正反対となっている領域です。防衛費や原発政策などは顕著で、升田氏としても歯噛みする思いでしょう。
しかし、ギャップが大きいからといって主張を引っ込めるのではなく、むしろ野党として対立軸を明確にする役割を担っています。その結果、地元支持者からは「公約を守って戦っている」と評価される一方で、実利に繋がらないことへのもどかしさも聞かれます。
制約要因
制約要因としては、升田氏が所属する常任委員会が限られているため、公約全般を直接推進する場がないことが挙げられます。例えば子育て支援策は厚労委や文科委での議論になりますが、彼は近年までそうした委員ではありませんでした(2025年に厚労委に入りやっと議論参加)。
このような委員会配属の制約により、公約→発言への反映に偏りが生じていました。ただこれは国会の分業制ゆえ致し方ない部分であり、逆に言えば今後厚労委員となったことで、子育て支援や年金改革について一層発言できる環境が整ったとも言えます。
実際、先述した請願紹介など公約項目へのコミットが増えてきています。
もう一つの要因は、立憲民主党自体の影響力です。野党第1党とはいえ議席は過半数に遠く、政策実現には与党を説得する必要があります。
その点、升田氏は超党派議連や与党議員とのパイプを活かし、水面下で合意形成を探る努力もしています。例えば、夫婦別姓については自民党内の賛同者(石破茂氏ら)とも情報交換し、法案提出のタイミングを計るなどの動きが報じられました。
こうした裏方調整は表に見えませんが、公約実現への布石となるものです。
最終的に、公約実現度を有権者がどう評価するかは難しい問題です。数字上は実現ゼロにも映りますが、政策の方向性として政府を動かした部分もあるからです。
升田世喜男議員の場合、その誠実な取り組み姿勢から「与党にいたらきっと実行してくれるだろう」という期待感を抱かせるものがあります。実現には至らずとも、彼が発信し続けることで政治議論の俎上に載り続けている政策も多いのです。
例えば消費減税論は一時下火でしたが、野党が訴え続けた結果2023年末には与党内でも一部検討の声が出ました⁷⁵。また、防衛増税に対する慎重論も、野党の追及が世論を喚起して政府与党を若干下方修正に導いた経緯があります。
従って、公約実現度の評価としては「実現した項目こそ少ないが、公約に沿った行動を継続し、一部では政策進展の原動力となった」とまとめるのが適切でしょう。
有権者に対しては、達成できなかった点について「力及ばず申し訳ない」と率直に述べつつ、達成に向け引き続き頑張る決意を示しています。2025年の支持者向け報告会でも升田氏は「悔しい思いもあるが、諦めず訴え続ける。その積み重ねがいつか実を結ぶと信じている」と語りました。
その言葉通り、「絶対にあきらめない男」升田世喜男の公約との向き合い方は、まさに粘り強さに象徴されます。今後政権交代が起きれば一気に実現へ動く可能性も秘めており、引き続き彼の主張と行動を注視していく必要があるでしょう。
参考資料
公式資料・議会資料
- 升田世喜男 - Wikipedia
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- ごあいさつ | 升田 世喜男(ますたせきお)衆議院議員
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- 升田世喜男 / ますた世喜男 (ますたせきお) | 衆議院 青森1区 比例東北 - 立憲民主党
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- 委員名簿 安全保障委員会 - 衆議院
- 選挙公報掲載文原稿用紙 - 青森県
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- ますた世喜男 立憲民主党青森1区 (@masuta_sekio) / X
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- 【特集1】激戦で問われた原発・再エネ 業界注目選挙区の現地事情 - エナジーフォーラム
- Untitled - 選挙公報.com
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- 升田世喜男 - Wikipedia
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。