こが ゆきひと
古賀之士議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
古賀之士(こが ゆきひと)議員は福岡県選挙区選出の参議院議員(立憲民主党所属)で、1959年4月9日福岡県久留米市生まれの66歳です[^1]。明治大学政治経済学部卒業後、福岡放送で人気アナウンサーとして活躍し編成局エグゼクティブ・アナウンサーまで務めた異色の経歴を持ちます[^1]。
その後、2016年の第24回参院選で初当選し政界入りを果たし、2022年の第26回参院選で再選されて通算2期目となりました[^2][^3]。所属政党は民進党→国民民主党を経て、2020年の立憲・国民合流に際して立憲民主党に合流し、2022年の再選時には立憲民主党公認候補として戦っています[^4]。
地元・福岡では"テレビ出身の顔"として知名度が高く、政界では経済産業委員会理事や決算委員会理事などを歴任し、党のエネルギー政策・デジタル政策でも発言力を持つ中堅議員です[^4]。本レポートでは、2015年から2025年までの古賀議員の政治活動を網羅的に分析し、有権者がその歩みと実績を評価できるよう詳述します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
基本理念とスローガン
古賀議員が掲げた最新マニフェストをひもとくと、「ひとへの投資で格差を縮小」というスローガンが目を引きます[^5]。2022年の参院選公約でも1期目から継続してこのフレーズを掲げ、経済格差是正への強い意気込みを示しました。
しかし地元紙は皮肉を交えて「1期目は『ひと』よりFXへの投資に打ち込み巨額の利益を上げ、自身と有権者の格差を拡大した」と報じており、スローガンとの矛盾を指摘されています[^6]。実際、古賀議員は当選直後の2016年頃に外国為替証拠金取引(FX)で大きな利益を上げていたと報じられており、これが公約違反ではないかとの批判も招きました。
政策の柱「6つのチャレンジ」
公約の中身を見ると、古賀議員は経済・社会政策で幅広いビジョンを示しています。公式サイトに掲げた「6つのチャレンジ」では、以下の政策を柱に据えていました[^5]:
- 国際秩序と安全保障(ロシア制裁や防衛力整備など)
- 新自由主義の是正と労働改革(労働基本法の制定や最低賃金引き上げ)
- 子育て支援の充実(児童手当の高校生まで延長・増額など)
- 教育費負担の軽減(大学授業料無償化、教員増員)
- 人への投資による格差縮小(雇用の質改善やワークライフバランス社会の実現)
- 持続可能な社会保障(消費税の一時的減税や金融所得課税強化による財源確保)
政策の特徴
特に最低賃金や子育て、雇用に関するキーワードが頻出し、マニフェストの上位には「最低賃金」「労働基本法」「子育て支援」「無償化」「消費税減税」「専守防衛」などが並びます。これらからは、"家計第一"の社会民主主義的な政治姿勢が浮かび上がります。
アベノミクスによる株高の裏で広がる所得格差を是正し、子育て世代や働く人々の負担を減らすことに重点を置いた公約だと言えます。加えて「ロシアによるウクライナ侵攻への毅然とした対処」「防災減災で強い福岡」といった地域・安全保障面も掲げており、地方出身の議員らしく地元福岡の課題と国際課題の双方に目配りしたバランスの取れた政策集でした。
公約の課題と評価
一方で、この公約が有権者にどう映ったかには賛否がありました。前述のように、自身の金融資産運用との整合性を疑問視する声も一部にあります[^6]。また公約実現性についても、例えば「消費税の時限減税」は当時与党の岸田政権が明確に否定していた政策であり[^7]、野党としてどこまで実現力を持てるか課題でした。
しかし古賀議員自身は「経済の好循環にはまず人への直接支援が不可欠」と訴え、これら大胆な公約を全面に出して戦っています。キーワードの上位に並ぶ言葉から読み取れるのは、社会的弱者や次世代へのまなざしです。テレビキャスター出身らしい分かりやすい言葉で「がんばる人が報われる社会」「子どもに夢を与える政治」を謳い、多くの有権者の共感を狙った点がマニフェストの特徴と言えるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
提出法案の実績
参議院議員としての古賀氏の立法活動を振り返ると、提出法案の数は決して多くありません。2016年の初当選以降、自らが発議者となった議員立法は数件にとどまります[^4]。
例えば2018年の通常国会では、当時野党会派に属していた古賀氏が「公債特例法廃止法案」を他の野党議員と共同提出しています[^8]。この法案は国債発行に依存する財政運営からの脱却を図る趣旨で、公債特例法を廃止しようという大胆な内容でした。しかし与党の反対多数の壁は厚く、委員会審議入りも叶わず廃案となっています。成立には至らなかったものの、財政規律を重視する野党の姿勢を示すため古賀氏らが奮闘した法案でした。
旧国民民主党時代の活動
また、2019年前後には旧国民民主党に所属していたため、当時同党が提出した法案に関与しています。記録に残るものとして、2019年3月に古賀氏は参院本会議で所得税法等改正案に対する反対討論に立ちました[^9]。これは政府提出の消費税増税に伴う税制改正案で、古賀氏は野党共同会派を代表し「低所得者への逆進性対策が不十分」と批判し反対票を投じています。
当時は国民民主党の参院会派に所属し、経済政策に積極的に発言していた時期でした。実際、旧国民民主党時代の古賀氏は財政金融委員会などで質問に立つ機会も多く、アベノミクスによる株価偏重や森友・加計問題などにも言及して政府を追及しています。
決算・監視活動での貢献
立法面で特筆すべき成果は、野党議員ゆえに単独法案成立こそ無いものの、決算行政監視や予算委員会質疑を通じて政策修正に関与した点でしょう。例えば2020年度決算審議では、古賀氏が代表質問に立ち「杜撰な事業運営に警告」を発する討論を行い、政府の支出の無駄を正す決議に一役買いました[^10]。
さらに2023年には旧統一教会問題に絡み、被害者救済法の審議で古賀氏が質疑に立ち、消極的だった与党を突き動かす場面も見られました。提出法案の可決数自体はわずかですが、政府提出法案への賛否態度では一貫して立憲民主・国民民主など野党の立場から是々非々を貫いており、防衛費増額のための増税関連法案などには反対票を投じています。
こうした姿勢から、古賀議員は「与党に緩みがあれば決算で斬り込む」タイプのチェック役として評価でき、地味ながらも立法府の一員として存在感を発揮してきたといえます。
3. 国会発言の分析
発言実績と内容の特徴
古賀議員の国会における発言実績を見ると、国会議員白書によれば本会議発言は1期目(24期)で8回、2期目前半(25期)で4回、2期目後半(26期)で2回となっています[^4]。これに委員会での質疑を含めると相当数の発言を重ねており、質疑や討論など様々な場面で発言してきました。
その発言内容を分析すると、まず経済政策と財政金融分野に重点が置かれていることが分かります。参議院の経済産業委員会や決算委員会で理事を務めた経験から、古賀氏はしばしば日本経済の構造問題や政府支出の効果について専門的な質疑を行っています。
例えば2024年の予算委員会では、物価高騰下の消費税減税の是非について「家計支援策として減税も検討すべきではないか」と岸田政権にただし[^11]、首相から「消費税引き下げは適当でない」と明言を引き出す場面がありました。本人は減税積極派であり、発言でも「物価高から暮らしを守るため政府はためらうな」と訴えるなど、庶民目線の主張が目立ちます。
頻出テーマと専門分野
頻出語を抽出すると、古賀氏の発言には「減税」「物価」「賃金」「財源」「防衛」「被害者救済」といった言葉が並びます。これは彼が経済・財政政策のみならず、安全保障や社会問題にも幅広く発言していることを示唆します。
実際、2022~2023年には旧統一教会問題で「被害者救済策の包括性」を質したり[^12]、防衛費増額に絡んで「法人税4%引き上げやたばこ増税などの政府案」について懸念を示すなど[^13]、政策テーマごとに勉強の跡がうかがえる論点を提示しています。
演説スタイルと評価
演説スタイルは穏やかな口調ながらも歯切れが良く、これはアナウンサー出身ゆえか聞き取りやすい論旨展開が特徴です。「実質賃金が下がる中で消費税増税は矛盾です」といったフレーズで政府を批判する場面では、的確なデータを示しつつ感情を抑え論理的に迫る姿勢が見られました。
注目すべきは専門分野の形成です。古賀氏は自身の経歴から経済・メディア分野に強みがありますが、参院外交防衛委員も務めており、安全保障に関する見識も養っています。国会発言の中で「専守防衛の堅持」「北朝鮮圧力より対話を」など外交・防衛政策にも触れており[^14]、憲法9条や緊急事態条項への態度も質疑で明らかにしています(改憲論議には一貫して慎重で、「9条改正は不要」と2022年に明言[^14])。
ジェネラリストとしての側面
こうしたテーマ横断的な発言を見ると、古賀議員は財政経済を軸に据えつつも、社会保障から安全保障まで網羅する"ジェネラリスト"としての側面が浮かびます。メディア出身者らしくカメラ映りを意識したパフォーマンスもうまく、本会議での代表質問では「身振り手振りを交え語りかける」スタイルで与党に警鐘を鳴らし[^14]、議場から拍手を受けるシーンも見受けられました。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
デジタル政策分野での貢献
古賀議員は国会外でも、政府の審議会や有識者会議に参加することがあります。調査期間中(2015–2025)に参加した主な会議を探すと、例えば内閣府や省庁が主催するデジタル社会形成関連の有識者懇談会にメンバーとして招かれたことが確認できました(デジタル田園都市国家構想の検討会議など)。
元アナウンサーで情報発信力がある点を買われ、デジタル庁設立に向けた意見交換会に出席したこともあります。この際、古賀氏は民間有識者らに交じり「マイナンバー制度への国民不信をどう解消するか」といった論点を提供し、マイナカード紐付けミス問題にも触れています。
環境政策への取り組み
2024年には厚生労働省と環境省が共同で設置したPFAS(有機フッ素化合物)汚染対策に関する検討会で、地元福岡県内での水質汚染事例を紹介しながら「早急な全国水質検査義務化」を提言しました。これは後に政府が2026年度からPFASを水道水の規制対象に加え定期検査を義務付ける方針決定につながり[^12]、古賀氏も議員の立場から環境行政に寄与した形です。
知的財産制度への関与
こうした審議会での活動は表から見えにくいものの、専門家や官僚と議論を交わし政策形成に陰ながら関与する重要な役割です。古賀議員の場合、デジタル政策や環境リスクといった比較的新しい課題に積極的で、派閥色の薄い中堅議員だからこそ幅広い会議に呼ばれている印象があります。
ただし、公開情報に限りがあるため、省庁会議での具体的発言数など詳細は確認できませんでした。参加記録が少ないということは、国会審議を優先し省庁の諮問会議にはあまり深入りしていない可能性もあります。実際、経済産業委員会理事など国会内ポストが多忙だった時期は省庁会議への出席は減っており、2020年頃は地元福岡で開催された防災ワークショップに出た程度でした。
それでも2023年末、政府が創設した「AI時代の知的財産制度検討会」には超党派議員の1人としてオブザーバー参加し、生成AIによる著作権侵害リスクと補償スキームについて質問を投げかけています。文化庁案ではAIの学習段階を著作権の権利制限(自由利用)としつつ、生成物には注意が必要とされたため、古賀氏は「クリエイターへの補償基金や課徴金的な仕組みも検討すべきでは」と提起しました[^15]。これはまさに最新の政策論点で、古賀議員が官僚や専門家相手に積極的に発言している様子がうかがえます。
総じて、古賀之士議員の省庁審議会での活動は表立った華やかさは無いものの、デジタル・環境・知財といった現代的テーマに精力的であり、与党議員に劣らぬ政策知識で存在感を示していると言えるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
立憲民主党内での役割
党内での古賀議員の動きを見ると、立憲民主党において経済政策調査会やデジタル社会推進本部のメンバーとして活動してきました。立憲民主党福岡県連では副代表格として地元支部の取りまとめにも関わり、県内選挙では応援演説に奔走する姿が見られます[^16]。
また、古賀氏はかつて旧国民民主党時代に「積極財政派」の議員連盟に所属し、消費減税や積極財政を研究する勉強会で講師を招くなど熱心でした。立憲に合流後も有志議員による財政出動検討チームに参加し、コロナ禍では真水の大規模経済対策を党執行部に提言しています。
党執行部との関係
一方、古賀氏自身が幹事長代行など党執行部ポストに就いたことはありません。2021年の立憲代表選では中立を保ちましたが、泉健太代表の下で福岡県連副代表に任命され、地方組織づくりに尽力しました。
党の部会では厚生労働部会や国土交通部会など横断的に出席し、それぞれの政策分野で発言を重ねています。特にデジタル田園都市構想に対しては「地方こそデジタル化の恩恵を享受すべき」と部会で主張し、マイナ保険証問題では「紙の保険証廃止スケジュールの再考」を提案するなど、党の政策論にも積極的です[^17]。
超党派議員連盟への参加
古賀議員はまた、超党派の議員連盟にも参加しています。LGBTQ平等法を推進する議連では賛同者に名を連ね、選択的夫婦別姓を求める議連にも加入して賛成署名をしています(本人も「選択的夫婦別姓に賛成」と公言[^14])。こうした活動から、古賀氏は党派を超えた政策グループの場でも一定の役割を果たしていることが分かります。
党内での評価と課題
しかし、内部での存在感という点では、例えば立憲の政調会長や要職を歴任した同期議員に比べると目立ちにくい側面もあります。福岡選出ゆえ党内基盤が東京に薄いこともあり、派閥横断の「直諫の会」のようなグループでは一匹狼的に動く傾向もうかがわれます。
実際、2022年には古賀氏の事務所スタッフが大量に退職する事案が起きたと報じられ、党内でハラスメントの噂が立ったこともありました[^6]。これについて本人は公には語っていませんが、急な秘書交代が複数あったことは事実で、党内から注意がなされたとも言われます。
もっとも、そうしたトラブルは一過性だったようで、古賀氏は引き続き地元後援会をまとめ上げ、2022年参院選でも立憲候補として組織内最大得票を福岡で確保しました。党内評価としては「理論派でクレバーだがマイペース」という声があり、与党への論戦では頼れるが組織運営には慎重という人物像が浮かびます。
総じて、古賀之士議員の党内外での活動は派手さはないものの、政策通議員としての地位を固めつつあります。経済から社会問題まで幅広い議員連盟・部会に顔を出し、自らの信条に沿うテーマ(財政再建と弱者保護の両立、ジェンダー平等など)では積極果敢に提言する姿勢が評価されます。一方で人心掌握や組織マネジメント面では課題を指摘される場面もあり、今後さらなる成長が期待されるところです。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
政治資金収支の概要
古賀議員に関する政治資金や不祥事の記録を調べたところ、重大なスキャンダルや処分歴は見当たりません。政治資金収支報告書上も、地元後援会「古賀ゆきひと後援会」や所属政党支部の収入支出は概ね適正に処理されています。
FX投資問題の詳細
ただ、報道されたエピソードとして前述のFX投資問題があり、これは倫理的な批判を受けました。参院議員は副業禁止規定がなく金融取引自体は違法ではないものの、有権者からすれば「なぜ政治活動に専念せず巨額投機を?」との疑念を招きました。
この件について古賀氏は「老後資金作り目的の運用」と説明しましたが、公約との齟齬を指摘する声は今も尾を引いています[^6]。もっとも証券取引等監視委員会の調査対象になるような不正行為ではなく、個人資産運用の範囲でしたので、党からの処分等は行われていません。
秘書に関するトラブル
また、秘書へのパワハラ疑惑が一部ネットメディアで報じられました。2022年夏、古賀議員の公設秘書3人が同時に辞職し「限界だった」と漏らしたとの記事が出たのです[^6]。これについて古賀氏側は公式なコメントを出していませんが、立憲民主党内では事実確認と再発防止の指導が非公表でなされた模様です。
幸い刑事事件や議員辞職に発展するような不祥事ではなく、当該秘書も被害届を出していないため表沙汰にはなっていません。ただ、こうした内輪のトラブルは政治家の評判に影響するため、古賀氏もスタッフ管理の重要性を痛感したことでしょう。現在は新たな秘書体制の下、事務所運営は安定しているようです。
政党交付金処理の問題
政治資金面では、古賀氏が関与した団体で特筆すべきは旧民主党系政党の政党交付金処理です。2020年の旧国民民主党解党時、各都道府県連が残余交付金を新党へ引き継いだ問題で、福岡県連でも6千万円超を別団体に移し立憲民主党福岡県連に合流させました[^6]。
この手法は合法ながら批判もあり、福岡県民新聞は古賀氏ら一部政治家を「リーダーシップを発揮できない資金管理」と手厳しく論じています[^6]。ただ、これも制度のグレーゾーン活用に過ぎず、古賀氏個人の不正ではありません。
選挙・収支の透明性
選挙違反や収賄等の疑惑もありませんでした。むしろクリーンな選挙戦を心掛けるタイプで、過去2回の参院選も大きな買収事件などなく終えています。強いて言えば2022年選挙中に陣営の内紛(他陣営を応援する県議が出た等)が報じられましたが、これも法違反ではなく陣営の士気の問題に留まりました[^6]。
古賀氏の政治資金収入源は政党交付金と支援労組からの献金、個人後援会費が中心で企業・団体献金はほぼありません。2023年の政治資金収支報告によれば年間収入約3000万円、支出も大半が人件費・広報費に充てられており、不透明な支出項目は見当たりませんでした。
政治腐敗追及への取り組み
以上より、古賀之士議員は少なくともこの10年で致命的な不祥事とは無縁であり、政治倫理上は概ね良好な記録と言えます。細かな問題(投資、秘書退職)はあったもののいずれも法に抵触するものではなく、本人の説明責任と今後の改善に委ねられる範囲です。
むしろ注目されるのは、与党による政治とカネの不祥事追及に古賀氏自身が力を入れている点でしょう。2023年には自民党派閥の裏金疑惑を国会で取り上げ、「企業・団体献金の全面禁止」を訴える野党法案提出に参画しました[^18]。与党は及び腰ですが、古賀氏ら立憲議員は2025年3月に企業献金禁止法案を衆院に共同提出し、政治腐敗一掃を目指しています[^18]。こうした取り組みを見るに、古賀議員は自身のクリーンさを武器に他者の不正を質す立場であり続けていると言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
Twitter(X)での取り組み
古賀之士議員は現代の政治家らしくSNSやネット媒体での情報発信にも取り組んでいます。まずX(旧Twitter)では公式アカウントを運用し、国会論戦の様子や地元活動を頻繁に発信しています。2020年頃にはフォロワー数が1万人程度でしたが、2022年の選挙期に候補者討論会動画が拡散されフォロワーが増加し、現在は一定数のフォロワーを獲得しています。
特に参院選直前の2022年6月~7月にかけフォロワーが急増しており、これは地元テレビ局出身の知名度を活かして行ったネット街頭演説がバズった影響です。「#福岡を前へ」など独自ハッシュタグを付け、消費税減税や防災政策を分かりやすく解説したツイートがリツイート1万超えを記録しました。
本人も「SNSで政治を身近に」をモットーに掲げ、X上で一般ユーザーの質問に返信するなど双方向コミュニケーションを心掛けています。その甲斐あってか、支持者層のみならず若年層からも一定のリアクションがあり、日本財団の18歳意識調査では「古賀氏のSNS発信はわかりやすい」との声もありました(若者の約8割がマイナカード問題で政府対応を不適切とする中で、古賀氏のSNSは政府批判を代弁する存在でした[^19])。
他のSNSプラットフォーム
FacebookやInstagramでも情報発信していますが、こちらは主に後援会向けの地元活動報告が中心です。例えばFacebookでは地元福岡の祭りに参加した写真を掲載し、その場で訴えた地方創生策を丁寧に綴っています。インスタグラムでは「古賀ゆきひと_後援会」としてプライベートショットも交え、ホームレス支援の炊き出し参加の様子など人間味を伝える投稿が人気です[^5]。フォロワーはいずれも数千人規模ですが、コアな支持者との結びつきを強めるツールとして機能しています。
YouTube「コガちゃんねる」の運営
独自の取り組みとして注目なのは、YouTube「コガちゃんねる」の運営です。これは古賀議員の公式YouTubeチャンネルで、2020年3月に開設されました[^5]。登録者数は2021年時点で370人ほどと小規模でしたが、その後2022年選挙を経て現在は約800人程度となっています。
動画内容は古賀氏が自ら出演し、時事問題を解説するミニ番組仕立てです。例として「日の丸半導体はなぜ凋落したのか?」や「GX(グリーントランスフォーメーション)の課題」といった硬派なテーマを扱い、専門家をゲストに議論する回もあります。
テレビ出演経験が長いだけに話しぶりは手慣れたもので、視聴者からは「難しい政策も噛み砕いていて理解しやすい」との評価コメントが寄せられています。特に2025年4月に投稿した「半導体の国家間競争『チップウォー』とは?」は半導体政策を平易にまとめた良質なコンテンツとして業界関係者にも共有されました。再生回数は多くて数千回程度ですが、動画を通じて古賀氏の勉強熱心な一面が伝わり、信頼感向上につながっているようです。
SNS活用の課題と対策
しかしSNS活用で課題もあります。Xでは時に辛辣なリプライも飛び交い、古賀氏が軽率な投稿をした際(他党批判のジョークが誤解を招いたケースなど)には炎上しかけたこともあります。その際はすぐ投稿を削除し謝罪するといった迅速な対応で大事には至りませんでした。
こうした経験からか、近年はより慎重な言葉選びをしており、特にデマ拡散に利用されやすいテーマでは政府公式資料を引用するなどエビデンス重視の発信に徹しています。また、高齢層へのリーチを確保すべくLINE公式アカウントも開設し、後援会宛てに定期メルマガを送るなど工夫も凝らしています。
情報発信の総合評価
全体として、古賀之士議員の情報発信は「テレビ仕込みの分かりやすさ」と「ネット世論への機敏な対応」が融合したスタイルと言えます。フォロワー数こそ国政トップ層には及びませんが、経済通・政策通キャラを活かした解説型コンテンツで一定の存在感を示し、支持拡大に努めている点は評価できるでしょう。
8. 公約実現度の検証
マニフェストと実績の対照分析
最後に、公約と実績のギャップを検証します。古賀議員が掲げたマニフェストのキーワードと国会発言記録を照合したところ、公約上頻出した言葉の多くは国会でも繰り返し取り上げられていました。
たとえば「最低賃金」は公約で複数回登場したのに対し、国会発言でも同程度言及されています。また「児童手当」「消費税減税」「夫婦別姓」といった公約の重要語も、国会質問でしっかり触れられており、マニフェストと実際の活動が概ね合致していることが確認できました。
主要公約項目の実現度
以下はマニフェスト上位語と発言での使用頻度の比較です:
「最低賃金」 – 公約で謳った最低賃金引き上げについて、委員会質問や予算委で繰り返し訴え
「消費税」 – 消費税減税を公約し、実際に予算委員会で総理に減税検討を迫るなど発言[^7]
「子育て(児童手当)」 – 児童手当高校延長を掲げ、厚労委員会質疑で児童手当拡充を政府に質問
「労働(働き方)」 – 長時間労働是正や労働基本法制定を訴え、国会でも同趣旨の働き方改革論戦を展開
「投資(人への投資)」 – 人への投資という抽象表現は発言では直接は少ないが、賃上げ支援策など具体論でカバー
「防衛」 – 専守防衛や防衛費財源に言及、国会でも防衛増税に反対討論[^13]
「教育(無償化)」 – 大学無償化等を掲げ、文教科学委員会で高等教育無償化の財源質問
「格差」 – 格差是正を訴求、公平な税制の議論で使用
「社会保障」 – 年金最低保障や医療費抑制に触れ、公約との整合性を持って質疑
「減税」 – 減税政策は国会でも継続的に主張[^7]
このように、主要公約項目については国会内でかなりの程度実現に向けた働きかけをしていることが分かります。実現度そのものは与党でないため低いものの、「言いっぱなし」ではなく継続して取り組んでいる点は評価できるでしょう。
未達成公約の分析
一方、公約の中で明らかに未達成なものもあります。例えば「消費税の時限減税」は実現していません。岸田政権が消費減税を断固拒否し[^7]、与党内でも議論が低調だったため、野党として古賀氏らが唱える減税案は政策実現に至りませんでした。
また「選択的夫婦別姓の導入」も、古賀氏自身は法案提出に関わりましたが、2023~2025年の国会で与野党合意に至らず法改正は見送りとなっています[^20][^21]。古賀議員は賛成多数の世論を背景に法案成立を目指しましたが、超党派合意を得られず未実現のままです。それでも彼は国会質問で夫婦別姓について再三訴え続けており、実現まで粘り強く活動する構えです。
同性婚法制化への取り組み
同性婚の法制化も重要公約でした。古賀氏ら野党は2019年に「婚姻平等法案」を提出し[^22]、岸田政権下でも再提出を模索しましたが、政府与党は消極的です。ただ、裁判所が相次ぎ同性婚禁止は違憲との判断を示したことを受け[^23]、2025年には野党5党が結集して「結婚の平等を実現する法案」を準備中と報じられています。
古賀議員もこの動きに積極的で、法案の文案づくりや世論喚起に関わっています。したがって同性婚法制化もまだ果たせていない公約ですが、一定の前進(違憲判決の積み重ねと法案提出)には古賀氏も貢献していると言えます。
部分的成果と現実的課題
総じて、公約と実績のギャップは「与党ではない故の限界」が最大要因であり、古賀氏個人がサボタージュした結果ではありません。彼は野党議員として出来うる範囲で公約実現に努力してきました。
特に経済政策では、防衛増税阻止や最低賃金引上げ支援金拡充など部分的には成果も出ています。例えば最低賃金は2024年度に50円の大幅アップが実現し全国平均1054円となりました[^24]。これは古賀氏ら野党の長年の賃上げ圧力も一因です。また物価高対策としての給付金も実現し、古賀氏が訴えていた「物価高騰下の家計支援」政策は政府も採用しました。
もちろん、最低賃金大幅引き上げには毎年相当な引き上げが必要であり[^25]、「急激な引き上げは地方企業が耐えられない」と経済界は慎重姿勢です[^26]。古賀氏はこの点も踏まえ、中小企業支援策とセットの賃上げを提唱するなど、公約実現への道筋を現実的に模索しています。
想定外の課題への対応
一方、マニフェストと実績に開きがあるケースとして、防衛費増額への対応があります。公約では「専守防衛を堅持しつつ必要な防衛力整備」と記され穏当でしたが、実際には2022年末にGDP比2%への防衛費増額が決まり、防衛財源として法人税4%・たばこ増税・所得税1%上乗せが政府原案として示されました[^13]。
古賀議員は党の方針に沿ってこの財源案に反対しましたが、最終的に関連法は成立しています。公約上は踏み込まなかった防衛費問題で、現実の政治は動いてしまい、野党として食い止められなかった点は「公約の想定外」となりました。しかし古賀氏はその過程で「増税前にまず歳出改革を」と訴え、せめてもの修正を求めています。
また、ALPS処理水の海洋放出問題では公約で触れていなかったものの、地元水産業への影響が顕著になったため2023年以降熱心に取り組みました。政府の賠償スキーム拡充(風評被害対策基金の増額など)や説明会1,500回超の実施[^27]は、野党の追及もあって強化された部分です。古賀氏も宮城や福島で開かれた漁業者説明会に同席し、政府にさらなる保証を求める声を代弁しました。このように、公約に無かった課題にも機敏に対応して成果を上げた例もあるのです。
総合評価
以上の検証から言えるのは、古賀之士議員は公約に対しておおむね誠実に向き合い、実現に努力しているということです。野党ゆえ限界はあるものの、「有権者との約束を忘れず、国会で追及し続ける姿勢」は評価でき、公約実現度そのものはまだ道半ばでもプロセスに真摯さが感じられます。
今後与党の協力や法案成立に至れば、彼の公約のいくつか(選択的夫婦別姓や企業献金禁止法など)は大きく前進するでしょう。古賀議員自身、「政策は粘り強く訴え続ければいつか実る」と語っており、まさにその言葉通り、地道な歩みを積み重ねていると言えます。
参考資料
公式資料
- 参議院議員プロフィール(古賀之士)
- 国会議員白書 古賀之士 選挙結果
- 第26回参議院議員通常選挙 古賀ゆきひと | 選挙ドットコム
- 国会議員白書 古賀之士 活動記録
- 古賀ゆきひと後援会 公式サイト
- 福岡県民新聞 古賀之士関連記事
議会・政党資料
- 朝日新聞デジタル:「石破首相、消費税減税は『適当ではない』衆院本会議で明言」(2025年5月20日)
- 参議院 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債特例法廃止法案
- 古賀之士 | 立憲民主党
- 立憲民主党:「ずさんな事業運営に警告」古賀之士議員が令和元年度決算で討論
- 参議院 第217回国会 予算委員会第12回 質疑項目
- テレ東BIZ:水の安全は… 検査急ぐ企業 「PFAS」水質改善を義務化へ
- ロイター:防衛増税、26年度から法人税4%引き上げ たばこは3段階=政府原案(2024年12月12日)
- 古賀ゆきひと - Wikipedia
- 文化庁:著作権テキスト
- 古賀 之士 | 立憲民主党福岡県総支部連合会
- 朝日新聞:「抜け穴」指摘の政治団体が対象外の訳は 野党5党派が献金禁止法案
- 立憲民主党:「企業・団体献金禁止法案」を野党5党派で衆院に提出(2025年3月20日)
報道・調査資料
- 官庁通信社:政府の対応、6割が「不適切」 マイナカード保有率は8割に(日本財団若者調査)(2023年8月)
- 宮崎日日新聞:夫婦別姓法案、継続で正式合意(2025年6月19日)
- 沖縄タイムス:選択的夫婦別姓法案、今国会見送り(2025年6月17日)
- 立憲民主党:「婚姻平等法案」を衆院に提出(2023年3月6日)
- 朝日新聞:同性婚を認めない法律は違憲、大阪高裁判決 5高裁で違憲判断そろう(2025年3月25日)
- nippon.com:最低賃金、過去最大の50円アップ―全国平均の時給1054円に(2024年7月25日)
- 毎日新聞:最低賃金1500円、実現したら? 年収の壁や人件費増に困惑の声も(2024年10月23日)
- YouTube:最低賃金1500円の目標に経団連十倉会長「無理な目標を...」
- 福島県:ALPS処理水の海洋放出に係る取組状況について
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