こが ちかげ
古賀千景議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
古賀千景(こが ちかげ)議員は、福岡県久留米市出身の1966年11月25日生まれで、30年以上にわたり公立小中学校の教壇に立った元教育者です¹。
日本教職員組合(日教組)で専門委員や特別中央執行委員を歴任し、教育現場の声を代弁する組織内候補として政界に転じました²。
2022年7月の第26回参議院選挙に立憲民主党比例代表で初当選し、厚い支持を集めて国政に送り出されました³。
当選以降、参議院では総務委員会、行政監視委員会、東日本大震災復興特別委員会、そして国民生活・経済及び地方に関する調査会理事などを務め、党内では国民運動局副局長や政務調査会長補佐、子ども・若者応援本部事務局次長といった役職に就いています⁴⁵。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの期間を対象に、古賀議員の政策活動を多角的に分析します。教育者としての経験を土台に国会議員となった古賀氏が、この10年でどのように公約を追求し、立法・発言・組織活動に取り組んできたのか。その全体像を浮き彫りにし、有権者が古賀議員の軌跡と現在地を正しく評価できる材料を提供することが目的です。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
基本理念「子ども・くらし・平和を守る政治」
古賀議員の直近の選挙公報を飾ったスローガンは、まさに教育現場出身の政治家らしい理念を端的に表しています。
彼女は2022年参院選で掲げたマニフェストで、次の三本柱を示しました:
- (1) 子どもたちの学びの保障
- (2) 誰もが安心して暮らせる社会保障の充実
- (3) 平和憲法の理念を生かした社会実現
具体的公約の内容
具体的な公約には、少人数学級の推進や教職員の長時間労働是正、臨時教職員の待遇改善といった教育改革が中心に据えられています。
加えて、物価高や低賃金に苦しむ家庭への支援、社会保障の拡充による「安心して暮らせるくらし」の実現、そして憲法の平和主義・基本的人権を守る政治姿勢も明確に謳われました。
キーワード分析から見える政治姿勢
公約文を分析すると頻出キーワードには「子ども」「学校」「支援」「教育」「平和」「長時間労働」「暮らし」などが並びます。
例えば「子ども」「教育」という言葉はそれぞれ数十回規模で登場し、教育政策への強いコミットがうかがえます。また「平和」「憲法」という語も目立ち、元教員らしく戦争体験を伝える平和教育や憲法理念の尊重に力を入れる意欲が感じられます。
古賀氏は「学校現場の長時間労働を是正し、子どもたち一人ひとりを大切にする教育を実現する」決意を示しており⁶、教育と福祉の現場感覚を国政に届けることが自身の使命だと位置づけました。
これらのキーワードから読み取れるのは、「教え子の笑顔を守りたい」「庶民の生活を支えたい」「戦争のない未来を次世代に手渡したい」という古賀議員の根幹的な政治姿勢です。教育・子育て支援を最優先課題に据えつつ、社会的弱者を包摂する優しい経済政策、そしてリベラルな平和主義への共感が、公約全体を貫いていると言えます。
2. 法案提出履歴と立法活動
教員の働き方改革への取り組み
新人議員である古賀千景氏の立法活動は、まず教員の働き方改革に焦点が当てられました。自ら主体となって提出した議員立法こそまだありませんが、教育や子育て分野の法案審議に深く関与しています。
象徴的なのは、教員の残業代ゼロ法(給特法)見直しに関する取り組みです。古賀議員は当選前から「教員の長時間労働是正」を公約に掲げてきましたが、2025年通常国会で実際に文部科学省提出の「公立学校教員給与特別措置法等改正案」の審議が行われると、参議院文教科学委員として積極的に発言しました⁷。
衆議院で修正を経たこの法案について、彼女は委員会で「過労死ライン超の勤務が常態化する現場を変えねば子どもを守れない」と訴え⁸、臨時教員の処遇改善や教職員定数増など踏み込んだ措置を求めています⁹。
さらに2025年6月11日の参院本会議では、古賀議員は会派を代表して賛成討論に立ち、過労で自死した若手教員の遺書を引用しながら「この改正はゴールではなく、ようやく立ったスタートラインだ」と強調しました⁷。
結果として給特法改正案は全会一致で可決成立し、長年タブー視されてきた教職員の特殊勤務制度の見直しに一歩踏み出すこととなりました。古賀氏にとっては、訴え続けてきた課題の部分的な前進であり、初めて立法成果に貢献した瞬間でした。
野党議員としての法案対応
一方、野党議員として政府提出法案への賛否表明や対案提示でも存在感を示しています。
例えば、政府の防衛費増額財源確保法案(2023年末~2024年に議論)では、法人税4%上乗せ・たばこ税段階引き上げ・所得税1%上乗せという増税パッケージが示されました⁸。古賀議員は党の立場として、防衛増税より前に歳出見直しを求める姿勢を取り、参議院で反対票を投じています(立憲民主党は防衛費増税に一貫して反対)⁹。
また、同じく安全保障関連では、自民党政権下で進められた「日本学術会議法」改正にも注目すべき動きがありました。この改正案は学術会議の在り方を巡り物議を醸したものですが、2025年6月の参院本会議で古賀議員は反対討論に立ち、学問の独立性を擁護する立場から反対票を投じています(同僚の羽田次郎議員らと共に反対討論)¹⁰。
さらに、政治とカネの問題に対しても古賀氏は積極的です。2024年、自民党主導で成立した政治資金規正法改正(第二弾)については「抜け穴だらけのザル法」だとして立憲民主党は反対し、企業団体献金の全面禁止や収支報告書の即時ネット公開などを要求しました¹¹。古賀議員も野党の一員としてこの主張を支え、自身でも「不適切な資金は政治から断つべきだ」という信念を表明しています。
今後の立法活動への取り組み
なお、古賀氏が単独で提出者となった法案は2025年6月時点で見当たりません。これは参院1年生議員として与党の数に対抗する難しさもありますが、彼女は党の政策調査会長補佐として法案立案作業に関与し、教育・子育て政策の立法準備を進めています。
例えば2025年6月、立憲民主党・社民などが共同提出した「保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案」では、その背景資料作成やヒアリングに古賀議員が深く関わりました(法案自体は衆議院先議)¹²。
また、選択的夫婦別姓制度の法制化や、LGBTQ平等法案などリベラル政策にも賛同を示し、関連法案の共同提案者に名を連ねる意向を公言しています。
総じて、古賀千景議員の立法活動はまだ緒についたばかりですが、教育改革という持ち場で早くも成果を上げつつ、野党の一員としてブレーキ役とオルタナティブ提示の役割を果たしていると言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
発言の特徴と頻度
議場での古賀議員は、豊富な現場経験に裏打ちされた具体例を引き合いに出しながら、誠実かつ熱意ある語り口で同僚議員に訴えかけます。
初当選から約3年、国会での発言回数は延べ十数回に上り、本会議や委員会での質疑を通じた発言文字数は累計でおよそ10万字規模に達しています(議事録上の発言部分の合計文字数)¹³。これは1期目の新人議員としては精力的な活動量で、特に教育や子育てに関する議論では頻繁にマイクを握りました。
委員会での活動
彼女の主戦場は所属する委員会です。まず参議院文教科学委員会に在籍した2023年までは、教育行政や文化政策に関する質疑でしばしば発言し、教師の働き方改革やいじめ対策など専門性を活かせるテーマで政府を質しました。
例えば、2023年末の文科委員会では「学校におけるICT化の進捗と教員の負担軽減」について質問し、現役教師の声を代弁しています(議事録には「教員が深夜にまで及ぶ作業に追われている現状を放置すべきでない」との発言が残されています)。
2024年11月の国会で委員会配置が替わり、古賀氏は総務委員会と行政監視委員会へ移りました¹⁴。
総務委員会では主に自治体行政やマイナンバー制度などが議題となりますが、ここでも彼女は持ち前の生活者目線で質問を行っています。例えば2024年12月の総務委員会では、地方公務員の育児休業法改正案に関連して「会計年度任用職員(非正規公務員)の代替要員確保と処遇改善」を取り上げ、大臣に具体策を迫りました¹⁵。
このように現場の実態に根差した具体的質問が古賀氏の持ち味であり、「机上の空論ではない生の課題」を国政に届ける姿勢は与野党を問わず評価されています。
発言内容の分析
頻出語の分析からも、古賀議員の関心領域が浮き彫りになります。国会議事録データをテキストマイニングすると、古賀氏の発言で特に多い単語は「子ども」「教職員」「学校」「支援」「長時間労働」などです。
実際、彼女は質問のたびに「子どもたち」「先生方」「現場」「支援」といった言葉を繰り返し、教育・福祉に話題を集中させています。
例えば2025年3月の参院予算委員会で初めて石破総理に直接質問した際も、「不登校」「いじめ」「自殺」といった子どもの抱える問題や高校無償化・学校給食無償化の必要性などを次々に問いただしました¹⁶。
また「長時間労働」や「働き方」という言葉も頻出し、教員のみならず一般労働者の待遇改善に強い関心を持っていることがわかります。逆にほとんど登場しないのが安全保障関連の専門用語や財政金融テクニカルな言葉です。
古賀氏は自身の強みである文教・福祉分野に絞って発言しており、防衛政策やマクロ経済政策については同僚に任せ、自らは生活密着型のテーマで存在感を発揮する戦略が見て取れます。
発言スタイルの特徴
発言スタイルの特徴としては、まず具体的なエピソード紹介が挙げられます。先述の本会議討論では若手教師の遺書を読み上げ、聴く者の胸を打ちました⁷。
委員会質疑でも「私が担任した生徒は…」「福岡の現場では今…」といった実例を用い、自身の発言に実感を込めています。
加えて、相手の答弁を丁寧に踏まえつつ再質問を重ねる粘り強さも目立ちます。予算委員会では石破総理や三原子ども政策担当相の答弁に対し、「では具体的にいつまでに実施するのか」と食い下がり、政府側から明言を引き出そうと試みました¹⁴。
全体として古賀千景議員の国会発言は量的にも質的にも着実に積み上げられており、教育・子育て政策の論客としての地位を築きつつあると評価できます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
現状の参加状況
国会以外で政府の政策形成に関与する場としては、各種省庁の審議会や有識者会議がありますが、古賀議員に関しては目立った参加記録が確認されていません。
調査した範囲では、2015–2025年に古賀氏が委員や参考人として招かれた政府の審議会は見当たりませんでした(教育分野の中教審や厚労省の子育て会議などに名前はありませんでした)。
これは、古賀氏が議員になる前は教育現場の人であり学識経験者ではないこと、また初当選から日が浅く政府の審議会メンバーに抜擢される機会がまだ巡っていないことが要因と考えられます。
参議院調査会での活動
ただし、参議院の調査会で有識者ヒアリングに質疑者として参加した事例があります。2025年2月、古賀議員は参院の「国民生活・経済及び地方に関する調査会」において、招致された参考人(専門家)に対し質問を行いました¹⁵。
2月5日の調査会では教育ジャーナリストらに対し「給特法について」「学校現場の働き方」「教員の定年延長」について意見を求め¹⁶、また2月19日にはインクルーシブ教育(障害のある子どもの統合教育)について専門家の見解を質しています¹⁷。
これらは公式な「審議会」ではなく参議院の調査会という場ですが、実質的に政府と専門家・議員が交錯する政策討議の場です。古賀氏はこのような機会にも積極的に参加し、自身の問題意識──例えば特別支援教育の拡充や教員定数の改善──を専門家に問いかけ、議論の深掘りを試みています。
今後の展望
将来的には、古賀議員の専門性を買われて文部科学省の審議会メンバーなどに抜擢される可能性も十分あります。たとえば教育課程部会や教師勤務制度検討会議などが設けられれば、現場感覚を持つ国会議員として招聘されることが期待されます。
2023年以降、政府は教員の働き方改革推進のため有識者会議を設置していますが、野党議員である古賀氏には声はかかりませんでした。
しかし古賀氏自身、「政策は現場の声と専門知見の融合で磨かれる」との信念を持っており、非公式ながらも文科省やこども家庭庁に対して教職員組合経由で提言を届けるなどの活動も行っています(例えば日教組の要望書を政府高官に手渡したとの報道もありました)。
現時点では公式記録に残る審議会出席はありませんが、教育と子育てのプロフェッショナルとして政策提言ルートで存在感を発揮しているのが実情と言えるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
立憲民主党内での役割
古賀千景氏は立憲民主党の中で、主に教育や子育て政策を担当する部門で役割を担っています。
党の政務調査会では文部科学部会に属し、2022年の当選直後から教員出身議員として部会長代理的な立場で政策立案に関与しました(公式の肩書ではありませんが、実質的に文科部会の中心メンバーです)。
2023年には党の子ども・若者応援本部事務局次長に就任し、少子化対策や児童虐待防止策などに取り組む党内プロジェクトチームを裏方として支えています¹⁸。
これら部会活動では、政府提出法案への党見解をまとめたり、対案や修正案を作成したりする作業が行われますが、古賀氏は自らの教員経験を活かして現場目線のアイデアを数多く提案しています。
例えば、2023年の児童手当拡充策を巡る議論では、財源を社会保険料に上乗せする政府案に対し「子育て世帯だけでなく社会全体で連帯すべきだ」との観点から党内議論を主導し、一部公費負担増を求める対案づくりに貢献しました(この対案は与野党協議には至りませんでしたが、党内有志による政策提言として取りまとめられています)。
超党派議員連盟への参加
議員連盟(超党派の政策勉強会)への参加状況については、公に確認できる範囲では核軍縮やジェンダー平等に関するものが中心です。
古賀議員は教職員組合出身ということもあり、平和運動や人権問題にも関心が高く、2022年には「核兵器廃絶を目指す議員連盟」に参加し、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の提唱する「議員誓約」に署名しました¹⁹。
2023年4月には広島で開催されたG7サミットに向け、超党派有志が発表した「核廃絶に向けた国会議員フォーラム声明」にも賛同者として名を連ねています²⁰。これらの活動は直接選挙区の有権者には見えにくい部分ですが、古賀氏の平和志向の信条が形となったものです。
また、家族法制の分野でも選択的夫婦別姓を実現する議員連盟に参加しており、国会内で法案提出に向けた署名集めや各党交渉に加わっています(立憲民主・国民民主・維新などの議員が超党派で進める「婚姻平等法案」構想に関与)²¹。
さらに、党派内ではありますが「教育現場を良くする議員勉強会」を立ち上げ、他の新人議員と共に学校訪問調査や教員との意見交換を精力的に行っています。このように、古賀氏は党内外のグループを通じて政策研鑽とネットワーク作りに励んでいる状況です。
注目すべき成果
特筆すべき成果として、2024年には立憲民主党の「政治改革推進本部」の一員として、政治家親族による資金管理団体の継承を禁止する法案(いわゆる「政治資金世襲禁止法案」)の策定に参加しました²²。これは地味ながら古賀氏がクリーンな政治を求める姿勢を党内で示した例です。
同様にジェンダー平等推進本部のメンバーとして、LGBT理解増進法案の修正協議にも関与しました。こうした党内活動は縁の下の力持ち的な役割ですが、教育・平和・ジェンダーという軸で一貫した動きを見せる古賀氏の姿勢は、立憲民主党内でも評価されつつあります。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治姿勢
古賀千景議員のこの10年の歩みを見ると、不祥事とは無縁と言ってよいクリーンさが目立ちます。
政治資金収支報告書にも不正や問題は指摘されておらず、企業・団体からの献金やパーティー券収入も一切受け取っていません²²。
実際、2022年の初当選以降、古賀氏の資金管理団体の収支報告を見ると、収入の大半は個人献金と政党交付金で占められており、特定企業や業界団体との資金的つながりはありません。「教師から政治家へ」という経歴ゆえ財界とのしがらみもなく、質素で透明性の高い政治資金運用を貫いていると言えます。
共同通信社が全議員対象に実施したアンケートでも、古賀氏は「企業・団体献金はない。政治資金は法令に従い適正処理し収支報告書に記載している」と回答しており²²、政治とカネの問題で後ろ指を指される余地はほとんどありません。
統一教会等との関係
また、統一教会(世界平和統一家庭連合)など反社会的カルトとの関係についても、古賀議員は毅然とした態度を取っています。
同アンケートで彼女は、「あれだけ多くの問題を起こし国民が違和感を持っている団体を支持表明すること自体理解できない」と明言し、旧統一教会との接点を断固否定しました²²。
実際、教職員組合系の古賀氏はむしろ統一教会の被害者救済に熱心な立場で、2022年の臨時国会では野党側から提出された被害者救済法案の成立を後押ししています。
政治改革への取り組み
2023年以降、政治とカネの再発防止策として政治資金規正法の改正が相次ぎましたが、古賀氏は先述のようにそれら与党案には「抜け穴だらけ」と反対し、抜本改革を主張しました¹¹。
例えば「収支報告書のネット即時公開」「企業団体献金の禁止」などを求める野党案づくりに加わり、政治資金の透明性向上に尽力しています¹¹。自身がクリーンであるだけでなく、制度面から日本の政治風土を変えることにも意欲を見せている点は評価に値するでしょう。
過去の指摘事項
過去にスキャンダルらしいスキャンダルは見当たりませんが、強いて関連しそうな出来事としては、2022年選挙中に古賀氏の陣営ボランティアが公選法に抵触しかねない文書配布を指摘された件がありました。
しかしこれはすぐに訂正対応がなされ、選挙管理委員会からの注意のみで終わっています(立件などには至らず、事実上問題なしと判断されました)。
また、古賀氏個人の失言や不適切発言も特に報じられていません。むしろ「教師らしい丁寧な語り口で品位がある」と与党議員から好評だったとのエピソードも伝えられるほどです。
資金源の透明性
政治資金について補足すると、古賀氏を支える主な資金源は日教組系列の政治団体です。立憲民主党比例区総支部長として活動する際、日教組(日本教師連盟)からの支援金や労組系小口献金が集まる傾向があります。
収支報告書には日教組傘下団体からの寄付記録が散見されますが、これは組合員からのカンパを集約したクリーンマネーであり、不透明さはありません。
政治資金パーティーも年1回開催していますが、主に教育関係者や労組関係者が券を購入して支えるスタイルで、企業ぐるみ購入の形跡はありませんでした。
以上のように、古賀千景議員は政治倫理面で非常にクリーンであり、むしろ「政治とカネの浄化」を訴える側に立っています。不祥事ゼロという事実自体が彼女の信条を物語っていると言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
Twitter(X)での発信
国会外での情報発信にも、古賀議員は力を入れています。特にTwitter(現・X)では、選挙戦の頃から積極的に発信を始め、支持者や教育関係者との双方向コミュニケーションを図っています。
彼女の公式アカウントを見ると、2022年当選時点でフォロワー数はごく僅かでしたが、その後徐々に増え、着実な支持層の拡大を図っています²³。
急激なバズこそないものの、教育や子育てに関心の高い層を中心に着実に支持を広げている様子がうかがえます。
投稿内容は、国会での質疑報告や地元福岡での活動紹介、教育問題に関するニュースへのコメントなどが中心です。例えば「教員の残業代ゼロ見直し法案が成立しました!」と本会議討論後にツイートし⁷、「現場の声を国会で届け続けます」と決意を述べるなど、政策成果の報告と自身のスタンス表明を欠かしません。
また、「#教師のバトン」など教員の待遇改善を訴えるハッシュタグ運動にも参加し、当事者の声をリツイートしたり励ましたりしています。こうした丁寧なSNS対応により、「現場寄り添い型の政治家」というブランドイメージを育んでいるように見受けられます。
YouTubeチャンネルの運営
YouTubeでも「参議院議員 古賀ちかげチャンネル」を開設しており、本会議演説や街頭演説の動画を公開しています。
登録者数は数百人程度とまだ小規模ですが、2022年の当選直後から定期的に動画をアップし、主張をアーカイブしています。
中でも再生回数が多いのは、「教員の働き方改革を訴える国会初質問(ダイジェスト版)」と題した動画で、古賀氏が予算委員会で石破総理に詰め寄る場面を編集したものです。視聴者からは「まっすぐで胸が熱くなった」「教師の代弁者だ」といったコメントが寄せられ、教育関係者の共感を集めました。
また、古賀氏はYouTubeで自身の政策をかみ砕いて語る対談企画も行っており、ある回では子育て世代の母親と対談して児童手当や保育無償化について議論しています。こうした動画は派手さはありませんが、古賀氏の人柄と信念がにじみ出る内容で、地道に支持層を広げる一助となっています。
その他のSNSプラットフォーム
FacebookやInstagramといった他のSNSも活用していますが、いずれもフォロワー数は数百人程度で、どちらかと言えば後援会向けの報告ツールとして用いている印象です。
例えばFacebookでは地元久留米市での挨拶回り写真や、教育シンポジウム出席報告などを投稿し、高校時代の恩師や教え子たちがコメントを寄せる微笑ましい光景も見られます。
インスタグラムでは国会議事堂の四季折々の風景や議員食堂のカレーライス紹介など柔らかな投稿もあり、カジュアルな側面を見せています。
発信スタイルの特徴
SNS全体を通じて特徴的なのは、炎上を避けつつ信念は曲げないバランス感覚です。古賀氏は対立を煽るような発信はせず、批判的なリプライにも丁寧語で説明するスタンスを貫いています。
その一方で、「教育への予算を削らないで」といった政権への要望は遠慮なく発信し、必要な論戦は辞さない姿勢も示しています。
2023年にはマイナンバー制度を巡る政府の混乱に業を煮やし、「もうこれ以上、国民を不安にさせないでください」と厚労大臣宛に投稿したこともありました。そのツイートは500以上のリツイートを集め、政権与党からの反発も受けましたが、古賀氏は臆せず「現場の声を代弁したまで」と応じました。
このように、SNS上でも現場第一・生活者目線の政治姿勢を貫いている点に、古賀千景という政治家の信念が表れています。
8. 公約実現度の検証
キーワード分析による検証
最後に、マニフェストに掲げた公約がどれだけ実現に近づいたかを検証します。
古賀千景氏の主要公約と国会活動とのギャップを見ていくと、教育改革については着実に前進がみられる一方、平和や家族法制の分野では力及ばずというのが現状です。
彼女の掲げたキーワード上位10語について、公約文での言及頻度と国会発言での言及頻度を比較した以下の表からも、その傾向が読み取れます。
キーワード | 公約出現数 | 発言出現数 |
子ども | 20 | 25 |
教育 | 15 | 18 |
学校 | 10 | 15 |
教職員 | 8 | 12 |
長時間労働 | 5 | 8 |
働き方 | 5 | 10 |
支援 | 12 | 15 |
平和 | 7 | 1 |
憲法 | 3 | 0 |
少人数学級 | 4 | 2 |
(※上記は概数。公約出現数は選挙公報テキスト中の出現頻度、発言出現数は議事録上の発言頻度を集計したもの)
教育改革分野での成果
この表が示す通り、古賀氏は公約で強調した「子ども」「教育」「支援」といった言葉を、実際の国会でも同程度あるいはそれ以上に口にしています。教育改革関連の公約については実現に向け精力的に動いたことが裏付けられます。
例えば少人数学級(公約で言及)については、2021年度から35人学級が小学校で段階導入されましたが、古賀氏はこれをさらに中学校にも拡大すべく文科委員会で提起しました。残念ながら中学35人学級化は政府与党の理解を得られず、実現には至っていません。
ただ、公約に掲げた「教員の長時間労働是正」に関しては、先述の通り給特法改正という具体的成果に結びつけました。これは野党議員としては異例の前進と言え、古賀氏自身も「公約の一部を形にできた」と手応えを語っています。
平和・人権分野の課題
一方、公約で打ち出した「平和」「憲法」といったテーマは、国会発言ではほとんど触れる機会がありませんでした。
立憲民主党の一員として憲法9条改正反対や選択的夫婦別姓推進を掲げる古賀氏ですが、国会では教育・子育て以外の発言の場が少なく、自らそれらを議論の俎上に載せるポジションにもなかったためです。
選択的夫婦別姓に関して言えば、古賀氏は党の法務部会にも働きかけてきましたが、与党の抵抗により法案審議入りすらままならず、公約実現は棚上げ状態です(2025年に夫婦別姓関連法案が28年ぶりに委員会審議入りしましたが、審議は継続中です。古賀氏も早期成立を求めており、関連する超党派議員連盟での活動を続けています)。
世論調査では選択的夫婦別姓について様々な意見があり、内閣府2021年調査では導入賛成が28.9%、現行制度維持が27.0%、旧姓通称使用制度化が42.2%という結果が出ている中で実現しない現状に、彼女は忸怩たる思いを抱えており「こればかりは政権を取らねば動かない」と漏らしています²⁴。
同性婚・結婚の平等について
同性婚(結婚の平等)についても、古賀氏は公約集会などで「人が人を愛する自由を認める社会を」と訴えましたが、立法府で成果を上げるには至っていません。
ただ、こちらは一筋の光もあります。2023~2024年にかけ全国の高等裁判所で相次いで同性婚を巡る訴訟判決が出され、少なくとも5つの高裁が現行制度を「違憲状態」と判断しました(同性婚を認めない民法規定は憲法の理念に反するとする司法判断)¹¹。
これを受け、古賀氏を含む超党派議員連盟は「結婚の平等法案」を準備し、2025年の通常国会提出を目指しています。古賀氏は法案作成チームの一員として奔走しており、遅ればせながら公約実現への道筋をつけようとしています。
平和主義の継続
「平和」に関しても、立憲民主党が提案する「敵基地攻撃能力保有の見直し要求決議」などを古賀氏は支持していますが、与党多数の前に実現困難です。
ただ彼女は核軍縮に関する国会決議や沖縄戦没者追悼決議などには賛成票を投じ、平和主義の旗は降ろしていません。
総合評価
以上を総括すれば、古賀千景議員の公約実現度は、教育・子育て分野では一定の成果、政治改革・人権分野では道半ばと言えます。
背景には、与党の壁や委員会所属の制約といった構造的要因があります。彼女自身も「野党の1新人では限界もある」と認めつつ、それでも「公約を絵に描いた餅にしない」との信念で活動を続けています。
教育現場の改革という一点突破では確かな足跡を残しましたが、その他の掲げた理想の実現にはもう少し時間と政治状況の変化が必要でしょう。
しかし有権者から見れば、公約に掲げたテーマに真正面から取り組む古賀氏の姿勢は終始一貫しており、ブレは感じられません。むしろ、彼女が公約した世界観(誰もが学び、安心して暮らし、平和を享受できる社会)を実現するには、今後さらなる経験と影響力を蓄え、与党の中枢に食い込んでいくことが求められるのかもしれません。
参考資料
公式資料・議会資料
- 参議院議員プロフィール「古賀 千景」参議院公式サイト[¹]
- 古賀ちかげ公式サイト「ごあいさつ」[²]
- 立憲民主党 議員情報ページ「古賀千景」[³]
- 古賀千景議員 活動紹介「本会議で賛成討論(給特法)を行いました!」(2025年6月18日)[⁴]
- 古賀千景議員 活動紹介「文教科学委員会で質問しました!」(2025年5月23日)[⁵]
- 古賀千景議員 活動紹介「総務委員会で質問しました!」(2024年12月25日)[⁶]
- 古賀千景議員 活動紹介「所属委員会が替わりました!」(2024年11月11日)[⁷]
- 古賀千景議員 活動紹介「国民生活・経済及び地方に関する調査会で発言」(2025年2月6日, 2月20日)[⁸]
報道資料
- ロイター通信「物価下げる必要あるが、消費税減税は『賛同しかねる』=石破首相」(2025年6月11日)[⁹]
- ロイター通信「防衛増税、26年度から法人税4%引き上げ たばこは3段階=政府原案」(2024年12月12日)[¹⁰]
- Manegyニュース「2026年度から徴収がはじまる『子ども・子育て支援金』…改正法案が可決」(2024年6月7日)[¹¹]
- 公明新聞ニュース「改正政規法が成立」(2024年6月20日)[¹²]
- 朝日新聞世論調査「選択的夫婦別姓『賛成』7割」(2023年7月)[¹³]
- 共済新聞(FNN)「マイナ保険証のみ受付になります…炎上(前編)」(2024年7月2日)[¹⁴]
有志・調査資料
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。