こくば こうのすけ
國場幸之助議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
國場幸之助(こくば こうのすけ)議員は自由民主党所属の衆議院議員で、沖縄県出身の政治家です。1973年生まれ、那覇市の名門・國場家に生まれた彼は、祖父が沖縄の大手建設企業「國場組」の創業者・國場幸太郎であり¹ 、若くして地域財界との繋がりを持つ家庭環境で育ちました。
國場氏は日本大学で哲学を学んだのち早稲田大学社会科学部を卒業し、地元でサラリーマン勤務を経て政界入りしました² 。2000年(平成12年)に沖縄県議会議員選挙に初当選し、史上初の20代県議として頭角を現します³ 。2003年には衆院選に一度挑戦するも惜敗しましたが、2004年に再び沖縄県議に当選し、保守系政治家として地盤を固めました⁴ 。
國場氏が国政に進出したのは2012年末、第46回衆議院議員総選挙でした。自由民主党公認で沖縄1区から出馬し、当時国民新党幹事長だった下地幹郎氏を破って初当選(通算1期目)⁵ 。このとき彼は党本部の方針に逆らい「米軍普天間基地の県外移設」を公約に掲げるという大胆な戦術をとり、基地問題で揺れる沖縄の民意を背景に勝利を掴みました⁶ 。
以降、國場氏は沖縄1区で3度挑戦するも、2014年・2017年・2021年の総選挙はいずれも革新系候補に小選挙区で敗北し、比例九州ブロックでの復活当選となっています(通算5期)⁷ 。2024年10月の第50回衆院選でも小選挙区では議席を得られませんでしたが、比例で生き残り5回目の当選を果たしました⁸ 。在職期間は2012年12月の初当選以来現在まで途切れることなく続いており、2025年時点で13年目を迎えています⁹ 。
國場氏の経歴を見ると、党内外で要職を歴任してきたことがわかります。2017年には自民党副幹事長(沖縄県出身者として初)に抜擢され、2020年には外務大臣政務官に就任(これも沖縄初)¹⁰ 。2021年の第49回衆院選で4選を果たした後は、2022年に自民党の国防部会長(党政調の安全保障政策責任者)に就任し、同年策定の安保戦略や防衛費増額の議論に深く関わりました¹¹ 。
2023年には国土交通副大臣となり、インフラ・観光行政を担当¹² 。2024年以降は党幹部として総裁特別補佐や政務調査会内閣第一部会長(主に内政政策を所管)に就任し、与党内で政策立案・調整の中核を担っています¹³ 。
こうした経歴から、國場氏は地元沖縄の声を背景にしながら党本部でも要職を歴任し、政権中枢と沖縄県勢とのパイプ役を務める存在として台頭してきたと言えます。
本レポートでは、2015–2025年の國場氏の活動を振り返り、その政策動向と実績を多角的に分析します。この10年間は、彼が中堅・若手議員から党の政策キーパーソンへと成長した時期であり、国政と沖縄の狭間でどのような役割を果たしたのかを明らかにすることが目的です。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
國場幸之助議員の直近の選挙戦略と政策スタンスは、2024年10月の第50回衆院選における選挙公報に色濃く表れています。この選挙公報(沖縄1区)を見ると、まず目につくのは「平和と経済の相乗効果を実現していきます!」との力強いスローガンです¹⁴ 。これは、長年基地問題に翻弄されてきた沖縄において、「平和(基地負担の軽減)なくして経済発展なし、経済振興なくして真の平和なし」という國場氏の信念を示すものです。彼の公約の柱は、地域経済の底上げと基地問題の打開を両立させるという難題への挑戦でした。
公報には具体的な政策も箇条書きで示されています。第一に掲げたのは「全ての業種で賃上げを!最低賃金1,500円以上へ!」との目標です¹⁵ 。國場氏は岸田政権下で全国平均最低賃金が1,000円を超えた実績に触れつつ、石破茂首相(2024年当時)の所信表明で約束した1,500円への引き上げを「確実に実現させていく」と明言しました¹⁶ 。
物価高騰に苦しむ県民の暮らしを直接支える賃上げ政策を最優先課題に据えることで、「生活・暮らし・経済を実際に良くすることができる実現力のある候補者は誰か」を問う選挙だと位置づけています¹⁷ 。この「実現力」という言葉は公報中に繰り返し登場し、國場氏が単なる主張ではなく結果を出す政治家であることを強調しています。
地域成長戦略と平和創造
次いで國場氏が訴えたのは、沖縄ならではの成長戦略です。公報には「国連機関を沖縄に誘致」¹⁸ とあり、具体的な機関名こそ書かれていませんが、沖縄を国際平和協力の拠点とするビジョンが示されています。
併せて「食料安全保障の推進」(陸上養殖・植物工場への支援等)や「台湾との経済連携の強化」(沖縄・台湾間の海底ケーブル敷設推進)といった施策も掲げられました¹⁹ 。離島県沖縄の地理特性を活かし、食料自給力の向上や隣国・台湾との直結による経済圏形成を目指す内容で、いずれも地域経済の自立性を高める狙いがあります。さらには「平和創造拠点をつくる!」とのキャッチフレーズも躍り、基地の島から平和発信の島へと沖縄を転換させたいという強い抱負が読み取れます²⁰ 。
オール那覇との連携
特徴的なのは、國場氏の公報が那覇市長・知念覚氏からの推薦文を大々的に掲載している点です。知念市長は「長年、那覇市民を分断してきた基地移設問題に賛成・反対の立場を超えて『オール那覇』で市政に取り組んだ」自身の経験に触れ、その理念が國場氏の主張と大きく一致すると述べています²¹ 。
知念氏は、経済界や与野党双方から幅広い支持を得て当選した経緯を紹介しつつ、「物価高騰で暮らしが厳しい中、現実に生活を良くできる実績と実力と将来性を兼ね備えた候補者は國場幸之助さん・自民党・公明党しかいない」と太鼓判を押しています²² 。
公報全体で繰り返されるキーワードを見ると、「賃上げ」「最低賃金」「経済」「平和」「実現力」「支援」「沖縄」といった語が目立ちます。これらから浮かび上がるのは、國場氏が経済政策(とりわけ所得向上)に最重点を置きつつ、沖縄の平和と発展を統合的に追求する政治姿勢です。
基地問題そのものへの直接的な言及は抑えつつも、「平和創造」という表現で暗に触れ、対立よりも共創を強調する語り口となっています。公約のトーンは実務志向で、「○○を実行する」「結果を出す」といったフレーズが並び、具体策と実現意欲が前面に出ています。
総じて、直近のマニフェストからは「暮らし優先の現実派」という國場氏の政治的キャラクターが読み取れます。地域の痛点である低賃金・物価高への対応策と、将来を見据えた沖縄振興策を両立させようとする姿勢は、有権者に対し「自分はスローガン倒れではなく、地に足の着いた仕事をする政治家だ」というメッセージを送っているように見受けられます。
2. 法案提出履歴と立法活動
國場議員の立法履歴を辿ると、自らが提案者となった議員立法の数は決して多くありませんが、沖縄の代表議員として要所で重要な決議や法案に関与してきたことがわかります。
沖縄本土復帰50周年決議の提出
中でも象徴的なのが、沖縄の本土復帰50周年を迎えた2022年に衆議院で採択された「強い沖縄経済と平和創造の拠点としての沖縄をつくる本土復帰五十周年に関する決議」です。この決議案は、國場氏を含む超党派の議員10名によって提出され、令和4年4月28日の本会議で可決されました²³ 。
提出者には与野党(自民、立憲、公明、日本維新、国民民主、有志の会)の名前が連ねられており、沖縄振興について党派を超えて意思を示す内容でした。決議自体は賛成多数(反対は共産党のみ)で採択され、国会として沖縄経済の強化と平和貢献の決意を表明するものとなりました²⁴ 。
この決議案のタイトルにある「強い沖縄経済」「平和創造の拠点」という文言は、國場氏が公報で掲げたスローガンそのものであり²⁵ 、國場氏が主導して自らの理念を国会決議という形に昇華させたと言えます。実際、本決議の趣旨説明は同僚議員の小渕優子氏が行いましたが²⁶ 、舞台裏では國場氏が各党を説得し沖縄への思いを一つの文書にまとめ上げたことが推察されます。
LGBT理解増進法案の調整
また、國場氏は与党の一員として政府提出法案の立案・修正にも積極的に関わってきました。2023年には、LGBTQ当事者への理解増進を図る「性的指向・性同一性の多様性に関する理解増進法案」が国会で審議されましたが、その過程で國場氏は与党側の調整役を務めました。
自民党内には慎重論もある中、國場氏は政務調査会内閣第一部会長として法案の修正協議を主導し、立憲民主党など主要野党とも折衝を重ねました。その結果、与野党共同で修正案と附帯決議を提出し、薄氷を踏むような与党内調整を経て賛成多数で可決に漕ぎつけたことを自身も「感慨深い」と述べています²⁷ 。
この理解増進法は2023年6月に成立し、保守派議員の一人である國場氏が陰で成立に貢献したことは注目に値します。彼自身、「国家国民の為に必要な法案」として与野党協調に踏み切った旨をSNSで発信しており²⁷ 、党派を超えた立法成果を残しました。
悪質ホスト規制法案の部会運営
さらに國場氏は、国会提出直前の政府法案の党内審査を行う自民党部会において、部会長や政調幹部として重要な役割を果たしてきました。たとえば2025年通常国会で提出された風俗営業等取締法(風営法)の改正案(いわゆる「悪質ホスト規制法案」)では、部会長として審議を主導しています²⁸ 。
ホストクラブで女性客が借金を負わされ風俗業に斡旋される事件が社会問題化する中、政府は営業規制強化策を盛り込んだ法改正案を提出しましたが、國場氏は政調内閣第一部会長としてこの法案を党内了承する会議をとりまとめました²⁹ 。石破茂首相が施政方針演説で悪質ホスト対策に全力を挙げる決意を示した直後、國場氏の部会でも改正案が議論・了承され、自民党として政府と緊密に連携して臨む体制を整えたのです¹⁵ 。
部会長として法案の細部を詰め、警察庁からのヒアリングを経て党内合意を形成する作業は裏方ではありますが、立法プロセスの要です。國場氏はこうした部会・政調活動を通じ、若手ながら政策通として信頼を得てきたことがうかがえます。
国会質疑での政府追及
国会質疑の場面では、國場氏は政府提出法案に対して与党議員の立場から質問に立つ機会も多く、法案の意義を引き出したり修正点を提起したりしています。例えば2025年3月18日の衆議院本会議では、國場氏が代表して重要インフラのサイバー防御に関する法案の趣旨質問に立ち、石破首相に対して日本のサイバー安全保障の現状認識と能力強化への所見をただしました³⁰ 。
これに対し石破首相が「高度なサイバー攻撃への懸念が拡大する中、官民挙げて対処能力の向上に取り組む喫緊の課題」と答弁する場面もあり³⁰ 、國場氏の質問は政府の姿勢を明らかにする役割を果たしました。
また國場氏自身、法案審議の中で地元沖縄の視点を盛り込むことにも努めています。たとえば沖縄関連予算に絡む法案や施策の議論では、「沖縄振興は沖縄の発展が日本全体の利益になるとの観点で進めるべき」と強調し、政府に対し沖縄支援の必要性を訴えています³¹ 。
このように、國場氏の立法活動は、提出法案の数こそ限られるものの、超党派決議の提案者、与党政策責任者、政府法案の論陣役といった多彩な形で現れています。彼のバックグラウンドである「沖縄の代弁者」としての側面と、政権与党の中堅議員としての側面が、立法の場面でも上手く融合していると言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
國場議員はこの10年間、国会において精力的に発言を行ってきました。正確な統計によれば、2015〜2025年の國場氏の国会発言回数は数百回規模にのぼり、その総発言文字数も数十万字に及ぶとみられます³² 。これは与党議員としてはかなり活発な部類であり、委員会や本会議での質疑を通じて存在感を発揮してきたことが分かります。発言の舞台は多岐にわたり、所属する常任委員会や特別委員会、本会議の代表質問に至るまで幅広く、内容も沖縄関連から国政課題まで多方面に及びます。
沖縄及び北方問題特別委員会での活躍
特に目立つのが、沖縄及び北方問題に関する特別委員会での発言です。沖縄選出の國場氏はこの特別委で理事も務め(2020年前後)³³ 、折に触れて沖縄振興策や基地負担軽減策を政府に問い質してきました。
たとえば2020年6月の同委員会では、國場氏は尖閣諸島の防備強化(沖縄県石垣市尖閣諸島が「特定離島」に指定された件)について質問し、海上保安庁体制の充実を訴えています³⁴ 。同じ質疑で彼は、沖縄戦終焉の地である旧日本軍第32軍司令部壕の保存・活用策や、那覇市首里城の復興状況、さらに沖縄振興開発金融公庫の運用など、多岐にわたるテーマを取り上げました³⁴ 。
この質疑一つをとっても、安全保障(尖閣)、歴史・平和教育(司令部壕)、文化観光(首里城)、経済金融(振興公庫)と、沖縄に関わるあらゆる論点を網羅しており、國場氏がオール沖縄的な視野で政策課題を捉えている様子がうかがえます。
本会議でのサイバー安全保障質疑
また、本会議や予算委員会といった大舞台でも、國場氏は与党側の質問者や答弁者として登壇しています。前述のサイバー安全保障法案に関する本会議質疑では、國場氏自らが登壇し法案の意義を代弁しました³⁵ 。このとき彼は「自由民主党・無所属の会」を代表して質問に立ち、自身の持ち時間で政府の方針を引き出す役割を果たしました³⁵ 。
石破首相や平将明内閣府特命担当大臣(サイバー担当)から丁寧な答弁を引き出し³⁰ ³⁶ 、与党質問ながら政府に緊張感を与える場面も見られました。質疑応答の内容を見ると、「国家を背景とした高度なサイバー攻撃への懸念」「能動的サイバー防御の導入」など、専門性の高いテーマにも踏み込んでおり³¹ 、國場氏の政策知識の幅広さを示しています。
発言テーマの二本柱
國場氏の国会発言で頻出するテーマを分析すると、大きく二つの柱が浮かび上がります。一つは地元・沖縄関連、もう一つは安全保障関連です。
沖縄関連では、毎年編成される沖縄振興予算の効果や課題、新たな振興計画の策定状況、基地負担軽減策(例えば米軍基地の跡地利用や海兵隊訓練の県外移転)などについて、國場氏は繰り返し質問しています³² 。特に基地問題については、前述のとおり彼自身が「普天間基地の県外移設」を掲げ当選した経緯もあり³⁷ 、そのスタンスを国会でも貫こうとする姿勢が見られました。
2013年の段階で、党本部が辺野古移設推進に転じる中でも國場氏は「県外移設」の主張を堅持し、「転向」を拒んだことが報じられています³⁸ 。この強気の姿勢は国会討論にも表れており、沖縄選出の西銘恒三郎沖縄担当相らに対して「県民の理解を得るには負担軽減が必要」と迫る場面もありました³⁹ 。
もっとも、現実には辺野古移設計画は進行し、國場氏も政府方針を覆すには至っていません。しかし、彼が国会で示した沖縄側の声は一定の重みを持ち、与党内の沖縄代弁者として政府に圧力をかける役割を果たしています。
安全保障分野での発言
もう一つの柱、安全保障関連では、國場氏は自民党国防部会長を務めた経験も活かし、国会で防衛・安全保障政策について積極的に発言しています¹¹ 。具体的には、中国公船の沖縄周辺海域への進入や北朝鮮のミサイル問題など、安全保障環境の変化に対する政府の対応を質しました。
特に沖縄に絡む尖閣諸島防衛については、「1月14日は尖閣の日」であることに触れつつ、第11管区海上保安本部が日夜任務に当たっている現状を指摘し、海上保安庁の体制強化や自衛隊との連携強化を議論しています(國場氏自身、2023年1月には「海上保安庁を応援する議員連盟」で海上保安大学校を訪問したことを報告しており、その際「尖閣の警備に日々奮闘する現場を支えたい」と述べています)⁴⁰ 。
また、国会質疑では自衛隊の南西諸島への配備や日米地位協定見直し問題にも触れ、沖縄の安全と負担軽減のバランスを探る発言も散見されました。
発言スタイルの特徴
國場氏の発言スタイルは穏やかな語り口ながら核心を突くタイプで、質問の冒頭には「貴重な質問の機会をありがとうございます」と丁寧に述べつつ⁴¹ 、その後は歯切れよく論点を指摘していく傾向があります。与党議員の質問は政府寄りになりがちですが、國場氏の場合は自身の問題意識が明確で、地元利益と国益の双方を踏まえた踏み込んだ発言が多い点が特徴でしょう。
頻出語の観点から見ると、國場氏の発言記録には「沖縄」「振興」「基地」「平和」「経済」「安全保障」「自衛隊」「サイバー」などの言葉がしばしば登場します。これは彼の関心領域を如実に物語っています。沖縄関連では「振興予算」「観光」「離島」など経済振興策、基地関連では「普天間」「辺野古」「米軍」「日米地位協定」など、そして安全保障では「尖閣」「ミサイル」「サイバー」「防衛費」などです。
実際、2025年5月29日の沖縄北方特別委員会でも國場氏は「沖縄の発展は日本全体の利益」と訴え、沖縄振興策への更なるコミットを政府に求めています¹² 。この発言に象徴されるように、國場氏の国会での言葉は常に「沖縄を良くすることが日本を良くすることになる」という信念に裏打ちされているように感じられます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
国会内での活躍に加えて、國場氏は行政の各種会議にも参加する機会がありました。ただし、その多くは彼が政務に就いた際の職務上の出席であり、いわゆる「民間有識者」として審議会メンバーに名を連ねたケースは確認されていません。
国土交通副大臣としての会議参加
國場氏は2023年9月から国土交通副大臣に就任しましたが¹³ 、副大臣として各種政府会議に出席しています。例えば「デジタル田園都市国家構想実現会議」(内閣官房主催)では、デジタル大臣や関係副大臣らとともに國場氏(国土交通副大臣)が構想推進の議論に参加しました⁴² 。
また、内閣府が開催する「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」にも国土交通副大臣として顔を出し、経済動向や物価・雇用情勢の共有に携わっています⁴³ 。さらに、障害者差別や旧優生保護法問題に関する関係府省会議にも副大臣として出席し、意見交換に加わった記録があります¹³ 。
政府会議での役割と貢献
こうした場での國場氏の役割は、国土交通行政の代表者の一人として政府全体の政策調整に加わることでした。デジタル田園都市構想会議では地方のデジタルインフラ整備策について、国交副大臣として道路・港湾などハード面の整備とデジタルの融合に関する提言を行ったとみられます。また、経済報告の会議では観光や物流の視点から沖縄経済の状況を報告し、物価高が地方に及ぼす影響などを発言した可能性があります。
これらは正式な議事録要旨にも國場氏の名前と肩書きが記載されており、例えば2024年ごろの関係閣僚会議では「國場幸之助 国土交通副大臣」として出席した旨が記録されています⁴⁹ 。
一方、民間有識者会議の委員に就任した例は見当たりません。しばしば議員が党推薦などで政府の審議会委員になることがありますが、國場氏の場合、そうした報道や記録はありませんでした。これは彼が一貫して行政側(副大臣など)や立法側の立場で活動していたためで、有識者として中立的に審議会に入る機会はなかったものと考えられます。したがって、「省庁審議会での活動」という点では、國場氏は国土交通副大臣等として政府会議に出席し、自身の担当分野で政策推進に寄与したという形になります。
國場氏がこうした政府内の会議で何を発言したか詳細は公にはされていません。しかし、例えばデジタル田園都市構想会議であれば、沖縄の離島地域でのデジタル環境整備(遠隔医療やオンライン教育)について国交省の立場から支援策を表明したり、交通インフラとデジタル技術の融合による過疎地対策などを議論した可能性があります。
また、月例経済報告会議では、観光立県沖縄の状況を踏まえ、「観光産業の回復が全国景気に重要であり、那覇空港第2滑走路の整備効果も現れている」といったコメントをしたかもしれません。これらは推測の域を出ませんが、國場氏のこれまでの発言傾向からすれば、常に沖縄や地方の視点を忘れずに中央の政策議論に参加していることは間違いないでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
國場議員は党内組織や超党派の議員連盟にも数多く所属し、積極的に活動してきました。
沖縄県連会長としての活動
まず党内ポストとして特筆すべきは、彼が自民党沖縄県連会長を務めていることです(2018年就任)⁴⁴ 。沖縄県連会長としては、県内選挙の陣頭指揮や地方組織の取りまとめに尽力し、オール沖縄勢力に対抗する自民党勢力の結集を図っています。
2018年4月に会長就任直後、國場氏自身が那覇市の繁華街でトラブルに巻き込まれる事件がありましたが(後述)、それにも負けず県連の立て直しに奔走しました⁴⁵ 。例えば2018〜2022年の沖縄県知事選や那覇市長選など重要選挙では、國場氏が候補支援の最前線に立ち、保守陣営の結束に努めています。
その成果もあってか、2022年那覇市長選では自民・公明推薦の知念覚氏をオール沖縄候補に勝利させ、「オール那覇」の体制を築くことに成功しました⁴⁶ ⁴⁷ 。國場氏はこの知念市長の誕生を自身のことのように喜び、公報推薦文でも触れているように「画期的な出来事」と評しています⁴⁸ 。党沖縄県連会長としての國場氏は、対立より融和を志向する保守政治を県内に根付かせようとしていると言えます。
党本部での要職歴任
党本部においても、國場氏は要職を歴任しました。2020年代前半には自民党選挙対策副委員長や国会対策副委員長にも就いており⁴⁹ 、選挙戦略や国会運営の裏方として党を支えています。
選対副委員長としては、2021年の衆院選で沖縄を含む激戦区の情勢分析やテコ入れ策を練り、また2022年の参院選でも沖縄選挙区での党候補支援に動きました。国対副委員長としては、与党議員の質問者選定や法案審議の日程調整など、縁の下の力持ち的な働きをしています。これらは表には出にくい役職ですが、國場氏が党執行部から信頼されている証拠でしょう。
事実、岸田文雄総裁(当時)から総裁特別補佐に任命されたのも、こうした党務への貢献が評価されてのことと考えられます¹⁴ 。総裁特別補佐の具体的役割は明らかではありませんが、恐らく岸田総裁に対し沖縄政策や青年局関係の助言を行うポジションだったと推察されます。
保守系議員連盟への参加
議員連盟での活動も、國場氏の幅広い関心領域を物語ります。保守系のイデオロギー団体にも名を連ねており、例えば日本会議国会議員懇談会や創生「日本」(いずれも右派的な政策を掲げる議連)に所属しています⁵⁰ 。
また、みんなで靖國神社に参拝する国会議員の会にも参加し、歴史観・国家観では伝統保守のスタンスを取っています⁵¹ 。憲法改正や安全保障に積極的な議連としては、伝統と創造の会や日本の領土を守るため行動する議員連盟にも所属し、尖閣諸島や北方領土など領土問題への関心も示しています⁵² ⁵³ 。
こうした所属状況から、國場氏は保守派の一員として地歩を築きつつ、沖縄出身議員ならではの視点で発言する立場にいることが分かります(実際、憲法改正については「自衛隊の明記」「緊急事態条項の創設」に賛成しています⁵⁴ )。
産業振興・地域振興系議連への参加
一方で、産業振興や地域振興系の議員連盟にも数多く関与しています。その顔ぶれを見ると、自由民主党美ら島議員連盟(沖縄政策推進の議連)や防衛施設問題議員連盟(基地周辺対策の議連)など沖縄絡みの組織はもちろん⁵⁰ ⁵³ ⁵⁵ 、観光産業振興議連や離島振興議連など地元経済に直結する議連にも名を連ねています⁵⁶ 。
さらに、空手道推進議員連盟(沖縄の伝統文化である空手の振興)や世界自然遺産南西諸島活性化議連(沖縄含む南西諸島の環境と経済活性化)にも参加し、郷土文化・自然の保護と活用にも取り組んでいます⁵³ ⁵⁶ 。
経済分野では、中小企業・小規模事業者振興議連や小規模企業税制確立議連など中小企業支援系、農林水産分野では水産政策推進議員協議会や有機農業推進議連⁵⁷ 、医療福祉分野では薬剤師問題議連や看護問題対策議連、介護福祉議連⁵⁸ ⁵⁹ など、極めて幅広い分野の議連に所属しています。
これらは党内で各業界団体とのパイプを持つための活動ですが、國場氏の場合、自身が国土交通副大臣や政調各部会長を経験する中で、関係する業界の議連に積極参加してネットワークを築いてきたのでしょう。
交通インフラ関連議連での活動
中でも特徴的なのは、交通インフラ・運輸関係の議連です。國場氏は国土交通副大臣を務めたこともあり、港湾議員連盟、海事振興議連、トラック輸送振興議連、バス議連、タクシー・ハイヤー議連、地域公共交通活性化議連、航空・空港関連の議連などに軒並み参加しています⁶⁰ ⁶¹ 。
離島県沖縄の交通事情改善や物流コスト低減に直結するテーマであり、國場氏が地元の声をこうした議連活動に反映させている様子が伺えます。例えば、離島住民の足である路線バスの維持や、物流網の確保(トラック・船舶の運航支援)について、議連を通じ政府に働きかけるなどの成果があったとされています。
また建設・建築分野でも、公共工事品質確保議連、建設技能者支援議連、生コン(生コンクリート)議連などに名を連ね⁶² ⁶¹ 、地元建設業界(祖父の國場組も関係する分野)への目配りも欠かしません。
こうした党内外活動における國場氏の姿勢は、一言で言えば「フットワークの軽いオールラウンダー」です。保守思想から経済・産業政策、地域振興、福祉に至るまでオールマイティに顔を出し、それぞれの分野で存在感を示しています。特に沖縄選出議員として、美ら島議連などを通じ沖縄の声を政策化する努力は評価できるでしょう。
一方、たばこ議連に所属し業界側の立場を代弁したり⁶³ 、保守系議連で歴史認識問題に関与したりと、政策によっては賛否が割れる立場も担っています。國場氏本人は「沖縄のためになることなら党内外どこへでも顔を出す」タイプであり、それが結果的に所属団体の多さに繋がっているようです。そのネットワークの広さは、今後彼が政策提言力を発揮する基盤ともなるでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
國場幸之助議員の活動を語る上で、避けて通れないのがいくつかの不祥事・スキャンダルの存在です。國場氏自身や周辺が起こした問題が報じられ、その都度説明責任を求められました。
公職選挙法違反疑惑
まず大きく報じられたのが、公職選挙法違反疑惑です。2017年の衆院選期間中、國場氏を含む沖縄県選出の自民党議員3名(國場氏、西銘恒三郎氏、宮崎政久氏)の党支部が、2015年に米軍普天間基地の辺野古移設関連工事を請け負った建設業者からそれぞれ20万円の寄付を受けていたことが発覚しました⁶⁴ 。
公選法は国と契約関係にある企業から国政選挙に関し寄付を受けることを禁じています⁶⁵ 。このため違法寄付の疑いが指摘され、國場氏側は「誤解を与えないよう返金した」と説明しました⁶⁴ 。結果的に起訴など法的措置には至りませんでしたが、基地工事受注業者からの献金というセンシティブな問題だけに、國場氏への信頼に影を落としました。
傷害容疑による書類送検事件
次に、傷害容疑による書類送検事件があります。2018年4月、國場氏が自民党沖縄県連会長に就任したその直後、那覇市松山の路上で深夜に女性と言い争いになり、それを止めようとした通行人男性ともみ合いになりました⁴⁵ 。
國場氏は右足骨折と顔面打撲の重傷を負い、相手男性も衣服が破れる軽傷を負いました⁴⁵ 。両者とも被害届は出しませんでしたが、警察は互いに暴行があったとして傷害容疑で書類送検しました⁴⁵ 。
その後、國場氏は不起訴処分となり刑事責任は問われませんでした⁴⁵ 。しかし県連会長就任直後の不祥事ということで地元紙は大きく報道し、政敵からも批判を浴びました。國場氏は事実関係をおおむね認めた上で、「深く反省し、職務に邁進する」と陳謝しています。結果的に県連会長職に留まりましたが、酒席でのトラブルということで、その品行に疑問符を付けられる出来事でした。
秘書の不適切発言問題
2019年には、國場氏本人ではなく秘書の不適切発言が問題化しました。米軍辺野古移設の是非を問う沖縄県民投票(2019年2月実施)を巡り、投票前にハンガーストライキを行った市民団体がいました。これに対し、國場氏の政策秘書だった田中慧氏がTwitter上で「ハンストは自分の命を人質にしたテロと同質」「今後はハンストに対しては『さっさと死ね』という言葉だけ浴びせる」と暴言を投稿したのです⁶⁶ 。
この書き込みはネット上で瞬く間に拡散され、物議を醸しました。國場氏は秘書に厳重注意し、ハンスト団体の代表者に直接謝罪に赴かせました⁶⁷ 。國場氏自身も「秘書の不適切発言をお詫びする」とコメントを発表し、事態の沈静化に努めました。この件は秘書の暴走とはいえ、國場事務所の体質が問われた事件でした。基地問題に絡む激しい言葉は、沖縄社会の分断を深めかねないだけに、国会議員秘書として極めて不適切と言わざるを得ません。國場氏が迅速に謝罪対応したことで大事には至りませんでしたが、支持層以外からの不信を買ったのは否めません。
ダブル不倫疑惑
同じ2019年にはもう一つスキャンダルがありました。國場氏のダブル不倫疑惑です。2018年の前述の傷害事件の際、國場氏と一緒にいたとされる女性ボランティアがいたのですが、その女性の元夫が2019年4月に國場氏と元妻の不貞行為を離婚原因として訴えたのです⁶⁸ 。
週刊誌には國場氏と女性の生々しいLINEメッセージが掲載され、大きなスキャンダルとなりました⁶⁸ 。國場氏は公には多くを語りませんでしたが、最終的に元夫との間で和解が成立し、訴訟は終結しました⁶⁸ 。この件では妻帯者である國場氏の倫理観が問われ、一部では議員辞職を求める声も上がりました。しかし当時自民党内から公式な処分は出されず、國場氏はそのまま議員活動を続けました。とはいえ、保守政治家として家族観・倫理観を重んじる層には大きな失望を与えたと言えるでしょう。
暴力団幹部への口利き疑惑
2020年にも國場氏を取り巻く不穏な報道が相次ぎました。一つは暴力団幹部への口利き疑惑です。2020年11月、週刊文春が報じたところによると、國場氏の義父(沖縄県議会議員だった西田健次郎氏)が、前述の不倫スキャンダルの際に、沖縄の指定暴力団「旭琉會」の幹部に示談交渉の仲介を依頼していたというのです⁶⁹ ⁶⁹ 。
文春はその際の弁明書なる文書も入手したとされ、政界と暴力団の黒い繋がりを示唆しました⁷⁰ 。これに対し國場氏は「報道内容は事実無根である」と全面否定しました⁷¹ 。実際、警察沙汰になったわけではなく真偽は不明ですが、地元有力者である義父が反社会勢力に接触したとの疑惑は、國場氏のイメージダウンに直結しました。國場氏本人は直接関与していないとはいえ、身内の問題として釈明に追われる形となりました。
政治資金収支報告書の不記載問題
もう一つ、同じく2020年に明るみに出たのが政治資金収支報告書の不記載問題です。2020年12月、与野党全議員の政治資金収支報告を精査したところ、過去3年間で最も不記載金額が多かった議員が國場氏だったと報じられました⁷² 。
具体的には、國場氏の後援会が自民党岸田派(宏池会)から受けた寄付金計620万円を収支報告書に記載していなかったというもので⁷¹ 、政治資金規正法上の手続違反が疑われました。國場氏側は事務的ミスで悪意はなかったと釈明し、問題の寄付金は修正報告で記載されたようですが、与野党通じてトップという不名誉な結果に國場氏の名前が挙がってしまいました⁷¹ 。この件は刑事事件化はしなかったものの、資金管理の杜撰さを印象付けるものとなり、國場氏のガバナンス能力に疑問符が付きました。
旧統一教会との関係
最後に、近年クローズアップされたのが旧統一教会との関係です。2022年に安倍晋三元首相銃撃事件を契機に、多くの政治家と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との接点が問題視されましたが、國場氏も例外ではありませんでした。
報道や本人の公表によれば、國場氏は2013年1月に統一教会系の機関紙『世界日報』のインタビューに応じ、政治家としての抱負を語っていました⁷³ 。さらに2020年8月には教団関連団体「平和大使協議会」の会合に来賓出席し、挨拶しています⁷⁴ 。2021年7月の衆院選に際しては、統一教会系団体の「世界平和連合」から推薦状を受け取っていたことも明らかになりました⁷⁵ 。
極めつけは2022年1月、教団関連の国際ウェビナーに祝電を送っていたことまで判明しました⁷⁵ 。これらの事実から、國場氏は旧統一教会側と相応の繋がりを持っていたと推察されます。國場氏はこれらの関係について「今後は一切関係を持たない」と表明しましたが、世間の見る目は厳しく、2022年以降教団との関係を巡る批判にさらされました。沖縄の有権者層でも、保守層を中心に宗教団体との関係を問題視する声が上がり、國場氏の信用に傷が付いたのは否めません。
不祥事群の総括
以上の不祥事群を総括すると、國場氏は政治的手腕や政策発信力に優れる一方で、自身や周囲のスキャンダルに繰り返し足を引っぱられてきたと言えます。公選法スレスレの献金受領、深夜の私的トラブル、秘書の暴言、不倫疑惑、反社疑惑、資金ミス、宗教団体との付き合い──列挙すればイメージダウンになりかねない事案ばかりです。
もっとも國場氏はその都度危機管理に努め、大事に至る前に沈静化させてきました。例えば2019年の不倫報道では離党や議員辞職には至らず、周囲との和解で収束させていますし⁶⁸ 、統一教会問題でもいち早く関係断絶を宣言しました。しかし、これらの出来事は有権者の記憶にも残っており、今後の政治活動においてもつきまとうリスクと言えるでしょう。國場氏としては再発防止に細心の注意を払い、クリーンな政治家像を取り戻す努力が求められます。
7. SNS・情報発信活動
現代の政治家にとってSNSは欠かせないツールですが、國場幸之助議員も例に漏れず積極的に情報発信を行っています。ただ、そのスタイルはどちらかと言えば地道で実直なもので、決して派手さはありません。
Twitterでの地道な発信
國場氏は2010年2月にTwitter(現・X)アカウントを開設しており、日々の街頭演説や政治活動の様子、地元沖縄の話題などを発信しています⁷⁶ 。フォロワー数は2025年現在で約5,000人程度⁷⁶ と、国会議員としては中規模クラスですが、沖縄県内の支持者や関係者を中心にフォローされています。
國場氏のツイート内容を見てみると、たとえば国会閉会中に地元を回る様子や、選挙期間中の訴え、政策に対する考えを綴ったものが多くなっています。具体例として、2023年1月14日には「尖閣の日」に合わせて「海上保安庁を応援する議員連盟」で海上保安大学校を訪問したことを写真付きで報告し、「第11管区(沖縄)の尖閣警備の現状を視察。国境最前線で頑張る皆さんに感謝」といった趣旨の投稿を行いました⁴⁰ 。このように、安全保障や地元沖縄の課題についてSNS上でも積極的に発信し、支持者とのコミュニケーションを図っています。
Facebook・Instagramでの多面的発信
FacebookやInstagramでも情報発信を行っており、特にFacebookではスタッフが日々の活動報告やメディア出演情報をこまめに更新しています。國場氏のFacebookページでは「偽物アカウントに注意」といった告知もなされており⁷⁷ 、熱心な支持者が多い半面、なりすまし被害が出るほど注目されてもいるようです。
Instagramでは若者向けに砕けた投稿も見られ、那覇の綺麗な海を背景にした写真とともに「沖縄の未来を担う子どもたちのため教育改革を!」とメッセージを添えるなど、ビジュアルで訴える工夫もしています⁷⁸ 。
ブログ・YouTube活動
また、國場氏は自身の公式ブログ「初志貫徹ブログ」も長年運営しており、そこではより詳細な活動記録や政策論考を掲載しています⁷⁹ 。ブログ記事の例として、「シェルター及び地下利用促進議員連盟」での要望活動について綴ったものや、地元要望に対する國場氏の考えなど、SNSでは書ききれない長文もしっかり公開しています。
さらにYouTubeにも公式チャンネル「衆議院議員コクバ幸之助」を開設し、演説動画や活動ダイジェストを投稿しています⁸⁰ 。視聴回数は決して多くなく、例えば「2024年衆議院選挙 首里での街頭演説」動画は再生数が数百回程度に留まっています⁸⁰ 。しかし、地元有権者に直接訴えるために動画を活用する姿勢は評価できますし、実直な演説の様子から國場氏の人柄が伝わると好評なコメントも散見されます。
フォロワー数の推移と課題
フォロワー数の推移を見ると、Twitterでは2015年頃には数百〜千人規模だったものが、2021年頃に2千〜3千人となり、2024年の選挙戦を経て現在は約5千人に達しています⁷⁶ 。一気にバズるような出来事はありませんでしたが、徐々に支持層が拡大していることが窺えます。特に2022年以降、安倍元総理銃撃事件や統一教会問題など政治への注目が集まる中で、國場氏の発信にも関心が寄せられフォロワーが増えた面があります。
ただ、沖縄選出の国会議員ではオール沖縄勢力の政治家(例えば共産党の赤嶺政賢議員など)の方がフォロワーが多く、SNS上の発信力では劣勢との指摘もあります⁸¹ 。國場氏の支持者からは「もっとフォロワーを増やして発信力を高めてほしい」という声も上がっており、今後はSNS戦略の強化も課題と言えるでしょう。
地に足の着いた発信スタイル
とはいえ、國場氏のSNS運用には彼らしさが表れています。それは地に足の着いた情報発信です。たとえばTwitterでは、国会審議中の写真とともに「本日は予算委員会で質問に立ちました。沖縄の基地負担軽減策について政府に提案しました」など簡潔に報告し⁴¹ 、夜には「地元で支援者の皆様と意見交換。貴重なお声を政策に活かします」といった投稿もしています。
派手な言葉で相手を攻撃したり、炎上を狙うような発信は見当たりません。代わりに、「#国場幸之助」「#沖縄振興」といったハッシュタグを付けて地道に情報を発信し続けるスタイルです。選挙期間中には毎日の遊説スケジュールや演説動画をアップし、有権者との双方向コミュニケーションにも努めました。「國場議員ってどんな人?」という問いに対し、SNSを見ると飾らない人柄と政策への真摯さが感じられる、そんな評価も聞かれます。
総じて、國場氏の情報発信は実直でブレがなく、コツコツ型です。現代の政治家には珍しく炎上とも無縁で、逆に言えば拡散力には欠けるものの、支持者からは「嘘がない」「信頼できる」と好評です。特に沖縄に関する情報発信では、基地問題や観光情報、地元イベントの紹介など幅広く扱い、地元密着ぶりを印象付けています。今後さらに影響力を高めるにはSNS上での議論喚起や若者層への訴求も必要かもしれませんが、國場氏はあえて奇をてらわず王道の政治活動報告を貫いているようにも見えます。これはまさにブログタイトル「初志貫徹」を体現する姿勢と言えるでしょう。
8. 公約実現度の検証
最後に、國場幸之助議員の公約実現度を、選挙公約と国会活動のギャップという観点から検証します。2024年の選挙公報で掲げられたキーワードを中心に、その後の実現状況や國場氏のフォローアップを見てみましょう。
最低賃金1,500円の実現状況
まず筆頭に掲げた「最低賃金1,500円」について。國場氏は選挙戦で最低賃金引き上げを強く訴えましたが、2024年度の全国平均最低賃金は時給1,055円に留まっています⁸² 。ただし、2025年度は厚生労働省が全国平均1,118円(63円増)の目安を示しており、過去最大の引き上げ幅となる見込みです⁸³ 。
2024年10月に首相に就任した石破茂氏は「消費税率引き下げは選択肢にない」と物価高対策での減税に否定的な一方、防衛費増税を含む財政健全化に注力しており、最低賃金アップについては「経済成長と一体で徐々に進める」との立場です¹⁵ 。
そのため1,500円という國場氏の目標はまだ道半ばですが、政府は「2020年代に1,500円」という目標を掲げており、実現に向けた取り組みが続いています⁸⁴ 。政府与党は毎年3%程度の賃上げを促す政策を継続中で、國場氏自身も国会質問で「物価高騰から生活を守るため、中小企業支援を通じた賃上げを着実に実現すべき」と訴えています¹⁹ 。
最低賃金の数字目標は未達でも、國場氏は中小零細企業支援の拡充という形で公約実現に取り組んでいると言えます。実際、2023年度の補正予算では物価高対策として中小事業者への支援金が盛り込まれ、國場氏も賛成演説で「賃上げによる生活向上」を強調しました。したがって、公約キーワード「賃上げ」「最低賃金」に関しては、方向性としては政府政策に反映されつつあるものの、数値目標の実現にはなお時間を要するという状況です。
平和と経済の相乗効果
次に「平和と経済の相乗効果」について。これは理念的な表現ですが、具体的には基地負担の軽減と経済振興を両立させるという意味でした。國場氏は普天間基地の県外移設を掲げましたが、現実には辺野古新基地建設は続行中で、普天間飛行場も返還の目途は立っていません。公約とのギャップは大きく見えます。
しかし國場氏なりに成果もありました。例えば2022年の本土復帰50年決議²⁵ に「平和創造の拠点としての沖縄」が明記され、政府は沖縄を国際平和交流の拠点にする方針を示しました。これを受け、2023年には沖縄科学技術大学院大学(OIST)を核とした国際研究拠点づくりや、在沖米軍基地の一部を国連訓練施設として活用する構想などが議論されています。
國場氏の提唱した「国連機関誘致」もまだ実現には至っていませんが、沖縄でSDGs関連の国際会議を開くなど、小さいながら前進は見られます。つまり、「平和と経済の相乗効果」というビジョンそのものは道半ばながら、國場氏がその重要性を訴え続けたことで政府方針に一定の影響を与え、沖縄振興計画にも平和貢献の観点が盛り込まれる結果となりました。
食料安全保障・台湾連携の進展
食料安全保障(陸上養殖・植物工場)の公約も、具体的進捗を検証しましょう。陸上養殖については、沖縄県内でマグロ養殖の陸上プラント実験が始まり、植物工場も離島で野菜生産する試みが進んでいます。國場氏はこれらに関与し、2023年の農水委員会で「沖縄を食料安全保障のモデル地域に」と提案しています。国の支援策としても、2024年度予算に沖縄の次世代型農業拠点づくり費用が計上されました。従って、キーワード「食料安全保障」に関しては、國場氏の主張が政府施策として動き出したと言えます。
一方、「台湾との経済連携強化(沖縄・台湾間海底ケーブル)」ですが、これも残念ながら2025年時点で具体化はしていません。海底通信ケーブルについて政府は総務省などで可能性を検討しているものの、巨額の費用が壁となり実現していません。ただ、経済連携自体は深まっており、直行航路の拡充や台湾企業の沖縄進出など民間レベルの交流は増えています。
國場氏は2023年に日華議員懇談会の一員として台湾を訪問し、蔡英文総統とも面会するなど経済交流の旗振り役を務めました。つまり「台湾連携」については、物理的インフラ(ケーブル)は未達でも、人の交流・経済取引は促進されつつあり、國場氏もその推進に一定の役割を果たしています。
子育て支援の実現状況
また「子育て支援」も國場氏のマニフェストに含まれていました(児童手当拡充など)。これについては、政府が2024年に児童手当の所得制限撤廃や高校3年生までの支給延長を決定し³⁸ 、國場氏も賛同しています。
子育て支援金の財源としての「医療保険料上乗せ方式」が決まった際には、國場氏は党内会議で若年世代の負担が過重にならないよう注文を付けたとされています。こうしたエピソードから、國場氏は公約実現のため妥協案や代替策を提示しつつ前進を図る現実派であることが見て取れます。
基地問題への現実的アプローチ
総合すると、國場氏の掲げた公約キーワード上位に関して、実現状況はまちまちです。マニフェスト上頻出した「賃上げ」「最低賃金」「経済」などは国政の主要議題となりつつあり、國場氏も政策決定過程に関与して実を結び始めています。一方、「平和創造」「基地負担軽減」は国の大方針を覆すには至らず、引き続き課題です。
ただ國場氏は、県外移設という公約が実現困難と悟ると、辺野古移設容認へ安易に転向することはなく、「基地負担軽減策の実施」「地位協定の運用改善」など現実解を追求する路線にシフトしました³⁸ 。これは公約の修正とも言えますが、むしろ「理想は掲げつつ現実解も模索する」國場氏の柔軟性と捉えることもできます。
例えば、彼は2022年以降、地元紙のインタビューで「県外移設の理想は捨てていない。しかしまずは普天間の危険性除去を急ぐべき」と発言しており、米軍駐機場の分散移転や民間空港との共用など具体策を提案しています。公約とのギャップを埋めるための現実的努力と言えましょう。
公約実現度の総合評価
総括すれば、國場幸之助議員の公約実現度は五分五分といったところでしょう。数値目標など明確な形で実現したものは少ないものの、国政のなかで國場氏の提言が随所に反映され、部分的な成果を上げています。実現できなかった公約については、その理由として国政レベルの制約(例えば基地問題は一議員の力で左右できない)が大きいものが多く、國場氏個人の怠慢とは言えません。
むしろ難しい課題にも拘り続け、妥協せず主張を続けることで政策に食い込んでいく粘り強さが國場氏の持ち味と評価できます。今後、彼が党内でさらに影響力を増せば、公約だった1,500円最低賃金や沖縄への国連機関誘致なども現実味を帯びてくるかもしれません。公約と実績のギャップを埋める挑戦は続きますが、國場氏は初心を貫徹すべく道半ばの課題に真正面から取り組んでいる最中と言えるでしょう。
参考資料
- 自由民主党沖縄県支部連合会公式サイト、國場幸之助プロフィール • 衆議院公式サイト、議員情報「國場幸之助」⁸⁴ ¹¹ • 『國場幸之助』Wikipedia(最終更新2025年5月)⁸⁵ • 第208回国会衆議院本会議議事録(2022年4月28日)¹ ⁵⁴ ³⁷ • 第217回国会衆議院本会議議事録(2025年3月18日)⁸⁶ • 第217回国会沖縄及び北方問題特別委員会議事録(2025年5月29日)⁸⁷ • 2024年衆議院議員総選挙 沖縄県選管公報(沖縄1区 國場幸之助)¹⁴ ³⁸ • 沖縄県公報音声データ(國場幸之助 公約全文)⁴⁴ ⁴⁵ ⁵⁰ ⁵¹ ⁵² ⁵³ ⁵⁴ ⁵⁵ ⁵⁶ ⁵⁷ ⁵⁸ ⁵⁹ ⁶⁰ ⁶¹ ⁶² ⁶³ ⁶⁴ ⁶⁵ ⁶⁶ ⁶⁷ ⁶⁸ ⁶⁹ ⁷⁰ ⁷¹ ⁷² ⁷³ ⁷⁴ ⁷⁵ • 自民党政務調査会 内閣第一部会ニュース(2025年2月14日付)² • 自民党お知らせ「悪質ホスト対策を強化」(2025年2月14日)⁸⁸ • 國場幸之助議員Twitterアカウント (@kokubkonosuke)⁸⁹ • ユーザーローカル「國場幸之助さんのフォロワー分析」¹¹ ¹² ⁸⁴ ⁸⁶ • 沖縄タイムス+プラス報道(2019年・2020年)⁹⁰ • 週刊文春(2020年11月12日号)記事 • 衆議院沖縄北方特別委員長報告(2020年6月18日)映像⁹¹ • 第50回衆議院議員総選挙 沖縄県選挙管理委員会資料¹⁵ ²⁸ ²⁹ ⁸² ⁸⁶ • 参議院決算委員会会議録(2023年)國場質疑 • 内閣官房HP デジタル田園都市国家構想実現会議 議事概要¹⁶ ¹⁷ ¹⁸ ¹⁹ ²⁰ ²¹ ²² ²³ ²⁴ ⁴⁶ ⁴⁷ ⁴⁸ ⁸³ ⁸⁵ • 内閣府HP 月例経済報告関係閣僚会議 議事要旨⁹² • 国会議員白書(國場幸之助 全期間発言一覧)²⁵
- 上記参考資料の【】内は出典箇所を示しています。
主要参照URL
- 國場幸之助 - Wikipedia
- 国場幸太郎 - Wikipedia
- 沖縄の可能性無限大!コクバ幸之助
- 地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省
- 令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について|厚生労働省
- 石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?|大和総研
- 月例経済報告等に関する関係閣僚会議 議事要旨
- 悪質ホスト対策を強化 | お知らせ | ニュース | 自由民主党
- 01okinawa_kokubakonosuke
- 220914_国会レポート2022.indd
- 議事経過 第208回国会(令和4年4月28日) - 衆議院
- 國場幸之助(コクバ幸之助・国場幸之助) on X
- 第217回国会 衆議院 本会議 第9号 令和7年3月18日
- 第217回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号
- 国場幸之助 衆議院議員「委員会発言一覧」(全期間)
- 第201回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号
- 【コクバ幸之助】20200618沖縄及び北方問題に関する特別委員会
- 第208回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号
- 國場幸之助(コクバ幸之助・国場幸之助) on X
- 衆議院 國場幸之助 | 国会審議映像検索システム
- デジタル田園都市国家構想実現会議(第15回)議事要旨
- 第2回障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた取組推進本部
- 【速報】那覇市長選、知念覚氏の当選確実
- 【動画あり】那覇市長に知念氏が初当選
- 2022年那覇市長選挙 - Wikipedia
- 那覇市長選 知念覚氏が初当選
- 那覇市長に知念覚氏初当選
- 國場幸之助(コクバ幸之助) さんのフォロワー分布ランキング
- コクバ 幸之助 - 衆議院議員 - Facebook
- よく勘違いされるのが 恵まれた環境で政治生活を送れていると思 ... - Instagram
- シェルター及び地下利用促進議員連盟要望
- 衆議院議員コクバ幸之助 - YouTube
- 沖縄県民を想う(国境保守)(最後の砦) on X
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。