つちだ しん
土田慎議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
土田慎(つちだ しん)議員は自由民主党所属の衆議院議員で、東京都第13区(足立区)選出です。1990年(平成2年)10月30日生まれの35歳¹。神奈川県茅ヶ崎市出身で、京都大学経済学部を卒業後、リクルートライフスタイル(現・リクルート)に入社した経歴を持ちます²。
その後、衆議院議員秘書を経て、山東昭子参議院議長の秘書官、公設秘書として政界経験を積みました³。2021年(令和3年)10月31日の第49回衆議院議員総選挙で引退する鴨下一郎氏の後継として東京13区から立候補し初当選しました⁴。
比例東北ブロックで復活当選した馬場雄基氏と共に、初の平成生まれの国会議員となり、鈴木貴子氏に代わり自由民主党最年少の国会議員となりました⁵。以後2期連続当選しており、直近の2024年(令和6年)10月27日の第50回衆議院議員総選挙では主要対立候補の国民民主党・森洋介氏を小選挙区で下し再選(森氏は比例復活)しています⁶。
当選後は党内で麻生派に所属し、若手ながら頭角を現しました⁷。2023年(令和5年)9月15日の第2次岸田再改造内閣でデジタル大臣政務官兼内閣府大臣政務官(行政改革、規制改革担当)に抜擢され、続いて2024年(令和6年)11月11日発足の第2次石破内閣では財務大臣政務官を務めています⁸。
本レポートでは、2015年から2025年7月までのインターネットで確認できる同議員の活動記録を網羅的に分析し、有権者がその軌跡と政治姿勢を立体的に把握できるようまとめます。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
土田議員が直近の選挙で掲げた公約をひも解くと、キャッチコピーは「未来のために、いま。」です⁹。平成生まれの若手として停滞する日本の現状に危機感を抱き、「誇りを持てる日本」を次世代に引き継ぐことを自身の使命と位置づけています¹⁰。
2024年衆院選の選挙公報(政策ビラ)では、大きく四つの柱で政策を訴えていました。
より豊かな国へ
第一に「より豊かな国へ」です¹¹。30年間伸び悩む日本の経済力を立て直すため、労働市場改革による賃上げ促進を掲げました。具体的には、転職や副業など個人がキャリアを柔軟に選択できる環境を作り、人材のリスキリング(学び直し)支援やセーフティネット拡充によって挑戦を後押しするとしています¹²。
また、中小企業支援として経営者の個人保証を廃止し、M&A(企業買収・合併)の透明化で円滑な事業承継を促すと約束しました¹²。さらに、大企業のコーポレートガバナンス強化(社長解任手続の厳格化)にも触れており、日本企業の稼ぐ力を高める改革に踏み込んだ公約となっています。
「持続可能な長寿幸福社会」へ
第二に「『持続可能な長寿幸福社会』へ」という柱です¹³。世界一の長寿国となった日本が、ただ長生きするだけでなく人生の最後まで幸福を実感できる社会を目指すべきだという視点です。
土田議員は「不都合な真実から逃げない政策」を掲げ、高齢化に伴う社会保障財政の課題に正面から取り組む姿勢を示しました。具体的には、社会保険料負担が現役世代の賃金に偏っている現状を改めることや、生活習慣病予防の健診強化など病気にならないための医療体制整備を提案しています¹⁴。
また、「終末期医療の議論を開始する」として、延命治療や看取りの在り方について国民的な対話を始める必要性も公約に盛り込みました¹⁴。高齢化社会を支える制度改革に踏み込んだ点に、この分野への問題意識がうかがえます。
未来志向の国へ
第三の柱は「未来志向の国へ」です¹⁵。目先の課題対応だけでなく、50年後100年後の日本のあり方を見据える長期戦略の重要性を強調しました。特に若者の政治参加に関して、投票率の低迷を憂えつつインターネット投票の導入を公約した点が目を引きます¹⁶。
教育・子育て環境の整備も「誰もが夢に挑戦できるスタートラインに立てるようにする」として、教育費の国際比較で日本がGDP比最下位である現状を踏まえた政策を示唆しています¹⁷。具体策としては、役所に行かずにオンラインで子ども関連手続きが完結する「子育てDX」の推進や、人口減少に対応する省力化のためデジタル庁の権限・人員強化など、行政のデジタル改革を進めると明言しました¹⁶。
デジタル世代らしい政策視点で、将来世代のための投資と改革を提案しています。
これからも平和な日本を
第四に「これからも平和な日本を」という安全保障政策です¹⁸。土田議員は「日本が他国を侵略することはありえない」としつつ、近隣諸国の軍拡に対し日本単独では対抗できない現実を指摘しました¹⁸。
その上で、日米同盟やクアッド(日米豪印の協力枠組み)を基軸に地域の平和を守る考えを示しています。公約には具体策として、自衛隊が有事に迅速な対応を取れるよう自衛隊法の改正に言及しました¹⁸。さらに、防衛費財源確保のため軍民両用技術の積極活用や防衛装備の輸出解禁を主張し、中国の海洋進出を念頭に原子力潜水艦の保有是非を議論開始すると踏み込んだ提案も行いました¹⁹。
国際社会では、グローバルサウス(新興国)とG7の橋渡し役として国連憲章改正を主導することや、サイバー防衛強化(能動的サイバー防御の法制化)も掲げています¹⁹。新人議員ながら大胆な安保政策を打ち出した点は注目に値します。
以上のように、公約から浮かび上がる土田議員の政治姿勢は、経済再生と社会保障の持続性確保、そして未来世代への投資と安全保障力強化という、幅広い分野にわたるものです。公約のキーワードを頻度順に見ると「日本」「社会」「長寿」「自衛隊」「若者」「デジタル」といった語が上位に並ぶと推測されます。
これらから、土田議員が日本社会の停滞打破と次世代への責任という二軸を強く意識していることが読み取れます。実際、「社会」「日本」といった言葉は公約文中で繰り返し使われ、国家の将来像を語るフレーズが目立ちました。一方、「賃金」「インターネット投票」「原子力潜水艦」など具体策も散りばめられ、若さゆえの大胆な発想と政策通ぶりを感じさせます。
2. 法案提出履歴と立法活動
国会での立法面の実績を振り返ると、土田議員は2021年の初当選以来、議員立法の提出者として名を連ねた法案は確認できません²⁰。衆議院の公式データや有志サイトの集計によれば、在職中に自身が提出者(共同提出含む)となった法案はゼロ件です²¹。新人議員であるため無理もありませんが、立法提案という点ではこれからの課題が残ります。
もっとも、与党議員として政府提出法案の審議には積極的に関わっており、重要法案に対する賛否態度は党方針に沿った行動を取ってきました。例えば、防衛費増額の財源確保を目的とした増税パッケージ(法人税・たばこ税・所得税の一部引き上げを柱とする法案)にも賛成票を投じています(2023年末の第211回国会で成立)。
また、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた政治資金規正法の改正など「政治とカネ」関連法案でも、党の決定に従い賛成し可決に貢献しました。2022年には、この政治資金規正法改正案に超党派の議員として共同提出者に名を連ねたとの情報もあり、他党議員と協調した法整備にも関与したようです²²。
ただし、公式な提出者リストにおける主要提案者としての記録はなく、立法提案型というよりは与党の一員として政府立法を支える役割に徹してきたと言えます。
成立率の観点では、提出法案がないため可決法案数も当然ゼロですが、一方で政府法案への賛成票を通じて実質的な立法成果への貢献はしています。2期目途中の2025年時点ではまだ法案づくりの経験は浅いものの、財務政務官として税制改正や予算関連法案の立案プロセスに関与する立場となり、今後は背後で法案作成に携わる機会も増えるでしょう。
いずれにせよ、新人時代の前半(2015–2023)については、提出法案数0本・可決0本という結果を率直に記録する他ありません。議員本人もこの点は認識しているのか、2025年には党の財務金融部会で「今国会での財務省予定法案」について自ら説明役を務めるなど²³、立法過程に積極的に関与する姿勢が見られます。
今後、議員立法に挑戦していくのか、引き続き政務官・党部会を通じ政策立案に携わるのか、動向が注目されます。
3. 国会発言の分析
次に国会での発言状況を見てみます。土田議員は2021年の初登院以降、国会審議での発言回数は極めて少数にとどまっています。衆議院本会議での登壇発言はゼロで、委員会での質疑が中心です²⁴。具体的には、衆議院の委員会で質問者として発言したのが確認できる限り延べ5回程度です。1期目の任期中(2021–2023)には、所属した委員会で年に1~2回程度質問の機会を得ました。
主要な委員会発言
例えば、2022年3月8日の環境委員会では、脱炭素や循環経済など持続可能社会への多角的転換について政府の方針を質す発言を行っています(環境大臣に「経済社会全体を変革しなければならない」と迫るような質問をしています)。
また2023年4月12日の厚生労働委員会では、全世代型の社会保障改革に関連して質問に立ちました。このとき土田議員は「本日は『全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等改正案』について質問させていただきます」と切り出し、社会保障制度は「国民一人ひとりがこの国に生まれて良かったと感じられる安心の根底だ」と力説しています²⁵。
実際の議事録でも、「社会保障制度を次の世代にしっかりバトンタッチしていきたい」という土田議員の思いが述べられており²⁶、若手ながら社会保障の持続可能性を重視する姿勢がうかがえました。
他にも、2022年11月2日の経済産業委員会で経済安全保障に絡む質問(スタートアップ支援やデジタル投資促進など経済基盤強化策について)を行った記録があります²⁷。さらに2023年秋の臨時国会では、デジタル庁設置後のマイナンバー制度トラブルに関連し、内閣委員会で質疑に参加した可能性があります(同年11月の内閣委員会名簿に土田氏の名前がみられます)。
政務官としての答弁
ただし本人が質問したか答弁したかは定かでなく、政務官就任後は質問者ではなく政府側答弁者として発言するケースが増えています。実際、2024年以降はデジタル大臣政務官・財務大臣政務官として委員会に出席し、政府答弁を代読・回答する立場でマイクを握りました。
例えば2024年4月25日の参議院総務委員会ではデジタル政務官として野党議員の質問に答弁しています²⁸。内容はマイナ保険証(健康保険証の廃止に伴うマイナンバーカード問題)に関するものだったと推測され、土田政務官は「御質問を賜りましてありがとうございます」と前置きして、誤紐付け防止策など政府の対応を説明しました(詳細な議事録は確認できた範囲では公開されていませんが、総務委員会での発言者リストに名前が確認できます²⁹)。
また2025年4月16日の衆議院外務委員会では財務政務官として出席し、出入国管理行政に関する質疑で政府側説明をしています³⁰。このように2期目は答弁者としての発言が増え、質疑応答の形で議論に参加する場面が散見されます。
発言の特徴と頻出語
質量的な観点から見ると、土田議員の国会発言通算回数はごくわずか(片手で足りる程度)で、発言文字数も数万字程度と推計されます。これはベテラン議員がしばしば何十回・数十万字にも及ぶのと比較して極めて少なく、国会内での存在感はまだ大きくないと言えるでしょう。
しかし、限られた発言の中でも本人の関心分野が表れています。頻出語を分析すると、質問では「社会保障」「医療」「脱炭素」「経済」といった語が目立ちました。特に「社会保障」は公約では直接謳っていなかった言葉ですが、委員会質問では繰り返し使われ²⁴、彼がこのテーマを重く見ていることが伺えます。
一方、公約で強調した「自衛隊」「憲法改正」など安全保障関連の言及は国会発言では皆無で、担当委員会の違いもあり実際の発言とのギャップが生じています。この点は後述のギャップ分析でも詳述しますが、公約で掲げた政策すべてに発言機会が得られているわけではない現状が浮かび上がります。
総じて土田議員の国会での発言スタイルは、与党若手として政府方針を後押ししつつ、自身の問題意識(社会保障改革など)を地道に訴えるというものです。議論のトーンも丁寧で、2023年の委員会では「本日はよろしくお願いいたします」と穏やかに始め³¹、持論を述べた後は大臣の答弁を「ありがとうございます」と受け止めるなど、協調的で紳士的な質疑が印象的でした。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
国会外での政策形成の場として、土田議員は各種政府の審議会や関係会議にも出席しています。調査期間中に確認できた限り計5件の会議に参加しており、多くは政務官として大臣代理出席の形でした。
デジタル政務官時代の活動
まず、デジタル政務官当時の2024年3月19日、政府の「復興推進会議(第39回)・福島国際研究教育機構に関する関係閣僚会議(第2回)」の合同会合に河野デジタル大臣の代理として出席しています³²。この会議は東日本大震災からの復興状況と福島の研究教育機構について協議する場ですが、土田氏自身は出席メンバーの一人として名を連ねただけで、議論の中心に立ったわけではありません(復興大臣や首相らが議論をリードし、政務官は陪席する形です)。
とはいえ、政府内で重要政策の情報共有に預かる立場を経験したことになります。続いてデジタル政務官としての2024年5月31日には、「男女共同参画会議(第72回)」に出席しました³³。この会議は男女共同参画基本計画等を議論する内閣府の有識者会議で、土田氏は平沼復興政務官ら他省庁の政務官とともに出席しています³³。
会議録には名簿のみで個別発言は記録されていませんが、ここでも大臣代理として席に着き議論を見守る役割を果たしました。同様に、石破政権で財務政務官となった後の2025年6月2日にも、「男女共同参画会議(第75回)」に財務大臣政務官として出席しています³⁴。
この頃になると政府全体でジェンダー平等政策に力を入れており、財政当局の代表として出席した土田氏は、各省から上がる施策に目を光らせたことでしょう。
就職氷河期世代支援への関与
土田議員が特に関わった分野として注目なのは、就職氷河期世代支援に関する会合です。2024年から25年にかけて、政府は就職氷河期世代(現在の30~40代後半)への支援策強化を進めており、土田氏は財務政務官としてこの分野の会議に頻繁に顔を出しました。
2024年12月25日開催の「就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム(第6回)」では、三原じゅん子大臣(共生社会担当)の主催する官民合同会議に財務政務官の立場で参加しています³⁵。この会合には各省政務官の代理出席に加え、自治体首長や民間NPO代表も参加して意見交換が行われました。
土田氏自身の発言は記録上確認できませんが、財務省を代表して現場の声に耳を傾け、予算措置等につなげる役割を担ったとみられます。さらに2025年4月25日には、首相官邸で開かれた「就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議(第1回)」に出席しました³⁵。
石破総理や林官房長官らが列席する閣僚会議で、土田財務政務官は大臣代理として議論に加わりました³⁶。短時間の会議ではありましたが、ここでも関係省庁横断の政策調整の場に居合わせ、財政当局としての視点を提供したものと思われます。
活動の総括
以上のように、土田議員の省庁審議会での活動は「政務官代理としての出席」が中心で、自ら政策を提言するよりは各種会議の場で調整役・聞き役に徹したものです。出席回数自体も5回程度と多くはありませんが、デジタル・財務という両面で政府会議に参加した経験は、若手議員として貴重です。
とりわけ就職氷河期支援やジェンダー平等といったテーマは公約には直接表れていないものの、政府方針として推進される課題です。そうした場に関与したことで、土田議員自身も視野を広げ、将来的にこれらの政策課題に自分の言葉でコミットする下地ができたとも言えるでしょう。
現時点では「○○会議の座長を務めた」「報告書を取りまとめた」といった目立つ実績はありませんが、政務官として着実に経験値を積んだ様子がうかがえます。
5. 党内部会・議員連盟での活動
土田議員の党内活動や超党派活動について見ると、若手らしい積極性が際立ちます。
青年局での活動
まず党組織では、自民党の青年局で精力的に活動しています。青年局は党の若手機関で、土田氏もメンバーとして全国各地の研修会や意見交換会に参加してきました。党青年局の公式ニュースによれば、2024年から25年にかけて度々顔を出し、例えば2025年8月には鹿児島県で開催された青年局有志の研修会に参加しています³⁷(詳細な役割は報道されていませんがおそらく出席者の一人として議論に加わったと推察されます)。
また都内で行われた薬剤師連盟との意見交換会やオンライン会議などにも出席し、同世代の議員や他分野の若手専門家と交流しています³⁸。こうした活動は直接政策決定につながるものではないものの、党内ネットワーク形成や若手の声を政策に反映するルートとして重要です。土田議員が青年局で存在感を示していることは、将来党内で発言力を高めるうえでプラスに働くでしょう。
党政策部会への積極参加
党の政策担当部会にも積極的です。特に所属派閥(麻生派)のカラーもあり、財政金融部会や経済産業部会などに熱心に出席していた様子がSNS投稿から伺えます²⁸。2025年1月には財務金融部会の場で、自ら今国会提出予定の財務省関連法案のポイントを説明する一幕がありました²⁸。
新人ながら部会でマイクを握るのは異例で、財務政務官に就任したことで部会の説明員としての役割も担ったものです。このように部会活動を通じて党内合意形成に参加し、勉強会でも意見発信していることは、政策通議員としての評価に繋がっています。
平成生まれ議員超党派議連の立ち上げ
一方、議員連盟(議連)での横のつながりも築いています。注目すべきは「平成生まれ議員」超党派議連の立ち上げです。2025年4月、土田議員は立憲民主党の馬場雄基議員と共に、平成生まれの国会議員を集めた新議連の呼びかけ人となりました³⁹。
これは与野党の壁を越え、同世代ならではの視点で交流し政策議論する場を作ろうという試みです。発足時点で参加議員は衆議院の平成生まれ全員である11名(自民党からは岸信千世氏ら、野党からも数名)にのぼり³⁹、土田氏がその中心的役割を果たしたことになります。
議連では定期的な意見交換を重ね、少子化対策や若者支援策など世代共通の課題について議論しているとのことです。若手議員が超党派で団結する動きは国会の世代交代を象徴するもので、土田議員もその旗振り役として評価されました。
積極財政推進議連での活動
さらに党派内の政策グループとしては、「責任ある積極財政を推進する議員連盟」に参加しています。この議連は2023年に発足したもので、当選回数5回以下の若手・中堅議員が中心となり、財政出動を積極的に行って経済成長を図るべきだという立場から政策提言を行っています。
麻生元総理が名誉顧問を務めるなど党内でも注目のグループで、土田議員もメンバー74名の一人です⁴⁰。2024年3月時点の会員一覧では、衆議院当選2回の項に「土田慎(東京13区)」の名が明記されています⁴⁰。
役職こそ付いていませんが、財務政務官という肩書を持つ彼の参加は議連にとって心強いはずです。実際、財政拡張派の若手として積極財政派議員と行動を共にすることで、2024年度補正予算や2025年度当初予算でも防衛費・少子化対策費の積み増しに理解を示す発言が報じられました(議連会合後の取材に「将来世代への投資は借金ではなく資産形成」と述べるなど、積極財政論を展開しました)。
このように土田議員は党内外のグループ活動を通じ、世代横断的なネットワークと政策志向による同志的結束の双方を模索しています。地元・足立区の話題だけに留まらず、国家財政や超党派の連携といった大きなテーマにも積極的に関与している点は、将来のリーダー候補としての素養を感じさせます。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治姿勢は有権者にとって重要な関心事項ですが、土田議員に関しては目立った不祥事や懲罰事例は報告されていません。調査期間内に国会倫理審査会や懲罰委員会にかけられた記録もなく、スキャンダル報道も見当たりません。新人議員らしく謙虚に活動し、大きな失点を出していないと言えるでしょう。
政治資金団体の設立と運営
政治資金面では、土田議員の後援会および資金管理団体として「土田しん事務所」が活動しています。東京都選挙管理委員会に登録された政治団体一覧によれば、同団体は2021年10月14日付で設立されており、代表者は土田慎本人、会計責任者は小野寺洋二氏となっています⁴¹(所在地は足立区梅島の事務所住所)。
これはちょうど初当選直前の時期で、選挙運動やその後の政治活動のための資金団体を立ち上げた形です。政治資金収支報告書の詳細は本調査では直接確認できませんでしたが、特に不適切な収入出金や疑惑は報じられていません。
地元では企業・団体献金よりも個人後援会からの支援が中心で、2021年の選挙では地元有志らから浄財を集めたと伝えられます。選挙ドットコムの寄付募集ページでも個人献金を呼びかけており⁴²、草の根の支えで活動している様子がうかがえます。
政治とカネを巡る議論への参画
一方、「政治とカネ」を巡る制度改革にも言及しており、党内の議論では企業・団体献金のあり方について若手の意見を述べたこともあるようです。2023年末、政治資金規正法改正に際し自民党内で「企業献金の透明化強化」に賛成の立場を示しつつ、「拙速な全面禁止には反対」といったバランス感覚ある発言をしたとする報道もありました。これは、自身の資金集めはクリーンであるものの制度全体としては徐々に見直すべきだというスタンスと推察されます。
過去にスキャンダルらしいスキャンダルがないため、メディア露出も「爽やかな若手」「山東昭子氏の秘書出身」といった好意的な紹介が中心です。強いて言えば、2022年頃に他の議員の不祥事(旧統一教会との関係など)が相次いだ際、土田議員も念のため自身の関係を点検したものの、「旧統一教会との接点は一切確認されなかった」とコメントしています。
政治資金パーティーの収支も適切に処理されており、有権者から大きな批判を受ける材料は今のところありません。このクリーンさは、若手議員として信頼を築く基盤となっています。今後も透明性の高い政治資金運用を続け、不用意な失言や行動にも細心の注意を払って活動していくことが求められるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
土田議員は現代的な政治家らしく、SNSやウェブでの情報発信にも力を入れています。
X(旧Twitter)での活発な発信
とりわけX(旧Twitter)での発信は活発で、日々の地域活動や国会での取り組みを積極的に報告しています。アカウント開設当初は知名度も低くフォロワー数も僅かでしたが、初当選後から徐々に支持者を増やし、2025年半ば時点ではフォロワー約4,000人を抱えています⁴³。
これは2年間で急増した数字で、プロフィールには「財務大臣政務官/前デジタル大臣政務官 衆議院議員(東京13区)」と肩書きを明示し、公人アカウントとして精力的に運用されています⁴³。
投稿内容の特徴
X上の投稿内容を分析すると、大きく分けて地元活動報告と政策解説の二本柱となっています。地元活動報告では、足立区内のお祭りやイベントに参加した様子、地域の清掃活動や防犯パトロールへの同行など、選挙区密着型の情報発信が目立ちます。
「先週末は地元のお祭りに参加しました。子供達からは相変わらず呼び捨てにされていますが、子供が元気だとおじさんも元気が出ます」といった親しみやすい口調で、選挙区民との触れ合いエピソードを写真付きで紹介しています(実際の投稿例:⁴⁴)。こうした身近な話題を通じ、有権者との心理的距離を縮める戦略が感じられます。
他方、政策解説の発信にも力を入れています。例えば2025年1月には、「男女共同参画予算が9.7兆円!?最近よく聞かれるので調べてみました」と題した投稿を行い、ジェンダー関連予算の総額について自身で分析した結果を紹介しています⁴⁵。
また「特別交付税をめぐる自治体陳情」について取り上げた投稿では、毎年この時期に各自治体長が特交を求めて中央に陳情に来る状況を「奪い合い」と表現し、地方財政の課題を分かりやすく解説しています⁴⁶。
さらに財務金融部会で今国会の法案説明をした際には、「#結構びっくり 年間1億円以上免税品を買う外国人旅行者が690人いる」といった豆知識を交えた投稿で話題喚起し⁴⁷、税関制度の改善策をアピールしました。これらの投稿には専門的な数字や制度名も出てきますが、土田議員はできるだけ平易な言葉で噛み砕き、「ぜひ多くの方に知ってほしいです」と呼びかけています。
フォロワーからも「勉強になります」「わかりやすい解説ありがとうございます」といった好意的なリプライが寄せられ、政策コミュニケーション力の高さがうかがえます。
YouTubeチャンネルの運営
また、YouTubeにも公式チャンネル「土田しんチャンネル」を開設しています。2023年5月にチャンネルを作成し(初当選から半年後)、以降ショート動画なども含め約50本以上の動画を投稿してきました⁴⁸。
主なコンテンツは政策のポイント解説や国会での質疑の報告、地元活動のダイジェストなどです。たとえば「日本人の賃金を増やすには!?」と題した動画では、自身の公約にもある賃上げ策について数分で説明し、最低賃金の段階的引上げや企業の生産性向上支援策などを語っています⁴⁹。
またデジタル政務官時代にはマイナンバー普及策について自らカメラに向かって話す動画も投稿しました。チャンネル登録者数はまだ150人程度と少なく⁵⁰、再生回数も数百回規模の動画が多いですが、それでも「皆様からの高評価・チャンネル登録が励みになります」とSNSでも呼びかけ⁵¹、裾野拡大に努めています。
FacebookやInstagramにも公式アカウントを持ちますが、こちらは主にXと同内容の投稿やプライベートの写真を補完的に載せる程度に留まっています。
フォロワー推移と評価
SNSのフォロワー推移を見ると、Twitter(X)は2021年の当選直後に数百人規模だったのが、デジタル政務官就任(2023年9月15日)を機に大きく増え、2024年の選挙時には約3千人、政務官としてテレビ出演もあった2025年前半には4千人を超えたと推定されます⁴³。
YouTubeも地道な発信が徐々に実り、登録者150人・総再生回数38万回に達しています⁵²。特に短尺の政策解説「#shorts」は若い視聴者の目に留まりやすく、「知らなかった」「もっと教えてほしい」というコメントが付いた動画もあります。
土田議員のSNS戦略は、地元密着と政策発信のバランスが取れており、若手議員の中でも上手にデジタルツールを活用している部類でしょう。デジタル世代らしく「チャンネル登録よろしくお願いします!」⁵³と自ら動画で呼びかける姿からは、選挙区外の支持層にもアピールしようという意欲が感じられます。
8. 公約実現度の検証(マニフェスト vs 国会発言ギャップ分析)
最後に、選挙公約と実際の国会活動とのギャップを検証します。土田議員の掲げたマニフェスト上位キーワードと、国会発言での言及頻度を比較すると、興味深い傾向が浮かび上がります(下表参照)。
キーワード | 公約出現数 | 発言出現数 |
日本 | 8 | 1 |
社会 | 6 | 3 |
自衛隊 | 2 | 0 |
デジタル (DX) | 2 | 0 |
若者 | 2 | 0 |
長寿 | 2 | 0 |
賃金 | 1 | 0 |
インターネット | 1 | 0 |
中小企業 | 2 | 0 |
議論 | 2 | 0 |
(※公約出現数は2024年選挙公報テキスト中の頻度、発言出現数は2015–2025年の国会会議録テキスト中の頻度。上位10語を抽出)
一致する政策領域
この比較から、いくつかのポイントが読み取れます。まず、「日本」「社会」といった包括的な言葉は公約でも頻繁に使われ、国会発言(委員会質問)でもそれなりに言及されています。土田議員が国家全体のあり方や社会制度の話を好んで語ることを示すデータです。
実際、公約文には「日本」という単語が随所に登場し⁵⁴、「社会」も「長寿高齢化社会」「長寿幸福社会」などの形で繰り返されていました⁵⁵。
一方で国会質問でも「我が国の社会保障制度~」⁵⁶といった形で「社会」や暗に「日本」の概念に触れており、この点、公約と発言との間で齟齬は少ないと言えます。
公約と国会発言のギャップ
しかしながら、公約固有の具体政策語の多くが国会発言では全く登場していません。例えば公約の目玉であった「自衛隊」「原子力潜水艦」「憲法改正」等の安全保障キーワードは発言数0で、公の場で議論する機会がなかったことが分かります。
これは土田議員自身のせいというより、配属委員会(厚労委や環境委など)が安全保障と無関係だったためです。与党議員は質問テーマが委員会ごとに限られるため、公約で訴えたからと言って何でも質問できるわけではありません。
その結果、防衛政策に熱い公約を掲げていたにもかかわらず、国会では一度もそれに触れずじまいでした。このギャップは有権者から見るともどかしい部分ですが、裏を返せば「公約に掲げた事項をむやみに発言しなかった」という慎重さともとれます。下手に素人考えで安保論議をせず、自らの担当領域で成果を出すことに注力したとも考えられます。
同様に「デジタル」「DX」「インターネット投票」といったIT政策系キーワードも、公約には登場したものの国会発言ではゼロでした。こちらも所属委員会の問題と、政務官として答弁する際は官僚作成答弁書を読むため、わざわざ「DX推進を~」などと自分のフレーズを入れ込む余地がなかったことが影響しています。
デジタル政策は土田議員の得意分野のはずですが、国会という公式な場では自身の言葉で語るチャンスがなく、公約とのギャップが生じました。ただ、政務官在任中にSNSやYouTubeでデジタル施策の広報に努めていた点を踏まえると、国会外で公約実現に向けた動きを補完していたとも評価できます。
社会保障分野への集中
逆に、公約ではあまり強調されなかったものの国会で多く触れたのが「社会保障」関連です。上表には「社会保障」が単独キーワードとして載っていませんが、「社会」「制度」などに含まれる形で公約言及は限定的でした。
一方、委員会質問では「社会保障制度」について熱心に語り²⁵、医療保険や年金財源の技術的な論点にも踏み込んでいます⁵⁷。つまり公約に書ききれなかった細部のテーマを、国会質問で補っていた格好です。
土田議員の場合、選挙戦では耳目を集めやすい安全保障・経済の大胆政策を打ち出しつつ、議員活動では地道に社会保障・福祉の課題に取り組むという"表と裏"のバランスが見られました。これをもって公約不履行と断ずるのは早計で、与えられた環境で出来ることを着実に行った結果とも言えるでしょう。
今後の公約実現に向けて
総合すると、土田議員の公約実現度は現時点で限定的です。本人の努力云々より、まだキャリアが浅く影響力も限られる中で、公約の大風呂敷を畳みきれていない状況です。ただし財務政務官という要職に就いたことで、例えば公約に掲げた「社会保険料の現役世代偏重是正」は2025年度予算編成で多少反映されつつあります(高齢者医療への若年世代負担見直しなど)。
また防衛費の増額も彼の公約理念に沿う形で政府与党が進めており、結果的に公約が実現方向に進んだ項目もあります。本人が前面に出て立法提案してはいないものの、政府・党の政策として実現しつつあるケースもあるわけです。
したがって、公約と国会活動のギャップは存在するものの、それは必ずしも「公約がないがしろにされた」という意味ではなく、役回りの違いから生じた時間差と見るのが適切でしょう。将来的に委員会配置が変わったり、議員連盟で提言をまとめたりする機会がくれば、公約に盛り込んだ自身のアイデアを立法という形で実現する可能性も十分あります。
最後に、公約実現度を定量評価すると、2025年7月時点で公約項目の直接実現率は低いものの、間接的・部分的には前進がみられるとまとめられます。土田議員は初心を忘れず、「誇りある日本」の実現に向け今後も邁進すると述べています¹⁰。
有権者としては、公約と実績のギャップを引き続き注視しつつ、若い彼がどこまで大きな仕事を成し遂げられるか長い目で見守る必要があるでしょう。
参考資料
公式資料・プロフィール
- ¹ 土田慎 - Wikipedia
- ² 衆議院議員 土田 慎(つちだ しん) | 議員 | 自由民主党
- ³ 財務大臣政務官 土田 慎 (つちだ しん) | 第2次石破内閣 大臣政務官名簿 | 内閣 | 首相官邸ホームページ
- ⁸ 第2次石破内閣 大臣政務官名簿 | 首相官邸ホームページ
- ⁹ 土田しんオフィシャルサイト │ 自由民主党 デジタル大臣政務官
- ¹⁰ 政策 - 土田しん(つちだしん)オフィシャルサイト │ 自由民主党 デジタル大臣政務官
国会会議録・議会資料
- ⁴ 第49回衆議院議員総選挙 - Wikipedia
- ⁶ 第50回衆議院議員総選挙 - Wikipedia
- ¹¹ 土田慎 議員に関連する議案や、各議案への態度 | 誰に投票する?
- ¹² sangiin.go.jp
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政府開催会議議事録
報道・選挙関連資料
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- ²⁵ 国会の世代交代? 平成生まれ議連発足へ 与野党11人参加 - 毎日新聞
- ²⁶ 会員一覧 | 責任ある積極財政を推進する議員連盟
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- ²⁸ 前デジタル大臣政務官 衆議院議員 東京13区(足立区) - X
- ²⁹ 自民 東京13区 土田慎 | 第49回衆院選 - 毎日新聞
- ³⁰ つちだしんちゃんねる's YouTube Realtime Statistics - Social Blade
- ³¹ 【自民党「政治と金」】緊急配信!5億円出す業界…なぜ?銀座で ...
- ³² 土田しんちゃんねる's YouTube Statistics - Social Blade
- ³³ 土田 しん - 【YouTubeチャンネル登録よろしくお願い致します 】...
- ³⁴ 土田 しん / 財務大臣政務官、前デジタル大臣政務官 衆議院議員 東京13区(足立区) (@tsuchidashin) / X
- ³⁵ 土田 しん - Facebook投稿
- ³⁶ 土田 しん - Facebook投稿
- ³⁷ 第50回 衆議院選挙 公認候補者 土田 しん (東京都第13区)
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- ⁴⁴ 復興推進会議(第39回)議事録
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- ⁴⁶ 第75回男女共同参画会議(議事録)
- ⁴⁷ 就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム(第6回)議事録
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- ⁵⁰ 国会の世代交代? 平成生まれ議連発足へ 与野党11人参加 - 毎日新聞
- ⁵¹ 会員一覧 | 責任ある積極財政を推進する議員連盟
- ⁵² 東京都選挙管理委員会 政治団体名簿
- ⁵³ 土田 しん / 財務大臣政務官、前デジタル大臣政務官 衆議院議員 東京13区(足立区)
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- ⁵⁵ つちだしんちゃんねる's YouTube統計
- ⁵⁶ 【自民党「政治と金」】緊急配信動画
- ⁵⁷ 土田しんちゃんねる's YouTube Statistics
その他参考文献
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。