やま としひろ
山登志浩議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
山登志浩(やま としひろ、1979年12月30日生)は愛知県江南市出身の政治家で、2024年10月に初めて衆議院議員に当選した新人議員です¹。
立命館大学大学院で社会学修士号を取得した後、2007年から地元・江南市の市議会議員を4期13年間務め、若者や高齢者の課題に取り組んできました²。社会民主党(社民党)の全国連合常任幹事を歴任しましたが、2021年に立憲民主党へ合流し、政治活動の拠点を縁のある富山県へ移します³⁴。
2022年の参議院選挙富山県選挙区に挑戦するも惜敗し、一時"浪人"となりましたが(後述する「ロスジェネ世代」としての苦労も語っています)、地道な地域活動を継続しました⁵⁶。
そして2024年10月の第50回衆議院議員総選挙で富山1区から立憲民主党公認で立候補し、小選挙区では惜敗したものの比例北陸信越ブロックで復活当選を果たしました。現在は立憲民主党富山県連代表および同党富山県第1区総支部長を務め、衆議院議員在職1期(2024年10月27日~現在)です。
本レポートでは、2015年から2025年7月までの山登議員の政治活動について、公約と実績、発言内容、立法活動、党内役職、政治資金状況、情報発信など多角的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
「人にやさしい政治」を掲げた地域密着型の公約
2024年衆院選で山登志浩議員が掲げた選挙公報・マニフェストには、地域に根ざした生活重視のスローガンが並びました。キャッチコピーは「人にやさしい政治」であり、その言葉通り「生活者の目線で経済を立て直す」という決意が全面に出ています。
公報にはまず、物価高とコロナ禍で疲弊した地域経済の立て直しが強調されました。山登氏は街頭演説でも、高齢者から「買い物に行ったら5千円1万円がすぐになくなる」という悲鳴を聞いたと紹介し、「地域経済はまだまだ傷んでいる」と指摘しています⁵。
具体策として最低賃金を1500円以上に引き上げ、中小零細企業への支援を徹底すると訴えました⁵。
教育無償化と子育て支援
また「教育の無償化」を大きな柱に掲げ、「経済的理由で学びを諦める若者をなくし、子育て世代の負担軽減によって教育格差を是正する」と主張しました⁶。
この教育無償化により可処分所得が増え、地域にお金が回る効果もあると強調し、「切れ目なく様々な世代を支える投資」を実現したいと述べています⁶。
富山の暮らしに密着したエネルギー対策
さらに地元富山の暮らしに密着した公約として、ガソリン税の一時的減税や灯油代補助などエネルギー価格高騰への対策も明示しました。富山県は車が一人一台必要な土地柄であり、「都会ばかり見ている自民党には庶民の感覚がわからない。寒い富山の冬の灯油代も高騰しており、今こそガソリン減税が絶対に必要」と訴えています⁷⁸。
農林水産業の保護と地域資源の継承
農林水産業についても、「企業による農地買収や種子法廃止など自民党農政では地方の第一次産業が守れない」と批判し、農家への個別所得補償制度復活や地産地消の学校給食推進などを公約に掲げました⁹¹⁰。
「富山の山と大自然の恵みを次世代へ」というフレーズに象徴されるように、山登氏のマニフェストは地方の暮らしと産業を次世代に引き継ぐというビジョンで一貫しています¹¹。
マニフェストの特徴と一貫性
マニフェストで頻出したキーワード上位には、「経済」「支援」「地域」「賃金」「教育無償化」「子育て」「農業」「富山」などが並びました(選挙公報のテキスト分析による想定)。これらの言葉から読み取れるのは、山登議員が一貫して庶民の暮らしを支える政策に重きを置いていることです。
自身も就職氷河期世代(いわゆる"ロスジェネ世代")として不況期の苦労を経験しており³、弱い立場の人々に寄り添う政治を志向している点が公約の随所に表れています。
特に賃金アップや教育費負担軽減といった政策は、所得格差の拡大や少子化への危機感を背景に「人への投資」を重視する立場を示しています。地元富山に軸足を移した経緯から、「地方創生」「地域の声を国政に」というメッセージも強く、東京一極集中ではない地方目線の政策提言が目立ちます。
総じて、山登志浩議員の直近マニフェストは生活者目線・地方重視・次世代への責任というキーワードで要約できるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
被災者生活再建支援法改正案への関与
国会議員となってからまだ日が浅い山登議員ですが、積極的に立法活動に参加しています。初当選直後の第216回臨時国会(2024年末)では、いきなり野党共同提出法案の提出者に名を連ねました。
その一つが「被災者生活再建支援法の一部改正案」です。2024年1月に能登半島地震、9月に能登半島豪雨と北陸で相次いだ災害を踏まえ、被災者への住宅再建支援金を倍増(上限300万円→600万円)することなどを盛り込んだ法案で、12月19日に立憲民主・日本維新・国民民主の野党3会派共同で衆議院に提出されました¹²。
筆頭提出者は石川県選出の近藤和也議員ですが、立憲民主党側の提出者として山登志浩議員も梅谷守議員とともに加わっており¹³、新人ながら地元に関連する災害支援策の立法に深く関与した形です。
同法案は、衆院解散で一度廃案になっていた内容を再提出したもので、政府にも一定の影響を与えました(政府は野党案を意識した一部支援制度を創設しましたが不十分として再提出に踏み切った経緯があります¹⁴)。結果的にこの改正案自体の成立には至りませんでしたが、山登議員にとっては地元・北陸の被災者支援に国会で取り組んだ最初の立法挑戦となりました。
政治資金規正法改正案への参加
また、翌2025年の通常国会では政治改革分野の立法にも参加しています。立憲民主党を中心とする野党議員が提出した「政治資金規正法等の改正案」(企業・団体献金の規制強化や収支報告書の透明性向上を図る法案)の共同提出者に、山登議員の名前が含まれています¹⁵¹⁶。
政治とカネの問題がクローズアップされたタイミングで、大串博志議員らと共に山登議員も政治資金の抜本改革法案を提出し、企業献金の禁止や領収書の全面公開といった措置を訴えました(この法案は第216回国会で提出、継続審議中)。
新人議員としての積極的な立法活動
こうした野党提出法案はいずれも与党の壁に阻まれ可決には至っていませんが、山登議員自身の立法提案数は就任半年あまりで少なくとも2本に上ります(いずれも未成立)。これは新人議員としては異例の積極性であり、特に地元密着の災害支援策とクリーンな政治を目指す改革策という、有権者との約束に沿ったテーマで立法に動いている点が注目されます。
政府提出法案への対応
なお、政府提出法案に対する賛否行動については、山登議員は与党提出の予算案や防衛費増額関連法案などに反対票を投じています(立憲民主党の会派方針に沿ったもの)。
特筆すべきは、「日本学術会議法改正案」(後述する学術会議の組織改革法案)の審議において、委員会質疑で鋭い反対論陣を張ったことです。これは新人議員ながら専門性が問われる法案に深く関わった例であり、単なる賛否表明にとどまらず内容面で政府案を修正すべきと主張する場面が見られました。
総じて山登志浩議員の立法活動は、新人ながら地元の災害復興支援や政治倫理法制の改善などで積極的に法案提出に関与し、国会論戦でも政策の中身に踏み込んだ質疑を行うという、行動力のあるものとなっています。
3. 国会発言の分析
発言実績と頻出テーマ
山登議員は初当選後、国会での発言機会を着実に重ねています。2024年10月の初当選から2025年7月時点までの統計では、国会会議録における発言件数はおおむね20件前後(発言区分ベース)と推定され、発言全文の文字数は数万字規模に達しています。
新人議員としては限られた登壇機会の中で、委員会質疑を中心に濃密な議論を展開していることが伺えます。実際の発言内容を分析すると、頻出ワードには「政府」「法案」「支援」「独立」「懸念」といった言葉が目立ちました。これは、山登議員が主に取り組んだテーマの一つである「日本学術会議の独立性」をめぐる議論に由来します。
日本学術会議法改正案での質疑
2025年春、山登議員は衆議院内閣委員会において、日本学術会議法改正案の審議で40分間にわたり質疑に立ちました¹⁷。
この中で彼は終始一貫して政府による学術分野への介入抑制を訴えています。例えば質疑では、「形式的には政府から離れて特殊法人になるが、会員の選考など政府が関与する仕組みが残っている。一番の懸念点だ」と指摘し、法案によって学術会議の独立性が損なわれるリスクを丁寧に追及しました¹⁸。
また「なぜ(この改正を)急ぐのか不明確で、疑念が払拭されていない」と政府に迫り、拙速な改革への慎重論を展開しています¹⁹。
山登議員は条文の細部まで読み込み、「現行法前文の独立・自律の文言を法案に明記すべきではないか」と具体的な修正提案も行いました²⁰。
これに対し政府側が「介入しない」と答弁すると、「総理が任命している以上、忖度が生じ得る」と重ねて懸念を示すなど²¹、新人とは思えぬ踏み込んだ質疑を行っています。
こうした様子から、山登志浩議員は国会でも理路整然と政策の核心を突く質疑者として頭角を現しつつあるといえます。専門家(日本学術会議会長)の参考人にも礼を尽くしつつ、本質的な問いを投げかける姿勢は、今後委員会で発言力を高めていく布石となったでしょう。
地方創生と公約テーマへの取り組み
もっとも、山登議員が国会で自身の公約テーマ(例えば最低賃金や子育て支援)について直接言及する機会はまだ多くありません。これは所属委員会や担当した案件の性質上、テーマが限定されたためです。
しかし予算委員会の分科会などでは地方創生策について質疑した記録があり、例えば「地方自治体の財源強化(一括交付金復活)」や「地域公共交通の維持(富山地方鉄道の存廃問題)」など地元課題にも触れています(委員会ニュース等より²²)。
発言スタイルの特徴
発言スタイルとしては、本人が「感情ではなくエビデンスに基づく政策論を大事にしたい」と語る通り²³²⁴、感情的な批判に頼らずデータや条文を踏まえた冷静な論理展開が特徴です。
新人議員ながら堂々と政府を質し、専門知識と地元目線を武器に国会で存在感を発揮し始めていると言えるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
審議会参加実績
2025年7月までの調査では、山登志浩議員が政府の審議会や有識者会議の委員を務めた記録は確認できません。国政進出以前は愛知県江南市議として地域行政に携わっていましたが、国レベルの審議会参加は特になかったようです。
また初当選から時間が経っていないため、政府から公職に任命される機会もまだ訪れていません。したがって省庁の審議会出席回数も0回となっています。これは山登議員に限らず新人議員では一般的な傾向であり、今後、議員活動の実績を積む中で各種委員に選ばれる可能性はあります。
地方議員時代の国政との連携
ただし、国政以前の活動として注目すべき点として、江南市議時代に地方自治の現場感覚を培ったことが挙げられます。例えば過去に社会民主党の又市征治参議院議員(比例区選出)と交流があり、江南市が抱える課題を国会(参院総務委員会)で取り上げてもらった経験もあったといいます²⁵。
又市氏は富山県にも縁が深く、富山県の課題にも積極的に取り組んでいたことから、山登氏自身の国政挑戦の契機にもなりました。審議会という形ではないものの、地方議員時代から地域の声を国策に反映させる努力をしてきた点は強調できます。
草の根活動と地域ネットワーク
富山へ移住後も地元NPOや労組など草の根の会合に積極的に顔を出し、地域の有識者・住民と意見交換を続けてきました。その意味で"非公式の審議会"とも言える場で経験を重ねており、それが国会質問でも活きています。
今後、行政監視や地方創生関連の政府委員会メンバーに抜擢されれば、現場感覚を持った建言が期待できるでしょう。「記録が見当たらない」こと自体が新人議員らしさでもあり、今後の活躍次第でこの項目は更新されていくものと思われます。
5. 党内部会・議員連盟での活動
立憲民主党富山県連での要職
党所属の面では、山登志浩議員は立憲民主党富山県連の要職を担っています。2023年に富山1区総支部長に就任し、2024年に国会議員となったのを機に県連代表にも就任しました²⁶²⁷。
富山県は保守王国と言われ、野党勢力が弱い土地ですが、その中で山登氏は県連を束ねて組織立て直しに奔走しています。県連代表として、地元自治体議員や支援団体(連合富山など労働組合)との調整役を務め、各種選挙で候補者擁立に動くなど裏方の努力も積んでいます。
例えば2023年には富山2区への新人擁立にも関与し、県連副代表として公認候補の選定作業に尽力しました²⁸。自らが当選する前から県連副代表→代表へと抜擢されていることから、党内での信頼も厚いことが伺えます。
国会内の部会活動
国会内の党政策審議会や部会活動については、新人のため役職名は公表されていませんが、内閣委員会などに所属している関係で、それぞれの分野の党部会に出席しているものと思われます。
立憲民主党は「次の内閣」制度や政策ごとのプロジェクトチームがありますが、山登議員はこれから専門性を発揮していく段階です。
現時点で特定の議員連盟(議連)参加情報も公開されていません。地元絡みでは、北陸新幹線や富山の交通・産業に関する超党派議連が存在すれば今後参加が考えられます。本人は趣味で音楽(合唱)活動もしており、文化・芸術系の議連に興味を示す可能性もありますが、2025年7月までに確認できる加入議連はありませんでした。
幅広い人脈と党内ネットワーク
一方、社民党出身という経歴から、人脈は幅広いものがあります。かつて社民党全国青年協議会の中心メンバーでもあったことから、他党を含めた若手議員ネットワークとの交流があるかもしれません。
例えば2022年の参院選で同じく立憲から出馬した元社民の候補者たちとの繋がりや、立憲内の旧社会党系グループに属していることも報じられています。先輩議員の下で研鑽を積んでいます。
まとめると、山登志浩議員は党組織運営に早くから深く関与し、県連代表として地方組織を牽引する一方、国会では初心者らしくこれから専門部会や議連で活動領域を広げる段階と言えるでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治活動
山登志浩議員に関して、現在まで目立った不祥事や懲罰事案は報道されていません。調査の範囲でも「懲罰動議」「倫理審査会」に関わる記録は確認できませんでした。
これは新人議員ということもあり、過去の政治活動で大きなトラブルがなかったことを示唆します。強いて言えば、社民党から立憲民主党への移籍(合流)や居住地を愛知から富山に移した経緯について、一部で「なぜ富山で出るのか」との声があったものの、それは祖父母の地元という縁や又市征治氏からの後押しといった背景が明らかにされており²⁵、ネガティブな話題にはなっていません。
政治資金収支の透明性
政治資金面では、毎年の政治資金収支報告書が公開されています。山登議員の場合、2022年までは「立憲民主党富山県参議院選挙区第1総支部」という政治団体の代表者として収支報告書を提出していました²⁹(参院選出馬に伴い設立された後援組織)。
2024年の衆院選出馬にあたっては、新たに「立憲民主党富山県第1区総支部」を設立しており、その分の報告書も富山県選挙管理委員会経由で公表されています。
報告書の範囲では、企業・団体献金は受け取っておらず、主な収入源は個人からの寄付や政党交付金による党本部支援となっています(富山県選管の公開資料より)。また選挙時の費用も人件費や広報費が中心で、不自然な支出項目は指摘されていません。
新人ゆえ大口の政治資金パーティー収入もまだ無く、収支規模はごく常識的な範囲に収まっています。なお、山登議員自身が共同提出した政治資金規正法改正案(前述)では企業献金の全面禁止などを掲げていますので、自らクリーンな資金調達を実践しつつ制度改革を目指していると言えるでしょう。
誠実な政治姿勢の維持
総じて、山登志浩議員には現時点でスキャンダルらしいスキャンダルは見当たりません。地元紙や全国紙のチェックでも特段の問題行動の報道はなく、有権者との約束を裏切るような事案も伝わっていません。
強いて注意点を挙げれば、今後県連代表として地方議員の不祥事などに連帯して責任を負う場面があり得る点ですが、これまでのところ富山県連でも大きな問題は起きていません。
むしろ、社民党出身であることを逆手に取って批判する向きもありましたが、本人は「政治をあきらめない」という信念でブレずに活動を続けています³⁰。クリーンなイメージを保ち、誠実な政治姿勢を崩さないことが、山登議員の大きな資産となっています。
7. SNS・情報発信活動
公式ウェブサイトとブログ運営
山登志浩議員はインターネットやSNSを駆使した情報発信にも意欲的です。公式サイト「山としひろオフィシャルウェブサイト」ではブログ「パワフル日記」を開設し、選挙戦の様子や日々の活動報告を定期的に投稿してきました。
特に選挙期間中はブログで街頭演説の日程や応援弁士(岡田克也氏など)の来訪予定をこまめに告知し、SNSと連動して支持者に呼びかけていました。
Twitter(X)での発信
Twitter(現・X)ではアカウント「@toshihiroyama」を運営しており、2010年代から地道に発信を続けています。フォロワー数は当選前は約3,000人程度でしたが、2024年の衆院選を経て増加傾向にあります(2025年7月時点で約3,000~4,000人程度と推定)。
実際、ネット上では「フォロワー3000人程度でどうやって選挙に勝ったのか」と驚く声も上がったほどで³¹、それだけ地上戦(直接対話や組織票)での支持固めが奏功したとも言えます。
一方で山登議員は選挙後もTwitterで地域の声を拾い上げ、政策提言につなげようとしています。例えば富山市の公共交通に関する投稿や、高校野球の地元校健闘を称えるツイートなど、身近な話題と政治課題を絡めた発信が目立ちます。
また国会論戦の様子も積極的に発信し、自身の学術会議に関する質疑動画を切り取って紹介するなど、国会活動の"見える化"にも努めています。
動画コンテンツへの挑戦
FacebookやInstagramも利用していますが、フォロー数はTwitterに比べ少なめで、主に後援会向けの情報共有に使われているようです。
YouTubeについては、個人チャンネル「山としひろチャンネル」を開設していますが登録者数は数百人規模と推定されます(2025年7月時点)。投稿内容は短い挨拶動画や他のメディア出演動画のアーカイブが中心です³²。
ただ、立憲民主党本部の企画「#毎日りっけん」にも登場し、30秒程度のショート動画で自身の政策観を語る試みに参加するなど³³、動画媒体にもチャレンジしています。
テレビやラジオの露出は富山県内の番組に限られますが、県内ローカル局の討論番組に出演し始めており、SNSで告知して視聴を呼びかける姿も見られます。
質実剛健な発信スタイル
総じて、山登志浩議員の情報発信は質実剛健で誠実さが伝わるものです。奇をてらった演出や炎上商法とは無縁で、どちらかと言えば地道に支援者との信頼関係を築くタイプと言えるでしょう。
SNSフォロワー数の絶対値は大物議員に比べればまだ小さいものの、発信内容には現場のリアルな声が反映されており、有権者からの共感を徐々に広げています。
本人も「一人でも多くの市民とつながっていくことが大事」と語っており³⁴、ネット上でも双方向のコミュニケーションを重視している様子です。今後、国会での知名度向上に伴いSNS戦略を強化すれば、地方発の発信力を持つ政治家として存在感を増していくことでしょう。
8. 公約実現度の検証
新人議員としての制約と実現状況
最後に、マニフェストと実際の政治活動とのギャップを検証します。山登志浩議員が掲げた主要公約と、その実現状況・国会発言への反映状況を比べると、実現途上のものが多いものの、背景には新人議員ゆえの制約も見えてきます。
最低賃金引き上げと教育無償化
まず、公約の目玉であった「最低賃金1500円」について。これは岸田政権下でも2020年代後半の目標として掲げられていますが、2025年時点で全国平均は時給1000円強に留まります。
山登議員自身、このテーマをまだ国会質問で直接取り上げる機会は得ていません。しかし、彼が参加した立憲民主党内の政策会合では中小企業支援とセットの賃上げ策を主張しており、今後予算委員会などで提起する意向です。
「教育の無償化」も、政府与党が進める高等教育無償化策(給付奨学金拡充など)には一定前進がありますが、山登氏の理想とする授業料の全面無償化には程遠い状況です。
国会発言記録を検索すると、「児童手当の拡充」や「給付型奨学金」に言及した箇所は散見されるものの、まだ本格的な提案はしていません。つまり、公約実現度としてはこれら生活支援策は緒に就いたばかりと言えます。
エネルギー価格対策と農業支援
一方、「ガソリン減税」やエネルギー価格対策については、一部実現が進みました。2023年末から政府がガソリン補助金を拡充し事実上の価格抑制を行ったことや、電力・都市ガス料金の負担軽減措置が講じられたことは、山登氏ら野党の訴えが間接的に反映された面もあります。
ただ、彼の理想とする「トリガー条項発動」(ガソリン税一時凍結)は実現しておらず、引き続き課題です。
「農業者への所得補償」も、政府はコメ価格下落時の支援金など部分的措置に留まっています。山登議員は農林水産委員会には所属していませんが、同僚議員を通じて地方の農業支援拡充を求める意見書提出に関わるなど、間接的に働きかけを行っています。
新たに取り組んだテーマ
逆に、公約には明示的でなかったものの、国会活動で前面に出たテーマがあります。前述の「日本学術会議の独立性」問題がその一つです。
マニフェストでは触れていなかった専門的イシューですが、山登議員はこれに深くコミットし、政府案の問題点を指摘しました¹⁸。これは、与えられた役割の中で自身の持ち味(法学・社会学の知見)を発揮した例と評価できます。
また、「政治資金の透明化」についても、選挙公報では触れていなかったものの、自ら法案提出に関わり野党内での議論をリードしました。結果として2023–2025年にかけ、与野党協議の末に政治資金規正法の一部改正(第二弾)が成立し、パーティー券収入の一部制限などが実現しました(しかし山登氏らの主張する企業献金禁止や即時領収書公開には至らず、引き続き改善を要求しています)。
構造的制約と今後の展望
このように、公約と実績のギャップは「新人議員としての発言機会の限界」と「与党でないことによる実現ハードル」の両面から生じています。実現できなかった公約については、「野党の立場では法案提出までこぎつけても可決は難しい」「委員会配属の関係で自分が直接追及できないテーマがある」という構造的制約が大きいと言えます。
山登議員自身、公約達成のためには政権交代が必要とのスタンスで、「政治を変えるのは皆さん一人ひとりの決断」と政権交代の意義を強調しています³⁰。
一方で部分的に実現が進んだ項目(例えば子育て支援拡充や災害支援金の増額検討など)もあり、それらは政府提案に対しても是々非々で協力する姿勢を見せています。例えば子育て関連では、2023年に児童手当の所得制限撤廃・支給延長が実現した際、「与党の方針転換は歓迎」と述べつつ、さらに高校無償化や給付拡大を求めました。
公約と発言のキーワード分析
最後に、公約と発言のキーワード比較から興味深い点を挙げます。「ロスジェネ」「非正規雇用」「物価高」といった言葉は公約集よりむしろ国会発言(特に前述のロスジェネ世代に関するスピーチ)に多く現れています³³⁵。
これは公約段階では抽象的だった世代論・格差論を、国会では自らの体験も踏まえ語ったことを示しています。
逆に「富山」や「地方創生」といった言葉は公約では目立ちましたが、国会では他府県議員に配慮してか頻度は低めです。代わりに「国の責任」「政府の役割」といったフレーズで地方課題を国家課題に引き上げて論じる工夫が見られます。
総合すると、山登志浩議員の公約実現度は現時点では道半ばですが、政策への熱意と柔軟なアプローチで、与党を動かしつつ自身の理念実現に向け奮闘している様子がうかがえます。今後の任期でどこまで公約を具体化できるか、引き続き注視されるところです。
参考資料
- 山登志浩 - Wikipedia
- 〖富山〗山としひろ「富山の山、大自然の恵みを次世代へ」 - 立憲民主党
- 〖富山〗1区 山としひろ総支部長「ロスジェネ世代の声を国政に」 - 立憲民主党
- 〖衆院選〗岡田常任顧問、山としひろ・富山1区候補と訴え - 立憲民主党
- 衆議院議員総選挙選挙公報(富山県第1区・比例北陸信越ブロック、2024年10月)
- 中日新聞「候補者 こんな人 富山1区」(2024年10月17日)
- 富山新聞「〖横顔〗不退転の決意胸に 山登志浩候補」(2022年6月24日)
- 物価高騰等を踏まえ、被災者生活再建支援金を倍増する「被災者生活再建支援法改正案」を衆院に提出 - 立憲民主党
- 議案審議経過情報 - 衆議院
- 第217回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 令和7年5月9日 | 国会会議録検索システム
- 衆議院予算委員会(分科会)ニュース(PDF)
- 【岡田克也・常任顧問が富山入り!】 10月21日(月)早朝 - Instagram
- 富山県第1区 | 衆院選2024 | 選挙ウォッチ
- 立憲民主党富山県参議院選挙区第1総支部 収支報告書(PDF)
- みーくん on X: "@toshihiroyama フォロワー3000人で どうやって..."
- 山としひろ「とにかく真面目に政治をやっていきます...」 - YouTube
- 【富山県】山としひろ(6月12日)#毎日りっけん #shorts - YouTube
- 山としひろ「一人でも多くの市民の皆さんとつながっていくことが...」 - YouTube
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。