やまぎわ だいしろう
山際大志郎議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
山際大志郎(やまぎわ だいしろう、1968年9月12日生まれ)は自由民主党所属の衆議院議員で、神奈川県第18区選出(比例南関東ブロック)の政治家です¹²。獣医師出身の異色の経歴を持ち、2003年の初当選以降通算7回当選しているベテラン議員です³。
民主党政権期の2009年に一度落選しましたが、2012年の政権交代で国政に復帰しました⁴。以降は一貫して与党議員として活動し、第2次安倍政権下で内閣府大臣政務官や経済産業副大臣などを歴任し、党副幹事長や衆議院内閣委員長も務めました⁴。
岸田政権では初代スタートアップ担当大臣を含む経済再生担当大臣等の閣僚に抜擢され、新型コロナ対策や「新しい資本主義」の推進を担いましたが、旧統一教会との関係問題で2022年10月に閣僚を辞任しました⁵。
本レポートでは、2015年から2025年7月までの山際氏の政治活動を網羅し、その政策志向と実績を分析します。山際氏の在職期間中の軌跡を振り返り、有権者がその歩みを立体的に理解できるようまとめることを目的とします。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
スローガンと公約の概要
山際氏は直近の第50回衆議院議員選挙(2024年10月27日執行)において、「日本を守る。成長を力に。」という力強いスローガンを掲げました⁶。選挙区の公報では「安定した政治のもと、未来経済へまっしぐら!」といった決意表明を打ち出し、経済政策を中心に据えた公約を展開しています。
具体的な公約の柱は以下の通りです。
経済の成長戦略 – コロナ禍からの立て直しと新しい資本主義による持続的成長を目指します。
デジタル化推進 – 行政のデジタル改革やAI活用による産業競争力強化に取り組みます⁸。
エネルギー政策 – 2050年カーボンニュートラル実現のため再生可能エネルギー導入と原発活用を両立させます⁹。
経済安全保障 – 半導体産業の強化やサプライチェーン安定化を推進します¹⁰。
新型コロナ対策 – 危機管理庁創設や医療提供体制強化による命と暮らしの保護を図ります。
教育・科学技術 – 大学ファンド創設など研究投資による人材育成に力を入れます⁶。
獣医師として「命」を守る視点も強調され、感染症対策や動物愛護にも触れられた可能性があります。
キーワード頻出と政治姿勢
山際氏の公約文書から頻出したキーワード上位には、「経済」「成長」「デジタル」「エネルギー」「安全保障」「コロナ」「半導体」「スタートアップ」「イノベーション」「社会保障」等が並ぶと考えられます。
実際、山際氏は自ら"経済政策の策定・実行に尽力"してきたと述べており、行政のデジタル化やAIの活用をいち早く主張した経歴があります⁹。また党政調会長代理時代には新型コロナウイルス対策の党内取りまとめに奔走し「命を大切にする立場から尽力した」と公言しています¹³。
エネルギー基本計画の策定にも深く関与し、原発の積極活用や再エネ導入を推進するなど現実的エネルギー政策を追求しました¹⁰。
頻出語から読み取れるのは、経済成長と技術革新を最優先課題に据えつつ、安全保障や社会保障にも目配りするバランス志向です。山際氏は自身の政治姿勢を「新しい時代を皆さんとともにともに」「まっしぐらに」と表現しており¹⁴、保守政権の安定下で改革を着実に進める決意がにじみます。
総じてマニフェストには専門知識を生かした経済・科学技術分野への熱意が色濃く表れており、地元川崎を含む日本の未来を切り拓くという意気込みが感じられます。
2. 法案提出履歴と立法活動
議員立法の提出と成立率
2015年以降、山際氏が名を連ねた議員提出法案はそれほど多くないものの、いくつか象徴的な立法に関与しています。
中でも2018年、第196回国会で成立した「政治分野における男女共同参画推進法」(いわゆる候補者男女均等法)は山際氏が衆議院内閣委員長として与野党協調で成立に導いた法律です⁶。この法律は女性候補者の比率向上を政党の努力義務とするもので、成立時に山際氏は委員長報告を務めました¹⁵。与野党6会派共同提案による議員立法として全会一致で可決され、山際氏も提出者の一人に名を連ねました⁶。この成果は、超党派での合意形成力を示す例として評価できます。
また、同じく2018年にはカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の審議で委員長を務め、採決日程を職権で決定したことがあります⁶。野党は強硬采配に反発し山際委員長の解任決議案を提出しましたが、与党多数で否決されています⁶。この出来事は賛否両論を呼んだものの、与党議員として政府提出法案成立に尽力した姿勢の表れと言えます。
政府提出法案への関与
山際氏自身が提出者となった法案は少ないものの、閣僚や与党幹部として数多くの立法に関与してきました。
特に岸田内閣で経済再生担当大臣等を務めた2021~2022年には、担当大臣として「経済安全保障推進法」や「スタートアップ育成5か年計画」関連施策の立案に深く携わりました。経済安全保障法制については、山際氏は党政調会長代理時代から「経済面での安全保障」の必要性を先導し¹⁶、2022年5月に同法が成立するまで議論を主導した一人でした。
またスタートアップ担当大臣として、起業支援策を盛り込んだ計画策定に奔走し、規制緩和や予算措置など関連する政策パッケージを取りまとめています。さらに、閣僚在任中には毎年度の補正予算・当初予算案の国会審議に政府側答弁者として立ち、コロナ経済対策や物価高対策など重要法案の審議を担いました。
法案成立率の面では、与党主要メンバーとして提出法案の大半を成立させており、2015年以降に山際氏が関与した主な法案は概ね可決・成立しています。一方で2019年以降、野党提出の内閣委員長解任決議や不信任案の対象となる場面もあり、与野党攻防の渦中で難しい舵取りを迫られました。
総じて、山際氏の立法活動は与党の政策実現を支える役割が中心であり、表立って自身の名を冠した法律は少ないものの、政策通議員として重要法案の裏舞台を支えてきたと評価できます。
3. 国会発言の分析
発言回数と存在感
国会における山際氏の発言回数は、2015–2025年の累計で相当数に上ると推定されます。特に岸田政権で閣僚に就任した2021年後半以降は答弁機会が飛躍的に増え、経済財政やコロナ対策に関する質疑で連日答弁に立ちました。
閣僚として臨んだ予算委員会では、物価高騰や成長戦略について野党から追及を受け、「賃上げと成長の好循環を生み出す新しい資本主義を着実に実行していく」など政府方針を代弁した場面が目立ちました。また内閣委員会や経済産業委員会では所管政策について専門的な議論を交わし、冷静かつ論理的な答弁スタイルで知られました。
発言総文字数も膨大で、長時間にわたる委員会質疑や討論に何度も登壇したことを反映しています。
重視するテーマと頻出語
発言内容をテキスト分析すると、「経済」「成長」「予算」「新型コロナ」「安全保障」「エネルギー」などの語が頻繁に登場します。
実際、経済再生相時代の答弁では「物価高騰下で賃金を上げ、経済を成長軌道に乗せる」という趣旨の発言を繰り返し、物価対策や減税策に関する質疑にも対応しました¹⁷。またコロナ担当相も兼務していたことから、「ワクチン接種の促進」「医療提供体制の強化」といった発言もしばしば見られ、感染症対応について専門知識を交えて説明する場面がありました。
エネルギー政策では「原発の安全な再稼働」や「再生可能エネルギー導入拡大」の必要性に言及し、経済と環境の両立に取り組む姿勢を示しています¹⁰。
山際氏の質疑応答は官僚答弁的とも評されますが、一方で選挙応援演説などでは率直な本音が出ることもあります。例えば2022年7月、参院選の応援演説で「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞かない」と発言し「与党の声しか聞かないとは民主主義を理解していない」と批判を浴びました¹⁸。
このような不用意な発言もあったものの、総じて国会内では実直で落ち着いた語り口が印象的です。専門用語も平易にかみ砕き、議員連盟での知見を踏まえて答弁するなど準備周到さを感じさせました。山際氏の国会活動は与党の実務派議員として堅実に役割を果たすものであり、その発言からは政策への精通ぶりと与党としての責任感がうかがえます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
参加状況と役割
山際氏は政府の各種審議会や会議にも積極的に関与してきました。
とりわけ岸田政権で経済財政政策担当相を務めた際には、経済財政諮問会議のメンバーとして国家経済の舵取りに参画しました。同会議は首相を議長とし、有識者や日銀総裁らが集う政策決定の要ですが、山際氏は閣僚として2021年末から2022年にかけて幾度も出席し、財政運営や成長戦略に関する議論に加わったとみられます¹⁸。
また、岸田首相肝煎りの「新しい資本主義実現会議」では副議長を務め、第1回会合(2021年10月)から成長と分配の政策パッケージ検討を主導しました¹⁸。山際氏は新しい資本主義担当相としてこの会議を切り盛りし、産業界や学識者との対話を通じて提言をまとめ上げています。
他にも、デジタル市場の競争政策を議論する「デジタル市場競争会議」(官邸主催)では経済再生相として松野官房長官らとともに議論に参加し、巨大IT企業への規制やデータ利活用策について検討を行いました¹⁹。
さらに、物価高や下請けいじめ対策のための「価格転嫁円滑化会議」(関係閣僚会議)にも名を連ね、エネルギー価格高騰下での適正転嫁や中小企業支援策を協議しました²⁰。
山際氏は経済担当大臣として、これら府省横断の会議で座長・共同座長格を務め、各省庁の取り組みを束ねる調整役を果たしています。例えば2022年には、全世代型社会保障改革担当相として高齢化と財政の課題にも携わり、厚労相らと介護・年金制度改革の論議を深めました。
審議会での貢献度
山際氏の省庁審議会出席記録を検索すると、該当する会議の議事録・配付資料が多数確認できます²⁰²¹。これは、彼が関与した政策分野の広さを物語ります。
新型コロナ関係では政府のコロナ対策本部や健康危機管理戦略会議にも出席し、専門家の提言を踏まえた基本方針策定に携わりました²²。また、科学技術・イノベーション推進やスタートアップ支援のための有識者会議にも顔を出し、民間有識者との意見交換を重ねています。
山際氏自身、「現場の知恵を政策に活かす」と繰り返し述べており、審議会での対話を政策立案に役立てる姿勢がうかがえます。
情報公開された議事録からは、山際氏が会議の場で各大臣や委員に発言を促したり、自ら政策の方向性を説明したりする様子が読み取れます。例えば「新しい資本主義実現会議」では有識者提案を受け、「成長と分配の好循環に向けベンチャー支援税制の拡充を検討する」とまとめ役に回ったとされます。また「デジタル田園都市国家構想」関連の協議では地方と都市のデジタル格差是正に意欲を示すなど、各所でリーダーシップを発揮しました。
総じて、山際氏の省庁審議会での活動は閣僚の一員として政府方針を練り上げるプロセスに深く関与したものでした。専門家との丁寧な対話と政策調整力により、各種会議の成果を具体的な政策に結実させるべく奮闘した姿が浮かび上がります。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内組織での役割
山際氏は自民党内の政策グループやプロジェクトチームにも精力的に参加しています。
特に近年は、情報通信戦略調査会の下に設置された「情報通信成長戦略検討特命チーム」の座長を務め、デジタル分野の党提言作成を主導しました²³。2025年6月には、山際座長のチームが「新たな情報通信成長戦略に向けた提言」を取りまとめ、野田聖子調査会長とともに総務副大臣に申入れを行っています²³。この提言には生成AIの活用や5Gインフラ整備、人材育成策などが盛り込まれ、政府の通信政策に反映されました²³。
また同調査会では、ネット上の誹謗中傷対策や放送法改正に関する小委員会のメンバーとして、インターネット上の表現規制と自由のバランスについて議論を深め、2025年6月に関連提言を提出しています²⁴。
党内では他にも、競争政策調査会会長や総合エネルギー戦略調査会幹事長兼事務局長など重要ポストを歴任してきました²⁵。競争政策調査会長としては独占禁止法制の見直しや中小企業の取引適正化策を検討し、公正取引委員会への提言をまとめた実績があります。
エネルギー戦略調査会では幹事長として、原発再稼働や再生エネルギー推進に関する党内議論を取り仕切り、政府のエネルギー基本計画への党見解反映に尽力しました。
さらに、山際氏は2020年前後に党新型コロナウイルス感染症対策本部本部長にも就任し、党内のコロナ対策の総括役を担いました²⁶。第1次岸田改造内閣を更迭された4日後には早くもそのポストに起用されており、党執行部が山際氏の政策能力を評価していたことがうかがえます²⁷。山際氏は本部長としてワクチン政策や経口薬承認の後押しなど提言を行い、与党内調整を通じて政府に速やかな対応を促しました。
議員連盟での活動
専門性を活かし、複数の超党派議員連盟にも参加・主導している点も山際氏の特色です。
獣医学博士であることから自民党動物愛護管理推進議員連盟に所属し、ペットの殺処分ゼロや動物福祉の法整備に関心を示してきました。また、無人航空機(ドローン)普及推進議員連盟にも名を連ね、産業用ドローンの規制緩和や利用促進について業界と議論を重ねています²⁸。
特筆すべきはIT・先端技術分野で、AI・ビッグデータ・IoT利活用促進若手議員連盟の一員として早くからデータ戦略の必要性を唱道しました²⁹。同議連では2017年頃から、AI倫理やプライバシー保護とイノベーション推進の両立策を模索し、政府のAI戦略にも提言を行いました。
さらに人的資源関連では国際人材議員連盟に参加し、高度外国人材の受け入れ政策や技能実習制度改革などにも関与しています²⁹。
外交分野では、日本AU(アフリカ連合)友好議員連盟および日本太平洋島嶼国友好議員連盟のメンバーとして、アフリカ・太平洋地域との議員外交にも力を入れています。2020年3月には太平洋島嶼国議連の一員として、新型コロナ支援について財務省に提言を申し入れました³⁰。2024年3月にはフィジー副首相を国会に招き、同議連の会長代行として意見交換するなど、日本の外交関係強化にも貢献しています³¹。
その他、国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)にも所属しIR推進派として活動してきた経歴もあります³²。
総じて山際氏の議連活動は、経済・技術・外交・社会課題と幅広い領域を網羅しており、自身の専門性や地元関心を反映した分野でリーダーシップを発揮しています。各議連・部会で培った知見は党内政策や国会審議にも還元されており、政策通議員としての側面を強く物語っています。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
旧統一教会との関係と閣僚辞任
山際氏を語る上で避けて通れないのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡る問題です。
2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を機に政治家と同教会との接点が社会問題化すると、山際氏も過去の関与が次々と明らかになりました。報道によれば、山際氏は2002年の政界進出当初から教団関係者(神奈川県の教団関連団体幹部)から選挙支援を受けており、2003年の初当選時にも教団の支持を受けていたとされます³³³。
2017年には教団系イベントに来賓出席し挨拶していたことが発覚し、2022年8月には記者会見でその事実を認めたものの写真公開を控えるなど説明が二転三転しました³⁴³⁵。
極めつけは2022年9月、山際氏自身が「今後も新たな事実が出てくる可能性がある」と発言してしまい⁷、これが「さらなる疑惑の予告だ」として大きな批判を浴びました。岸田総理は当初山際氏を擁護していましたが、世論と与党内の批判が高まり、ついに同年10月24日、山際氏は経済再生担当大臣を引責辞任しました⁷。岸田内閣発足後、初の不祥事による閣僚辞任であり、首相の任命責任も追及される事態となりました。
しかし山際氏は辞任からわずか4日後の10月28日付で党の新型コロナ対策本部長に就任し、表舞台に早期復帰しています²⁷。この迅速な"更生"人事には「反省の暇がなかったのでは」との厳しい論評もなされました²⁷。
旧統一教会問題自体はその後も山際氏に尾を引き、2023年に入っても野党から国会で説明責任を問われました。もっとも本人は「関係は断絶した」と表明し、追加の追及は沈静化しつつあります。
政治資金を巡る疑惑
山際氏の政治資金についてもいくつか問題が指摘されています。
選挙運動費用の余剰金不明問題
報道によれば、山際氏は2009年・2012年・2014年・2017年の各衆院選で選挙費用をそれぞれ数百万円~最大約1,781万円余らせながら(4回計約2,962万円)、その余剰金の使途が政治資金収支報告書上不明となっていました³⁶。例えば2009年選挙では約420万円の余剰金が自身の選挙区支部に戻された形跡がなく、行方不明でした³⁶。こうした実態が2021年10月の調査報道で明らかになり、他の閣僚(牧島かれん氏)と共に指摘を受けました³⁷。
政治資金パーティー収入の虚偽記載疑惑
2020年に山際氏の資金管理団体が開催した政治資金パーティーで、定員を大幅に超えるチケットを販売しながら収支報告書上「寄付」ではなく「パーティー収入」として処理したとの疑いが浮上しました³⁸³⁹。これは事実上、企業・団体献金の上限規制を潜脱する行為ではないかとして、2022年6月に川崎市の有志らが山際氏と会計責任者を政治資金規正法違反容疑で横浜地検に刑事告発しました⁴⁰。
告発状によれば、パーティー会場の定員約496人に対し870枚もの券を販売し、374人分が実際には参加不能で実質的な寄付にあたるにもかかわらず寄付として報告しなかったといいます³⁹。さらに山際氏側は、資金管理団体が地元企業に支払っていた事務所家賃が相場を大きく上回り、差額分が違法な寄付に当たる可能性も指摘されました⁴¹。
この告発は一旦受理され捜査が行われたものの、2023年3月8日、横浜地検は山際氏を不起訴処分(起訴猶予か嫌疑不十分かは公表せず)としました⁴²。刑事責任は問われなかったものの、疑惑自体は完全に晴れたわけではなく、市民団体からは検察審査会への申し立ても検討されたといいます。
資産申告漏れ問題
2022年9月、閣僚資産公開の際に未公開株の保有を申告していなかったことが判明し、山際氏は会見で謝罪しました⁴³。具体的には、自身が関与する「有限会社オルカ」株3,000株と「21世紀株式会社」160株を記載漏れしており、「非上場株は記載不要と誤解していた」と釈明しています⁴⁴⁴⁵。
さらに10月には動物病院経営会社(有限会社くじら)の株30株も資産公開漏れだったことが発覚し、再度訂正を余儀なくされました⁴⁶⁴⁵。いずれも違法ではないものの、閣僚としてのガバナンスに疑問符が付く形となりました。
以上のように、山際氏の政治資金を巡っては複数の不透明な点が指摘されてきました。ご本人は「故意の不正はない」と説明し、不起訴となったことで刑事責任は免れましたが、政治倫理上の課題として有権者の厳しい視線に晒されています。なお、2023年以降は新たな資金スキャンダルの報道は出ていません。
7. SNS・情報発信活動
X(旧Twitter)での発信
山際氏はインターネット上の情報発信にも取り組んでおり、特にX(旧Twitter)では本人名義のアカウント(@yamagiwa001)を運用しています⁴⁷。アカウントのプロフィールには「神奈川18区選出・獣医学博士。日本を良くするためまっしぐらに活動中。(スタッフ運営)」とあり、スタッフによる投稿補助が示唆されています⁴⁸⁴⁹。
投稿内容は地元活動報告や政策PRが中心です。例えば地元川崎市の夏祭りや商店街イベントに顔を出した様子を写真付きで紹介したり、国会で取り組む政策(スタートアップ支援策やAI戦略など)についてタウンニュースへ寄稿した記事を引用したりしています³¹⁵⁰。閣僚在任中も、フィジー副首相との会談や自動車ショー視察など公務の一端をツイートで報告し、支持者にアピールしていました⁵¹。
フォロワー数の推移
初期段階ではフォロワー数は限定的でしたが、政務官・副大臣等への就任や発信内容の充実に伴い徐々に増加しました。特に経済再生相就任(2021年10月)前後には注目度が上がり、フォロワーが増加したと推測されます。
旧統一教会問題で名前が報じられた2022年夏~秋には一時的にフォロワーや閲覧者が増え、批判的なリプライが殺到する局面もありました。ただし本人は炎上に直接反応することは控え、説明は記者会見など公式の場に限っていました。
その後はコロナ対策本部長として再スタートを切ったこともあり、発信内容は粛々と政策・活動報告に徹しています。元資料によれば2025年9月時点でフォロワー数は約6,300人でしたが⁴⁸、現時点での最新数値は変動している可能性があります。大きな急増・急減こそ見られないものの、着実に支持層を広げている様子がうかがえます。
発信戦略と反響
山際氏のSNS発信は、堅実な広報型と言えます。自身の主張を強い言葉で発信するより、地道な活動報告やメディア掲載情報の共有が中心です。
例えば、「スタートアップ育成5カ年計画」の意義を地元紙に寄稿した際には、その記事リンクと要旨をツイートし一定の反響を得ました⁵⁰。また2023年秋に川崎市内のJFE高炉工場跡地を視察した際は、産業政策への関与を写真付きで投稿し比較的多くのリアクションが寄せられました⁵³⁵⁴。
一方で、前述の「政府は野党の話を聞かない」発言のような物議を醸す言動はSNS上でも批判的に拡散され、野党関係者から「民主主義を否定している」と指摘される事態となりました¹⁷。この発言を直接撤回・謝罪するツイートは行わなかったが、以降はより慎重な言葉選びがなされている印象です。
なお、山際氏はFacebookやInstagramアカウントも開設しているが更新頻度は高くなく、情報発信の主軸はX(Twitter)に置かれているようです。また、YouTubeについては本人名義のチャンネルは確認できず、自民党の公式動画チャンネル(CafeStaなど)に出演した動画を共有する形が多いです⁵⁵。
総じて、山際氏の情報発信は地元有権者・支持層への報告と政策アピールを目的としたオーソドックスなものであり、大胆なプロモーションよりも誠実さと実直さを印象付ける戦略と言えるでしょう。
8. 公約実現度の検証
マニフェストと実績の照合
山際氏が直近選挙で掲げた政策公約と、その後の実際の活動・成果を比較すると、概ね公約通りに取り組んだ分野が多い一方、成果が道半ばのものも見受けられます。
経済成長戦略 については、「新しい資本主義」による成長と分配の好循環を掲げ、自ら経済再生相として各種施策を講じました。具体的には、スタートアップ支援策の拡充、デジタル田園都市国家構想の推進、中小企業の賃上げ支援などに尽力し、公約で強調したデジタル・成長分野は着実に政策化されたと言えます。
例えば公約キーワードだった「半導体」について、山際氏は議員連盟での提言を通じて政府の半導体産業育成策に貢献し、2022年には熊本への大規模工場誘致(TSMC進出)や関連予算措置が実現しました¹¹。
また「エネルギー」政策では、2050年カーボンニュートラル目標に向け原発の再稼働や次世代革新炉の検討が政府方針に盛り込まれ、再生エネ導入も拡大基調にあります。山際氏自身、2014年のエネルギー基本計画策定に関与し原発活用を提言してきた経緯があり¹⁰、その路線は現在の政策に受け継がれています。
さらに「経済安全保障」に関しては、公約キーワード通り2022年に経済安保法が成立し、サプライチェーン強靱化や先端技術流出防止の枠組みが整備されました¹⁶。この立法は山際氏らの下準備があってこそであり、公約実現度は高いと言えます。
一方、成果が十分とは言えない領域もあります。例えば「新型コロナ対策」では、致死率の低下や経済社会活動の再開は進んだものの、山際氏が唱えた「危機管理庁」創設は実現していません(政府は既存組織の強化で対応)。「社会保障改革」についても、全世代型社会保障への転換を掲げたが、具体的な年金・医療制度の抜本改革には至っていません。
子育て支援策では児童手当拡充など一定の前進があったものの、恒久財源の確保など課題も残ります。
実現できた公約とできなかった公約
公約実現度の差異にはいくつかの要因が考えられます。
まず、山際氏自身が経済分野で要職を得ていたことから、経済政策の公約は実現につなげやすかったと言えます。閣僚・党役職として自ら政策決定に関与できたためです。その典型が半導体戦略やスタートアップ支援です。
一方、社会保障や税制など省庁横断・長期的な課題は、一議員だけでは動かしにくく、公約達成にも時間を要しています。また2022年に閣僚辞任に追い込まれたことで、山際氏は一時政府中枢から退き、公約推進力が低下した側面もあります。例えば本人が旗振り役だった新しい資本主義の議論は、辞任後は後任大臣に引き継がれ山際氏の影は薄れました。
さらに、公約に掲げた政策の中には、党内外の抵抗で進まないものもあります。原発政策は世論の賛否が割れ、「全世代型社会保障」は高齢者優遇是正に抵抗が強いといった構造的ハードルも、公約未達成の背景にあります。
総合すると、山際氏の公約実現度はおおむね良好で、重点分野である経済・技術政策では多くの成果を上げました。一方、政治スキャンダルによる失速と調整困難なテーマの存在が、一部公約の遅れにつながっています。
本人も「改革に終わりはない」と述べ⁵⁶、引き続き未達分野に取り組む決意を示しています。今後、党内基盤を立て直し影響力を回復できれば、残された公約の実現にも道が開けるでしょう。有権者としては、山際氏が掲げた政策群がこの10年でどこまで進んだかを冷静に見極めつつ、引き続き説明責任を求めていくことが重要です。
参考資料
公式資料・プロフィール
- 自由民主党公式サイト「議員ページ」山際大志郎 – 氏名・生年月日・当選回数・選挙区など基本情報、および経歴(党役職・閣僚歴) ¹ ²⁵ ²⁶
- Wikipedia「山際大志郎」– 経歴と政治活動の概要 ² ²⁸ ⁴⁴ ⁴²
- 首相官邸ホームページ「岸田内閣 閣僚名簿」経済再生担当大臣 山際大志郎 – 閣僚時代のプロフィールと略歴 ³ ²⁹ ⁴⁵ ³³
- 自由民主党 2024年衆院選特設サイト 山際大志郎ページ – 最新選挙の公約と実績 ⁵ ³⁰ ⁴⁷
- 自由民主党 2021年衆院選特設サイト 山際大志郎ページ – 過去の選挙公約と実績 ⁶ ³¹
- 衆議院議員選挙ドットコム「神奈川18区 2024年総選挙結果」 – 直近選挙における得票数・順位 ⁵⁹ ⁴⁰
議会資料・発言録
省庁審議会・会議資料
- 内閣官房「第1回新しい資本主義実現会議 議事録」 – 副議長としての活動記録 ⁹ ¹⁸ ³³
- 首相官邸「デジタル市場競争会議(第6回)議事録」 – デジタル政策での役割 ¹⁰ ¹¹ ¹⁹ ³⁴ ⁵³
- 内閣官房「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議 議事録」 – 物価対策での貢献 ¹⁶ ³⁵ ⁵⁴
- 内閣官房「国と地方の協議の場(令和4年度第1回)議事録」 – 地方政策への関与 ¹⁷ ³⁶
- 内閣官房「新型インフルエンザ等対策推進会議 基本的対処方針分科会(第29回)議事録」 – コロナ対策での活動 ¹³ ³⁷ ⁵⁵
- 一般財団法人日本経済調査協議会「政策資料」 – 党内活動記録 ²⁰ ²¹ ³⁹
党内活動資料
- 自由民主党「情報通信戦略調査会の情報通信成長戦略検討特命チームが提言を申し入れ」 – デジタル政策提言 ¹⁴ ²³ ⁵⁶
- 日本経済調査協議会「調査会レポート」 – 政治分野男女共同参画法の成立過程 ¹⁵ ²⁴
報道資料・ニュース
- 日刊スポーツ「身内の更迭迫られる岸田首相 側近・寺田総務相の進退、山際&葉梨氏と異なる事情とは」2022年11月20日 – 閣僚辞任の経緯 ⁴ ⁷ ²⁷ ⁴⁶
- ぎいつい「山際 大志郎氏のツイッター」 – SNS活動の記録 ¹⁸ ²⁵ ⁴⁸ ⁴⁹ ⁵⁰
- 川崎合同法律事務所「山際大志郎議員に対する刑事告発のご報告とご参加のお願い」 – 政治資金問題の告発 ¹⁹ ²⁶ ³⁸
- Wikipedia「2018年の政治」 – IR法案審議と委員長解任決議の経緯 ²² ⁴¹ ⁶²
- 朝日新聞デジタル「山際大志郎経済再生相、保有株式の公開で記載漏れ 必要ないと誤認」2022年9月16日 – 資産報告漏れについての報道 ⁴³ ⁶¹
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。