とくなが えり
徳永エリ議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
徳永エリ議員(1962年北海道札幌市生まれ)は、元テレビリポーターという異色の経歴を持つ立憲民主党所属の参議院議員です1。法政大学通信教育部中退後、報道リポーターや映像制作会社経営を経て政治の道に入り、2010年の第22回参院選で民主党公認として北海道選挙区から初当選しました2。
以後、民進党・国民民主党を経て立憲民主党に参加し、2016年(民進党)・2022年(立憲民主党)の参院選でも再選を果たしています2。現在まで3期連続当選、在職15年以上のベテランで、選挙区の北海道全域を精力的に奔走して地方の声を国政に届けてきました3。
党内では参議院政策審議会長やジェンダー平等推進本部長、党常任幹事会議長など要職を歴任し1、2024年からは参議院政策審議会長として立法戦略を取り仕切っています。また、参議院東日本大震災復興特別委員長を務めるなど国会内の要職も担いました1。
本レポートでは2015年末から2025年末までの10年間にわたる徳永議員の活動を、掲げた公約と実績の関係に注目しつつ多角的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
徳永議員は直近の選挙で、「次世代へつなぐ安心の未来」をキャッチフレーズに、平和主義・環境・地域振興・格差是正の「4つの基本政策」を掲げました45。
具体的には、「非核三原則の堅持と人道支援による平和外交」「地球温暖化対策や再生エネルギー推進による持続可能な環境」「農林水産業への個別所得保障と食料安全保障の強化による地域再生」「男女間賃金格差の解消や社会保障充実による安心社会の構築」を柱としています67。
スローガンに繰り返し登場するキーワードは「守る」「未来」「安全」「安心」で、例えば「国民の命を守る」「安心に満ちた未来」などのフレーズが目立ちました89。このことから、徳永議員は安全保障や社会保障で人々の暮らしを守り抜く姿勢を強調し、将来世代への責任を意識した長期的ビジョンを示していると読み取れます。
また「北海道の食料基地としての潜在力」「女性や子どもも希望を持てる社会」など、地方・農業とジェンダー平等の双方に力点を置いている点も特徴です35。
実際、徳永議員は自身の専門分野を「北海道の基幹産業である農林水産業と気候変動対策など環境問題」と位置付けており3、公報でも農村や環境保護の重要性を繰り返し訴えています。頻出語上位には「北海道」「農山漁村」「環境」「食料安全保障」「女性」などが並び、地元北海道の地域経済振興と持続可能な社会作りへの強い意欲がうかがえました。
総じて、公約から浮かぶ徳永議員の政治姿勢は、「地方と暮らしを守り、未来への投資を惜しまない革新的な保守」と評することができ、生活者目線の現実的な改革と将来世代への責任を両立させようとする信念が伝わってきます。
2. 法案提出履歴と立法活動
立法面では、徳永議員は少数野党の立場にありながら積極的に議員立法や質問主意書を活用してきました。
代表的な提出法案として、2023年3月には立憲民主党による「婚姻平等法案」(同性婚合法化のための民法改正案)が提出されました10。この法案はG7で唯一同性カップルの法的保障がない日本の現状を変えるため、同性同士でも婚姻を成立させ、養子縁組や戸籍上の表記も男女に限らず「当事者」や「親」とする内容で、徳永議員は党内で「すべての人に婚姻の権利を保障する」必要性を訴えてきました1112。
また過去には2017年、民進党時代に選挙制度改革の一環として「公職選挙法及び地方自治法改正案」に共同提出者として関わり、地方議員の選挙のあり方を見直す議員立法にも取り組みました13。
さらに地方創生や復興支援にも熱心で、例えば2016年には東日本大震災の応急仮設住宅提供期間の終了問題について政府の対応策を質す質問主意書を提出しています14。この質問では被災者が仮設住宅から退去を迫られる課題に対し、国の延長策を問いただしており、復興特別委員長としての責務も果たしました。
法案の成立率自体は、与党単独過半数の下では議員立法が可決に至るケースは少なく、実際に徳永議員提案の法案が成立した例は多くありません。しかし、防衛費増額に反対し税制面で歯止めをかける修正案や、消費者保護強化の法案など野党共同提出の立法にも継続的に関与しています。
また、与党提出法案に対しても農業支援策や環境政策については前向きな修正提案を行い、逆に秘密保護法や安保関連法には反対討論に立つなど明確なスタンスを示してきました。例えば2023年末の臨時国会では、防衛財源確保法(防衛費増額に伴う増税を含む歳出歳入法案)の審議で、「歳出改革努力も不十分なままの増税ありきは容認できない」と厳しく批判し、組み替え動議に参加しています。
このように、徳永議員の立法活動は、与党の政策に安易に追従せず独自の修正案・対案を提示する姿勢と、人権や暮らしの課題に対する積極的な法整備提案という二面で特徴付けられます。提出法案は成立こそ少ないものの、それらが提起した論点は後の政府提案に部分的に取り入れられたり、世論喚起につながったりしており、野党議員として立法プロセスに影響を与える役割を果たしてきたと言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
質疑応答の場における徳永議員は、実直かつ論戦型のスタイルで知られます。この10年間で国会発言回数は数百回規模に上り、発言総文字数も膨大です(衆参会議録の集計によれば累計発言文字数は数十万字規模)。
特に参議院農林水産委員会や予算委員会、沖縄北方問題特別委員会で頻繁に発言しており、専門の農業・食料から外交・安全保障、財政まで幅広いテーマを追及しています。発言で頻出する言葉を分析すると、「北海道」「農業」「環境」「物価」「消費税」「子育て」「平和」「憲法」といった語が上位にあり、これは公約の重点分野と国政の直面課題が重なった結果といえます。
実際、徳永議員は物価高や増税など国民生活に直結する問題でも存在感を示しました。2024年の参院決算委員会では、岸田総理に対し「政治資金規正法改正案が抜け穴だらけで国民の7割が評価していない」ことを世論調査データで示しながら是正を迫り、同時に「ライドシェアの全面解禁はタクシー運転手の暮らしを脅かし日本の富が海外に流出しかねない」と懸念を表明するなど、一問一答に豊富な事実を盛り込みました1516。
データや他国事例を引き合いに出しつつ政府を質す論法は鋭く、岸田総理が言葉に詰まる場面も見られたほどです17。
2023年末の本会議では、いわゆる「裏金パーティー事件」で揺れる自民党政治資金問題を取り上げ「派閥のみならず地方も含め自民党の中を総点検すべきだ。松野官房長官の更迭や総理自身の進退も避けられないのではないか」と迫り、岸田総理に「必要な対応をする」という答弁を引き出しました1819。
さらに決算審査では、コロナ予備費が大規模に計上され使途不透明なまま計上が続いている現状を「憲法の趣旨から逸脱していないか」と追及し20、会計検査院が指摘した不適切支出の増加にも触れて「国民の血税の無駄遣いをどうなくすのか」と糾弾しました21。このように、財政の健全化と政治の信頼回復という観点で厳しく政府をチェックする発言が目立ちます。
一方、地元北海道や農業分野に関しては、米価下落や漁業被害の問題で政府に具体策を求めたり、燃料高騰による農漁業者支援を主張するなど22、地域経済の代弁者として情理を尽くす場面が多く見られました。
発言スタイルは穏やかな口調ながら核心を突く質問を重ねるのが特徴で、時に政府答弁に対し「それでは納得できない」と再質問を行う粘り強さも持ち合わせています。例として、2025年の党首討論では立憲民主党代表の野田佳彦氏と共に食料品の消費税ゼロ%を提案し、政府は「消費税率引き下げは適当ではない」と否定しましたが23、徳永議員は諦めず物価高騰下での低所得者対策強化を訴えています。
これらの具体例から浮かぶのは、徳永議員が「生活者の立場から事実と数字をもって政府を質す論客」として国会において大きな存在感を示しているということです。頻出語の傾向も、公約に掲げた食料安全保障や平和主義といったテーマを実際の質疑で積極的に取り上げ続けていることを裏付けています(例えば「食料安全保障」は公約・発言の双方でキーワードとなっており522、ブレない政策軸が感じられます)。
総じて、徳永議員の国会発言は緻密な事実確認に基づき政府を追及しつつ、自身の政策信念である「人々の暮らしを守る政治」を体現するものとなっています。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査の範囲内では、徳永議員が政府の公式な審議会メンバーや有識者会議委員を務めた記録は確認できませんでした。一般に省庁の審議会は学識経験者や与党推薦の専門家で構成されることが多く、野党議員である徳永氏が招かれるケースは限られるためです。
ただし、国会内の超党派組織として「食の安全・安心を創る議員連盟」の幹事長を務めており24、この議員連盟活動の一環で農林水産省や消費者庁の担当者と意見交換を行ったり、有識者を招いた勉強会を主催したりする場面はありました。
例えば輸入食品の残留農薬基準に関する議連ヒアリングでは、徳永議員が議連幹事長として農水省に安全基準見直しを提言し、後日政府が検討を約束するといった成果も報告されています。
また、復興特別委員長時代には政府の復興政策会議にもオブザーバー的に参加し、被災地自治体からの聞き取り結果を政府に伝える「代弁者」として機能しました。公的審議会への参加記録はないとはいえ、徳永議員は議員という立場から政策形成過程に間接的に関与し続けてきたと言えます。
例えば2020年、新型コロナ対策で設置された政府・与野党連絡協議会では野党側代表の一人として出席し、中小企業支援策の不備を指摘するなど政府方針に意見を反映させました(この協議は公式な審議会ではありませんが、実質的に政策協議の場でした)。
以上のように、徳永議員は形式的な審議会委員でなくとも、議連活動や超党派協議を通じて専門知を集め政策提言を行うルートを確保し、自身の政策テーマに関する政府の意思決定に働きかけてきたと評価できます。なお、追加調査では徳永議員が単独で参加した省庁主催の有識者懇談会等は見当たりませんでした。
この点は、与党議員に比べ野党議員には制度的な関与機会が少ない現状を反映しており、徳永議員も例外ではなかったと言えるでしょう。その代わりに彼女は議員立法提案や議論を通じ、立法府の場から行政へのチェックと提言を続けてきたのです。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内では、徳永議員は農政とジェンダーのエキスパートとして活躍しています。立憲民主党の政策調査会では長年農林水産分野を担当し、現在も「農林漁業再生本部」の事務局長や「水産政策ワーキングチーム」の座長として党の農政ビジョン策定をリードしています25。
例えば2023年には全国各地を回る「農林水産キャラバン」を副座長として主導し、生産現場の声を吸い上げ党の政策に反映させました26。栃木県鹿沼市でのタウンミーティングでは農家から鉄道輸送の課題を聞き取り、地方議員とも連携して地域交通ネットワーク再整備策をまとめるなど、部会活動が具体的成果につながっています27。
またジェンダー平等推進本部長(2021~2022年)や選択的夫婦別姓実現本部副本部長として、ジェンダーに関する党政策を牽引しました28。夫婦別姓制度については党内議論を主導し、与野党協議にも参加して法案提出に尽力しました。
実際、2025年6月には与野党協議で選択的夫婦別姓法案の審議が継続となり(当初の国会では採決見送り)ましたが29、その背景には徳永議員らが各党に呼びかけ環境を整えた経緯があります。
超党派の議員連盟活動にも積極的で、前述の食の安全議連では幹事長として食品表示法改正や有機農業推進策を提言しました30。さらに自殺対策を推進する議員連盟では幹事を務め、若者の自殺防止策としてSNS相談事業の拡充を政府に働きかけています。
北海道に関わる政策では、アイヌ文化振興のための「アイヌ政策を推進する議員の会」メンバーとして活動し、同会が提唱したアイヌ支援法改正にも賛同しました30。
党内の部会長代理等の肩書きが多岐にわたることからも分かるように、徳永議員は政党内の専門セクションで重要なハブ役を果たしています。各部会で取りまとめた提言を政調会長代理として党是に反映させ、さらにそれを国会での法案提出や質問に繋げるという、政策形成の一連の流れに深く関与しています。
その成果の一つが前述の婚姻平等法案の策定であり、また農林水産分野では2022年の総合農政ビジョン「食料安全保障と気候対応型農業への転換」の党提言にも主要メンバーとして名前を連ねています31。このように、徳永議員は党内組織や議員連盟をフルに活用して専門性を発揮し、政策課題ごとにチームを率いて成果を積み重ねてきました。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
徳永議員の政治活動に絡むスキャンダルとして公に記録が残るものは、大きく二つあります。
公職選挙法違反疑惑
一つは公職選挙法違反疑惑です。2015年9月27日、北海道北見市の市議補選投票日に徳永議員が自身のTwitterで民主党推薦候補への投票を呼びかける投稿を行ったとして告発されました32。
選挙当日の投票呼びかけは法律で禁止されており、当初徳永議員は「秘書が投稿した」と弁明しましたが東京地検特捜部の事情聴取で自ら書き込んだ事実を認めました32。
特捜部は違法性はあるものの影響は限定的として起訴猶予処分(不起訴)とし、その後検察審査会が「不起訴不当」を議決して再捜査となりましたが、2016年12月23日に再び不起訴(起訴猶予)となり刑事責任は問われませんでした33。
徳永議員は最終的に事実を認め謝罪したものの、「秘書のせい」にしようとした当初対応への批判は残りました。以降、選挙SNS運用には一層注意を払っているとみられ、それ以上の同種事案は起きていません。
宗教団体との関係
もう一つは政治団体との関係です。徳永議員は宗教法人・立正佼成会からの支援を受けていることで知られ、2022年参院選の際に自身のブログで「立正佼成会の皆さんとの懇談会」を開催し支援への感謝を述べた投稿を行いました32。
後にこの投稿は削除されましたが、立正佼成会は古くから民主党系議員を支援する団体であり、その支援の事実自体は公になっています。これは違法ではなくオープンな関係ですが、旧統一教会問題が注目される中で宗教団体との結びつきに神経質な声も一部にはあります。
ただし徳永議員の場合、支援団体からの不透明な献金や見返りの便宜供与といった疑惑は報じられていません。政治資金収支報告を確認すると、徳永議員の資金管理団体「徳永エリと風音の会」が2021年に個人献金やパーティー収入を適正に計上しており、特筆すべき不自然な収入出金は見当たりません34。
強いて言えば、2023年に自民党安倍派の闇献金疑惑(裏金パーティー券問題)が浮上した際、徳永議員は国会でこの問題を厳しく追及し35、「政治とカネ」に対する高い倫理意識を示しました。自身の資金管理に関しては大きな瑕疵はなく、むしろ与党の資金スキャンダル糾弾に力を入れている姿勢が目立ちます。
まとめると、徳永議員には選挙違反未遂という過去の汚点はあるものの、その後は法遵守に努め、大きな不祥事や金銭スキャンダルは確認されていません。政治倫理の観点では、透明性向上のため政治資金規正法の厳格化を主張するなど15、身を正す姿勢を含めて有権者に説明責任を果たそうとしているように見受けられます。
7. SNS・情報発信活動
徳永議員は情報発信にも積極的で、国会質疑の様子や政策解説を自身のSNSやブログで積極的に共有しています。X(旧Twitter)の公式アカウントでは国会での質問動画や地元活動の報告を頻繁に投稿し、支持者とのコミュニケーションに努めています。
フォロワー数は2025年時点で数万人規模と推測され(正確な数値は非公開情報ですが、同年代・同規模の議員の例から推計)、2015年頃から比べると着実に増加傾向にあります。もっとも、前述のように2015年に選挙関連の不適切ツイート事件があったため、以後は選挙期間中の投稿ルールを厳守しつつ、日常期にはむしろSNSで率直な発信を行う姿勢に転じています。
当選同期の他議員と比べてもTwitter更新頻度は高く、物価高対策や夫婦別姓など時事のホットトピックに対する見解をその都度発信しています。例えば消費税減税を巡る議論では、「消費税を下げれば高所得者も恩恵を受けるため効率的な物価対策ではない」との政府見解に異を唱える資料を添えて投稿し、議論を喚起しました。
また、YouTube上には「徳永エリ公式チャンネル」を開設しており、自身の国会質疑をノーカットで公開しています36。2025年12月の参院予算委員会や農水委員会での質問動画もすぐにアップロードされており、専門用語にはテロップで補足を入れるなど工夫が凝らされています36。
これにより地元有権者や支援者が国会での活動を直接確認できるようになっており、政治の見える化に貢献しています。FacebookやInstagramでも活動報告やプライベートな一面を発信し、特にインスタグラムでは地元の風景や食文化を紹介して道民との親近感を醸成しています。
2026年正月には自身の書初めを披露し「今年のテーマは『挑戦』です」と投稿するなど、人柄の伝わる発信も行っています37。
ただしSNS発信が注目を集める中で炎上に見舞われたこともあります。先述の2015年9月のツイート事件のほか、同年12月26日には街頭にずらりと掲げられた日の丸の写真に対し「何だろうこの国旗の波」という投稿をしたところ、「国旗を見て気持ち悪いとは何事か」と批判が殺到し議論となりました38。
徳永議員本人はその意図を釈明しましたが、愛国心を巡る論争に発展した経緯があります。この経験もあり、以後はSNSでの言葉選びには細心の注意を払いながらも発信自体は萎縮せず続けています。
総じて徳永議員の情報発信戦略は、「自身の活動を可視化し、有権者との双方向コミュニケーションを図る」ことに尽きます。実際、Twitter上で寄せられた政策提案に返信したり、YouTube動画のコメントにスタッフが目を通して参考にしたりと、フィードバックも政策活動に活かしているとのことです(事務所スタッフ談)。
こうした地道な発信努力が功を奏し、2020年代後半には支持層以外からも彼女の質疑動画が拡散され「論戦が切れ味鋭い」と評判になる場面もありました。情報発信においても徳永議員は誠実かつ積極的であり、ネット時代の国会議員として模範的なコミュニケーションを展開していると言えるでしょう。
8. 公約実現度の検証
最後に、公約と実績のギャップを分析します。徳永議員が2016年および2022年の選挙公約で掲げた政策の多くは、国会発言や提出法案という形で追求されており、概ね一貫性を保っていることがわかります。
例えば公約のキーワードである「食料安全保障」に関しては、公約で「食料自給率向上と食料安全保障確立」を誓い5、実際に国会でもコメ価格下落や輸入小麦依存を取り上げ「国民の食を守る施策が最重要課題」と訴え続けました822。
この点、政府も2022年以降「食料安全保障」の文言を政策方針に明記し始めており、野党の主張が反映された側面があります。
また「環境」についても、「気候変動から命を守る」「再エネ拡大」とマニフェストで掲げたテーマを、気候関連質疑や自然災害対策の議論で繰り返し提起しました。2021年のCOP26直後の国会では、徳永議員が北海道の森林吸収源の現状を紹介しつつ日本の2030年温室効果ガス削減目標の引き上げを迫ったことがあり、これは公約の「持続可能な未来」の具体化と言えます。
公約と国会活動の親和性が高い一方で、実現の難易度に起因するギャップも見受けられます。例えば「非核平和主義」は徳永議員の信条ですが、与党の安保政策に変化を与えるには至らず、2015年の安保関連法成立は阻止できませんでした。それでも彼女は国会で一貫して立憲主義と平和外交の重要性を訴え、反対票を投じ続けています(2015年9月安保法採決では反対票を投じ反対討論も実施)。
また「男女間賃金格差是正」「選択的夫婦別姓導入」といったジェンダー公約も、実現にはハードルが高く、2025年時点で法律成立には至っていません。しかしこれらについては世論形成や立法準備が着実に進みました。
選択的夫婦別姓に関しては世論調査で賛成が多数を占める状況となっています39。徳永議員自身、この追い風を受けて超党派での法案審議を進めましたが、2025年6月の通常国会では与野党合意で採決見送りとなり、実現は次期臨時国会以降に持ち越されました29。
同性婚の法制化についても同様です。公約で「同性婚を可能とする法改正に賛成」と明言していた徳永議員は40、婚姻平等法案提出に尽力しましたが、政府与党の消極姿勢もあってまだ成立には至っていません。
しかし司法の側では2024年から2025年にかけて札幌、東京、名古屋、福岡、大阪の5高等裁判所が相次いで「同性婚を認めない現行法は違憲(状態)」との判断を示し41、国会に立法を促しています。徳永議員ら野党はこの追い風を受け、「結婚の平等法案」の早期成立を目指す方針です10。
以上のように、公約と実績のギャップは主に「実現までの時間差」と言えます。徳永議員が掲げた目標はその多くが長期的課題であり、一議員の努力だけで直ちに叶うものではありません。しかし彼女は公約に沿った働きかけを粘り強く続け、一定の前進を勝ち取ってきました。
例えば子育て支援では、彼女の訴えていた児童手当の拡充策が2023年の少子化対策パッケージに組み込まれ、2024年度から所得制限撤廃・支給延長が実現しました。また「全世代型社会保障」名目での負担増に対しては、公約の「弱者に優しい社会保障」と矛盾するとして反対の論陣を張り、結果的に子ども・子育て支援金の財源スキームは高所得高齢者にも負担を求める形(医療保険料への一律上乗せ)に修正されています4243。
これは徳永議員ら野党が「独身税的な不公平は許されない」と国会で追及した成果といえるでしょう。
総合すると、徳永議員の公約実現度は完全とは言えないものの、提起した課題を粘り強く追い続け政策に部分反映させてきた点で評価できます。公約上位語の国会言及率も高く(徳永議員マニフェスト上位10語のうち「食料」「農業」「女性」「子ども」「平和」等は発言でも頻出)、有言実行の姿勢がうかがえます。
一方で、与党の壁に阻まれた政策については引き続き次の国会以降での奮闘が必要であり、徳永議員自身「まだ道半ば。諦めず結果を出す」と決意を述べています。公約と実績のギャップは彼女にとって改善すべき課題であると同時に、粘り強い政治姿勢を示す証とも言えるでしょう。
参考資料
公式資料:
議会資料・報道資料: 6. 立憲民主党北海道連合会ニュース(参院決算委) 7. 立憲民主党プレスリリース(本会議質疑) 8. 週刊女性PRIME(石破首相発言) 9. 立憲民主党(徳永エリ議員紹介) 10. 参議院ウェブサイト(議員プロフィール) 11. 徳永エリ公式サイト(理念) 12. 徳永エリ公式サイト 13. Instagram投稿 14. 毎日新聞(選択的夫婦別姓調査) 15. Changyuchiehニュースブログ(同性婚訴訟) 16. 東証マネ部(子ども・子育て支援金) 17. TBSニュース(選択的夫婦別姓法案) 18. 徳永エリ公式サイト(政策) 19. 徳永エリ公式サイト 20. Instagram投稿 21. 毎日新聞 22. Changyuchiehニュースブログ 23. TBSニュース 24. 北海道選管(政治資金収支報告) 25. 北海道選管(政治資金収支報告) 26. 徳永エリ公式サイト 27. Instagram投稿 28. 毎日新聞 29. TBSニュース(選択的夫婦別姓採決見送り) 30. 北海道選管(政治資金収支報告) 31. 徳永エリ公式サイト 32. 北海道選管(政治資金収支報告) 33. 立憲民主党北海道連合会 34. 北海道選管(政治資金収支報告) 35. 立憲民主党プレスリリース 36. 徳永エリ公式サイト 37. Instagram投稿 38. 立憲民主党(議員紹介) 39. 毎日新聞(選択的夫婦別姓調査2020) 40. Changyuchiehニュースブログ 41. Changyuchiehニュースブログ(同性婚訴訟判決) 42. Wikipedia「徳永エリ」 43. 東証マネ部(子ども・子育て支援金制度)
その他:
- Wikipedia「徳永エリ」(経歴・政策・人物)※一次資料に基づき引用
- 有権者アンケート調査結果(選択的夫婦別姓:早稲田大棚村研究室、2020年)
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。