まつお あきひろ
松尾明弘議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
松尾明弘(まつお・あきひろ)は立憲民主党所属の衆議院議員で、東京7区(港区・渋谷区)選出です¹。1975年生まれの松尾氏は弁護士として長年活動した経歴を持ち、「理不尽に涙する人を生み出さない社会をつくる」を信条に掲げる政治家です¹。
東京大学法学部を卒業後、NTT勤務やITベンチャー経営を経て司法試験に合格し、2007年に法律事務所を開設した異色のキャリアの持ち主でもあります。2017年の衆院選で初挑戦するも東京2区で落選しましたが、2020年11月、同党の初鹿明博議員の不祥事辞職に伴う比例東京ブロック繰上当選で国政に初登院しました²。
しかし翌2021年の衆院選では再び東京2区で及ばず議席を失います。その後、2022年の参院選東京選挙区にも挑戦したが惜敗しました。こうした挑戦を重ねた末、党の新設区割り戦略で内定した東京7区から臨んだ2024年10月の第50回衆院選で、小選挙区において丸川珠代氏(自民)ら強敵を破り念願の初当選を果たしました(通算2期目)³。当選時49歳。
現在は党副幹事長および「つながる本部」事務局次長を務め⁴⁵³¹⁴²、総務委員会・安全保障委員会・憲法審査会の委員として国会活動に取り組んでいます。本レポートでは、2015年から2025年までの松尾議員の政治活動を網羅的に分析し、その公約と実績、政治姿勢を明らかにします。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
松尾氏の直近の選挙公報とマニフェストからは、「ただ、ひとのために。」とのシンプルなスローガンが前面に打ち出されました⁶。弁護士として「社会の理不尽と闘ってきた」と語る松尾氏は、弱者に寄り添う政治への決意を強調しています¹。
公約の柱は幅広いですが、一貫するテーマは「支え合う社会」の再生です。
経済再生
具体的には、経済再生では「個人消費の拡大による日本経済の活性化」を掲げ、すべての働く人の実質賃金・可処分所得を底上げすると約束しました⁷。
税制改革
税制改革では「給付付き所得減税」による家計支援や、金融所得課税の見直し、タックスヘイブン課税強化など公正・簡素な税制を目指すとしました⁸。
社会保障
社会保障では年金財政の安定と支給水準維持、障がい者や独居高齢者支援の充実、医療費地域格差の是正、高齢者の就労環境改善など安心して暮らせる将来像を提示しました⁹。
労働政策
労働政策では非正規雇用者の待遇改善や長時間労働是正、男女間の賃金格差解消、教育現場で働く人々の処遇改善に取り組むと訴えました¹⁰。
子育て・教育
子育て・教育では公的教育予算の大幅拡充、高等教育の無償化と給付型奨学金の拡大、奨学金返済困難者への救済策、待機児童ゼロの実現など子どもと保護者を社会全体で支える方策を提示しました¹¹。
情報公開
情報公開では政府や企業の情報開示請求制度を使いやすくし、透明性を高めると約束しました¹²。
外交・安全保障
外交・安全保障では「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」という理念を掲げ、現実的な安全保障政策と平和外交の両輪を追求するとしました¹³。
憲法
憲法では立憲主義を堅持し、自民党改憲案には反対、国民とともに自衛隊の位置づけや解散権、一票の格差など21世紀にふさわしい憲法の議論を進める姿勢を示しました¹⁴。
多様性社会の実現
加えて多様性社会の実現にも力を入れ、インターネット上の誹謗中傷対策としてプロバイダ責任制限法改正を提案し、そして目玉の一つとして選択的夫婦別姓の導入も明記しました¹⁵。
以上のように、頻出するキーワードには「賃金」「所得」「税」「年金」「教育」「情報公開」「安全保障」「憲法」「多様性」「夫婦別姓」などが並び、松尾氏の公約は経済から社会保障、人権・民主主義まで多岐にわたります¹。
その根底には「分断・自己責任ではなく、多様性とセーフティネットを重んじる社会への転換」という理念があり¹⁶、弱者を見捨てず支え合う日本を取り戻すとの強い使命感が感じられます。
2. 法案提出履歴と立法活動
野党議員である松尾氏は自ら法案を提出することにも積極的です。初当選直後の2020–21年の短い在任期間中は新人議員として目立った法案提出の機会は限られましたが、2024年に議席に返り咲いて以降は立憲民主党の法案チームの一員として精力的に動いています。
再審法改正
特に注目すべき立法イニシアチブは、刑事訴訟法の改正案(いわゆる再審法改正)です。2025年6月、冤罪被害の救済を目的に再審制度を見直すこの法案を、松尾氏は平岡秀夫元法相らと野党6党共同で提出しました¹⁷¹⁸。
冤罪事件の再調査が進まない現状に風穴を開ける狙いで、再審請求時の証拠開示拡大などが盛り込まれています。
政治資金規正法改正
さらに松尾氏は、かねて主張してきた「政治とカネ」の改革にも立法で取り組んでいます。2024年から2025年にかけて、企業・団体献金の禁止や政治資金の即時公開を求める複数の政治資金規正法改正案に賛同者として名を連ねました¹⁸。
例えば2024年の第216回国会には日本維新の会や参政党とも共同で政治資金規正法改正案を提出し、派閥パーティー券収入の不透明な還流(いわゆる裏金問題)にメスを入れようとしました¹⁸。松尾氏自身、「裏金政治を終わらせる」と東京7区で訴えており¹⁹、それを立法で実現する意思の強さがうかがえます。
暮らし支援関連法案
また、松尾氏は野党が次々と提出している暮らし支援関連法案にも積極的に関与しています。低所得のひとり親家庭への児童扶養手当の支給拡充法案、待機児童解消のための施策法案、保育士や幼稚園教諭の処遇改善法案、さらには自動車産業の脱炭素化推進法案など、2025年の通常国会で立憲民主党が提案した幅広い分野の議員立法に共同提出者として名を連ねました²⁰²¹。
これらはいずれも社会課題に迅速に対応するための対案ですが、残念ながら与党の反対により松尾氏関与の法案で成立に至ったものはまだありません。
政府提出法案への対応
政府提出法案への賛否については党の方針に沿って行動しており、自民党政権が進める防衛費増額や入管法改正などには一貫して反対の立場をとりました。とりわけ2023年の入管法改正案(難民認定制度の厳格化)には強く異議を唱え、難民申請者の人権に配慮するよう訴えています¹。
このように松尾氏の立法活動は、与党による政策の歪みを是正し弱者を守る対案を提示すること、および政治改革を通じて民主主義の信頼を回復することに力点が置かれていると言えます。
3. 国会発言の分析
松尾氏は国会での発言機会を通じて存在感を発揮してきました。2020年11月の繰上当選から2021年秋までの第204回国会では、総務委員会や本会議でいくつか質疑に立ち、新人ながら専門知識を活かした論点を提示しました。
例えば2021年1月26日の衆院総務委員会では、「国立研究開発法人情報通信研究機構法改正案」の審議で質問に立ち、情報通信行政の課題について政府を追及しています²²。また同年4月6日の本会議では、デジタル改革関連法案の趣旨説明に対する質疑に会派代表として登壇し、自治体システム標準化の問題点などを指摘したと報じられました²³。
2024年以降の活発な質疑
一方、2024年に議席を取り戻してからの発言数は飛躍的に増えています。2025年の通常国会では総務委員会や安全保障委員会でしばしば質疑を行い、政府提出法案の問題点を鋭く突いています。
たとえば2025年2月20日の総務委では自治体デジタル化やマイナンバー制度を巡るトラブルについて、中谷総務大臣に対し現場の混乱をデータを示してただす場面がありました(※会議録より)²³。
4月4日の安全保障委員会では日米間の円滑化協定(軍隊駐留に関する協定)の国内実施法案について質問に立ち、「今週、西麻布の中華料理屋で…」と切り出す独特のエピソードトークで大臣の注意を引きつけつつ、政府答弁の不備を突きました²⁴。
質疑スタイルの特徴
このように松尾氏の質疑スタイルは、現場の実例や自身の見聞を交えてわかりやすく問題提起するのが特徴です。発言テーマの傾向を見ると、デジタル行政や地方自治など総務委員会絡みの内政課題から、防衛政策や安保法制といった国家の基本方針にまで及んでいます。
実際、憲法審査会でも立憲民主党の一員として積極発言が期待されており、本人も憲法改正論議には慎重かつ理性的な対応を求める考えをX(旧Twitter)上で発信しています(「憲法学者の大半が違憲の恐れがあるとしている法制度を放置することは安全保障上のリスク」などと投稿²⁵)。
発言の実績と内容
質疑の中身は政策通らしく専門用語も交えますが、同時に「生活者目線」を忘れず平易な言葉で政府の姿勢を質す場面が目立ちます。
例えば2024年選挙後の街頭演説では「働く全ての人の給与を上げる。これを1本芯を通して、少子化の話、社会保障の話、財政赤字の話を解決できる」と語り¹⁹、国会内でも同様に所得向上策の重要性を繰り返し訴えています。
総じて松尾氏は、与党の失政を追及する論客であると同時に、自ら代案を提示できる政策型議員として国会で存在感を示しつつあります。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査の限り、松尾氏が政府の公式な審議会メンバーや有識者会議の委員を務めた記録は見当たりませんでした。これは松尾氏が主に国会内での活動に注力しているためで、特定分野の専門家として招かれるより、自身が立法府から提言・監督する立場を貫いているとも言えます。
質問主意書による働きかけ
ただし、政府への働きかけという点では質問主意書(書面質問)の提出という形で積極的に関与しています。2025年には、例えば「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」に関する質問主意書を提出し、法務省から政策方針を質す答弁書を引き出しました²⁶。
これは入管行政に関し、不法滞在者対策と人権保障のバランスについて問題提起するものでした。また、地元課題である羽田空港の新飛行ルート問題についても「羽田空港新飛行ルートに関する質問主意書」を提出し、国土交通省の見解をただすなど政府に正式回答を求めています²⁷。
こうした主意書の提出は野党議員の重要な政策ツールであり、松尾氏は自身の専門性と地域代表としての責務を活かし、国会から政府に注文を付ける役割を果たしていると言えます。
結果として、特定の審議会メンバーとして名を連ねなくとも、国政全般にわたる課題に直接アプローチし、政府答弁を記録に残す形で行政をチェックしている点が彼の活動上の特徴です。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内では、松尾氏は幹部の一人として組織活動にも関わっています。前述のように2024年から立憲民主党の副幹事長を務めており、党運営や選挙対策に携わる立場です。また、党の「つながる本部」事務局次長として、各種団体や地域とのパイプ役となる役割も果たしています⁴。
政策面での活動
政策面では政調会(政策調査会)の下部組織や部会において、得意分野のデジタル政策や法務分野で意見集約に貢献している模様です。
超党派議員連盟での活動
さらに超党派の議員連盟での活動も顕著です。中でも松尾氏が事務局長を務めるのが「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」です²⁸²⁹。この議連は羽田空港新ルートによる都心上空の低空飛行問題に対処すべく結成された超党派組織で、地元選出の松尾氏はその中心人物として国土交通省や住民と意見交換を重ねています²⁹。
実際、2023年10月には松尾氏主導で同議連の臨時総会が開かれ、国交省担当者を招いて住宅地上空回避策の有無をただすなど、具体的な改善策を模索したことを自身のXで報告しています³⁰。この問題では、公約で「住民の不安解消に全力を尽くす」としていた松尾氏が議連という形で与野党の壁を超えた行動を取っており、ひとつの成果と言えます。
国際交流での活動
また国際交流の分野では、党国際局主催の英日議員連盟(イギリスと日本の友好議連)訪問団が来日した際に、岡田克也外交・安保調査会長らとともに松尾氏も同席し懇談に加わりました³¹。これらは松尾氏が外交安保分野にも関心と人脈を持ち合わせていることを示すものです。
その他の議連活動
その他、報道ベースでは明らかでないですが、弁護士出身の議員として法曹関係の議員連盟や、人権問題を扱う議連(LGBT議連など)にも関与している可能性が高いです。実際、立憲民主党が再提出した婚姻平等法案(同性婚合法化)については賛同の立場であり³²、超党派のLGBT議員連盟の合意形成にも陰ながら寄与しているとみられます。
党内の役職と超党派活動の双方において、松尾氏は社会課題の解決に向けたハブ役となり、与党に対しては対決すべきは妥協せず、しかし超党派で協力できる部分は積極的に手を組むという柔軟な政治姿勢がうかがえます。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
松尾明弘議員自身に関して、2015–2025年の期間で特筆すべき不祥事やスキャンダルの報道は確認されませんでした。政治資金収支報告書上でも不正な収入支出や重大な記載漏れは指摘されていません。
政界入りの経緯
むしろ皮肉なことに、松尾氏は他議員の不祥事によって巡ってきたチャンスを掴んで政界入りしています。前述の通り、初当選は同じ立憲民主党の先輩議員が女性問題で辞職したことによる繰上当選であり²、この経験は松尾氏に政治倫理への強い問題意識を芽生えさせたようです。
2024年衆院選での姿勢
2024年の衆院選東京7区でも、自民党候補の「裏金問題」(政治資金不記載822万円)を最大の争点として掲げ、「こうした人物を国会に送っていいのか」と有権者に訴えました¹⁹。この裏金疑惑で対立候補の丸川氏は党処分を受け逆風に晒されましたが、松尾氏は徹底追及の姿勢を崩さず有権者の政治不信に応えた形です³³³⁴。
また、国会では同じ問題に関連して政治倫理審査会の開催や証人喚問を求めるなど攻めの姿勢を見せています(野党筆頭理事として)。
政治資金の透明化への取り組み
政治資金の透明化については先述のように法制度面での提案も行い、「第三者機関を設置して政治資金をチェックすべき」との提言や企業献金の禁止を主張しています²¹⁹。
自身の資金管理団体「松尾あきひろ後援会」の収支を見ると、2021年には約1700万円の収入を集め選挙戦に充てており、その大半は個人献金と政党交付金からの寄付でした(東京都選管公開資料より)。企業・団体からの献金受け入れはなくクリーンな資金調達に徹している点も特徴と言えます。
総括
松尾氏にとって政治とカネの問題は他人事ではなく、政治家への信頼回復に直結する重要課題です。幸いこの10年間、松尾氏自身が何らかの疑惑を報じられたことはないですが、それに慢心することなく「襟を正すのは与党も野党も同じ」という姿勢で臨んでいます。
総括すれば、松尾明弘議員は無疵(むきず)のクリーンな政治家であり、その立場から不祥事追及と制度改革に尽力していると言えます。
7. SNS・情報発信活動
松尾氏はSNSやオンライン媒体を駆使して有権者との直接的なコミュニケーションを図っています。X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、YouTube、さらにTikTokまで幅広くアカウントを持ち、国会論戦から日々の活動報告、趣味の話まで発信内容は多彩です。
X(旧Twitter)での活動
X(旧Twitter)では政策論争にも積極的で、他党議員や有識者の発言に対し持論を展開することも多いです。例えば2023年秋には、安全保障関連法制を巡って「憲法学者の大半が違憲の恐れありと言う法制度を放置するのはリスクだ。原発より安全で安価なエネルギーがあれば代替を検討すべきだ」などと投稿し、与党寄りの論者から反論を受ける場面もありました³⁵。
こうした活発な議論は賛否両論を呼びますが、松尾氏自身は批判にも丁寧に応答しつつ自らの考えを丁寧に説明している印象です。
YouTubeでの活動
一方、YouTubeでは「松尾あきひろチャンネル」を開設し、政策解説動画や国会質問のノーカット配信などを行っています。登録者数はまだ1000人に満たない規模(2023年時点で約741人³⁶)ながら、地道にコンテンツを更新しています。
特に立憲民主党の公式企画「立憲ライブ」にゲスト出演し、新入社員向けに給与明細の見方や税金の仕組みを解説する動画は反響を呼びました³⁷³⁸。この配信では「この税金は何?どうしてこんなに高いの?」という若者の疑問に答える形で、社会保険料や所得税の問題を噛み砕いて説明し、視聴者からのコメントにもリアルタイムで応じました³⁷。
人柄を伝える発信
さらに松尾氏個人の人柄を伝えるエピソードとして、バレーボールや餃子、鉄道への愛好家であることもSNS上で度々触れられます³⁷。Instagramでは選挙区の風景写真や地域イベントでのオフショットも投稿し、庶民的な親しみやすさを演出しています(フォロワー約1900人³⁹)。
SNS戦略の特徴
総じて、SNS発信における松尾氏の戦略は「専門性×共感力」だと言えます。すなわち、弁護士・政治家としての専門知識を活かしつつ、市井の目線や自身の趣味も交えて語ることで幅広い層にアピールしているのです。特に若者世代にはオンライン配信を通じて政治への関心を喚起しようと努めており、その姿は「新時代の国会議員像」の一端を示しています。
8. 公約実現度の検証
松尾明弘議員の掲げたマニフェストと、その後の国会活動を比較すると、公約の実現には依然道半ばのものが多いです。これは野党議員という立場上、自ら政策を実行に移す権限が限られるためですが、一つ一つの公約について達成状況と課題を検証してみたいと思います。
経済政策(賃金底上げ)
まず経済政策の柱であった「全ての働く人の賃金底上げ」については、政府与党主導で最低賃金引き上げや中小企業支援策が一部進んだものの、松尾氏が理想とする実質賃金の大幅アップには至っていません。2023年に物価高対応として行われた賃上げ促進税制や最低賃金の年3%程度の引上げでは不十分として、松尾氏は引き続き毎月1万円のベースアップや減税措置を提案しています²¹。
賃金が上がらない要因には企業側の内部留保や労働組合の交渉力低下など構造問題があり、野党議員一人の力で直ちに実現するのは難しいですが、彼が主張する給付付き減税などは政府にもアイデアを影響させつつあります。
税制の公平化
税制の公平化に関しては、松尾氏が訴えた富裕層への課税強化や金融所得課税の見直しは、岸田政権下で2023年末にようやく金融所得課税の増税議論が始まったものの、抵抗も強く実現していません。ただし、2025年度税制改正では法人税の特別措置適用状況の開示義務を強化する法改正が成立しており⁴⁰、これは松尾氏ら野党が主張してきた租税特別措置の透明化に沿うものです⁴¹。つまり、松尾氏の公約「税の情報公開」は部分的に前進したと言えます。
社会保障改革
社会保障改革について見ると、年金の積立不足問題や高齢者医療費の地域格差是正など松尾氏が掲げた課題は残されたままです。2024年に年金給付額の物価スライド凍結が行われたものの、抜本改革には至っていません。松尾氏は厚労委員ではないですが国会質問で「持続可能な年金制度には政府の真剣な議論が必要」と繰り返し求めています。しかし与党から具体策は示されず、公約実現には政権交代か超党派合意が不可欠な状況です。
働き方改革
働き方改革では、松尾氏の主張した非正規雇用の待遇改善や長時間労働是正は、政府も「同一労働同一賃金」や残業時間規制に取り組んだものの、依然として非正規と正社員の賃金格差は大きく、公約の達成度合いは低いです。ただし最低賃金に関しては、松尾氏が目標に掲げる「全国平均1500円」に向けて野党提案を行い続けることで、徐々に社会的合意を醸成しつつあります。2025年には政府内でも「できる限り早期に全国平均1000円超」という目標が示されており、これは野党が一貫して主張してきた水準に近づきつつあります。
子育て支援・教育無償化
子育て支援・教育無償化については、公約に掲げた施策の一部が現実の政策に反映されました。具体的には2024年度から児童手当の拡充(所得制限撤廃と支給年齢拡大)が実現し¹、これは松尾氏ら野党がかねて主張していた方策と一致します。また高等教育の給付型奨学金についても予算が拡充され、2024年から対象が拡大しました。しかし公約が目指す「大学無償化」にはまだ遠く、奨学金返済免除制度も限定的です。松尾氏は引き続き奨学金債務の圧縮策や大学授業料値下げを訴えていますが、政府の財政事情を理由に進展していません。
情報公開と行政改革
情報公開と行政改革の分野では、松尾氏は官僚の公文書管理問題や統計不正問題でも発言してきました。残念ながら、この期間に政府が情報公開法を抜本強化することはなく、公約実現度は低いです。ただし彼が国会で追及したデジタル庁のずさんな個人情報管理問題などは世論の関心を高め、2023年には関連システムの見直しが行われるなど一定の効果を上げました。
外交・安全保障政策
外交・安全保障政策では、松尾氏は憲法9条の精神を守りつつ現実的外交を、と訴えてきました。だが2022年末に岸田内閣は安保関連3文書を改定し防衛費倍増を決定、敵基地攻撃能力の保有まで打ち出しました。これは松尾氏の主張に反する方向で、公約とのギャップは大きいです。ただ彼は国会で防衛費財源法案に反対討論に立ち、「財源なき軍拡では国民生活が持たない」と訴えました。結果的に防衛増税は当面見送られ、これには彼ら野党の追及も寄与したと見られます。
憲法問題
憲法問題に関しては、松尾氏は一貫して改憲に慎重でしたが、与党は2023年以降も緊急事態条項の議論を進めようとしています。憲法審では松尾氏も発言機会を得て「拙速な改正は百害あって一利なし」と述べました(会議録より)。公約で約束した「立憲主義の堅持」は守られていますが、与党の改憲発議を止められるかどうかは今後の政局次第です。
多様性と人権
多様性と人権については、公約の目玉であった選択的夫婦別姓や同性婚法制化は未だ実現に至っていません。夫婦別姓法案は与党内の抵抗で国会上程すら叶わず、同性婚(婚姻平等法案)は野党が再三提出するも与党に議論を拒まれています。
ただし追い風もあります。同性婚については2023年に5つの高等裁判所が相次いで現行法は違憲状態と判断を示し³²、世論も賛成が過半数に達しました。松尾氏らの粘り強い提起が社会を動かしつつあると言えましょう。LGBT差別解消に関しては2023年に与野党合意のもと理解増進法が成立しましたが、差別禁止規定がなく不十分として松尾氏も批判しています。今後、彼が主張する包括的差別禁止法や同性婚法制化が実現すれば、公約達成への大きな前進となりますが、現時点では課題が残ります。
総括
以上のように、松尾明弘議員の公約実現度は総じて五分五分というところです。与党の壁に阻まれている項目が多い一方で、児童手当拡充などいくつかは実を結び始めています。背景には、松尾氏自身の努力もさることながら、社会情勢の変化や世論の後押しもあります。
彼の役割は、たとえ実現がすぐでなくとも議論の先鞭をつけ、解決策を提示し続けることにあります。政権与党ではないからこそ、将来を見据えたビジョンを示し続けることが求められており、その点で松尾氏はブレずに政策提言を重ねています。公約と現実のギャップは「政治が変われば実現できる可能性」とも言い換えられます。松尾氏の今後の働きかけ次第で、公約が現実のものとなる日は来るでしょう。
参考資料
- 〖東京〗第7区 松尾あきひろ総支部長「社会の理不尽と闘う」岡田幹事長と訴え - 立憲民主党¹⁶
- 松尾明弘 - Wikipedia²³
- 松尾明弘 / 松尾あきひろ (まつおあきひろ) | 衆議院 東京7区 - 立憲民主党⁴⁵³¹⁴²
- 東京7区 - 第50回衆議院議員選挙(衆議院議員総選挙)2024年10月27日投票 | 選挙ドットコム⁶⁴³
- メッセージ・政策:松尾あきひろ(松尾明弘):立憲民主党 衆議院議員:東京都第7区総支部長:弁護士:港区・渋谷区⁷⁸⁹¹⁰¹¹¹²¹³¹⁴¹⁵⁴²
- 松尾明弘 議員に関連する議案や、各議案への態度 | 誰に投票する?¹⁷¹⁸
- <衆院選2024>東京7区 新・前・元の4人が"裏金問題"を巡って論戦|TOKYO MX+(プラス)¹⁹³³³⁴
- 提出法案・政府への要請等 - 立憲民主党²⁰²¹
- 第204回国会 衆議院 総務委員会 第2号 令和3年1月26日 | テキスト表示²²
- 第217回国会 総務委員会 第4号(令和7年2月20日(木曜日))²³
- 第217回国会 安全保障委員会 第5号(令和7年4月4日(金曜日))²⁴
- 「#松尾あきひろ」のX(旧Twitter)検索結果 - Yahoo!リアルタイム検索²⁵
- kantei.go.jp - 国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプランに関する質問主意書²⁶
- kantei.go.jp - 羽田空港新飛行ルートに関する質問主意書²⁷
- 役員・規約 - 羽田低空飛行見直しのための議員連盟²⁸²⁹
- 松尾あきひろ【立憲民主党・東京7区(港区・渋谷区)】衆議院 ... - X³⁰³¹
- 婚姻の平等、トランスジェンダーの権利向上の実現へ議員立法を提出 - 立憲民主党³²
- 小池武志 on X: "高市新総裁が誕生 立憲民主党はどう向き合うのか ...³⁵³⁶
- 〖立憲ライブ〗「新入社員の皆さん、給与明細を一緒に見てみませんか?」松尾あきひろ×村田きょうこ - 立憲民主党³⁷³⁸
- 松尾 あきひろ (@matsuo.akihiro) • Instagram photos and videos³⁹
- 議案審議経過情報 - 衆議院⁴⁰
- 衆法 第217回国会 42 食料供給困難事態対策法の一部を改正する法律案⁴¹
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。