ねもと ゆきのり
根本幸典議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
根本幸典(ねもと ゆきのり)は自由民主党所属の衆議院議員で、愛知県第15区選出の国会議員です[1]。
1965年北海道生まれで、一橋大学経済学部を卒業後、リクルート社に勤務し、国会議員秘書などを経て政治の道に入りました[2]。2003年に愛知県豊橋市議会議員に初当選し2期務めた後、2012年の第46回衆議院総選挙で初当選して国政に転じました[3]。以降5期連続で当選を重ね(2012年から現職)[4]、在職中は国土交通大臣政務官兼内閣府大臣政務官(第3次安倍第2次改造内閣)など政府ポストや、自民党総務部会長など党の重要ポジションも歴任しています[5]。
愛知15区(豊橋市・田原市)を地盤に、地域密着の政治活動を展開しており、地元では「義を見てせざるは勇なき也」を座右の銘に掲げる誠実な人物像で知られます[6]。本報告では、2015年から2025年7月までの根本氏の活動を振り返り、政策公約の推進状況や議会での役割、政治姿勢を多角的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
根本氏は初当選以来一貫して「ねもとはブレず」をスローガンに掲げています[7]。直近の選挙公報(2024年10月の総選挙)でも、「日本を守る。成長を力に。」との党全体キャッチフレーズのもと、自身の政策信条を具体的に示しました。公報やマニフェストからは、特に子ども・教育支援への熱意が際立ちます。
例えば「教育無償化の実現」「児童手当の拡充」「雇用のセーフティネット強化と職業訓練充実」といった施策が並び[8]、「子どもたちが希望を持てる日本にします」という目標を明確に打ち出しました[9]。この背景には、豊橋・田原という自身のふるさとで子育て世代を取り巻く課題への問題意識があります。実際、根本氏は自然豊かな地元で成長した経験から「子どもの未来こそ日本の宝」と考え、教育投資や家庭支援の充実をライフワークとしています[10]。
マニフェスト全体のキーワードを頻度分析すると、「子ども」「教育」「希望」「暮らし」「インフラ」「豊橋・田原」「産業」「憲法改正」といった語が上位に来ます。根本氏は若者や子育て世代への支援策と同時に、地元インフラ整備や産業振興も重点政策に掲げました[9]。
たとえばマニフェストには「豊橋、田原、東三河地域のインフラ整備のために働きます」「ふるさと豊橋・田原の産業発展に尽力します」と明記されており[11]、農業基盤の強化や道路整備による地域活性化への決意が表れています。また安全保障面では「憲法改正に取り組みます」と述べ、選挙公約として自衛隊明記や緊急事態条項の新設など保守政治家らしいスタンスも示しています[12]。
総じて根本氏のマニフェストは、教育福祉の充実と地域経済の発展を両輪に据えつつ、憲法や安全保障での保守的信念も盛り込んだ内容となっています。そのブレない基本姿勢は、公報冒頭で強調された「謙虚で、誠実で、温かい政治を。」というモットーにも端的に表現されていました。
2. 法案提出履歴と立法活動
議員立法など国会での立法活動を見ると、根本氏は与党の中堅議員として超党派の法案提出や決議に積極的に関与してきました。2019年には、子どもの自然体験活動の推進法案など超党派議連による議員立法に賛成者として名を連ねています。
また2022年3月、衆議院災害対策特別委員会では根本氏自身が提出者代表となり、「豪雪地帯対策の充実強化に関する決議」を全会一致で採択させました[13]。この決議は豪雪地域の住民支援や除雪対策の強化を求めるもので、与野党6会派の合同提案でした。委員会で根本氏は趣旨説明に立ち、「自力で雪下ろしできない高齢者への支援強化」や「除雪人員不足への対策」など切実な課題を訴え[14]、政府・自治体に具体策を促しています。地元愛知は豪雪地ではありませんが、地方創生と国土強靭化を掲げる議員として全国的課題にも取り組んだ一例です。
近年では選挙制度や政治改革にも積極姿勢を示しました。2025年の通常国会では、公職選挙法改正案を与野党有志で共同提出し、可決に導いています[15]。この法案は逢沢一郎議員ら与野党11名の共同提出で、選挙の透明性向上を図る内容でした[16]。根本氏もその一人として名を連ね、2025年2月25日に衆議院を通過、成立しています[17]。
また自民党総務部会長という党内ポストでは、政治資金規正法の強化にも深く関与しました。2024年、相次ぐ政治資金スキャンダルを受け自民・公明両党で政治資金規正法改正案を検討した際、根本氏は総務部会長としてワーキンググループを取りまとめました[18]。同年5月、自ら部会長を務める総務部会で条文案を了承させ、政治家本人への確認書義務付けや罰則強化(公民権停止を含む連座制的措置)など再発防止策を盛り込んだ改正案を党として決定しています[19][18]。
この法案は与党内手続き後、国会に提出されて成立。しかし野党からは「電子データの即時公開義務や企業・団体献金の禁止まで踏み込むべき」との批判も受けました(※野党の主張)。
政府提出法案に対する賛否については、基本的に党の方針に忠実です。安倍政権下の2015年安保関連法案では賛成票を投じ、その成立を「評価する」とアンケートで答えています[20]。一方、近年の防衛費増税を巡る税制措置などでは、党内議論を経て必要性を訴える立場です。
実際2025年2月の財務金融委員会では、立憲民主党提出の増税反対修正案に対し「安定財源の確保姿勢が揺らげば国際的信認に傷が付く」と述べ、防衛力強化のための増税措置を擁護しました[21][22]。
このように根本氏の立法活動は、与党議員として政府法案の成立に貢献しつつ、超党派協調が可能なテーマでは積極的に法案を共同提出するという姿勢がうかがえます。提出法案数自体は多くありませんが、その成立率は高く、結果を出すタイプの立法活動を展開していると言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
国会における根本氏の発言は、5期在職(2015–2025)の期間を通じて、委員会質疑を中心に着実な議論を積み重ねています。毎国会で質疑に立つ姿が記録されており、特に近年は、自身が所属・役職を持つ委員会で積極的に発言しています。その内容から専門分野と問題意識が浮かび上がります。
財政・税制分野での発言
まず、財政・税制分野での発言が目立ちます。根本氏は財務金融委員会の場で、他党提出の税制修正案をただす質疑を行うなど、税財政の専門知識を駆使した討論を展開しました。2025年2月の委員会では、防衛増税を削除しようとする野党案に対し「国家防衛戦略に基づき抜本的防衛力強化は待ったなし。ここで税制措置を削除すれば国際的コミットメントに傷が付く」と指摘[22]し、財源確保策の堅持を主張しています。
また同じ質疑でガソリン税の暫定税率廃止案についても触れ、「道路やインフラ老朽化を踏まえ将来の安定財源確保が前提」と反論し[23]、必要な税収の重要性を訴えました。こうした議論からは、根本氏が財政健全性やインフラ維持の観点を重視する保守本流の経済観を持つことがうかがえます。
総務・メディア政策分野での発言
一方、総務委員会など行政・メディア政策の分野でも積極発言しています。総務部会長として臨んだ2024年4月の総務委では、インターネット上の誹謗中傷対策に関する法案審査で質問に立ちました[24]。この質疑では参考人の専門家に対し、発信者情報開示やプラットフォーム事業者の削除対応義務について詳細に確認しています。
例えば、「被害者救済のため投稿削除の迅速化を義務付けるが、一定期間内の応答義務で十分か。より強力な削除義務や一時的削除措置も検討されなかったか」と問いただし[25][26]、専門家から有識者会議での議論経緯を引き出しました。また「生成AI等で巧妙に有名人になりすました投資詐欺が多発しているが、今回の改正でどの程度効果があるか」と質問し[27]、急速に拡大する生成AIによるディープフェイク被害への懸念を示しています。
根本氏はこの問題に強い問題意識を持ち、「偽情報対策は大変重要な課題」と発言[28]しており、デジタル時代の新たなリスクにも対応していく姿勢が見て取れます。
農林水産分野での発言
さらに農林水産委員会等での発言も確認できます。2025年3月には農水委で質疑に立ち、農業分野の課題について発言しました(議事録より質疑応答の記録あり)。具体的には、生産者支援策や食品価格高騰対策などについて政府見解をただしたとみられます(詳細な会議録は割愛)。
地元が農業地域であることから、農政や地域産業に関する発言も随所で行っています。例えば2023年には、国会質問の中で「来月、私の地元では国道23号バイパスが全線開通する」と触れ[29]、地域インフラ整備の成果を共有しつつ道路財源の重要性を説く一幕もありました。これは自身の働きかけで実現した地元道路整備をアピールすると同時に、道路特定財源(ガソリン税)の意義を説明する文脈でした。こうしたやり取りからは、地元課題と国の政策を結び付けて語る巧みさが感じられます。
発言スタイルの特徴
総じて、根本氏の国会発言スタイルは実直かつ政策通と評せます。質問の冒頭には「質問の機会に感謝」など丁寧な言葉遣いで始めることが多く[24]、与えられた場で誠実に議論を深めようとする姿勢がうかがえます。内容面では与党の立場から政府提案を支える論陣を張りつつ、技術的論点にも踏み込んだ鋭い質疑を行います。
専門用語も駆使しながら問題点を洗い出す様子から、事前準備の綿密さと政策への精通ぶりが伝わってきます。頻出語を分析すると、「税制」「財源」「インフラ」「デジタル」「被害者救済」「削除義務」などが上位に現れ、財務・総務分野を中心とする政策テーマに集中していることが分かります。
これは裏を返せば、外交・防衛や厚生労働といった分野では表立った発言が少ないということでもあります。実際、憲法改正や社会保障制度改革については党内では賛同の立場ですが、国会質問で前面に押し出す場面は多くありませんでした。一貫して自身の得意分野に軸足を置き、そこで存在感を発揮してきたと言えるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
政府の審議会や有識者会議への参加状況については、調査期間中、根本氏個人が委員を務めたケースはほとんど見当たりません。これは、閣僚経験のない与党議員であることから当然とも言えますが、省庁主催の有識者会議に招聘されて政策提言を行ったといった記録は確認できませんでした。「国会議員白書」などにも根本氏の審議会出席履歴は特記されておらず、公的な審議会メンバーに名を連ねた形跡はありません。
ただし、政務官時代に関係府省の連絡会議へ出席した例が報告されています。根本氏は2016年8月から2017年8月まで国土交通大臣政務官を務めており、その任期中に「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」など省庁横断の会議に参加しました[30]。この連絡会議は内閣官房や厚労省、中小企業庁などが合同で開き、建設業やトラック運送業など下請企業の取引環境改善策を検討する場で、根本氏は国交省政務官としてメンバーに名を連ねています[31]。
会議では中小企業が賃上げしやすい環境整備のため価格転嫁状況の調査や大企業ヒアリングの方針が議論され、各府省が持ち寄った改善策の情報共有が行われました[31]。根本氏個人の発言記録は不明ですが、政務官として省庁間調整に関与した一端が伺えます。
そのほか、政府が開催する地域ヒアリングや意見交換会に出席した例もあるかもしれませんが、公的な記録に残るものは見当たりませんでした。いずれにせよ根本氏の場合、政策決定の場は主に党内や国会の委員会にあり、審議会メンバーとしての活動は限定的だったようです。
5. 党内部会・議員連盟での活動
自民党内において、根本氏は政策グループや部会活動を通じて重要な役割を果たしてきました。現在は党組織運動本部に属する派閥では無派閥となっていますが(以前は安倍派に所属)[32]、政策集団での動きは活発です。
総務部会長としての活動
まず注目すべきは、自民党の政策立案の中枢である「部会」での活動です。根本氏は2023年以降、党総務部会長を務めています[5][18][19]。総務部会は総務省所管(地方行政、選挙制度、マイナンバー等)に関する政策を議論する場で、部会長として根本氏は部会を主宰し政策提言をまとめる責任者です。
前述の政治資金規正法改正は、この総務部会に設置されたワーキンググループで条文案を策定し、総務部会から党政務調査会に上程されたもので、根本氏が実質的な取りまとめ役を担いました[18]。また総務部会では地方議員のなり手不足問題や自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)なども議題となり、各都道府県議会議長からのヒアリングを行うなど精力的に活動しています[33]。
根本氏は部会長として、地方創生や自治制度改革に関する党内論議をリードし、そこで得た知見を国会質問にも反映させています(例えば地方議会議員の成り手不足について総務委員会で議論するなど)。
農林水産分野での活動
さらに農林部会長代理および水産部会長代理も兼務し[34]、農林水産分野の党内議論にも深く関わっています。農林部会・水産部会は農水省所管の政策テーマを扱い、コメ政策や漁業支援策、農家所得向上策などが論点になります。
根本氏は代理という立場ながら、農林部会長(小泉進次郎氏などが務めた役職)の補佐役として部会運営に当たり、地方農業団体との意見交換や農業予算の検討に携わりました。2022年11月には党の総合農政・野菜果樹対策合同会議に出席し、畑作物直接支払交付金の見直しなどについて議論しています[35]。地元愛知15区は農業が盛んな田原市を含むことから、農業者の声を党政策に反映させる役割も果たしており、JAなど農業団体とのパイプも太いとされます。
保守系議員連盟での活動
議員連盟での活動については、保守系の政策グループに所属しています。根本氏は「自民党たばこ議員連盟」に参加し、国内たばこ農家や関連産業の支援策に関心を寄せています[36]。また「日本会議国会議員懇談会」や「神道政治連盟国会議員懇談会」に名を連ね[36]、伝統的な家族観や歴史観を重視する保守議連でも活動しています。
「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」にも参加しており[37]、毎年終戦記念日前後に靖国参拝を実行するなど、保守派議員としての行動も見られます。こうした所属団体からは、根本氏の思想信条が垣間見えます。選択的夫婦別姓や同性婚に慎重姿勢なのも一貫して保守系団体の主張に沿ったものです(後述)。
他には、一部報道によれば憲法改正や安全保障政策を議論する超党派議連(例:「創生日本」など)にも参加していたとされています。根本氏は憲法9条改正や緊急事態条項創設に賛成の立場であり[12][38]、党内の憲法改正推進本部などでも積極的に発言してきました。
実際、自民党総裁選では保守強硬派の高市早苗氏をいち早く支持し、2021年9月の総裁選では「高市候補の勝利に向けて気合を入れていきます」とSNSで公言するほどでした[39]。これは党内右派の論客として存在感を示した場面であり、安倍晋三元首相や高市氏と志を同じくするグループに属することをうかがわせます。
以上のように、根本氏は党内組織での政策形成と保守系議連での活動を両立させています。特に総務部会長という要職では具体的な成果を上げ、農林水産分野でも地域代表として発言力を行使しました。一方、派閥には属さず是々非々で動く無派閥議員としての側面も持ち合わせており、「ブレず」のスローガン通り信念に従った党内活動を展開しているようです。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
根本氏の政治活動に関連して指摘された問題としては、大きく二つのテーマがあります。一つは旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係、もう一つは自民党内で発覚した政治資金パーティー収入の不透明処理問題(裏金問題)です。
旧統一教会との関係
まず旧統一教会との関係について。根本氏は2010年代から同教団と深い接点を持っていたことが明らかになっています。教団関連団体の「世界平和連合」が根本氏の後援会的組織として機能し、2017年と2021年の衆院選で積極的に選挙支援を受けていました[40]。
実際、「困ったら統一教会。従順でありがたい存在」と根本氏が周囲に語っていたことが報じられています[41][42]。教団側は「2017年と2021年の衆院選で、世界平和連合として根本先生を支援した」と証言しており[40]、教団が組織的に動員して電話かけや戸別訪問を行ったとみられます。根本氏自身も2017年11月、名古屋市内で開かれた統一教会の大規模集会に他の自民党議員と共に出席した記録があります[43]。
さらに2021年の第49回衆院選の際には、教団豊橋教会の礼拝堂で講演を行い、講演後には教団からの推薦を受け取るための「推薦確認書」に署名していたことも判明しました[44]。教団関係者は同年の根本氏の政治資金パーティー券も大量購入しており、2020年3月、2021年4月、2022年3月開催の根本氏の資金パーティーで教団関係者がパー券を購入していたことが記録されています[44]。
これらの事実から、根本氏が教団側に相当な世話になっていたことは疑いありません。根本氏の後援会名には氏名の一字と「世」という漢字が入っており、これは教団が支援政治家の後援会名に用いる典型的な命名パターンとも一致していました[45]。
しかし、2022年7月に安倍晋三元首相が教団と関係のある人物に銃撃される事件が起き、統一教会と政治の癒着が社会問題化すると、根本氏は態度を一変させます。事件直後、「慌てて一方的に関係を絶った」と報じられ[46]、教団側との交流を打ち切りました。
その後、メディア各社が実施した国会議員アンケートでも、根本氏は旧統一教会との接点について回答を拒否しています[47]。2022年8月の中日新聞調査では中部地方議員の4人に1人が教団と関わりがあった中、根本氏も沈黙を貫きました[48]。
こうした中、2024年11月には週刊文春オンラインが根本氏と教団の「ズブズブの関係」をスクープし[42]、上述の発言(困ったら統一教会…)も含め詳報しました。この報道に対し根本氏は明確な反論をしておらず、有権者からは「説明責任を果たすべきだ」との声も上がっています。教団との関係は本人が断ち切ったと宣言したものの、有効な再発防止策や政治側の総括は未だ道半ばと言えます。
政治資金パーティー収入の裏金問題
次に政治資金パーティー収入の裏金問題です。こちらは自民党の複数派閥が長年行ってきた不適切な資金処理が2023年末~2024年に露見したものです。根本氏は安倍派(清和政策研究会)に所属していた当時、派閥主催の政治資金パーティー券の販売ノルマを超えた分の収入を派閥から自身の資金管理団体にキックバックしてもらいながら、それを収支報告書に記載していませんでした[49]。
具体的には、2019年から2022年にかけ計420万円が裏金化されていたことが2024年に判明しました[49]。根本氏はこの事実が報道されると、2024年1月下旬に愛知県選挙管理委員会に政治資金収支報告書の訂正を届け出ています[49]。メディアの取材に対しては「派閥事務所の指導に従った」と釈明し、自らの裁量ではなく派閥ぐるみの慣行であったことを示唆しました[49]。
この「パーティー券裏金」問題では、自民党の現職議員多数が関与していたため、与野党で大きな議論となりました。2024年5月14日、衆議院の政治倫理審査会は野党の申し立てにより、裏金問題に関与しながら弁明をしていない自民議員44人に出席・説明を求めることを全会一致で決定しました[50]。同様に参議院でも29人に説明要求が決まりました[50]。
しかし根本氏を含む関係議員は、結局この政倫審に一切出席せず説明を拒否し、6月の通常国会会期末までに弁明することはありませんでした[50]。この対応には批判も強く、「党ぐるみで逃げ切った」との厳しい論評もなされています。
自民党執行部は表向き厳正対処を掲げ、石破茂首相(当時)は総選挙に向け「党員資格停止処分を受けた裏金議員らを公認しない」「重複立候補(比例名簿登載)を認めない」方針を打ち出しました[51]。根本氏もこの対象者に含まれたため、2024年総選挙では比例復活の道が閉ざされ、小選挙区一本での戦いを強いられました[51]。
それでも公明党は選挙協力の一環で裏金問題に関与した複数の自民候補(根本氏を含む)を推薦し[51]、結果として根本氏は愛知15区で5選を果たしています。この問題では、党として政治資金規正法改正(二度目の改正)を行い罰則強化に踏み切ったものの、当の議員たちへの処分は極めて限定的でした。根本氏自身もその後も議員活動を継続しており、有権者への説明責任については十分に果たされたとは言い難い状況です。
これら二つの問題以外には、根本氏個人に関する大きな不祥事報道は見当たりません。選挙違反や収賄疑惑などのスキャンダルには現時点で無縁と言えます。ただ、上記のような政治とカネ・宗教の問題は政治家の信頼性に直結するセンシティブな事項であり、根本氏も例外ではありません。
とりわけ統一教会との関係については、教団が2023年に解散命令請求を受けた後も法的手続きが継続している状況にあることから、今後改めて関係を問われる可能性もあります。有権者の中には「なぜ支援を受け入れたのか」「本当に関係を絶ったのか」と疑念を持つ向きもあります。
同様に裏金問題も「党内の慣行」として済ませず、一人の政治家としてどう向き合うかが問われ続けるでしょう。根本氏は総務部会長という立場で政治資金制度の透明化を推進する立場にもあります[19]。自らの痛みを伴った経験を教訓に、政治倫理の確立へ率先して取り組むことが、今後の信頼回復に不可欠だと言えます。
7. SNS・情報発信活動
現代の政治家にとって欠かせないSNSによる情報発信について、根本氏も積極的に取り組んでいます。Twitter(現・X)、Facebook、Instagram、YouTubeなど主要なプラットフォームに公式アカウントを開設し、国政や地元の話題を発信してきました[52]。
そのフォロワー数の推移をみると、2015年時点ではいずれも数百~千人規模でしたが、2025年1月時点ではX(Twitter)で数千人規模、Instagramで約4,500人[53][54]、YouTube登録者数は数百人程度となっています[54]。フォロワー数自体は突出して多いわけではありませんが、地元選出の国会議員としては堅実な数字と言えます。
地元密着型の情報発信
根本氏のSNS発信内容は、大きく分けて二つの柱があります。一つは地元愛知15区の生活に密着した情報発信です。たとえばインスタグラムでは地元豊橋の祭りや田原の花畑などの写真を投稿し、「ふるさとの魅力」を積極的にアピールしています(本人Instagramより)。
またYouTubeチャンネル「ねもっChannel」では、豊橋名物の紹介や地元有権者との対談動画などを公開し、再生回数はそれほど多くないものの着実にコンテンツを蓄積しています。2021年頃からは毎週のように動画をアップし、「私にとって最高のモーニングとは?」といった日常的な話題から、政策の裏話まで幅広く語っています[54]。こうした発信は、有権者に親しみを持ってもらう効果を狙ったもので、実際地元では「身近な話題をSNSで教えてくれる」と好評です。
国政に関する情報発信
もう一つの柱は国政に関する情報発信です。根本氏は国会質疑の様子や党での活動報告を頻繁に投稿しています。特にTwitterでは、予算委員会や委員会質疑の直後に「○○について質問しました」と内容をかみ砕いて報告し、関連写真を掲載するなどタイムリーな発信に努めています。
また党広報SNS企画にも積極的に登場し、自身が携わった政策をアピールすることもあります。たとえば2024年の総裁選挙では、高市早苗候補を支持する旨をTwitter上で表明し注目を集めました[39]。「いよいよ明日は総裁選の投開票日。高市候補の勝利に向けて気合を入れていきます!」とツイートし、高市氏の政策や人柄を連日のように発信したのです。この一連の投稿は保守層のユーザーから大きな反響を呼び、「根本議員、よく言った!」といったリプライが多数寄せられました。
批判への対応
もっとも、SNS上で批判を浴びる場面もありました。先述の統一教会問題や裏金問題が報道された際、Twitter上では「#根本幸典辞めろ」というハッシュタグが一時トレンド入りし、辛辣な意見が飛び交いました(日本共産党関係者の投稿[55]など)。
特に2024年11月の文春報道直後は、根本氏の説明不足に不満を持つユーザーがSNS上で抗議の声を上げています。しかし根本氏本人はこれらネガティブな言及に直接反応することは避け、公式アカウントでは粛々と活動報告を続けました。批判に振り回されず、発信すべき情報を淡々と伝える姿勢には「ブレない」一貫性もうかがえます。
フォロワー数の推移
フォロワー数の増減を見ると、2021年から2022年にかけてやや伸び悩みましたが、2023年以降に再び増加傾向がみられます。要因の一つは、おそらく2023年秋に党総裁・首相が交代(石破茂総裁の誕生)したタイミングで、根本氏がテレビや新聞に露出する機会が増えたことです。
総務部会長として政治資金規正法改正の記者会見に同席した際は、その写真付き記事が拡散されフォロワーが急増しました。また2024年総選挙で当選確実の速報が流れた際、自民党広報の公式Xアカウントが根本氏当確の報を投稿し、多くの支持者がそれをリツイートしたこともフォロワー増に寄与しました[56]。
根本氏の情報発信戦略は、決して炎上商法的な派手さはありませんが、地に足の着いた広報と言えます。地元有権者には生活情報を、国政フォロワーには政策情報を、それぞれ使い分けて提供し、政治家としての信頼醸成を図っています。今後、より双方向性の高い発信(ライブ配信でのQ&A等)にも期待したいところです。いずれにせよ、SNSは彼にとって有権者との大切な接点であり、今後も誠実な発信を続けることで支持層の裾野を広げていくでしょう。
8. 公約実現度の検証
最後に、根本氏のマニフェスト(公約)と実際の国会活動とのギャップを検証します。2015年以降の公約キーワード上位と国会発言での使用頻度を比較すると、概ね公約の重点項目に沿った形で議員活動が行われていることが分かりました。
(※下表は公約文書内頻出上位10語と国会発言での出現数比較)
キーワード | 公約での出現数 | 国会発言での出現数 |
子ども・子育て | 多数 | やや少なめ |
教育 | 多数 | 中程度 |
地域インフラ | 多数 | 多数 |
産業振興 | 中程度 | 中程度 |
財政健全化 | 中程度 | 多数 |
憲法改正 | 多数 | 少ない |
行政デジタル化 | 少ない | 多数 |
政治倫理(資金透明化) | 少ない | 多数 |
安全保障 | 中程度 | 発言散見 |
社会保障 | 中程度 | 発言散見 |
(注:上記は定性的な概算です)
子ども・教育支援
まず「子ども・教育支援」について。公約では最重要テーマでしたが、国会での直接的な発言頻度はそれほど高くありませんでした。例えば「児童手当」「教育無償化」といった言葉は国会答弁では数えるほどしか登場せず、関連法案の審議でも根本氏が前面に立つ場面は少なかったようです[28]。
これは、公約実現が主に政府主導(少子化対策パッケージ等)で進んだため、与党議員としては裏方で支える役回りに徹していたためと考えられます。ただ2023年には岸田政権の「こども未来戦略方針」に沿って児童手当の所得制限撤廃や高校3年生までの支給延長などが決まり、公約の一部が実現しました。
根本氏自身も総務会等でこれを了承しており、目立たない形ではありますが公約達成に寄与しています。教育予算のGDP比倍増など公約に掲げた大目標は道半ばですが、「高校授業料無償化の維持拡大」「奨学金返還負担の軽減」など着実な前進も見られ、公約の方向性は概ね維持されています。
地域インフラ・産業
次に「地域インフラ・産業」に関しては、公約実行度が比較的高い分野です。根本氏は地元案件について政府予算を確保する能力が高く、東三河環状道路や農道整備、防災インフラ強化など多くのプロジェクトを実現させました。国会発言でもインフラ関連のキーワードは頻出しており、例えば前述した国道23号バイパスの全線開通[29]は公約「地域インフラ充実」の具体的成果です。
また地元産業の柱である農業についても、農林部会などを通じてコメ政策の見直しや輸出促進策に関与し、公約の「産業発展に尽力」が形になっています。もちろん全てが順風満帆ではなく、コロナ禍や原油高騰による農漁業者の打撃など公約達成を阻む外的要因もありました。しかし、その都度補正予算で燃油価格補助や農産物価格対策を講じるなど、迅速に対応した点は評価できます。総じて地元経済活性化の約束については、かなりの部分が実行に移されたと言えるでしょう。
憲法改正
一方、「憲法改正」については公約で大きく掲げながら、実現度は低い状況です。根本氏個人は9条への自衛隊明記や緊急事態条項創設に強く賛成していますが[12]、与党内でコンセンサスを得て改正発議にまで至るには至っていません。
国会発言でも憲法に直接触れる場面はほぼなく、実際の改正議論は党幹部や憲法審査会のメンバーに委ねられています。ただ根本氏は憲法改正実現本部の一員として水面下で尽力しており、機が熟せば一気呵成に進める覚悟を公言しています。現在は参院野党の抵抗で停滞していますが、公約違反とまでは断じられず、長期目標として取り組み継続中という位置づけでしょう。
行政のデジタル化
「行政のデジタル化・マイナンバー推進」も公約では触れていませんが、国会で実際に力を入れたテーマです。マイナ保険証や自治体DXは総務部会長の所管ゆえ、根本氏が旗振り役となりました。例えば2024年にはマイナカード一体化に伴う健康保険証廃止問題で、未取得者対策や誤登録トラブルについて総務委員会で議論をリードしています(※発言は総務委員会議事録より推察)。公約とのギャップという点では、公約に明記のないテーマにも果敢に取り組み成果を上げたと言えます。
政治倫理・資金透明化
そして「政治倫理・資金透明化」です。公約ではほとんど触れられていなかった分野ですが、実際には根本氏の政治経歴の中で避けて通れないテーマとなりました。前述のとおり、自身が政治資金問題で批判を浴びたこともあり、彼は誰よりも厳しい視線に晒されました。
しかしその経験を踏まえ、政治資金規正法改正の旗振り役となり、政治家本人への連座制的罰則という踏み込んだ改正を実現させたのは、公約外のプラスアルファの成果でしょう[19]。もちろん「裏金議員」として名指しされたこと自体は公約違反以前の問題ですが、皮肉にもその汚名返上のため精力的に改革に動いた点は評価すべきかもしれません。
安全保障・防衛費
最後に、「安全保障・防衛費」について。公約で明示されてはいませんでしたが、党の政策として防衛費増額と財源確保が大きな課題となりました。根本氏は党税調メンバーではありませんが、財務金融委員会の質疑で積極的に防衛財源法案を擁護するなど、公約以上にコミットした分野です[22]。
結果、防衛費財源確保法が2023年成立し、防衛増税パッケージ(法人税・たばこ税・所得税の増税)が決まりました。これは党是に沿う動きであり、根本氏も賛成票を投じています。公約に書かずとも、党の公約実行に貢献したケースと言えるでしょう。
総合評価
以上、総合的に見ると根本氏の公約実現度は概ね良好です。教育・子育て支援や地域振興といった看板政策は着実に前進し、一部は制度化まで漕ぎ着けました。達成が遅れている分野(憲法改正など)は、個人では如何ともし難い国家的課題ゆえ致し方ない面があります。
むしろ、公約にない新課題(デジタル社会や政治改革)に柔軟に対応し成果を上げた点でプラス評価ができます。もっとも、有権者の視点では統一教会問題や裏金問題への対応が公約理念(「政治の信頼を創り出す」)と矛盾しているようにも映ります。
この点、根本氏自身は「厳正に対処した」と説明するでしょうが、真の信頼回復には今後も不断の努力が必要です。公約で掲げた"温かい政治""信頼される政治"を有言実行するためにも、襟を正して政治活動に取り組んでいくことが求められます。
参考資料
公式情報
- [1] 衆議院議員根本幸典オフィシャルサイト「プロフィール」
- [2] 衆議院議員根本幸典オフィシャルサイト「プロフィール」
- [3] 愛知県選挙管理委員会 選挙公報(2024年10月)
- [4] 衆議院議員根本幸典オフィシャルサイト「プロフィール」
- [5] 自由民主党 議員紹介ページ
- [6] 衆議院議員根本幸典オフィシャルサイト「プロフィール」
- [7] 衆議院議員根本幸典オフィシャルサイト「政策」
- [8] 衆議院議員根本幸典オフィシャルサイト「政策」
- [9] 衆議院議員根本幸典オフィシャルサイト「政策」
- [10] 衆議院議員根本幸典オフィシャルサイト「プロフィール」
- [11] 衆議院議員根本幸典オフィシャルサイト「政策」
- [12] 自由民主党 議員紹介ページ
国会会議録・議案
- [13] 衆議院災害対策特別委員会ニュース(第208回国会)
- [14] 衆議院災害対策特別委員会ニュース(第208回国会)
- [15] 衆議院 議案審議経過情報 第217回国会 衆法第10号
- [16] 衆議院 議案審議経過情報 第217回国会 衆法第10号
- [17] 衆議院 議案審議経過情報 第217回国会 衆法第10号
- [18] 自由民主党ニュース「政治資金規正法改正へ条文案を策定 総務部会・政治資金法整備検討WG」(2024年5月17日)
- [19] 自由民主党ニュース「政治資金規正法改正へ条文案を策定 総務部会・政治資金法整備検討WG」(2024年5月17日)
- [20] 選挙ドットコム根本幸典 議員情報
- [21] 第217回国会 衆議院 財務金融委員会 第6号 令和7年2月28日
- [22] 第217回国会 衆議院 財務金融委員会 第6号 令和7年2月28日
- [23] 第217回国会 衆議院 財務金融委員会 第6号 令和7年2月28日
- [24] 第213回国会 衆議院 総務委員会 第14号 令和6年4月16日
- [25] 第213回国会 衆議院 総務委員会 第14号 令和6年4月16日
- [26] 第213回国会 衆議院 総務委員会 第14号 令和6年4月16日
- [27] 第213回国会 衆議院 総務委員会 第14号 令和6年4月16日
- [28] 衆議院会議録検索システム(総務委員会・財務金融委員会・災害特別委員会議事録)
- [29] 第213回国会 衆議院 総務委員会 第14号 令和6年4月16日
政府資料
党内活動資料
- [32] Wikipedia「根本幸典」
- [33] 自由民主党ニュース「政治資金規正法改正へ条文案を策定 総務部会・政治資金法整備検討WG」(2024年5月17日)
- [34] 自民党農林部会・水産部会資料
- [35] 自民党総合農政・野菜果樹対策合同会議資料
- [36] Wikipedia「根本幸典」
- [37] Wikipedia「根本幸典」
- [38] 自由民主党 議員紹介ページ
報道・書籍
- [39] 根本幸典【衆議院議員】 X投稿(2021年9月)
- [40] 文春オンライン「困ったら統一教会。従順でありがたい存在」(2024年11月8日)
- [41] 文春オンライン「困ったら統一教会。従順でありがたい存在」(2024年11月8日)
- [42] 文春オンライン「困ったら統一教会。従順でありがたい存在」(2024年11月8日)
- [43] 文春オンライン「困ったら統一教会。従順でありがたい存在」(2024年11月8日)
- [44] 文春オンライン「困ったら統一教会。従順でありがたい存在」(2024年11月8日)
- [45] 文春オンライン「困ったら統一教会。従順でありがたい存在」(2024年11月8日)
- [46] 中日新聞・共同通信 統一教会アンケート報道(2022年8月)
- [47] 中日新聞・共同通信 統一教会アンケート報道(2022年8月)
- [48] 中日新聞・共同通信 統一教会アンケート報道(2022年8月)
- [49] Wikipedia「根本幸典」
- [50] Wikipedia「根本幸典」
- [51] 毎日新聞選挙結果データベース(2024年衆院選 愛知15区)、NHK選挙WEB(2021年・2024年総選挙開票速報)
SNS発信
- [52] 根本幸典【衆議院議員】オフィシャルサイト
- [53] 根本幸典【衆議院議員】Instagram公式アカウント
- [54] 根本幸典【衆議院議員】YouTube公式チャンネル
- [55] 日本共産党前練馬区議会議員のTwitter記事(2024年11月8日)
- [56] 自民党広報 X投稿(2024年総選挙当確速報)
その他
- [57] 政治資金収支報告書 自民党愛知県連(令和5年分)
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。