もりした ちさと
森下千里議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
森下千里(もりした ちさと、1981年9月1日生まれ)は、元タレントという異色の経歴を持つ自由民主党所属の衆議院議員です<sup>1</sup>。愛知県名古屋市出身ながら、東日本大震災を契機に宮城県石巻市との関わりを深め、2021年4月に同市に移住して復興支援に携わり、その経験から政治を志しました<sup>2</sup>。
2019年末に芸能界を引退し本格的に政治活動を開始、2021年の第49回衆院選では宮城5区から立候補しましたが、61,410票を得るも立憲現職の安住淳氏に敗れ、比例復活も次点で惜敗しました<sup>3</sup>。しかし落選後も地元で「辻立ち」を継続的に続けて草の根の支持を培い<sup>4</sup>、2024年10月の第50回衆院選では自民党比例東北ブロック単独2位の優遇順位で初当選を果たしました<sup>5</sup>。
当選後は1期生ながら党内で頭角を現し、2025年10月21日に発足した高市早苗内閣で環境大臣政務官に就任するスピード出世を遂げています<sup>4</sup>。本レポートでは、2015年から2025年にかけての活動を中心に、森下議員の政治家としての歩みと特徴を包括的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
「幸せをかたちに」。森下千里氏が掲げたこのキャッチフレーズには、被災地石巻で培った"現場主義"で地域住民の幸せを具体的に実現したいとの思いが込められていました<sup>5</sup>。直近の選挙公報や公式サイトからは、医療・福祉、子育て支援、地域産業振興、地方創生、防災と復興といった幅広い政策分野に渡る公約の全体像が浮かび上がります。
健康長寿に向けた医療福祉
その内容をひもとくと、まず「健康長寿に向けた医療福祉」を掲げ、地域医療体制の充実(医療重点区域の設置や遠隔医療の推進)、介護人材の処遇改善、予防医療の拡大など高齢社会への対策が柱となっています<sup>6</sup>。
女性活躍社会と子育て環境の整備
次に「女性活躍社会と子育て環境の整備」として、結婚・妊娠・出産・子育てに切れ目ない支援や教育投資の拡大、男女の機会格差をなくすルールづくり、ひとり親家庭への支援強化など、少子化対策とジェンダー平等を重視する姿勢が打ち出されています<sup>7</sup>。
農林水産業・地域産業の活性化
さらに「農林水産業・地域産業の活性化」では「稼げる農業漁業」の実現に向け担い手育成や生産基盤強化、6次産業化(製造・加工・販売の連携推進)による付加価値創出を訴え<sup>8</sup>、「持続的に発展する地域社会づくり」として交通インフラ整備や地方への財源移譲、観光振興、そして「復興の完遂と防災力向上」により震災からの復興仕上げと防災インフラ強化を約束しました<sup>9</sup>。
公約の特徴
これら公約キーワードの上位には「復興」「支援」「地域」「農業」「防災」「子育て」などが並び、彼女の政治姿勢が被災地の再生と地域住民の生活向上に強く根差していることが読み取れます。実際、本人も「地域が抱える課題に寄り添い、机上の空論でなく現場発の政策を形にする」と繰り返し訴えており<sup>10</sup>、経営者・母親目線も活かした生活密着型の政治を信条としているようです。
2. 法案提出履歴と立法活動
森下議員の立法活動を振り返ると、初当選後まだ日が浅いこともあり、議員立法の提出実績は確認されていません(2024~25年の国会で森下氏が提出者に名を連ねる法案は見当たりませんでした)。しかし与党議員として各種政府提出法案の審議に積極的に参加し、政策実現に貢献しています。
農林水産分野での質疑
特に注目すべきは、農林水産分野や社会保障分野での質疑です。例えば2025年3月18日、衆議院農林水産委員会で土地改良法改正案や棚田地域振興法改正案など農政関連法案が審議された際<sup>11</sup>、森下氏は委員として初質問に立ちました。
同委員会では震災被災農地の復興状況や農業基盤整備の予算拡充策が議題となり、森下氏は被災地石巻の実情を踏まえた問題提起を行っています。質疑冒頭では「先週、3月11日で震災から14年。宮城の農地は津波や塩害で甚大な被害を受けたが復興は着実に進んでいる」と前置きし、東松島市宮戸地区で漁師たちが津波被災田を果樹園に転用して桃の栽培に成功し地元名産になっている例や、塩害に強い大麦でクラフトビールを製造する試みなど、新たに生まれた復興プロジェクトを紹介しました<sup>12</sup>。
その上で「自然災害の頻発化で農業水利施設の老朽化対策や改良復旧を迅速化する『急施事業』の拡充が急務」と指摘し、政府側に具体策の説明を求めています<sup>13</sup>。森下氏の質問に対し農水省担当者は、老朽パイプラインの予兆段階補強や被災設備の予防的改良を迅速化する制度拡充について答弁しました<sup>14</sup>。森下氏は「こうした制度は多くの方に周知することが重要」と訴え、防災情報の発信強化も要望しています<sup>15</sup>。この質疑を通じ、被災地の教訓を全国の農業防災政策に活かすという森下氏の狙いが伝わってきます。
年金制度改革での質疑
また、2025年5月には厚生労働委員会で年金制度改革法案(「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化法案」)の審議に参加しました<sup>16</sup>。森下氏は「少子高齢化が進む中、将来本当に年金を受け取れるのかという不安が現役世代にある」と問題提起し、公的年金制度の意義をただす基本論から質疑を開始しました<sup>17</sup>。
続いて、年金財政を支える社会保険料の労使折半方式に言及し「企業は賃金の15~20%相当を負担して従業員を守っているが、中小企業には重い」と指摘<sup>18</sup>。今回の法案で適用拡大される企業規模要件の引き下げに伴い、「地方の零細企業にも事務負担とコスト増の懸念がある」と訴え、政府に中小企業への配慮策を質しました<sup>19</sup>。
さらにパートやアルバイトで働く主婦など新たに社会保険に加入する人々への影響にも目を向け、「被扶養配偶者だった人が保険料負担を負うことでどんなメリット・デメリットがあるのか」と質問<sup>20</sup>。森下氏自身「党の部会でも繰り返し提起した」というキャリアアップ助成金による支援策についても、「メニューが多すぎてわかりづらい。制度自体を国民が理解していない」と苦言を呈し、仕組みの簡素化や周知徹底を求めました<sup>21</sup>。
終盤では、「周知のため対話集会やYouTubeでの情報発信に努めたい」と自ら広報役となる決意も述べ<sup>22</sup>、「男女差をなくすことは大切」「子育てへの支援強化も重要」と年金制度と少子化対策を結びつける視点で締めくくりました<sup>23</sup>。
防衛省予算に関する質疑
このように森下氏は新人議員ながら与党の一員として政府提出法案の細部にまで踏み込み、地方や生活者の目線で問題点を指摘して改善を促す役割を果たしています。なお、2025年2月27日の予算委員会分科会では防衛省予算に絡み、自衛官の処遇改善やフィリピンへの防衛装備品移転など安全保障分野についても具体的な質問を行いました<sup>24</sup>。この質疑は、防災・復興だけでなく国防や国際協力にも関心を寄せる一面を示すもので、森下氏の政策領域の幅広さを物語っています。
3. 国会発言の分析
初当選からわずか半年余りとはいえ、森下議員は国会内で存在感を示しつつあります。2024年11月の初登院以降、2025年7月までに本会議や委員会での発言回数は十数回に上り、発言文字数は延べ数万字規模に達します(国会会議録ベースの推計)。質疑の場は主に所属委員会である農林水産委員会や厚生労働委員会、予算委員会第一分科会などで、いずれも与党議員として質問に立つ形でした。
発言内容の特徴
発言内容をテキストマイニングすると、「復興」「防災」「農業」「年金」「中小企業」「地域」「支援」といった言葉が頻出しており、重点政策と発言テーマが合致していることが分かります。実際、前述のように彼女は農水委員会で震災復興事業や農業インフラ、防災対策について熱心に問いただし<sup>25</sup>、厚労委員会では年金改革で地方の中小企業や非正規労働者への影響を細やかに拾い上げました<sup>20</sup><sup>22</sup>。こうした発言から浮かび上がる専門分野は、やはり被災地の復興・防災と地域経済・社会保障です。
質疑スタイル
森下氏の質疑スタイルは、まず自身の経験や地元の具体例を紹介して問題提起し、その上で政府の見解を質すという構成が特徴的です。例えば農水委での初質問では、桃や綿花のプロジェクトの微笑ましい成功談を語った後に「とはいえ人口減少とインフラ老朽化で農業は厳しい現実」とトーンを変え、本題の防災事業拡充について質問を展開しました<sup>14</sup><sup>15</sup>。
厚労委では「おはようございます。自由民主党、森下千里です」と丁寧に切り出しつつ、年金への漠然とした不安という国民目線の論点から議論をスタートしています<sup>19</sup>。相手から回答がある度に「ありがとうございます」と応じながら次の質問につなげる姿勢も一貫しており<sup>26</sup>、初質疑とは思えない落ち着いた応対ぶりでした。
発言全体に目を向けると、言葉遣いは終始ていねいで謙虚さを保ちつつ、自身の意見や問題意識ははっきりと述べるメリハリがあります。また、「私も広報に力を注いでまいりたいと思います」<sup>27</sup>「先輩方のご指導を賜りながら…持続的な農業の実現に頑張っていきたい」<sup>28</sup>など、自らの役割を前向きに位置づける発言が散見されるのも印象的です。新人議員らしい謙虚さと、タレント出身ならではの発信力の高さを併せ持った議場での振る舞いと言えるでしょう。
ジェンダー政策に関する発言
頻出語からは森下氏の関心領域が透けて見えますが、一方で公約に掲げた「女性活躍」関連の言及は国会内では多くありません。選択的夫婦別姓や同性婚といった論題については、森下氏はNHKアンケートで導入反対を明言しており<sup>29</sup>、委員会でもこれらを推進する趣旨の発言は確認されませんでした(所属委員会のテーマ的にも取り上げる機会がなかった可能性があります)。
彼女の場合、ジェンダーや家族制度に関するスタンスは保守的ですが、そうした主張を国会で前面に出すよりは地域課題や社会保障に重点を置いて発言している様子です。総じて、森下千里議員の国会発言は回数こそ多くないものの、その中身は地元と国政を結ぶ懸け橋のような具体性と説得力を備えており、新人ながら委員会質疑で確かな足跡を残し始めていると言えるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査した範囲では、森下議員が政府の審議会や有識者会議のメンバーを務めた記録は見当たりません(少なくとも2015~2025年7月の間に森下氏の名前が議事録に登場する省庁審議会は確認できませんでした)。初当選から1年未満で政務官就任前というタイミングを考えれば、これは不自然ではないでしょう。新人議員が政府の諮問機関に加わるケースは稀であり、森下氏もまずは国会内の活動に注力していたと考えられます。
今後の展望
ただし、環境大臣政務官への起用を機に環境省の会議や現場視察に出席する機会が今後増えると予想されます。実際、2025年10月の政務官就任報告では「気候変動や資源循環、そして熊の出没被害やメガソーラー問題など地域の環境課題に取り組む」と抱負を述べており<sup>30</sup>、専門分野でなかった環境行政にも意欲を見せています。政務官就任後には各種の環境政策会議や地域協議の場に森下氏が姿を見せ、意見具申を行う姿が報じられるかもしれません。分析期間内には具体例を挙げられませんでしたが、今後そうした活動が展開される可能性が高いことを付記しておきます。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党組織内での森下議員の動きを追うと、その活発さがうかがえます。まず自由民主党の部会活動では、農林水産分野や女性政策分野での関与が目立ちます。
水産部会での活動
2025年5月、自民党の水産部会・水産総合調査会の合同会合で、石破茂首相と小泉進次郎大臣に対し漁業政策に関する提言を申し入れる席にも名を連ねました<sup>31</sup>。東北比例選出として地元水産業の振興に熱心に取り組んできた森下氏にとって、水産部会での提言は自身の公約「稼げる農林水産業」<sup>9</sup>を党内で実現に近づける重要な一歩だったと言えます。石巻は牡蠣養殖など水産が盛んな土地柄でもあり、森下氏は地元漁協や水産業者の声を党政策に反映すべく奔走してきました。その成果が、党本部への提言という形で表れたのでしょう。
女性議員ネットワークでの活動
一方、党内の女性議員ネットワークにも積極的に参画しています。森下氏は当選直後から自民党女性局や女性議員の勉強会に顔を出し、2025年6月には政府の「女性版骨太の方針2025」に向けた党提言の取りまとめにも関与しました<sup>31</sup>。自身がまだ国政で女性活躍推進策を提案する機会は限られていましたが、党内では同世代の女性議員たちとともに、出産・子育て支援や職場での男女平等策などについて意見交換を重ねています。
党所属の女性議員向け研修プログラム「女性未来塾」に参加したほか<sup>32</sup>、メディア向けにも女性議員としての視点を発信しています(党機関紙コラムで地元宮城の子育て環境改善策に触れるなど<sup>33</sup>)。これらの活動を通じ、森下氏は"被災地代表"という顔だけでなく"働く女性代表"としても党内に存在感を示し始めています。
議員連盟について
議員連盟(議連)については、公的な加入リストが公開されていないため詳細は不明ですが、趣味の釣り関係や防災士の資格を生かせる防災減災系の議連があれば、森下氏が関心を寄せていても不思議ではありません。現時点で確認できる範囲では特定の議連での活動は報じられていませんが、今後経験を積む中で超党派の活動にも広がりを見せる可能性があります。党内ではまず部会で実績を積み、議連にはタイミングを見て参加するのが通例であり、森下氏も同様の道を歩んでいるように思われます。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
森下千里議員に関して、これまで大きな不祥事やスキャンダルの報道はありません。政治資金面でも、少なくとも公職選挙法や政治資金規正法に抵触するような問題は確認されていません。
資産報告書
2025年4月に公開された資産報告書では、森下氏の資産は「ゼロ(不動産なし、預貯金公開対象外)」とされ、保有株式が航空会社株など4社分ある程度でした<sup>34</sup>。この「資産ゼロ」は新人議員として特段の蓄財がないことを示すもので、政治とカネをめぐるスキャンダルとは無縁なクリーンさがうかがえます。
Instagram炎上事件
しかしながら、一部で物議を醸した出来事がなかったわけではありません。2024年10月の当選直後、森下氏が自身のInstagramに「選挙はダイエット効果があるようです。痩せたねーと心配していただきました」と書き込んだ投稿が批判を招きました<sup>35</sup>。比例復活の新人議員が初当選後に発したこの軽い冗談めいた発言に対し、SNS上では「自覚が足りない」「早速くだらないことを言っている」といった辛辣なコメントが寄せられ<sup>36</sup>、一時"炎上"状態となったのです。
森下氏は選挙戦で連日街頭に立ち体重が落ちた事実をユーモア交じりに伝えたつもりでしたが、タレント議員への厳しい視線もあって揚げ足を取られる形となりました。この件では、本人も不用意さを反省したようで、その後の投稿では政策や地元活動に話題を絞りイメージ回復に努めています。
食料自給率の定義を答えられなかった件
また、当選前の2022年1月にはネット番組で「食料自給率」の定義を答えられずに赤面するハプニングもありました<sup>37</sup>。ニコニコ生放送でひろゆき氏(西村博之氏)に「自給率ってどういう意味?」と問われた森下氏は「国内で消費するものを国内で…」と言葉に詰まり、最終的に「頭が真っ白になってしまいました、すみません」と苦笑いで謝罪したのです<sup>38</sup>。この様子はネット上で拡散され、「勉強不足では」と批判も受けました。
ただ、森下氏はこの失敗を教訓に政策知識の習得にいっそう励んだようで、その後の国会質疑では同様の失態は見られません。むしろ専門用語にも臆せず挑み、分からないことは率直に官僚や大臣に質す姿勢で信頼を取り戻しているように見受けられます。
企業・団体献金について
総じて、森下議員の政治活動に致命的な瑕疵は現時点で報告されていません。元芸能人ゆえの注目度ゆえ、小さな発言が誇張され批判される場面はありますが、本人は真摯に受け止め改善に努めています。企業・団体献金の受取に関しても「禁止に反対」の立場を明確にしており<sup>39</sup>、現行制度の範囲内でオープンな資金活動を行っていると考えられます。
むしろ、こうした姿勢が評価され2024年の比例候補選定でもクリーンな新人枠として優遇された背景があるようです<sup>40</sup>。いずれにせよ、有権者の厳しい目に晒されながらも大きな問題を起こしていない点は、森下氏の政治家としての真面目さと誠実さを示すエピソードと言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
タレント出身の森下千里議員は、SNSやメディア発信の得意さでも知られます。本人はTwitter(現X)、Facebook、Instagram、ブログ、YouTubeなど複数の媒体を駆使し、選挙前から積極的に情報発信を続けてきました<sup>41</sup>。
SNSでの発信活動
特にX(旧Twitter)では選挙期間中も地道な活動報告を重ね、当選後も地元石巻での街頭演説や視察の様子、国会内での取り組みをこまめに投稿しています。そのフォロワー数は当選直後に大きく伸び、2025年現在も数万人規模に達しているとみられます(公式アカウント「@ChiiChiiiii」の自己紹介欄には「環境大臣政務官」「宮城↔東京」「母と猫と石巻在住」と記載)<sup>42</sup>。Instagramでは写真を中心に発信し、地元の風景や特産品、子ども食堂を訪れた際の笑顔など親しみやすい投稿で支持者との交流を図っています。
発信の特徴
森下氏の情報発信の特徴は、明るく前向きなメッセージと現場感あふれる内容です。例えば2025年2月の寒い朝には「辻立ちしてから東京へ。おにぎりは鮭に戻りました」とユーモアを交えて日常の活動を綴りつつ<sup>43</sup>、その後の投稿で「クマ被害対策は捕獲一辺倒でなく森林管理・餌場対策・住民教育の総合政策が必要」と環境政務官らしい政策提言も発信しています<sup>30</sup><sup>44</sup>。
このように日常と政策を織り交ぜた投稿スタイルは、有権者に親近感を抱かせると同時に、自身の政策眼をアピールする狙いがあるのでしょう。実際、地元紙や党広報誌のインタビューでも「SNSで寄せられる地域の声を政策に役立てたい」と語っており、双方向コミュニケーションを大切にしている様子がうかがえます。
炎上への対応
もっとも前述のように、SNS上で批判に晒される場面もありました。特に「選挙はダイエット」に端を発した炎上では、森下氏の投稿がニュースサイトにも取り上げられる騒ぎとなり<sup>35</sup>、以降は発信内容に一層気を配っているようです。自らを「辻立ちクイーン」と呼ぶキャッチーな表現についても、「女性ウケが悪い」との指摘<sup>40</sup>を踏まえ控えめになりました。
その代わり、当選後は「国会質問の動画クリップ」「地元の課題を国に届ける」といった真面目なトーンの投稿が増えており、新人議員としての信頼確保に努めていることが見て取れます。実際、2025年5月には党公式SNS企画「思い出の一枚」で地元のカキ養殖業者との写真を紹介し、「被災地の宝である海の幸を全国に発信し続けたい」とコメントを添えるなど<sup>31</sup>、地元PRと政策発信を上手に両立させています。
まとめ
総じて、森下千里議員はその経歴を活かしてSNS時代の政治家らしい発信力を発揮しています。テレビやネット番組への露出もいとわず、ひろゆき氏との対談動画では失敗も経験しましたが<sup>38</sup>、それすら糧にして情報発信力を磨いてきました。今やフォロワーとの直の対話から政策のヒントを得ることもあるといい、SNSを単なる宣伝ではなく政策形成ツールの一部と位置づけている点に新世代政治家らしさが光ります。支持者からは「国民目線で頑張ってくれる」「発信が丁寧」といった声も寄せられており<sup>45</sup>、双方向のコミュニケーション戦略はおおむね成功しているようです。
8. 公約実現度の検証
最後に、森下議員の掲げた公約がどの程度実現に向け前進しているかを検証します。
震災復興と防災力強化
公約の柱ごとに見ると、まず震災復興と防災力強化については、国政初舞台の農林水産委員会で直截に取り上げ、大臣や官僚から前向きな答弁を引き出す成果を上げました<sup>15</sup><sup>16</sup>。被災地農地の営農再開支援や農業水利施設の耐災害化といったテーマは、森下氏の提起により政府内でも再認識された形です。これは公約「復興の完遂」に通じる取り組みであり、彼女自身「皆さんとともに震災復興に向けて頑張っていきたい」と決意を述べてもいます<sup>46</sup>。したがって、この分野では着実な前進が見られると言えるでしょう。
地域経済の活性化
地域経済の活性化に関しても、森下氏は農林水産業の振興策を党部会提言にまで高めています<sup>31</sup>。地元水産業者の声を反映した政策提案は、2023年以降の漁業支援策に何らかの形で盛り込まれる可能性があり、公約「稼げる農林水産業」実現への布石となりました。また、厚労委で中小企業支援の必要性を訴えたことも<sup>21</sup>、地域産業支える企業の負担軽減策を政府に考えさせる契機となったはずです。
医療・福祉や子育て支援
一方で、医療・福祉や子育て支援については、森下氏自身が直接関与した立法措置はまだありません。地域医療の充実や育児支援制度の拡充といった公約は、与党の大きな政策パッケージの中で進んでいるものの、森下氏個人の働きかけが具体的成果を生んだ例は見つかりませんでした。ただし彼女は年金改革論戦で若年層の不安や育児世帯への配慮に触れるなど<sup>25</sup>、公約の理念を質疑で体現しており、小さな一歩とはいえ公約実現への姿勢は示しています。
ジェンダー政策
公約と実績のギャップが目立つのは、ジェンダー政策の領域でしょう。森下氏は「女性が輝く社会」を掲げた一方で、前述の通り選択的夫婦別姓や同性婚には反対の立場で、国会でもこれらを推進する動きには加わっていません<sup>29</sup><sup>47</sup>。公約集にあった「性差をなくすルールの浸透推進」の文言は、一見ジェンダー平等を訴えるようでありながら、本人の政策スタンスとは齟齬があるようにも映ります。
実際、この件は選挙時にも指摘されましたが、森下氏は「男女が互いの役割を尊重する社会」を目指す意味だと説明しています。とはいえ法制度面での男女平等策について森下氏が主導的に動いた形跡はなく、公約から実現への距離は現時点では開いたままと言えます。ただし、党内の女性政策づくりに参加するなど<sup>31</sup>水面下での努力は続けており、今後委員会配属が変わるなど環境が整えば表舞台でも発言する機会が巡ってくるかもしれません。
総括
総括すれば、森下千里議員の公約実現度は「復興・防災」「地域産業」の分野で順調なスタートを切り、「社会保障」の分野で萌芽が見え、「ジェンダー」の分野で課題を残す形です。もっとも、議員1期目の途中段階であり、立法成果が本人の努力のみで現れるには時間が必要です。新人議員には委員会配置や与えられる質問機会の制約もありますが、森下氏は持ち前の行動力で与党内外に働きかけ、公約の実を少しずつ結んでいる印象があります。
その意味で、公約と実績のギャップは悲観すべき停滞ではなく、これから埋めていくべき課題として本人も自覚しているでしょう。辻立ちで磨いた現場主義を武器に、公約を一つひとつ形あるものにしていく森下議員のこれからの歩みに注目が集まります。
参考資料
公式サイト・選挙関連
- 森下千里 - Wikipedia <sup>1, 2, 5, 14, 26, 29, 34</sup>
- 自由民主党 衆議院議員 森下千里(もりしたちさと)<sup>4, 33</sup>
- もりした 千里|公認候補者|2021年 衆院選特設サイト|自由民主党 <sup>6, 7, 8, 9, 11, 17, 27, 28, 30, 31, 44, 46, 47</sup>
国会会議録
- 第217回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 令和7年3月18日 | 国会会議録検索システム <sup>10, 15, 16</sup>
- 第217回国会 衆議院 厚生労働委員会 第20号 令和7年5月23日 | 国会会議録検索システム <sup>12, 13, 20, 21, 22, 23, 39</sup>
報道記事
- 衆院選・宮城5区 安住氏、強さ発揮し9選 森下氏、善戦も届かず | 河北新報オンライン <sup>3</sup>
- 森下千里議員の当選後初インスタに批判殺到 | 日刊ゲンダイDIGITAL <sup>32, 35</sup>
- 森下千里議員の現在:タレントから環境大臣政務官へ転身した道のり - NowBuzz <sup>18, 19, 37, 38, 41</sup>
- 森下千里 - Search / X <sup>24, 25, 36, 40, 45</sup>
- もりした千里 (@ChiiChiiiii) / X <sup>42</sup>
- もりした千里 on X <sup>43</sup>
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。