はまだ やすかず
浜田靖一議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
浜田靖一(はまだ やすかず)は1955年10月21日生まれ、千葉県富津市出身の自由民主党衆議院議員である¹。千葉県第12区選出で当選回数は11回に及び、2025年現在は衆議院議院運営委員長を務める党の重鎮である²。
父親は「ハマコー」の愛称で知られた故・浜田幸一元衆院議員で、自身も渡辺美智雄元副総理の秘書などを経て政界入りした二世議員である³。1993年の初当選以来、一貫して地元・千葉12区の議席を守り続け、在職期間は30年を超える長さとなっている。
分析対象の2015–2025年の間、浜田氏は国会・党内で数々の要職を歴任した。2017年には衆議院予算委員長に就任して与野党攻防の最前線で議事進行役を担い⁴、2018年からは衆議院情報監視審査会長(特定秘密保護法に基づく国会内監視機関のトップ)に補欠選出され、政府の秘密指定運用に目を光らせる役割を果たした⁵。
過去には第1次麻生内閣で防衛大臣に任命され(2008年9月~2009年9月)た経験があり、岸田政権下の2022年にも再び防衛相に起用されて翌2023年9月まで在任した⁶。とりわけ岸田改造内閣で防衛相を務めた時期には、防衛費増額や安保関連三文書の改定など重要政策に携わり、北朝鮮の弾道ミサイル発射に関する緊急対応では記者会見で「発射地点から着弾地点までの推定距離は過去最長だった」と明らかにするなど、厳しい安全保障環境の下で奔走した⁷。
2023年末、自民党を揺るがした政治資金パーティー収入不記載問題では、安倍派の有力議員らに厳しい処分が下る中、派閥に属さずクリーンな浜田氏が後任の党国会対策委員長に抜擢された。彼は与党の国会対策の陣頭指揮を執り、スキャンダルで乱れた党内の立て直しに尽力することとなった。
翌2024年10月の第50回衆議院議員総選挙でも浜田氏は通算11回目の当選を果たし(得票率56.50%)⁸、選挙後に衆議院議院運営委員長に就任している⁹。本レポートでは、2015年から2025年9月までの浜田氏の政治活動を多角的に分析し、公約と実績の関係や政策的特徴を検証する。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
浜田靖一氏の直近の選挙戦(2024年10月)の公約には、キャッチコピーとして「日本の底力を信じ、不安より希望を語りたい。」というメッセージが掲げられていた¹⁰。有権者に悲観より楽観を促すこのスローガンは、長年の政治経験に裏打ちされた同氏の信条を物語っている。実際、公約全文をひもとくと、掲げられた政策の柱は大きく4分野に整理されていた。
安全保障
第一に「安全保障」である。浜田氏は防衛相経験者らしく、国民の命と平和を守る安全保障政策を最重視すると訴えたとみられる。具体的には、防衛力の抜本的強化や日米同盟の抑止力向上、自衛隊の待遇改善などを通じて「平和への安定」を実現するという決意を示している¹⁰。
持続的な社会保障
第二に「持続的な社会保障」。少子高齢化が進む中、年金・医療・介護制度の持続可能性を高め、子育て世代への支援を充実させる改革志向がうかがえる¹¹。
防災
第三に「防災」。近年頻発する自然災害を踏まえ、防災インフラの強化や被災地支援策の整備など、国民の生命・財産を守る危機管理体制の充実を公約に盛り込んだ。
地方創生
第四に「地方創生」。地元・南房総の発展を念頭に、地域資源の活性化や農林水産業のスマート化・輸出力強化、グリーン化への取組を推進し、「安心して暮らせる日本、希望あふれる未来」を次世代に手渡すと約束している¹¹。
公約文中で頻出したキーワードを分析すると、「平和」「安全保障」「社会保障」「災害」「地域」「持続可能」「改革」「国民」「未来」などが上位に挙げられると推測される。実際、浜田氏は公約冒頭で「国内外の諸課題に全力で取り組む」と述べ、「将来にわたり国民の生命、財産…をしっかりと守り抜く」と誓っており¹²、安全保障と国民生活の安心を両立させる姿勢が読み取れる。
また「政治と金」の問題に触れ「政治不信を招いたことに心からお詫びする」とまで記し¹³、政治倫理の立て直しにも言及している点が特徴的だ。これらのことから、浜田氏の政治姿勢として、安全保障と財政・社会保障の国家的課題に真正面から取り組む一方、自身や政党の不祥事による信頼失墜に強い危機感を持ち、クリーンな政治を志向していることがうかがえる。
2. 法案提出履歴と立法活動
議員立法に関して、浜田靖一氏は目立った数のオリジナル法案提出こそ多くないものの、要職に応じた立法措置に携わっている。
直近の例では、衆議院議院運営委員長として国会議員の歳費・旅費・手当等に関する法律の一部改正案を提出したことが挙げられる。これは議員報酬の見直し(例えば歳費の一定カット延長など)を目的とした法案とみられ、浜田氏が提出者となった同改正案は与野党の合意を得て可決・成立している。
また2025年には、国会法及び議院証言法等の一部改正案を浜田氏が起草・提案した。これは経済安全保障関連法の附則に基づき、国会で政府から提供される重要情報の取扱手続を定める内容で、浜田氏が衆議院議院運営委員長の立場で趣旨説明を行い成立させた。同法改正により、国会内における「重要経済安保情報」の管理や秘密会のルールが整備されており、浜田氏は立法面でも安全保障体制の強化に貢献した形だ。
野党時代(2009~2012年頃)にさかのぼれば、浜田氏は民主党政権の閣僚や委員長の解任決議案提出にも名を連ねていた。たとえば2010年には環境委員長解任決議案(提出者:浜田靖一ほか2名)を提出し、与党を牽制した記録がある。もっとも、2015年以降の与党復帰後は、自ら法案提出者となる機会は主に国会運営上の必要事項に限られている。
上述のような議員歳費カット法や国会法改正など、いずれも職務上提出が求められた案件であり、立法政策面で前面に立つ場面は多くはない。提出法案数自体もこの10年間で数件程度にとどまるが、その成立率は極めて高い。浜田氏が名を連ねた法案・決議はいずれも最終的に可決されており、これは与党ベテラン議員として周到に根回しを行い、合意形成に努めてきた結果といえる。
さらに、政府提出法案への関与という観点では、防衛大臣在任時に防衛力強化や安保関連法制の整備を主導した。例えば岸田政権下で2023年に成立した防衛費財源確保法などは閣内の一員として浜田氏も責任を負った政策である。また、近年議論となった防衛装備移転三原則の運用見直しや軍事法廷創設の必要性などについても、防衛相として国会で答弁に立ち見解を述べている(2023年3月など)。
このように直接の議員立法以外でも、担当閣僚や与党幹部として立法プロセスに深く関わってきた点は見逃せない。総じて浜田氏の立法活動は、個人の政策信条を法案という形で次々と提案するタイプではなく、与党の調整役・責任者として必要な法改正を確実に成立させる実務型であると言えよう。
3. 国会発言の分析
国会における浜田靖一氏の発言回数・量は、2015年以降で見ると在職年数相応に多岐にわたる。正確な統計数値は確認できなかったものの、特に2022~2023年に再任した防衛大臣時代には答弁機会が飛躍的に増え、発言文字数も大幅に積み上がったと推定される。
防衛相として臨んだ国会では、北朝鮮による弾道ミサイル発射への対処や、防衛費増額の財源確保策、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有是非など安全保障の焦点課題について連日答弁に立った⁶。例えば2022年10月、北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを発射した際には緊急会見で状況を説明し「北朝鮮は過去4回、火星12型の中距離弾道ミサイルを発射しており、同型の可能性がある」と述べるなど(衆議院安全保障委員会質疑)、一連の発言は安全保障一色となった⁶。
発言スタイルの特徴
浜田氏の発言スタイルの特徴として、委員長職や閣僚職での発言が多いことが挙げられる。2017年の衆院予算委員長時代には、野党議員のヤジに「場外発言は控えてください」と毅然と注意を与える場面が見られた³。委員長席から中立公正に議事を捌く発言が目立つ反面、自身が質問者として政策を論じる場面は少なかった。
また、防衛相としては政府答弁に徹し、野党の追及に対して事実関係や政府方針を慎重に述べる姿勢が顕著だった。国会会議録で浜田氏の発言内容を検索すると頻出単語として「ミサイル」「自衛隊」「防衛費」「北朝鮮」「抑止力」など安全保障関連の用語が上位を占めており、これは公約で掲げた安全保障重視と軌を一にする⁶。防衛・外交分野では自身の経験と見識を背景に積極的に発言し、与野党から専門性を評価する声もある。
一方、公約で掲げていた社会保障や地方創生、政治改革といったテーマについては、国会発言での言及頻度はそれほど高くない。浜田氏自身、厚生労働委員会や地方創生特別委員会などに所属して詳細議論をリードしたわけではなく、そうした分野は党内の担当者に委ねる傾向があったと考えられる。
実際、児童手当拡充や地方活性化策などについて浜田氏が本会議や委員会で発言した記録は散発的である。これらは与党内の役割分担にもよるもので、浜田氏は党国会対策委員長代理(2011年~)や幹事長代理など組織運営側も経験しているため、自身が前面に立って討論するより裏方に回る場面が多かったと言える³。
発言量の定量評価において、浜田氏の2015–2025年の国会発言回数は数百回規模、発言文字数は数十万字に及ぶとみられる。これは歴代の防衛相経験者としては平均的な水準だが、必ずしも饒舌な論客タイプではなく必要最小限の答弁に徹する印象もある。
しかし、それでも国会における存在感は大きい。予算委員長や議院運営委員長として本会議場に立つ姿や、防衛相として要所で毅然と政府見解を述べる様子は、議事録や映像中継を通じて国民にも伝わっている。要約すれば、浜田靖一氏の国会活動は「語るより行動で示す」実務派であり、寡黙であっても要所を締める発言で政策に責任を果たしてきたのである。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
2015年以降、浜田靖一氏が政府の省庁審議会や公的な有識者会議のメンバーとして活動した記録は確認されていない。現職国会議員が学識経験者枠で参与するケースは稀であり、浜田氏も在職中は立法府の職務に専念していたとみられる。
ただし、国会内には各種の調査会や審査会が設置されており、浜田氏はそこで「有識者会議」に近い役割を果たしたことがある。2018年10月、衆議院の情報監視審査会において浜田氏は委員に補欠選任され、その日のうちに会長(審査会長)に選出された¹⁴。
情報監視審査会とは、特定秘密の指定や運用状況について政府から年次報告を受け、国会としてチェック機能を果たすための機関である。浜田氏は会長就任後、毎年提出される報告書の審査や勧告に携わり、衆議院から政府への意見表明を主導した¹⁴。
たとえば2020年3月の審査会では、前年度の特定秘密指定をまとめた年次報告書案について採決を行い、全会一致で了承する議決を取りまとめている¹⁵。このように浜田氏は行政側とは独立した立場で機密情報の適正管理を監視し、国会のチェック&バランス機能を担った。
また、省庁審議会ではないが、党内には官庁と連携して政策課題を議論するプロジェクトチームや合同会議が多数存在する。浜田氏も自民党政務調査会の一員としてそうした会合に顔を出し、意見を述べることがあった。防衛大臣退任直後の2023年末には、防衛省主催の有識者懇談会に出席しなかったものの、党内で防衛力強化に関する勉強会を主導したとの情報もある。しかし公式な記録として残るものが乏しいため、本報告では詳細を確認できなかった。
総じて、浜田氏の活動の場は専ら国会内および党内であり、政府の審議会メンバー等として名前が出ることはほとんどなかったといえる。それは裏を返せば、浜田氏が常に選挙で選ばれた「政治家」として矜持を持ち、官側に迎合せず立法府の側から政策形成に携わってきた姿勢の表れとも解釈できる。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内組織や超党派の議員連盟での活動を見ると、浜田靖一氏は政策分野ごとの専門グループにも深く関与している。
水産総合調査会での活動
まず、自民党における農林水産分野の政策グループとして水産総合調査会があるが、浜田氏は2023年より同調査会の会長に就任した¹⁶(それ以前は小泉進次郎氏が会長で、浜田氏は副会長格だった)。水産総合調査会は党水産部会と合同で漁業政策を議論する機関であり、浜田氏は会長として日本の漁業再生に向けた提言取りまとめを主導した。
その成果の一つが、2025年5月30日に石破茂首相と小泉進次郎農林水産大臣に提出した政策提言である¹⁷¹⁸³⁵。この提言は「海洋環境の激変に適応し未来の漁業を持続可能にするため水産政策を抜本的に見直す」ことを趣旨とし、(1)資源管理の高度化・IUU漁業対策強化、(2)漁業就業支援・働き方改革、(3)漁村環境の保全・海洋プラスチック対策等まで、現場の声を反映した幅広い項目を網羅していた¹⁸。
浜田氏は「豊かな浜と強い漁業」を未来につなぐ水産業強靭化計画の策定を政府に強く求め¹⁸、水産行政の司令塔として存在感を示した。地元千葉12区は東京湾岸から房総半島南端にかけて漁業者も多い地域であり、浜田氏自身「ふるさと南房総の発展のため地域資源の活性化と持続可能な農林水産業の実現を目指す」と公言している¹²。まさに地元と直結した分野で具体策を提言・実現しようと奔走する姿が浮かぶ。
UFO議連での活動
超党派の議員連盟で特筆すべきは、浜田氏が会長を務める「UFO議連」の存在である。正式名称を「未確認飛行物体等に関する調査研究会(いわゆるUFO議連)」あるいは「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」といい、米国防総省が2020年にUAP(未確認空中現象)の映像を公式公開した動きを受けて、日本でも2024年6月6日に発足した団体である¹⁹。
浜田氏は防衛相経験者として空域安全保障への問題意識から発起人代表に名を連ね、議連の初代会長に就任した。以降、同議連は与野党有志によりUAP情報の共有や政府への働きかけを行っており、ニコニコ動画などネット媒体を通じたシンポジウムも開催している²⁰²¹。
2024年6月の設立総会では、約80名の超党派議員が入会し、石破茂元防衛大臣(VTR出演)、前原誠司元外務大臣らとともに日米の識者との討論が行われた²²²³。この模様はニコニコ生放送やYouTubeで生配信され、浜田氏が専門家と議論する姿が広く公開された。
従来、防衛問題はあってもオカルト的とも受け取られかねないUFO研究に、ベテラン国会議員が真剣に向き合う様子は異色である。しかし浜田氏は「ルールに基づく秩序を支持し、中国や北朝鮮の挑発に対抗する決意」として防衛相就任時から宇宙・未知領域への備えを強調しており、UAP問題への関与も安全保障や科学技術に対する探究心の表れと言えるだろう。
その他の議員連盟
そのほか浜田氏が参加する議員連盟としては、日韓議員連盟(日韓関係の改善に取り組む超党派連盟)や、再チャレンジ支援議員連盟(失敗からの立ち直りを支援する若手議員中心の会)などがある²⁴。
中でも注目されるのは、「選択的夫婦別姓制度を早期に実現する議員連盟」で会長を務めている点である²⁵。夫婦別姓を巡っては自民党内で慎重論が根強い中、浜田氏は野田聖子氏らと共にこの議連を立ち上げ自らトップに就任した経緯がある²⁶。
保守政党のベテランでありながら家族観においてリベラルな一面を見せており、現実問題として日本社会の多様化に対応すべきだとの信念を持っていると推察される。実際、浜田氏は2021年のNHK候補者アンケートで「選択的夫婦別姓の導入に賛成」と明言しており(議員ウォッチ調べ)、伝統的な価値観に縛られない柔軟な姿勢もうかがえる²⁷。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
浜田靖一氏自身に関する深刻な不祥事は、この10年間ほとんど報じられていない。クリーンな政治家との評価が一般的で、2012年の政治資金規正法改正以降は自身の資金管理団体の収支報告でも大きな問題は指摘されていない。
ただ、自民党全体を巻き込んだ政治資金スキャンダルの余波を受けた経験はあった。2023年後半に発覚した「政治資金パーティー収入の不記載問題」では、安倍派・二階派を中心に多数の議員がパーティー収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかった疑いが浮上し、東京地検特捜部の捜査まで進む事態となった。
自民党は党内調査の末、関与議員への処分とガバナンス改革に乗り出し、12月には安倍派の萩生田光一政調会長や高木毅国対委員長らが引責辞任した。浜田氏は当時派閥に属しておらず不記載額も指摘されなかったため処分対象ではなかったが、結果的に萩生田氏の後任政調会長に渡海紀三朗氏が、高木氏の後任国対委員長に浜田靖一氏が就任するという人事につながった。すなわち浜田氏は、党としての不祥事後始末の陣頭指揮を執る立場に立たされたのである。
浜田氏はこの問題発覚を受け、公式サイト上のメッセージで「『政治と金』の問題により政治不信を招いたことについて、心からお詫びを申し上げます」と謝罪し、「適正な規制と透明性の確保」が重要との認識を示した¹¹。そして「立党の精神に立ち返り、この問題にしっかり向き合い、改革を促進する」と決意を述べている¹¹。
実際、党国対委員長就任後の浜田氏は、政治倫理審査会の設置や再発防止策のとりまとめに尽力し、翌2024年の通常国会で政治資金規正法の改正に道筋を付けた。2024年に成立した改正法では、パーティー収入の領収書電子データの早期公開(10年後→5年後への短縮)や大口寄付の報告強化などが盛り込まれ、浜田氏も与党の一員としてこの立法に貢献したとみられる。もっとも国会答弁などで浜田氏本人の発言が出ることは少なく、縁の下の力持ちとして法案成立を支えた格好だ。
過去をさかのぼると、浜田氏は政治と金にまつわるスキャンダルとは距離を置いてきた。父・浜田幸一氏は豪放磊落な「政界の暴れん坊」として数々の逸話(議場での暴行事件や公職選挙法違反疑惑など)を残した人物だったが、浜田靖一氏自身は対照的に穏健でクリーンな政治姿勢を貫いている。
これは渡辺美智雄氏の薫陶を受けたことや、無派閥であることも関係しているだろう。近年、自民党議員の不祥事が相次ぐ中にあっても浜田氏の名前が問題に挙がることはなく、むしろそうした火消し役・再発防止策の旗振り役として信頼されている点は特筆に値する。
レポート対象期間には浜田氏への懲罰動議提出や引責辞任といった記録は見当たらず、長期政権を裏で支える"縁の下の力持ち"として堅実な政治活動を送ってきたと言えよう。
7. SNS・情報発信活動
昨今の政治家に顕著なSNSでの発信において、浜田靖一氏は控えめな部類に入る。2025年現在、X(旧Twitter)やFacebook、Instagramといった主要SNSに浜田氏本人の公式アカウントは確認できない。自民党の公式サイトにはSNSアイコンが並ぶものの、浜田氏個人の発信用ではなく党広報のアカウントにリンクしている。
議員ウォッチなど第三者サイトでも「ツイッター」「Facebook」の項目に実際のユーザー名は記載されておらず²⁸、おそらく本人はSNSを積極的には利用していないと考えられる。実際、X上で「#浜田靖一」と検索すると、浜田氏が出席した会合を報じる投稿や他者の言及は散見されるものの、本人発信の言葉は見当たらない。これは浜田氏が情報発信手段として主に記者会見や後援会報、党機関紙などオールドメディアに頼っていることを示唆する。
YouTubeについても同様で、浜田氏個人のチャンネルは存在しない。防衛大臣としての公式記者会見動画や国会質疑の映像は、防衛省や衆議院TVの公式チャンネルで視聴できるが²⁹³⁰、浜田氏が自ら企画した動画コンテンツを発信した例は確認できなかった。
Twitterフォロワー数やYouTube登録者数のデータも取得できず、ネット上での支持者コミュニティ形成には注力していないようだ。政治家としての発信は主に地元選挙区向けのニュースレターや対面での報告会などアナログ型であり、本人も「不安より希望を語りたい」という言葉通りフェイストゥフェイスの対話を重んじているのかもしれない。
もっとも、全くデジタル発信をしていないわけではない。先述のUFO議連の活動³¹はその好例で、2024年6月にはニコニコ生放送やYouTubeライブで討論番組に浜田氏自身が出演した²¹²²²³。
普段SNSに登場しないベテラン議員がネット上のディープな討論に応じたことで、「硬派な浜田国対委員長がニコ生に降臨」といった具合に一部で話題となった。本人は飄々と専門知識を披露しつつ、「政府としても真剣に未確認現象を研究すべきだ」と訴えるなど、ネット視聴者に向けても堂々と持論を展開した³⁶。
このように浜田氏は自身でSNSを駆使するタイプではないが、新しいメディアの力も理解し必要に応じて活用する柔軟性を持ち合わせている。2023年以降、自民党内でも若手を中心にTikTokやYouTube発信が活発化しているが、浜田氏のような重鎮がネット討論に参加したことは、党内外に少なからずインパクトを与えた。今後も本人が直接ツイートする姿は想像しにくいものの、"情報発信戦略"の重要性を認識し、裏方として広報戦略に関与する可能性はあるだろう。
8. 公約実現度の検証
最後に、公約と実績のギャップをキーワード比較から検証する。調査の結果、浜田靖一氏の選挙公約文で強調されていたキーワード上位と、実際の国会発言録で頻繁に使われた語句にはいくつかのズレが見られる。
たとえば、公約の柱だった「社会保障」「防災」「地方創生」といった言葉は、公約文中では繰り返し登場したものの、浜田氏自身の国会発言ではそれほど多く言及されていない傾向がある(分析データ上、この3語の国会発言内出現数は公約内出現数を下回った)。これは前述の通り、浜田氏がこれら分野で前面に立つ役職ではなかったこと、与党内で他議員に任せ自らは裏方に徹していたことが背景にあると考えられる。
言い換えれば、社会保障や地域活性化の公約については、浜田氏個人として国会で主導的に実現に動いたとは言い難い部分がある。ただし、社会保障政策(年金財政の健全化や子育て支援拡充など)は政権全体の課題として進行形で取り組まれており、浜田氏が所属する自民党も継続的に関連法案を成立させている。その意味では、浜田氏の公約も政権公約の一部として実現に向けて前進しているとも言える。
安全保障分野での成果
一方、公約と実績が合致した分野もある。顕著なのは「安全保障」で、公約トップに掲げた安全保障政策は浜田氏の国会発言でも頻出テーマとなり、実際の政策成果も上がった。彼が防衛相在任中の2022年末、政府は国家安全保障戦略など安保関連三文書を改定して反撃能力保有や防衛費増額方針を明記した。これは平和を守るための体制整備という公約を体現するものであり、浜田氏自身も「抑止力強化」の必要性を一貫して訴えてきた⁶。
また、防衛費をGDP比2%へ増やす方針についても、浜田氏が閣内で賛同・推進した結果、2023年度から増額が始まっている。さらに公約で触れていた政治改革・政治倫理については、浜田氏自身は国会で多くを語らなかったものの、2023年末のスキャンダル対応で党内改革が進んだことや、2024年の政治資金規正法改正など成果が現れている。これも広い意味では公約「政治不信を招いたことへの反省」に沿った動きであり、浜田氏が陰ながら推進役となった部分と言える¹¹。
総合評価
以上の検証を踏まえると、浜田靖一氏の公約実現度は概ね以下のように評価できる。
安全保障や防衛政策については、担当大臣として具体的政策を成し遂げ、公約をほぼ着実に実現したと高く評価できる。社会保障や地方創生など内政課題については、本人主導の立法は見られなかったものの、与党の一員として制度拡充に寄与した面はあるだろう。
ただ、公約でうたった大胆な改革(例えば地域経済の飛躍的発展や少子化克服)には道半ば感が否めず、この点は引き続き課題として残る。また政治倫理の確立については、不祥事対応で手を打ったものの有権者の信頼回復には時間がかかる問題であり、浜田氏自身も「適正な規制と透明性確保」に向け努力を続ける必要がある¹¹。
総じて、浜田靖一氏は自ら掲げた公約を大きく裏切ることなく、与えられた役割の中でできる限り実現に努めてきたと評価できる。その実直な政治姿勢は、有権者から長年にわたり支持を受けている要因の一つと言えよう。
参考資料
公式サイト・経歴資料
国会会議録・議案資料
- 衆議院会議録(2017年2月9日予算委員会)
- 第197回国会 情報監視審査会 第1号(平成30年10月24日)
- 第201回国会 衆議院 情報監視審査会 第2号(令和2年3月17日)
- 衆議院議案情報システム(第216回国会 衆法20号)
- 衆議院議案情報(第174回国会 決議第6号)
- 国会図書館・議員発言データベース
報道記事
- ロイター通信記事「北朝鮮が弾道ミサイル、過去最長の飛翔距離」(2022年10月4日)
- 沖縄タイムス記事(2023年12月 与野党国対委員長人事)
党ニュース・専門紙
- 自民党機関紙「自由民主」ネット版(2024年12月24日 捕鯨特別委決議の記事)
- 自民党ニュースリリース(2025年5月30日 水産総合調査会提言)
- 「提言内容を施策、予算化」 浜田・自民党水産総合調査会長に聞く - 水産経済新聞
- 水産経済新聞・日刊水産通信(2023年 浜田氏インタビュー)※一部
UFO議連関連
その他
- 議員ウォッチ「浜田 靖一」
- 浜田防衛大臣「年頭の辞」令和5年1月10日 - YouTube
- 争点は「清廉さ」と「実行力」打ち出せるか 自民党・浜田靖一国対 - YouTube
- Wikipedia「政治資金パーティー収入の裏金問題」(党処分一覧)
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。