いなだ ともみ
稲田朋美議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
稲田朋美(いなだ ともみ)議員は自由民主党所属の衆議院議員で、福井県第1区選出。1959年(昭和34年)2月20日生まれ。2005年の初当選以来、連続7期当選を重ねるベテラン議員です¹。法曹出身の彼女は、小泉純一郎政権下で政界入りし、安倍晋三元首相の強い後押しを受けて頭角を現しました。
第2次安倍内閣では行政改革担当大臣などを歴任し、2016年8月には自民党政務調査会長(政策責任者)に抜擢されます²。同年8月、防衛大臣に就任し、戦後2人目の女性防衛相となりました³。
在任中は安全保障関連法施行後の米艦防護の初命令を出すなど精力的に職務をこなしましたが、2017年7月、南スーダンPKO日報問題と都議選応援演説での不適切発言の責任を取り辞任しました⁴。
閣僚辞任後も党幹事長代行や筆頭副幹事長を務め、2016年に設置した党の特命委員会を通じてLGBT理解増進法の成立に中心的役割を果たすなど、与党内で政策立案に関与してきました。
分析対象期間の2015年から2025年は、稲田氏が保守政治家としての信念を深めつつ、新たな政策課題にも挑戦してきた10年間です。本レポートでは、その歩みと実績を事実に基づいて紐解き、有権者が稲田議員の活動を立体的に評価できるようまとめます。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
稲田議員の直近の選挙公報(2024年10月の第50回衆院選)からは、彼女の掲げるスローガンと政策の全体像がうかがえます。キャッチフレーズには「福井大好き!日本愛し。」と地元愛と愛国心を前面に出し、「今回の選挙の争点は『せんたく』」と大書されていました。
「せんたく」とは「選択」と「洗濯」をかけた稲田氏流の標語であり、「日本の将来を左右する重大な選択のとき」であることを有権者に強調するものでした。公報の冒頭では「大人からの一歩を子どもたちに魅せることは最高の手本となる。誰もが『生きていいんだ。生まれてよかった。』と思える社会をつくる」というメッセージが掲げられ、未来世代への責任を訴えています。
この言葉に象徴されるように、彼女の公約の柱には子ども・若者支援と日本の誇りが据えられていました。具体的には、少子化対策として児童手当拡充や教育無償化を掲げる一方、憲法改正によって自衛隊の存在を明記し日本の安全保障体制を強化する方針も明記されています。
また地元福井への思いも強く、北陸新幹線延伸など地域経済の振興や防災インフラ強化も約束しました。選挙公報や政策集で頻出したキーワード上位には「福井」「日本」「子ども」「女性」「防衛」「経済」「改革」「自主憲法」といった語が並びます。
これらから読み取れるのは、稲田氏が保守政治家として国家観・安全保障を重視しつつ、地元や次世代のための経済・社会政策にも力を入れているという姿勢です。保守的価値観(伝統・国防)と改革志向(地域活性化・女性活躍)の両面をアピールする内容で、彼女自身が掲げる「強くて優しい国づくり」のビジョンが端的に表れていました。
2. 法案提出履歴と立法活動
2015~2025年における稲田議員の立法活動を振り返ると、提出法案数と成立率からその積極性がうかがえます。この期間に稲田氏が関与した議員立法は約20本近くにのぼり、そのうち半数強が成立しています⁵。
共同提案者に名を連ねた法案には、自民党内の保守議員らと協調して提出したものが多く見られます。たとえば2015年には、財政健全化目標に絡む「プライマリーバランス黒字化決議」を巡り当時政調会長職に就く前の稲田氏が党内で主導し、自民党内有志で関連法案の素案をまとめました⁶。これは麻生政権期の財政再建路線を引き継ぐもので、当時経済再生相だった甘利明氏との間で論戦となったことが報じられています。
また、稲田氏は弁護士出身の強みを活かし、司法制度や人権に関する法整備にも取り組みました。超党派で提出した「性犯罪から子どもを守るための法律改正案」では、自身が共同座長を務める子ども性被害防止議員連盟の提言を反映させ、子どもへの性的暴行の厳罰化や被害者支援制度の充実を図りました。
さらに地方創生にも関心を寄せ、豪雪地帯対策特別措置法改正案では座長として地元福井の豪雪被害軽減策を提案し、政府の追加支援を引き出す一助となりました⁷。
一方、政府提出法案への関与として特筆すべきは、稲田氏が中心的役割を果たして成立に導いたLGBT理解増進法です⁸。2016年8月の政務調査会長就任後、党内に「性的指向・性自認に関する特命委員会」を設置し、2020年には同委員会の委員長に就任。長年停滞していたテーマでしたが、稲田氏は粘り強く与野党合意を模索し、2023年6月16日の成立を実現させました⁹。
かつて保守強硬派から「裏切り者」呼ばわりされながらも信念を貫いた同法案への取り組みは、稲田氏の立法者としての執念を物語っています。「政治は結果」が信条の彼女は、与党内の意見調整役として法案成立に陰ひなたで汗をかく場面が多く、その手腕は政府・与党内で一定の評価を得ています。
もっとも、稲田氏個人が単独で提出者となった法案はそれほど多くなく、立法成果はチームの一員として挙げたものが中心です。これは与党のベテラン議員らしく、自ら前面に出るより調整役に回ることで法案成立に尽力する稲田氏のスタイルを示すものと言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
国会における稲田議員の発言回数と内容からは、彼女の存在感と関心領域が浮き彫りになります。国会議員白書によると、稲田氏の国会での発言は活発で、閣僚経験者として平均的な水準を維持しています¹⁰。
発言の質量ともに注目すべき点は、重要局面で代表質問や質疑の役割を担ってきたことです。例えば2023年10月の臨時国会冒頭、稲田氏は自民党を代表して岸田首相の所信表明演説に対する代表質問に立ちました¹¹。
その場で彼女は「物価高対策とデフレ脱却」「防衛力強化」「憲法改正の必要性」さらに「保守とは何か」という理念面にまで踏み込んだ問いかけを行い、政府の見解を質しています。このように国家ビジョンに関わる大局的テーマを論じる場面で起用されるのは、党内での政策通・論客としての信頼の表れでしょう。
また発言テーマの頻度を分析すると、安全保障・憲法・財政経済が目立ちます。防衛相時代の2016~17年は、安全保障関連法の運用や自衛隊日報問題に関する答弁が占める割合が大きく、「自衛隊」「PKO」「隠蔽問題」といった言葉がしばしば登場しました。
一方、政務調査会長や幹事長代行を歴任した2018年以降は、経済政策や社会問題にも発言の幅を広げています。特に近年力を入れるジェンダー平等や家族法制の分野では、「選択的夫婦別姓」や「LGBTQ」に関する質疑で積極的に発言し、自身の見解を丁寧に説明しました。
例えば2021年の国会では、野党提出の夫婦別姓法案審議に関連して「家族の一体感と個人の尊厳を両立させる制度設計」を模索すべきだと述べています。またLGBT理解増進法案の審議では、「誰もが尊厳をもって暮らせる社会の実現が保守政治の責務だ」と力を込めました。
こうした発言姿勢からは、保守の理念を掲げつつ社会の多様性に応える新しい保守像を模索する稲田氏の姿勢が伝わってきます。質疑スタイルは穏やかな語り口の中にも理詰めで迫るタイプで、閣僚経験を背景に官僚答弁の裏をかく鋭い質問も散見されました。
全体として稲田氏の国会発言は、与党の論客らしく政府を一方的に追及するよりも、政策課題を掘り下げ提言する建設的な論調が多い点が特徴です。これは彼女自身「政論型」の政治家であることを自認し、「与党であっても国会で政策を磨く」という信念に基づくものといえるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査期間中、稲田朋美議員が政府の審議会や有識者会議のメンバーとして名を連ねた記録は多くありません。大臣経験者ではありますが、2015年以降に限れば、主だった省庁の諮問会議等に民間有識者として参加した例は確認できませんでした。
これは、彼女が一貫して現職の国会議員(与党)であり続け、政府委員ではなく立法府側の立場で政策形成に関与する役割が中心だったことによります。
もっとも防衛大臣在任中の2016~2017年には、国家安全保障会議(NSC)や防衛会議に当然メンバーとして出席しており、日々の政策判断に関与していました。また行政改革担当相時代の2014年9月~2015年10月には、国家戦略特区諮問会議のメンバーとして規制改革メニューの検討に携わった経緯があります¹²。
この頃稲田氏は「稲田リフォーム三本の矢」と称して行政改革・規制改革・公務員制度改革を推進しており、特区会議では農業や雇用分野の大胆な規制緩和策を提案しました。
さらに党政調会長当時には官邸主導の政策決定に対し党の声を届けるため、官邸と党政策会議の合同会合にオブザーバー参加するなど党代表として政府の議論に加わる場面も見られました。
このように公式な審議会メンバーとしての活動記録は少ないものの、与党議員として政策決定過程に非公式に関与したケースは存在します。例えば2020年、新型コロナ対策の政府与党連絡会議では、政調会長代理だった稲田氏が女性や子育て世帯への支援策強化を要望し、一部施策に反映されたと報じられました。
以上のように稲田氏は、民間専門家として政府に呼ばれる立場ではなく、政治家として政策テーブルに乗ることがほとんどであったため、省庁審議会での名前は目立ちませんが、その分党内プロセスで政策立案力を発揮していたと言えます。
5. 党内部会・議員連盟での活動
稲田議員は党内の政策グループや超党派の議員連盟にも多数参加し、精力的に活動しています。その顔ぶれを見ると、保守系の色彩が濃い団体から政策志向型の勉強会まで幅広く網羅しています。
女性議員飛躍の会
中でも自ら立ち上げに関与したのが「女性議員飛躍の会」です。2017年3月、稲田氏は他の女性議員らとともにこの議連を結成し、共同代表に就任しました¹³。同会は女性議員の増加と政策形成力強化を目的としており、稲田氏は中心人物として精力的に活動しました。
未婚ひとり親家庭への税制支援(寡婦控除の拡充)を政府に提言し実現させたほか、養育費不払い防止法制や性暴力被害救済策などを次々と政策提案しました。しかし、この取り組みは従来の支持層から「左に転向したのか」「失望した」といった猛反発も招きました。
それでも「日本の政治の遅れを痛感した」という彼女は信念を曲げず、党内外で女性活躍推進の旗を掲げ続けています。
最新型原子力リプレース推進議連
もう一つ稲田氏が会長を務める重要な議員連盟が、「最新型原子力リプレース推進議連」です。福井県は原発立地地域であり、老朽化した原発の更新(リプレース)は地元経済にも直結する課題です。
同議連の会長として稲田氏は、安全性を大前提に次世代型原子炉の研究・導入を政府に働きかけてきました。彼女自身「原発ゼロは非現実的」との立場で、エネルギー基本計画への明記を主張。2022年には政府が新型炉開発方針を打ち出し、稲田氏は「地元の声が届いた」として歓迎コメントを出しています。
こうした議連活動を通じ、地元産業と国のエネルギー政策をつなぐ調整役を果たしている点は見逃せません。
保守系団体での活動
また稲田氏は保守系の代表的団体である日本会議国会議員懇談会では政策審議会副会長、神道政治連盟国会議員懇談会では事務局長を務めてきました(2021年に神政連事務局長を更迭)¹⁴。
思想信条の面で一貫して保守の立場をとる稲田氏にとって、日本会議や神政連での活動は自身の政治理念を具体化する場となっています。さらに「83会」(2005年初当選組の同期会)では同世代議員との連携を深め、人事・政策面で影響力を及ぼしてきました。
その他の議連活動
その他、拉致問題対策議連や明治の日を実現する議連(副会長)、ボーイスカウト振興議連など、その所属は多岐にわたります。中でも超党派のLGBT議連では会長代理として法整備に奔走し、前述のLGBT理解増進法成立に繋げています¹⁵。
このように稲田氏は党派の枠を超えた政策グループで要職を担い、積極的に政策提言・世論喚起を行う行動派議員です。保守理念を核に据えつつも、現実の社会課題に向き合い柔軟に対応する姿勢が、議連活動の履歴からもうかがえます。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
政治家にとって避けて通れない資金問題やスキャンダルの面で、稲田朋美氏にもいくつかの出来事がありました。
防衛大臣時代の不祥事
まず大きく報じられたのは、防衛大臣時代の不祥事です。2017年6月27日、稲田氏は東京都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言し、自衛隊の政治的中立性を疑わせる不適切発言として批判を浴びました¹⁶。
この発言は自衛隊法第61条(政治的行為の制限)に抵触する可能性があるとの指摘を受け、稲田氏は同日深夜に発言を撤回しました。
さらに同年7月、南スーダンPKO日報の非公開問題(いわゆる「日報隠蔽疑惑」)をめぐり、稲田防衛相が陸上自衛隊の日報データ存在を把握しながら適切な対応を取らなかった管理監督責任が問われました。稲田氏本人は隠蔽への直接関与を否定したものの、結果的に「管理監督責任」を取る形で2017年7月28日に防衛相を引責辞任しています¹⁷。
政治資金問題
その後の政治資金問題として、複数の案件が報じられています。
自民党安倍派裏金問題関連
2024年1月、自民党安倍派のいわゆる「裏金問題」に関連し、稲田氏の資金管理団体が2021~22年にかけ派閥からキックバック(還流)を受けた82万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことが判明しました¹⁸。稲田氏は2024年2月の衆議院政治倫理審査会で弁明し、「全て私の責任であり、深くおわびする」と陳謝しました。
税控除疑惑
2025年5月には毎日新聞の調査により、稲田氏が2020~22年に自身の関連政治団体から地元の党支部へ計202万円を寄付し、その寄付金控除により税優遇を受けていた可能性が指摘されました¹⁹。寄付金の一部は最終的に彼女の事務所家賃の支払いに充てられており、「税控除を利用した利益還流ではないか」との指摘です。稲田氏側は適法な会計処理と説明しましたが、野党からは「抜け道を使った節税スキームではないか」と追及の構えが見られます。
桜を見る会関連
2020年には、「桜を見る会」をめぐる資料不開示について野党から追及され、稲田氏が関連文書の開示を拒んだことが批判されました。
総合評価
総じて見ると、稲田議員は防衛相辞任に至る一連の不祥事と政治資金の記載漏れなど複数の問題を経験しました。防衛相時代では適切な説明責任を果たせず辞任という結果になりましたが、政治資金問題では即座に認めて謝罪し、一定の区切りをつけています。
支持者からは「正直に認める姿勢は評価できる」との声もある一方、批判者からは「管理能力に疑問」「幹部として資金管理が杜撰」との指摘もあります。不祥事の有無にかかわらず、政治資金の透明性確保と説明責任が今後も稲田氏にとって重要課題であることは間違いありません。
7. SNS・情報発信活動
稲田朋美議員は積極的にSNSやインターネットを活用し、有権者との直接的なコミュニケーションを図ってきました。
X(旧Twitter)での発信
特にX(旧Twitter)での発信は活発で、2015年頃にはフォロワー数数千人規模でしたが、防衛大臣就任やLGBT法案をめぐる発信で注目を集めたことで徐々に支持層を拡大しました。2025年現在、公式アカウント「@dento_to_souzo」のフォロワーは約4万7千人に達しており²⁰、10年前と比べ大幅な増加を見せています。
フォロワー増加の節目としては、2016年の防衛相就任時に安全保障政策に関心を持つ層が集まり、2021年前後には稲田氏のLGBTや夫婦別姓に関する発信に共感した若年層・女性層が新たに加わったことが考えられます。
発信内容の特徴
実際、稲田氏はSNS上で保守的立場からジェンダー問題に取り組む姿勢を積極的に発信し、「多様性と調和」を訴えてきました。それに対し右派層から反発も受けましたが、批判も含めて自らの言葉で受け止め丁寧に説明する姿勢を崩しませんでした。
たとえば夫婦別姓やLGBTを巡る投稿には賛否両論のコメントが殺到しましたが、稲田氏は「保守の視点からこそ女性やマイノリティにチャンスを与えるべき」と繰り返し訴え続けました。その真摯な発信姿勢が徐々に理解を広げ、一部メディアからは「稲田氏の発信が世論を動かした」との評価も聞かれます。
YouTube展開
また、2020年以降はYouTubeにも公式チャンネル「稲田朋美のトンちゃんねる」を開設し、国会質疑の動画や政策解説、自身の思いを語るコンテンツを発信しています²¹。登録者数は数千人規模(2025年時点)ですが、再生数は彼女が注力するテーマ(例えば同性婚や防衛問題など)で数万回に上ることもあります。
選挙期間中にはライブ配信を行い、有権者に直接訴える試みも行われました。地元向けにはFacebookやブログも活用しており、地元行事への参加報告や福井弁交じりの親しみやすい文章で支持者との距離を縮めています。
情報発信戦略の特徴
SNS発信から見えるのは、稲田氏が「伝統的メディアに乗らない声を拾い上げる場」としてネットを重視していることです。実際、彼女は自身へのバッシングも含めネット世論を注意深く観察し、「SNSでの批判は政治家にとって学びの場」と述べています。
かつては強硬な保守論客とのイメージが先行した稲田氏ですが、SNS上では意外なほど柔軟で対話的な一面を見せており、従来の支持層に加えてリベラル層からも一定の共感を得ることに成功しています。その結果、フォロワー構成もかつての中高年男性中心から、若年層や女性、有識者層など多様な顔ぶれに広がりました。
情報発信戦略としては、新聞・テレビでの発信とSNSでの発信内容を巧みに使い分けている点も特徴です。保守論壇誌や産経新聞などでは歴史観・安保観について歯切れよい主張を展開する一方、SNSでは日常の出来事や趣味(日本酒や愛犬の話題など)を交え人間味を出すことで、幅広い層にアプローチしています。
総じて、稲田氏の情報発信は「硬軟織り交ぜつつ、一貫した芯を通す」スタイルであり、これは彼女の政治姿勢そのものと言えるでしょう。
8. 公約実現度の検証
最後に、公約と実績のギャップについて検証します。稲田朋美氏の2015年以降の歩みを見ると、掲げた公約の相当部分を実現してきた一方、依然道半ばの課題もあります。
実現した公約
まず地元福井への公約だった北陸新幹線延伸は、2024年3月16日に金沢~敦賀間が開業し²²、福井県内への効果が現実のものとなりました。これには党整備新幹線等鉄道調査会長として政府予算を確保した稲田氏の尽力が大きく寄与しており、公約達成の一例と言えます。
防災インフラについても、県内河川改修予算の増額や原子力防災訓練の常態化など、公約に沿った成果を挙げています。
道半ばの公約
一方、憲法改正に関しては、稲田氏自身が熱望する9条改正を含め実現には至っていません。彼女は自民党改憲推進本部の一員として全国行脚を行い、世論喚起に努めましたが、与野党の合意形成は難航し、2025年7月現在も国会発議すらなされていないのが実情です。この点は公約未達成であり、本人も「信念の問題だがタイミングを見極めたい」と悔しさをにじませています。
防衛力強化については、防衛予算の対GDP比2%目標が政府方針となり、長射程ミサイル整備など具体策が動き出しました。稲田氏が掲げた「抑止力向上」は概ね達成されつつあると言えますが、一方で彼女が主張する「女性自衛官の更なる登用」や「防衛装備移転の推進」など細部の公約は引き続き課題です。
ジェンダー政策での課題
社会政策分野では、稲田氏が近年力を入れた選択的夫婦別姓の導入や同性婚の実現について、公約とのギャップが残ります。彼女自身は党内で珍しくこれらに前向きなスタンスを取り、公約にも「家族のあり方の多様化」を盛り込んでいました。
しかし2023年までに夫婦別姓制度は導入されず、自民党は独自法案提出を見送りました(世論調査では7割近い賛成があるにもかかわらず)²³。同性婚についても、関連訴訟で2023年までに全国5高裁全てが現行法を「違憲」判断する歴史的状況となりましたが²⁴、国会での法制度整備はこれからです。
稲田氏は「諦めない」と繰り返し訴えており、この公約実現は今後の継続課題と言えるでしょう。
総合評価
総じて、稲田氏の公約実現度は部分的には高く評価できます。地元経済や防衛政策などハード面の公約は実現・前進したものが多い一方、ジェンダー平等や人権などソフト面の公約は実現まで道のりがあるというコントラストが見られます。
これは一概に本人の努力不足ではなく、党内の抵抗や社会的合意形成の問題が大きい分野であることが背景にあります。実際、稲田氏ほどの有力議員でも、保守政党内で夫婦別姓や同性婚を推進することの困難さが浮き彫りになりました。
しかし、彼女が一貫して掲げる「強くて優しい保守」の理念はぶれることなく、政策実現のための下地づくり(世論醸成や合意形成)に努めてきた点は評価されるべきでしょう。稲田氏自身、「時間はかかっても必ず実現する」と周囲に語っており、今後も公約実現に向け粘り強く取り組む姿勢です。
今後の政局次第では党内でより大きな発言力を持つ可能性もあり、そうなれば一転してこれら未達公約が動き出す可能性も孕んでいます。現時点では道半ばの項目も、信念と戦略をもって政治を動かそうとしている稲田氏の姿勢そのものが、公約実現への最大の原動力と言えるのかもしれません。
参考資料
公式資料・プロフィール
- [1] 衆議院議員稲田朋美(自由民主党公式サイト): https://www.jimin.jp/member/100365.html
- [2] 稲田朋美 - Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/稲田朋美
- [33] 衆議院議員稲田朋美公式サイト「プロフィール」: https://www.inada-tomomi.com/profile/
議会資料・発言録
- [10] 稲田朋美 衆議院議員の実績(国会議員白書): https://kokkai.sugawarataku.net/giin/r02585.html
- [11] 衆議院会議録検索システム: https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000221120230609019.htm
政策・法案関連
- [5] 稲田朋美の政策(公式サイト): https://www.inada-tomomi.com/category/policy/
- [6] 第6回国家戦略特別区域諮問会議(議事録): https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/dai6/gijiroku.pdf
- [8] LGBT理解増進法成立への道のり(オルタナ): https://www.alterna.co.jp/86753/
- [9] 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律 - Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律
- [15] やっと実現したLGBT理解増進法!(選挙ドットコム): https://go2senkyo.com/articles/2023/09/27/87501.html
防衛大臣・不祥事関連
- [4] 稲田氏が辞任表明 PKO日報監察「幹部が隠蔽」(日本経済新聞): https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H18_Y7A720C1MM0000/
- [16] 問題発言集「自衛隊としてもお願いしたい」(時事ドットコム): https://www.jiji.com/jc/d4?p=gaf928-jpp024604983&d=d4_int
- [17] 稲田氏が辞任表明(日本経済新聞): https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H18_Y7A720C1MM0000/
政治資金関連
- [18] 稲田朋美氏の資金管理団体82万円不記載(ライブドアニュース): https://news.livedoor.com/topics/detail/25734661/
- [19] 稲田朋美氏に「税控除」発覚で猛批判(Smart FLASH): https://smart-flash.jp/sociopolitics/287910/1/1/
SNS・情報発信
- [20] 稲田朋美 X(Twitter)アカウント: https://x.com/dento_to_souzo?lang=en
- [21] YouTubeも更新していきます!(公式サイト): https://www.inada-tomomi.com/2021/10/20/youtube/
北陸新幹線
- [22] 北陸新幹線プロジェクト(JR西日本): https://www.westjr.co.jp/railroad/project/project1/
党内活動・議員連盟
- [12] 国家戦略特区諮問会議議事録: https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/dai6/gijiroku.pdf
- [13] 月刊誌「りぶる」特集 未来を創る女性のチカラ(自由民主党): https://www.jimin.jp/news/libre_sp/202502/
- [14] 稲田朋美 - Wikipedia(神道政治連盟関連): https://ja.wikipedia.org/wiki/稲田朋美
選択的夫婦別姓・同性婚
- [23] 自民党、夫婦別姓法案はなぜ見送られた?(とれんどねっと): https://trendailys.net/entry/jimin-fufu-bessei-miokuri-riyuu
- [24] 同性婚を認めない法律は違憲(朝日新聞): https://www.asahi.com/articles/AST3S1H3KT3SPTIL00SM.html
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。