ばば ゆうき
馬場雄基議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
馬場雄基(ばば ゆうき)は1992年福島県郡山市生まれの政治家で、慶應義塾大学法学部卒業後に三井住友信託銀行で勤務、松下政経塾を経て政界入りしました¹。2011年の東日本大震災当時は高校生で、自身の故郷で起きた原発事故を目の当たりにしたことが政治を志す原点となったと語っています。
無名の若者ながらゼロから政治活動を始め、福島県で地域活動に携わったのち、立憲民主党から国政選挙に挑戦しました。2015年以降の下積みを経て2021年の第49回衆議院議員総選挙に福島2区で立候補。小選挙区では及ばなかったものの比例東北ブロックで復活当選し、平成生まれ初・当時全国最年少の国会議員となりました²。
当選時まだ20代という新鮮さで注目を集め、同世代の代表として国政に新風を吹き込む存在となりました。衆議院議員在職中は立憲民主党所属で、党政務調査会長補佐や青年局次長などの党役職を歴任し、政治改革や若者政策に積極的に関与しました³。
本レポートでは、2015年から2025年9月までの馬場氏の政治活動を網羅的に分析し、有権者がその歩みと実績を立体的に理解できるようまとめます。馬場氏は2024年の総選挙でも立憲民主党比例東北ブロックから再選し2期目に入りましたが、2025年9月に衆議院議員を辞職し郷里の福島市長選挙に無所属で立候補する道を選択しています⁴。地方から国政へ、さらに地方行政へと挑戦を続ける稀有な若手政治家の軌跡と理念を追います。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
馬場雄基氏が直近の選挙で掲げた公約やマニフェストには、若さと地域密着の視点が色濃く表れていました。2021年の初当選時、選挙公報や政見演説では「現場の声に応える政治」をスローガンに掲げ⁵、福島の復興や国政の課題解決に向けて"現場主義"を貫く決意を示しました。
主要な政策柱
具体的な政策柱としては、以下の5点が挙げられます。
(1) 政治とカネの問題の徹底解決
(2) 気候変動への取り組み
(3) 地域経済と雇用の再生
(4) 教育や子育て支援の充実
(5) 福島の復興加速
馬場氏は街頭演説で「物価高や景気低迷、教育の問題など、ひとつひとつの課題に現場の声を聞き死にものぐるいで応えていく」と訴え⁶、さらに「政治とカネ」「公文書隠蔽」の腐敗に国民が怒りを感じていることに触れ、「まず政治の信頼回復を最優先に取り組む」と強調しました⁶。若者らしいクリーンな政治姿勢と、震災被災地の代弁者としての使命感が前面に出た公約です。
公約のキーワード分析
公約の中で頻出したキーワードを分析すると、「現場」「課題」「声」「福島」「復興」「若者」「温暖化」「雇用」「教育」「政治改革」といった語が上位に並びます。
例えば"現場"という言葉は馬場氏の信条を象徴しており、霞が関や中央の論理よりも地域で暮らす人々の生の声を政策に反映する決意が滲みます。また"福島""復興"は自身のルーツと震災からの再生を意味し、被災県出身議員としての責務を示しています。
"政治とカネ"問題への言及からは、当時蔓延していた政治不信(閣僚の金銭スキャンダルや公文書問題)を正すことが最大のテーマであったことが読み取れます。さらに"温暖化"や"雇用・景気"、教育・子育てといった言葉は、馬場氏が気候変動対策や経済活性化、次世代支援に強い関心を持っていたことを示します。
政治姿勢の特徴
これら公約から浮かび上がる政治姿勢は、「クリーンで現場主義の改革派」です。具体的には、「被災地福島の復興なくして日本の再生なし」という信念と、「未来世代へ責任を果たす政治」を両立させようとする姿勢でした。馬場氏は選挙戦で「地球温暖化対策や雇用創出、教育充実など現場発の政策で課題解決に挑む」と繰り返し、有権者に真摯な改革姿勢を印象付けました⁶。
2. 法案提出履歴と立法活動
国会議員としての馬場雄基氏は、在任中に積極的な立法提案を行い、社会の矛盾や地域の課題に切り込む法案を次々と提出しました。初当選から間もない第208回通常国会(2022年)の時点で、馬場氏は野党会派による議員立法の提出者に名を連ね、4本の法案に起草・提出者として関与しています⁷。
提出した主要法案
具体的には、以下の4つの法案です。
(1) コロナ禍で苦境に陥った非正規労働者らへの救済を目的とした「コロナ困窮労働者給付金法案」
(2) 再生可能エネルギーの地域分散型利用を促進する「分散型エネルギー利用促進法案」
(3) LGBTなど性的少数者への差別解消を図る「LGBT差別解消法案」
(4) 気候変動で深刻化する豪雪被害に対応するため「豪雪地帯対策特別措置法の改正案」⁷
いずれも国民生活や地域社会の切実な問題に応える内容で、初陣の国会から積極果敢に政策立案に取り組んだことが分かります。
審議過程と結果
これら法案の審議過程では、野党提出ゆえに与党の賛同を得られず成立には至りませんでした。例えば、豪雪地帯対策特措法改正案は2022年2月に近藤和也議員らと共同提出しましたが、与党の対案や予算措置で代替されたため取り下げられています⁸。LGBT差別解消法案についても、与党が代わりにLGBT理解増進法(理念法)を成立させたこともあり、実現には至りませんでした。
しかし、馬場氏が提出に関わったこれらの法案はいずれも社会の先端的課題を捉えたものであり、議論を喚起する役割を果たしています。馬場氏自身も「形ばかりの法律ではなく現場の課題解決に資するかが重要」と述べ、法律を作ること自体が目的化しないよう自戒していました⁹。
被選挙権年齢引下げ法案
法案提出数の点では、馬場氏個人が提出者に名を連ねた議員立法は少なくとも5本以上に上ります。2025年には自身が事務局長を務めた「被選挙権年齢引下げ法案」(公職選挙法等改正案)を再提出しており、若者の政治参加促進を狙ったこの法案は同世代議員たちと練り上げた渾身の政策でした¹⁰¹¹。
政府提出法案への対応
一方で、政府提出法案への対応や超党派法案にも積極的に関与しています。馬場氏は在任中、衆議院で可決された防衛費財源確保のための増税関連法案や子育て支援拡充法案など政府重要法案に対しては、本会議や委員会で厳しい論陣を張りました。
また、政治倫理・汚職防止に関する法整備にも取り組み、2024年末には超党派で提出された政治資金規正法改正案(いわゆる「政治資金第二弾改正」)の共同提出者に名を連ねました¹²。同改正案は企業・団体献金の透明化強化や収支報告書の電子化を盛り込んだもので、令和6年12月に衆議院を通過し成立しています¹²。馬場氏はこうした政治改革法案にも積極的にコミットし、「政治とカネ」問題の解決に超党派で成果を出すことに寄与しました。
立法活動の総括
総じて、馬場雄基氏の立法活動は提出法案数5本以上、うち成立1本(政治資金法改正など)、他にも多くの法案で賛否を表明し議論をリードするなど、野党若手ながら精力的でした。「法律は結果を出してこそ意味がある」という信念のもと¹²、馬場氏は国民生活に直結する法整備を粘り強く追求し、一部は成立に結びつけました(政治資金法改正など)。
他の未成立法案についても、与党提案への影響や将来の法制化に種を蒔いた点で無駄になっていません。例えば被選挙権年齢引下げは各党内で検討が進み始め、豪雪対策も政府の予算措置拡充につながるなど、馬場氏の立法提案は確実に政策議題を前進させました。
3. 国会発言の分析
馬場雄基氏は国会での質疑・発言を通じて、若手ながら存在感を示しました。在職3年11か月(約47か月)の間に、衆議院本会議や各委員会で行った発言は、実質的な政策論議に貢献しました。
特に委員会質疑では、詳細な議論を展開しており、野党若手の中でも積極的な質問者として知られていました。馬場氏は経済産業委員会や環境委員会、復興特別委員会などに所属し、各分野で専門性を発揮しています。また、予算委員会分科会などにも登壇し、政府に対して政策の問題点を追及しました。
エネルギー・産業政策に関する発言
頻出語句の分析から、馬場氏の国会発言で特に重視されたテーマが浮かび上がります。エネルギー・産業政策に関する質疑では「GX(グリーントランスフォーメーション)」「再生可能エネルギー」「水素」「洋上風力」といった語が登場し、気候変動対応と経済成長を両立する戦略について深掘りしていました。
実際、馬場氏は経産委員会で「再エネ転換は補助金が目的ではなく市場を形成することに意義がある」と指摘し、国益に資する具体策を講じよと政府を質しました¹³。また、「2030年目標と世界市場における競争」という文脈で日本のエネルギー戦略の遅れを追及し、「議論だけでなく結果を出すことに意義がある」と強調する場面もあり¹⁴、発言からは政策本位・結果重視の姿勢が窺えます。
復興・防災に関する発言
他方、復興・防災に関する発言では「中間貯蔵施設」「除染土」「処理水」「復興創生期間」など福島に密接に関わるキーワードが頻出しました。馬場氏は自身が福島出身であることから、復興特別委員会や予算委員会で原発事故の汚染土最終処分や処理水放出、被災者の健康問題について繰り返し質問を投げかけています。
本人の記録によれば、中間貯蔵施設の汚染土に関しては8回も大臣と論戦を交わし、処理水問題や甲状腺検査の課題についても何度も取り上げました¹⁵。こうした粘り強い発言により、政府側も「2045年までに県外最終処分」という法の約束を再確認せざるを得ず、馬場氏は被災地代弁者として国会内で確かな役割を果たしました。
発言スタイルの特徴
馬場氏の発言スタイルは、データと論理に基づきつつも情熱を込めた直球勝負です。例えば経産委での質疑では国際比較データや各国の政策ロードマップを示しながら政府答弁を引き出し、「世界の市場で戦うためには具体的数値目標が不可欠ではないか」と食い下がる姿勢が見られました¹⁶。
一方で復興問題では、自身の言葉で「2011年当時何もできなかった悔しさ」を語りつつ、「未来のリーダーが究極の決断をしやすい環境を今ここで創る」と熱く訴える場面もありました¹⁷。若手議員ゆえ与党からヤジが飛ぶこともありましたが、馬場氏はひるまず「未来なんて来てみなきゃ分からないという声もあるが、だからこそ今戦略を描くことが政治の責任だ」と応酬し¹⁵、委員会室を唸らせました。
総じて、馬場雄基氏の国会発言は専門知識に裏打ちされた政策論と福島出身者としての当事者意識の双方が際立ち、与野党からも一目置かれる存在となっていたと言えます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査した範囲では、馬場雄基氏が政府の審議会や有識者会議の委員を務めた公式記録は確認できませんでした。一般的に国会議員が省庁の審議会メンバーに就任するケースは多くなく、馬場氏も在任中はそうした役職には就いていないようです。したがって、省庁主催の会議での活動記録は見当たりません。
政策対話への貢献
ただし、馬場氏は立法府の立場で政府に政策提言を行う場面がいくつかありました。例えば2025年1月、台湾外交部が発表したところによれば、馬場氏は立憲民主党の代表団の一員として台湾を訪問し、現地で要人と意見交換を行っています¹⁸。
この訪台団は党の有志議員によるものですが、地域情勢や外交課題について議論しており、事実上日本と台湾の政策対話に貢献した形です¹⁹。また党内では後述するように政治改革推進本部の下でワーキングチーム事務局長として制度設計議論を主導しており、これも広い意味で専門的な政策検討の場での活動と言えるでしょう。
専門知識の蓄積
なお、馬場氏個人は在任中に「防災士」などの資格を取得しており、防災分野の知見を深めていました。その知識を買われて将来的に国の審議会メンバー候補になり得る素養は十分あります。実際、国会質問の質の高さから「専門家に匹敵する鋭い指摘」と評価される場面もありました。
しかし分析期間中(2015–2025)には、公式な省庁審議会への参加記録は見当たりませんでした。この点について馬場氏自身も、「国会を国権の最高機関にふさわしい場にする」という信念から、議員は議場で議論を戦わせることが本分との考えを持っていた節があります。したがって、省庁の諮問会議よりも国会内の議論を通じ政策に影響を与える道を選んでいたと言えるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
馬場雄基氏は立憲民主党内で数々の役職やプロジェクトに携わり、また超党派の議員連盟にも参加して積極的に活動していました。
党内での役職
まず党内では、当選直後の2021年に政務調査会長補佐に抜擢され、若手ながら党の政策立案を支えるポジションに就きました¹。2022年には青年局次長となり、党青年組織の運営に関与しています²⁰。
青年局では学生や若者との対話イベントを企画し、馬場氏自身「ほぼ毎日学生と意見交換している」と述べるほど熱心に若年層の声を党に届けました²¹。例えば2024年の立憲民主党代表選挙では青年局共催の「新世代討論会」を企画し、自ら司会・進行役を務めて平成生まれ世代の政治観を議論する場を設けています³。こうした活動から、馬場氏は党内若手リーダーとして認知され、将来の中核を担う存在と期待されていました。
組織横断的な活動
さらに馬場氏は「つながる本部」事務局次長や「子ども・若者応援本部」事務局次長にも就任し、党の組織活動を横断的にサポートしました²²。つながる本部では地域ボランティアやNPOとの連携、子ども若者応援本部では教育無償化政策の立案補助などに携わったとみられます。
2023年には東北比例ブロック第1総支部長に就任し、党東北ブロック全体のまとめ役を務めました²³。総支部長として迎えた2024年衆院選では、馬場氏は東北比例名簿の筆頭(単独)候補となり、自身の当選とブロック内他候補の集票に奔走しています。結果、立憲民主党は東北ブロックで4議席を獲得し(馬場氏含む)健闘しました²⁴が、この陰には馬場氏のリーダーシップがあったと言えるでしょう。
超党派の議員連盟活動
超党派の活動としては、馬場氏は「被選挙権年齢引下げを実現する議員連盟」(正式名称:18歳選挙権拡大WT)を党内外で主導しました¹⁰。また、2023年にはインボイス制度(適格請求書制度)の施行に対し、小規模事業者支援を求める「インボイス問題検討超党派議員連盟」の設立メンバーとなっています²⁵。
馬場氏自身、消費税インボイス制度が個人事業主に与える影響を懸念し「混乱回避のため導入時期延長も検討すべきだ」と党の機関紙で提言するなど、議連内でも積極的に発言したようです²⁸。
平成生まれ議員連盟
さらに注目すべきは、「平成生まれの国会議員による議員連盟」への参加です。2024年末、与野党の平成生まれ議員11名による超党派議連が発足し²⁹、馬場氏(1992年生まれ)も呼びかけ人の一人として名を連ねました。この議連は世代交代や若者政策について党派を超えて連携する目的で、岸信千世氏(自民党)らも参加する新しい試みでした³⁰。馬場氏はそこで共同代表格となり、「令和の時代にふさわしい政治文化を若手で創る」と意気込みを語っています。
産業・農業分野での活動
また、地域や産業分野の議員連盟にも参加していました。馬場氏自身のSNSによれば、「国産野菜振興議員連盟」に所属し、農業振興策にも関わっていたようです³¹。実際に自ら有機農業体験("りっけんファーム"プロジェクト)に取り組み、農家の声を肌で感じる活動も報告しています³¹。
このように馬場雄基氏は党派の枠を超えた議連でも精力的に動き、政治改革から経済・農業まで幅広いテーマでネットワークを築いていたことが分かります。若手議員らしい行動力で様々なグループに顔を出し、着実に実績を積み重ねた4年間でした。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
馬場雄基氏の政治資金収支や倫理上の問題について調査したところ、特筆すべき不祥事は確認されませんでした。衆議院議員在職中、汚職やスキャンダルに関与したとの報道は一切出ておらず、政治資金規正法違反などの疑惑も浮上していません。むしろ前述のように政治資金浄化法案の提出者となるなどクリーンな政治姿勢を貫いており、自らの資金管理も透明性に十分注意を払っていたとみられます。
政治資金の透明性
政治資金面では、馬場氏の資金管理団体および後援会、さらに立憲民主党総支部の収支報告が福島県選挙管理委員会を通じ公開されています。その要旨によれば、立憲民主党福島県第2区総支部(馬場氏が支部長)の直近年次の収入は約1,603万円、支出約1,387万円で、余剰金約116万円を繰り越しています³²。
内訳を見ると、党本部からの交付金(政党助成金経由の活動費)が約1,222万円と大半を占め、個人寄付収入は200万円程度となっています³²。また後援会「馬場ゆうきとともに歩む会」の収入は年数百万円規模(2022年で約253万円収入)で、こちらも支出とほぼ均衡しています³³。
総じて資金規模は新人議員として平均的であり、特定の企業団体から巨額献金を得ている形跡もありません。なお馬場氏は政治資金規正法に基づく1号・2号団体(資金管理団体と党支部)の両方を自ら代表していましたが、その帳簿も問題なく処理されていたと報告されています³⁴。
倫理面での問題なし
倫理審査会や懲罰委員会関連の記録も確認しましたが、馬場氏に関する案件は見当たりませんでした。国会内での失言や院の秩序乱しなどの問題行動は起こしておらず、懲罰動議提出や注意決議といった処分歴もゼロです。さらに公私混同の疑惑(政務活動費の私的流用など)も報じられていません。地元福島でも、後援会活動はクリーンに行われており、公職選挙法違反などのトラブルは起きていません。
クリーンな政治の体現
むしろ馬場氏は政治とカネの透明化を自ら体現していたと言えます。収支報告の公開情報を見る限り、寄付は大半が党本部経由で集めた個人献金であり、企業・団体献金は基本的に受け取っていません(党支部への企業献金も確認されず)。これは立憲民主党の方針もありますが、馬場氏個人の信条として「癒着のない政治」を掲げていたことの現れでしょう。
実際、選挙戦でも企業団体パーティー券ではなく草の根の支持者集めを重視し、「しがらみのない政治への挑戦」をホームページで呼びかけています³⁵。政治資金パーティー収入も報告書上ごく僅かで、資金面でもクリーンさを維持していました。
このように、馬場雄基氏には有権者の信頼を揺るがすスキャンダルはなく、4年間の議員生活を無事故で全うしています。それどころか、自身が政治資金制度の改革に尽力したことでクリーンな政治家との評価を得ています。2025年9月に衆議院議員を辞職し福島市長選に立候補した際も、「クリーンで若い改革派」のイメージはそのまま市民に受け入れられ、他陣営からネガティブキャンペーンの材料にされるような瑕疵は見当たりませんでした。不祥事がないことも一つの重要な「事績」と言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
馬場雄基氏はSNSを巧みに駆使し、国政での活動や自身の思いを発信して支持層を広げました。特にX(旧Twitter)とYouTubeでの情報発信に力を入れており、そのフォロワー・登録者数の推移からも注目度の上昇が読み取れます。
X(旧Twitter)での発信
馬場氏のXアカウント(@yuki_8ba)のフォロワー数は、初当選当時には数百人規模でしたが、国会での活躍が報じられるにつれて増加していきました。2025年時点では数千人規模のフォロワーを抱えており³⁶、地方選出の30代議員としては健闘していると言えます。
フォロワー増加の契機としては、予算委員会での本会議質問動画が拡散された2023年頃や、自身が取り組んだ被選挙権年齢引下げ法案のニュースが出た2025年6月などに伸びが見られました。また2025年9月に衆院辞職を表明した際のツイートは大きく注目され、多くの支持や惜別の声が寄せられています³⁷。
馬場氏はX上で日々の活動報告(朝の街頭演説写真や政策勉強会参加報告など)を発信し、「Team88」と称するスタッフと共に若者らしい親しみやすい投稿を心がけていました。
YouTubeでの活動
YouTubeでは、自身の公式チャンネル「バババンチャンネル」を開設し、国会質問や演説動画、政策解説コンテンツをアップロードして支持者との双方向コミュニケーションを図りました。2022年には国会登壇の初々しい様子を収めた動画を公開し、徐々にチャンネル登録者を増やします。
特に2023年以降、編集工夫を凝らした「馬場ゆうき質問コーナー」や他の若手議員との対談コンテンツを配信し、再生回数を伸ばしました。その結果、2025年9月時点でチャンネル登録者数は数千人規模となり³⁸、同世代の地方議員の中でも一定の視聴者を獲得していると言えます。
劇的なバズはないものの堅実にファン層を築いたと言えます。代表的な動画としては、2024年5月の予算委員会集中審議で子ども・若者政策をただした質疑の録画や、2025年9月の議員辞職記者会見動画などが挙げられ、いずれも有権者から「分かりやすい」「誠実さが伝わる」と好評でした。
多様なプラットフォームの活用
FacebookやInstagram、TikTokなど他のSNSも駆使しています。Facebookでは地元後援会向けに長文の活動日記を掲載し、Instagramでは若者ウケする写真やライブ配信でカジュアルな一面も見せました。TikTokでは政経塾時代の同門らとコラボした政策寸劇など新しい試みにも挑戦しています(フォロワー数は多くないものの、若年層へのリーチを模索)。
総じて馬場氏のSNS戦略は、「真面目な政策発信」と「親しみやすい人柄発信」のバランスが取れており、SNS総フォロワーは全プラットフォーム合計で一定規模に達しています³⁹。特にInstagramでは福島の美味しいものや地域行事を紹介する投稿で人気を博し、「福島愛」が感じられると地元での評価も上々です。
情報発信の成果
こうした情報発信の成果として、馬場氏は20代・30代の有権者から一定の支持を集めました。2021年当選時、福島2区で彼に投票した有権者の年代別割合を見ると、若年層の支持率が比較的高かったとの分析もあります。またSNSで接点を持った学生ボランティアが選挙を手伝うなど、デジタル発信が草の根の支持拡大につながる好循環を生み出しました。
馬場氏自身、「SNSで政治の敷居を下げたい」と語り、国会での専門的議論もできるだけ平易に噛み砕いて伝える努力をしていました。その甲斐あって、馬場氏のTwitterには「政治に興味なかったけど馬場さんの発信で関心を持った」というリプライも散見されました。今後地方自治の舞台に移ってからも、このSNSで培った発信力は市民との重要な架け橋になるでしょう。
8. 公約実現度の検証
最後に、馬場雄基氏が掲げた公約・政策の実現度を検証します。
政治改革・クリーン政治
まず政治改革・クリーン政治の分野では、馬場氏は公約通り積極的に行動し、一定の成果を収めました。政治とカネの問題では、2022年の初登院後すぐに「政治資金透明化」を訴え、2024年には企業団体献金の規制強化法案に賛同者・提出者として関与し成立に漕ぎ着けています¹²。
ただ彼自身は企業献金禁止まで踏み込みたかったようですが、これは与党の反対で実現には至りませんでした(野党は全面禁止を主張¹²)。馬場氏のスタンスとしては企業・団体献金の禁止と領収書のネット即時公開まで目指しており、公約に対する妥協のない姿勢は崩していません。実現度としては、部分的前進(改正法成立)にとどまるものの、公約を実行に移す努力は高く評価できます。
経済・物価対策
経済・物価対策では、馬場氏は「時限的な減税や現金給付による物価高対策」を主張していました。国会では消費税の一時減税に賛成票を投じ⁴⁰、予算委員会でも「コロナ禍・物価高で苦しむ家計に減税が必要」と訴えています⁴⁰。
しかし政府は消費税減税を拒否し、馬場氏の望む大胆な減税策は実現しませんでした。一方でコロナ困窮者支援については自身が法案提出したものの成立せず、公約実現度は低めです。ただ2022~2023年にかけて政府が行った現金給付策(特別定額給付金や電力高騰対策給付)は野党の提案を一部反映したもので、馬場氏も「不十分だが評価する」として賛成しました。
トータルでは、自身の掲げた経済政策は十分実現できたとは言えませんが、その背景には与党と勢力差がある野党議員という立場上の限界がありました。
気候変動・エネルギー政策
気候変動・エネルギー政策の公約については、馬場氏はかなり深くコミットしました。再エネ促進は公約の柱でしたが、政府のGX実行会議等での議論に野党として提言を重ね、再生エネ導入目標の引き上げや水素社会実現に向けた提案を行いました。
提出した「分散型エネルギー法案」は成立こそ逃したものの、その理念は2022年以降のエネルギー基本計画に一部取り込まれ、分散型電源の重要性が政策文書に明記されました。馬場氏が経産委員会で示した問題意識(補助金頼みでなく市場形成を、との指摘¹⁴)も政府答弁で「肝に銘じる」と応じさせるなど、影響を与えています。
また原発政策に関しては憲法委員会等で「依存度は下げるべき」との公約通りの立場を表明⁴¹し続けました。処理水海洋放出については最後まで懸念を示し、科学的安全性の説明と漁業補償拡充を強く求めました(政府は補償枠拡大や説明会追加を実施¹⁵)。
これらを見ると、気候・環境公約の実現度は部分的ながら達成度が高く、馬場氏が政策論争を通じて政府方針に修正を迫った点は評価できます。
少子化対策・教育
少子化対策・教育の分野では、馬場氏は児童手当拡充や奨学金減免などを掲げました。これについては2023年に政府与党が児童手当の所得制限撤廃や支給延長を決定し、馬場氏も「与党に押され実現した」と歓迎しています(自らも委員会で主張していた内容です)。育児休業給付の10割保障については実現しませんでしたが、これも党の提言に沿って政府検討課題には上がりました。
選択的夫婦別姓や同性婚といった家族法制改革は、公約で「実現を目指す」としていたものの、与党の抵抗で法案審議入りすらできませんでした。馬場氏自身は2023年6月に野党共同で選択的夫婦別姓法案など3法案を提出しています⁴²が、審議未了で廃案になっています。
それでも「賛成世論7割」という状況を喚起する役割は果たし、今後への布石とはなりました。同性婚についても、馬場氏が賛同した超党派議連の動きで2023年に関連法案の準備が進みましたが、これも実現は次の国会以降に持ち越しです。
総じて少子化・ジェンダー公約の実現は道半ばですが、馬場氏は常に賛成票・共同提案者として行動しており、「やるべきことはやった」という姿勢です。特に夫婦別姓については国民世論と議員間のギャップを埋めるべく議論をリードした功績があります。
福島の復興
福島の復興公約については、馬場氏は誰よりも真剣に取り組みました。除染土最終処分の県外搬出期限2045年問題では前述の通り政府に何度も確約を迫り、一歩も引かない構えで臨みました。その結果、公約した「復興加速」の中で中間貯蔵除去土のロードマップ明示という一点は、政府答弁で「2030年代に見通しを示す」と約束を引き出しています(不十分ながら進展)。
防災インフラ整備や賠償支援なども引き続き訴え、復興庁の存続期間延長(第二期復興・創生期間の延長)については馬場氏ら福島選出議員の要望が実り5年間延長が決まりました。
総合評価
総合すると、馬場氏の公約実現度は50~60点程度と評価できます。与党ではないため自身の政策を直接実現する力は限られていましたが、粘り強い提案と交渉で半数以上の公約項目に何らかの進展や成果をもたらしたと言えます。
未達成の課題(企業献金禁止、夫婦別姓実現など)は引き続き馬場氏の「やり残し」として本人も認識しており、今後の政治活動(例えば市政や将来の国政復帰)で追求していく姿勢を示しています。
おわりに
以上、馬場雄基氏の2015~2025年の政治活動を総覧しました。有権者から見れば、平成生まれの若手議員が苦闘しつつも理想に向かって走り抜けた4年間であり、大きな汚点なく一定の成果を上げた点で評価できるでしょう。
2025年秋に国政を去り新たな挑戦の場に向かう馬場氏ですが、国会で培った経験と信用は地元でも大きな財産となるはずです。これからも彼の歩みを注視しつつ、本レポートを結びたいと思います。
参考資料
公式資料・議会資料
- 衆議院公式サイト:「議案審議経過情報」より法案提出者・賛成者名簿⁷、「会議録検索システム(国立国会図書館)」より委員会発言録¹³¹⁴¹⁶
- 福島県選挙管理委員会「政治団体の収支報告書要旨(令和4年分)」³²³³³⁴
- 立憲民主党ニュースリリース:
- 「馬場ゆうき候補 街頭演説記事(2021年10月29日)」⁶
- 「被選挙権年齢引下げ法案を再提出(2025年6月10日)」¹⁰¹¹
- 「豪雪地帯対策特措法改正案を提出(2022年2月7日)」⁸
- 「ジェンダー関連の3法案を衆院に提出(2022年6月8日)」⁴²
- 馬場雄基公式サイト:
- 松下政経塾公式サイト:「馬場雄基プロフィール」
報道資料
- 『毎日新聞』「国会の世代交代? 平成生まれ議連発足へ 与野党11人参加(2024年)」²⁹³⁰³¹
- 『福島民友新聞』:
- 台湾外交部プレスリリース「立憲民主党国会議員訪問団が表敬訪問(2025年1月15日)」¹⁸¹⁹
- 立憲民主党青年局「立憲民主党代表選2024「新世代討論会」 立憲民主党青年局と共催」²³²⁴
- 選挙ドットコム「東北ブロック 立憲民主党 候補者|第50回衆議院議員総選挙(衆院選2024)」²⁵
- 衆議院「衆法 第216回国会 2 政治資金規正法の一部を改正する法律案」¹²
- 衆議院「法律案等審査経過概要 第213回国会 所得税法等の一部を改正する法律案」⁴⁰
書籍・その他
- 馬場雄基著『日本に20代国会議員がいなくなる日:平成初最年少国会議員誕生のストーリー』(2022年9月15日、国政情報センター、150頁、ISBN 978-4877603366)※本人の著書(政治活動のモチベーションが記されている)
- Wikipedia - 馬場雄基²
- X(旧Twitter)関連:
- 馬場祐樹|YouTubeランキング - ユーチュラ³⁸
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。