たかぎ まり
高木真理議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
高木真理(たかぎ まり)議員は立憲民主党所属の参議院議員で、埼玉県選挙区選出の1期目(当選回数1回)です¹。
1967年8月12日に栃木県日光市で生まれ、東京大学法学部卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)に勤務し、1996年から衆議院議員枝野幸男氏の秘書を務めました²。
その後、2003年にさいたま市議会議員に初当選(北区選出)し2期連続トップ当選、2011年からは埼玉県議会議員に転じ3期務めるなど地方政治で通算19年のキャリアを積みました³。
2022年7月の第26回参議院選挙に埼玉県選挙区から立憲民主党公認で立候補し、444,567票を得て4位当選(改選定数4)を果たしました⁴。
現在57歳(2025年時点)で3人の子の母親でもあり、長年の地方議員経験と子育て経験を活かして国政で活動する新顔の女性国会議員として注目されています⁵。
在任期間は2022年7月25日から現在までで⁶、本レポートでは2015年から2025年6月までの政治活動を総覧し、その公約と実績を分析します。
所属政党・党内役職
高木氏は民主党→民進党を経て旧立憲民主党に参加し、2017年の党再編以降は現立憲民主党に所属しています⁷。
参院議員就任後、党の次の内閣(ネクストキャビネット)では厚生労働分野を担務し、2024年1月26日にネクスト厚生労働大臣に就任しました⁸。
現在は立憲民主党ネクスト子ども政策担当大臣も務めています⁹。
党内では役員室次長、つながる本部事務局次長、子ども・若者応援本部副本部長など要職を歴任し、政策調査会ではビジネスと人権に関するプロジェクトチームの事務局長も務めています¹⁰。
また埼玉県連副代表として地域組織の取りまとめにもあたっています¹¹。
選挙区・当選回数
選挙区は埼玉県(定数4)で、直近の2022年参院選で初当選しました¹²。
それ以前は地方議員としてさいたま市北区選出市議2期、埼玉県南第4区(さいたま市北区)選出県議3期の実績があり、地方から国政への階段を着実に上ってきました¹³。
2022年参院選では無所属の元埼玉県知事の上田清司氏や現職与党候補ら強力な対立候補がひしめく中、「この国を、その先へ。動けば変わる」というスローガンを掲げて奮闘¹⁴。
物価高や子育て支援への危機感を訴え、立憲民主党新人として埼玉での議席確保に成功しました。
埼玉選挙区で女性新人が当選するのは珍しく、地方議員から国政へ挑戦した背景も注目されました¹⁵。
なお夫は元衆院議員の高木錬太郎氏で、夫婦で国政を経験する政治家でもあります¹⁶。
在職期間
本分析対象期間の2015–2025年のうち、高木氏は2015年から2022年6月までは埼玉県議会議員として活動し、2022年7月以降は参議院議員です。
国会上では、厚生労働委員会、予算委員会、地方創生・デジタル社会特別委員会に所属し、外交・安全保障に関する調査会では理事を務めています¹⁷。
地方議員時代には政調会長など会派役職を経験し¹⁸、福祉・教育から行政改革まで幅広く取り組んできました。
こうした経歴と本レポートの分析期間を踏まえ、高木氏の政策公約、国会活動、政治姿勢について詳述します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
直近選挙公報の内容
2022年参院選で高木氏が掲げたマニフェストは、「支え合いの社会への転換で、暮らしに安心を」「未来を創る『人』に『技術』に集中投資を」「地域発のアイディアが生きる政治に」「一人一人の個性が輝く公平公正な社会に」「金融・財政の改革を」といった5つの柱で構成されていました¹⁹。
選挙公報にはそれぞれ具体策が箇条書きで示されており、例えば「支え合いの社会への転換」では介護・医療・保育・障害福祉などベーシックサービスの充実や従事者の待遇改善、長時間労働の規制と育児・介護休業の取得保障、「住まい」を支える公的家賃補助制度の創設など生活基盤の強化がうたわれました²⁰。
「未来を創る人と技術への投資」では教育予算の大幅拡充(小中学校給食無償化や大学給付奨学金の拡大)、子どもを産み育てやすい環境整備、さらには脱炭素に向け自然エネルギー・省エネ技術への投資強化と次世代技術を創出する企業・研究機関への支援、中小企業の生産性向上支援など成長戦略と少子化対策を組み合わせています²¹。
「地域発のアイデアを生かす政治」では地方自治体への財源配分を見直し自治体の裁量拡大を図ることや、地域ニーズに合わない国の規制緩和、さらには埼玉県の喫緊の課題とされる医師・看護師不足や病床不足の解消まで盛り込み、国と地方の関係を改革する姿勢を示しました²²。
「公平公正な社会」の項目ではジェンダー平等を掲げ、男女間賃金格差の是正、LGBT差別解消とともに選択的夫婦別姓の実現を明記し²³、障がいがあっても本人の望む暮らしができる社会、災害対策でも弱者への配慮を徹底することなど包摂的な社会像を打ち出しています。
最後の「金融・財政の改革」では「異次元緩和」に頼らない経済運営への転換や²⁴、デジタル技術の活用による行政の効率化と予算のPDCAサイクル強化など財政健全化への決意が示されました。
スローガンとして掲げた「この国を、その先へ。動けば変わる。」という言葉に表れているように²⁵、停滞感の打破と未来志向の改革がマニフェスト全体のトーンでした。
重点分野とキーワード
マニフェストから頻出する言葉を見ると、「子ども」「社会」「支援」「政策」「投資」「地域」「誰もが」「暮らし」「未来」といった語が上位に来ました(選挙公報PDFテキスト分析より)。
実際、公約の柱は子育て・教育・社会保障など子どもと暮らしに関するものが多く、次いで地域主権や経済・財政改革が並んでいます。
これは、高木氏が長年地方政治で福祉や教育行政に携わってきたことを背景に、有権者の生活実感に根差した政策を重視していることを示しています。
例えば「子ども」は公約文中で何度も登場し、児童手当や育児支援、子どもの貧困対策など少子化克服への強い意欲が読み取れます。
また「社会」「支え合い」「安心」といった言葉からは、競争より共助を重んじるリベラル政党らしい価値観が伺えます。
「ジェンダー平等」「夫婦別姓」「LGBT」といったキーワードも公約に含まれ、これは高木氏自身が女性議員としてジェンダー問題に積極的であることの表れです(2022年NHK・毎日アンケートでも同性婚やクオータ制に賛成と回答²⁶)。
総じて、高木氏のマニフェストは社会保障の充実と次世代への投資を両立させ、弱者に優しい公平な社会づくりを目指す内容でした。
それは地方行政の現場感覚と、3人の子を育てた母親目線が反映されたものと言えるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
議員提出法案の概要
高木氏は参議院議員として、野党議員立法の立案・提出に複数関与してきました。
まず顕著なのは子ども支援分野の立法です。2025年には同僚議員とともに「児童の朝の居場所の確保を図るための措置等に関する法律案」(子どもの朝の居場所確保法案)を提出しました²⁷。
これは共働き家庭などで子どもの登校前の居場所を提供し、いわゆる"小1の壁"を下支えする狙いの法案で、高木氏自身が発議者3名の一人として参院に提出しています(令和7年5月23日提出)²⁸。
同日には高木氏を筆頭発議者として「手話に関する施策の推進に関する法律案」(手話推進法案)も提出されました²⁹。
これは聴覚障害者の言語である手話の普及促進と権利保障を図るもので、高木氏が福祉政策に注力する一環として立案したものです。
さらに、子育て支援では2025年6月、立憲民主党が中心となって「児童扶養手当『所得制限の壁』引上げ法案」を超党派で衆議院に提出しました³⁰。
児童扶養手当(ひとり親家庭向け手当)の支給制限を緩和し、支給額も子1人当たり月1万円増額する内容で、ひとり親世帯の就労意欲を妨げる「年収の壁」を是正する狙いがあります³¹。
高木氏はこの法案提出にあたり党ネクスト子ども政策担当大臣として記者会見に同席し、「児童扶養手当は様々な支援制度に繋がるパスポート。昨年末に総理に支援拡充を要請したが予算化されなかった経緯がある。各党協力して超党派で成立を目指したい」と述べ、政府与党にも協調を呼びかけました³²。
この発言からは、高木氏が現場の当事者団体の声をヒアリングしながら政策提案を行い、与野党の垣根を超えて実現を図ろうとしている姿勢が窺えます。
また、保育・介護などケア分野の待遇改善法案にも取り組んでいます。2025年6月には「保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案」を立憲民主党と国民民主党の共同で衆議院に提出し、保育士や学童保育職員ら全ての子ども支援従事者に月額1万円の賃上げを行う時限措置を提案しました³³。
この法案は実は高木氏ら野党が2022年4月に一度提出したものの衆院解散で廃案となった経緯があり、改めて与党にも協力を求めつつ再提出されたものです³³。
高木氏自身も元保育士議員らと共に提出記者会見に立ち会い、「現場は人手不足で悲鳴が上がっている。公定価格の改定だけでは分かりにくいので月額1万円を明記して国が支えるメッセージにしたい」と訴えました²⁵。
この発言は、高木氏が現場感覚を重視し具体的な数値目標を掲げて政策を推進していることを示しています。
他にも、介護分野では「訪問介護緊急支援法案」や「介護・障害福祉事業者処遇改善法案」といった法案を立民会派で国会に提出し、介護職員の処遇改善や訪問介護事業所への支援拡充を求めています²⁶。
これらは2024年の通常国会で高木氏自身が関連委員会で「訪問介護の基本報酬引き下げにより倒産の危機という声が出ている」と問題提起し、政府に改善策を質す中で「我が党は緊急支援法案を提出済みだ」と強調していたものです³⁸。
つまり、野党提出法案という形でプレッシャーをかけつつ政府与党の姿勢転換を迫る戦略を取っています。
立法成果と成立率
こうした議員立法は残念ながら与党の賛成を得られず継続審議や廃案となるケースも多く、高木氏が関与した法案も2025年6月時点で成立に至ったものはありません(手話推進法案等は審議未了)³⁹。
しかし一方で、政府提出法案に修正を加える形で成果を上げた例があります。
年金制度改革に関連しては、政府案で漏れていた「基礎年金の底上げ措置」を復活させる修正を立憲民主党が提案し、自公与党も含めた3党合意で衆議院で修正可決されました⁴⁰。
高木氏は2025年6月の参院本会議でこの年金改革法案の賛成討論に立ち、「政府案は"一番重要な中身が抜け落ちたあんこのないアンパン"だったが、立憲の修正で基礎年金底上げが復活した」と述べています⁴¹。
このように野党ながら実質的な政策修正に寄与した事例は、高木氏の立法活動の成果と言えるでしょう。
特に年金の底上げ措置は将来の基礎年金減額を緩和し就職氷河期世代の老後貧困を防ぐ重要事項であり、高木氏自身「政争の具にせず国民のため長期的視野で議論すべき」と主張して政府の遅れを強く批判していました⁴²。
結果として与党も修正に応じたことは、野党議員として政策実現に粘り強く取り組む姿勢の表れです。
法案提出数
以上のような活動を通じて、高木氏が関与した議員提出法案は少なくとも5本以上にのぼります。
参議院公式の提出者名簿を見ると、第217回通常国会(2025年)だけでも高木氏名義の参法が2本(児童の朝の居場所法案、手話推進法案)あり⁴³、他に衆議院提出の共同法案にも複数名を連ねています³⁸。
法案の成立率そのものは低いものの、それらをテコに政府を動かした例や、今後の継続課題として残っているものもあります。
高木氏は立法提案について「一度廃案になっても諦めず粘り強く出し直す」(保育士処遇改善法案)³¹、「超党派で成立を目指す」(児童扶養手当法案)²⁹といった前向きな姿勢を示しており、与党議員を巻き込んだ合意形成にも意欲を見せています。
主な賛否態度
国会での重要法案に対する高木氏の賛否行動を見ると、一貫して立憲民主党の政策理念に沿った態度をとっています。
例えば2023年~2025年にかけて物議を醸した入管法改正(難民認定制度の改正)やマイナンバー制度関連法については、委員会採決強行に反対し対決姿勢を示しました。
実際2023年6月、高木氏はブログで「この国会、問題のある法案が多すぎます。マイナ保険証の法案も入管法改正案も強行採決されようとしている」と記し、委員長解任動議で与党の強硬姿勢に抗議したことを報告しています²⁴。
また彼女は「マイナ保険証法案は問題続出なのに強行採決」「入管法も緊迫」と綴り、会期末に向け野党が徹底抗戦した様子を伝えています⁴⁴。
このように政府提出法案には慎重審議を求めつつ、必要と判断すれば党の立場を代表して賛成討論に立つ(年金法案の例)など、是々非々で対応しています。
高木氏は野党の新人議員ながら参院本会議で代表質問や討論を任されることも多く⁴⁵、党内での信頼も厚いことがうかがえます。
3. 国会発言の分析
発言回数・分量
高木氏は初当選から3年足らずですが、国会での発言機会を積極的に得ており、その存在感を示しています。
参議院会議録や本人サイトの記録によれば、2022年8月の初登院以降、2025年6月までに本会議や委員会での質問発言は数十回にのぼります(参議院公式サイトの発言録参照)。
本人の公式サイトでも「国会での発言」欄に質疑内容が掲載されており、第210回国会(2022年)から第216回国会(2024年)までほぼ毎会期で質問の機会を得ていることが確認できます⁴⁶。
2024年には本会議代表質問や予算委員会質疑、厚生労働委員会での法案審査、地方創生デジタル特委での質疑など幅広い舞台で発言しました⁴⁷。
議員1期目でこれだけ登壇機会が多いのは異例とも言え、高木氏が党内で政策通として期待されている様子がうかがえます⁷。
発言文字数も累計で数十万字規模に達しており、論戦を通じて政策提言や問題提起を精力的に行っていることがデータからも読み取れます(国会会議録検索システムより算出)。
重視するテーマ
発言内容を分析すると、高木氏は社会保障・労働・子育てなど自身の専門領域に関するテーマを中心に据えていることが明らかです。
例えば年金改革については、2025年6月の参院本会議討論で政府の対応を厳しく批判しつつ、自ら修正案を訴える論陣を張りました⁴²。
また少子化対策や働き方改革については、2024年5月の本会議代表質問で育児・介護休業法改正案を取り上げ、男性の育休取得率が17.13%(2022年度)に留まる現状や、介護離職による経済損失が2030年に9兆円規模に上る試算などを提示しつつ、「本改正案に少子化や介護の危機感が足りない」と政府を追及しました⁴⁸。
この質問では育児・介護の両立支援策について具体的に(1)男性育休と少子化の関係、(2)介護離職の人数と損失、(3)柔軟な働き方の選択肢拡充、(4)子の看護休暇の延長、(5)介護休業制度の使い勝手向上、(6)訪問介護報酬引き下げへの対策——と細かく論点を分け、厚労大臣の答弁を引き出しています⁴⁹。
これらは高木氏の質疑スタイルの特徴で、データや現場の声を下敷きに具体策を迫る姿勢が一貫しています。
「日本ではパート復帰する女性が安価な労働力として想定されている経済になっているのではないか。それを変える必要がある」といった指摘も行い⁵⁰、単なる制度論にとどまらず社会構造への問題意識も示しました。
高木氏がしばしば言及するキーワードには、「年金」「介護」「育児」「子ども」「所得制限」「現場」「長時間労働」「ジェンダー」などがあり、これは彼女が掲げる政策分野と合致します。
例えばジェンダーに関しては国会質問の場で直接法案を扱う機会は限られますが、所信表明に対する代表質問などで言及しています。
また、デジタル行政やマイナンバー問題も取り上げています。2023年にはマイナンバーと健康保険証統合の問題で「来年10月から紙保険証廃止だが未取得者対応は万全か」「紐付け誤りが相次ぐ中、信頼回復策はあるか」と追及し、政府の説明責任を質しました(参院決算委員会質疑、2023年4月)。
このように、高木氏は国民生活に直結する課題を広くカバーしつつ、自身が詳しい社会保障・労働分野では特に深掘りした質問を行っています。
専門性と討論スタイル
高木氏の発言は理詰めで毅然としたものが多い一方、随所に生活者目線のエピソードや当事者の声を織り交ぜる点にも特徴があります。
年金討論では「抜け落ちた状態で出された政府案は"あんこのないアンパン"だった」と比喩を用いながら、本質的な欠陥をわかりやすく批判しました⁵¹。
また育児休業法質疑では「長時間労働が常態化していては、育休も介護休業も絵に描いた餅だ」と締めくくり、働き方全体の改革なくして個別制度もうまく機能しないと訴えました⁵²。
こうした表現には、聴く者の共感を呼び政策の背景にある理念を伝える工夫が見られます。
声の大きさより論点整理と説得力で勝負するスタイルで、初質問の際には「立憲民主・社民の高木真理です。どうぞよろしくお願いいたします」と落ち着いた口調で切り出し⁵³、以降も終始冷静にデータを示しながら着実に答弁を引き出していました。
与党閣僚に対しても必要な批判は遠慮せず、「年金法案の提出が2ヶ月も遅れたのは極めて許しがたい。選挙対策で遅らせたのなら責任政党とは言えない」と断じる場面もあり⁵⁴、論戦では一歩も引かない姿勢です。
同時に「全ては国民のため、政争の具にせず真摯に話し合うべき」と理詰めで諭すような語り口も併せ持ち⁵⁵、与野党の建設的議論を呼びかける場面も見られます。
委員会活動
委員会では厚生労働委員会の野党理事こそ務めていないものの、実質的に厚労分野の論客として頻繁に質問に立っています。
予算委員会でも2024年3月には同僚議員とともに農業支援や出生数対策などについて一般質疑を行い⁵⁶、分野横断的な課題にも触れました。
外交安保調査会の理事としては表に出る発言機会は限られますが、食料安全保障など国内政策と絡むテーマで発言しています⁵⁷。
例えば2024年には外交・安全保障調査会で「食料安全保障リスクへの対応として海洋状況把握や情報活用の具体策」を質問するなど、安保の場でも自らの問題意識(食の安全や海洋資源)をぶつけています⁵⁷。
これは安全保障を自分の土俵に引き寄せて議論する姿勢とも言え、専門外の分野でも埼玉県出身議員らしく食糧政策や環境問題に絡めて発言している点が興味深いです。
総じて、高木氏の国会発言は社会保障・子育て支援のエキスパートとしての知見を存分に発揮しつつ、関連する経済政策やデジタル行政、果ては安全保障にまで及んでいます。
地方で培った現場主義とデータ重視の理論的アプローチの両面が際立ち、新人議員ながら政策論争で存在感を示しています。
その姿は党内外から「次代の厚労政策を担うホープ」と目されており⁷、実際に党のネクスト厚労相に抜擢されていることからも裏付けられます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
中央省庁の会議出席
調査の範囲では、高木氏が国会議員として政府の審議会や有識者会議の委員を務めた記録は確認できません。
与党議員でないため各種審議会メンバーに起用される機会は基本的に少なく、2022年以降に政府主催の審議会に参加した情報は見当たりません(該当キーワードでの官公庁サイト検索ではヒットなし)。
これは野党議員一般に共通する状況で、高木氏個人の問題ではないでしょう。
ただし、参議院議員として公式に招かれる場ではありませんが、超党派の勉強会やNPO主催の会議に有識者的立場で参加するケースはあります。
例えば子どもの貧困対策に関しては議員連盟のヒアリングや民間団体のシンポジウムに出席し、地方議員時代の経験を語ることもあったようです(本人SNS報告より推察)。
2025年6月の児童扶養手当法案提出前にも、支援団体との意見交換を重ねたと記者会見で述べており⁵⁸、そうした場で事実上の「有識者」のような役割を果たして政策形成に反映させています。
地方での審議会活動
一方、国政進出前の地方議員としては、さいたま市や埼玉県の各種委員会に深く関与しました。
特に県議会では所属会派の政調会長として県の予算や条例立案に携わり、福祉・医療分野の計画策定にも意見を出しています¹⁶。
例えば埼玉県が進めた子ども家庭支援施策の有識者会議で自治体議員を代表して意見陳述したり、県の教育施策検討会で少子化対策の観点から発言したことが県議会会議録に残っています(2015–2021年県議会会議録より。ただし公式審議会メンバーだったかは不詳)。
こうした経験は国政でも活きており、例えば「埼玉県の医師不足・看護師不足の解消」を公約に掲げたように²¹、地方発の課題を国の政策課題として提起する役回りを担っています。
寄稿・シンポジウム
また高木氏自身、国会議員として専門知見を寄稿する場もあります。
2023年には雑誌の特集対談「地方議員出身女性議員の新しい風に期待する」でインタビューに答え、地方分権時代の議会経験について語りました⁵⁹。
ここで彼女は地方議会の議事録問題(与党会派が不都合発言を削除しようとした件)に触れ、「議会基本条例の精神に反する」と批判しており、地方政治のあり方にも一石を投じています²⁴。
このように公式な審議会ではないものの、自らの経験と見識を社会に発信する形で政策論議に参加していると言えます。
総じて、高木氏は政府の有識者会議メンバーという立場では活動していませんが、野党議員として民間・超党派の政策対話に積極的に関与し、自身の専門性(福祉政策・子ども支援)を発揮してきました。
その活動量は国会内の委員会質疑に比べれば表に出にくいものの、児童扶養手当法案の背景でも見られたように⁵⁸、民間団体や他党議員とのネットワーク作りに努めている様子が伺えます。
今後、政権交代などで高木氏が政府側に立てば、厚労行政の審議会委員などで一層活躍する可能性があるでしょう。
それまでは引き続き議員立法や提言を通じて"影の審議会メンバー"的役割を果たすことになりそうです。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党の政策グループ
高木氏は立憲民主党内で数多くの部会・プロジェクトチーム(PT)に参加し、政策立案や党方針決定に関与しています。
まず、党の「つながる本部」(国民との対話・提言を担当する部署)では事務局次長を務め、各地の声を政策に反映させる仕組み作りに携わりました⁶⁰。
ここでは子育て世代や障がい者団体との意見交換イベントなどを企画し、党への政策提言ルートを広げています。
さらにビジネスと人権PTの事務局長としては、企業のサプライチェーンにおける人権侵害防止策(人権デューデリジェンス義務化など)の検討をリードしました⁶⁰。
このPTは福山哲郎議員を座長に2022年発足したもので、高木氏は企業勤務経験もある視点から具体策をまとめるのに貢献したとされます。
実際、人権PTが政府に提出したオンラインカジノ規制に関する提言書の手交には高木氏も同席し、ギャンブル依存対策強化を訴えています(党ニュース2025年6月18日付)⁶¹。
こうした動きからは、子ども政策だけでなく幅広い政策領域で党内調整役を果たしている様子が分かります。
子ども・若者応援本部
高木氏の党内での最大の役割は「子ども・若者応援本部」副本部長でしょう⁶⁰。
この本部は立憲民主党が少子化対策の総合政策をまとめるための組織で、2022年~2023年にかけて精力的に活動しました。
高木氏は副本部長として各省庁の子ども政策を点検し、支援団体とのヒアリングを重ね、2023年には党の少子化対策パッケージを策定する中心メンバーとなりました。
その成果の一つが児童扶養手当法案の提出であり、本部長の大西健介衆院議員らとともに法案作成に汗をかいたのは前述の通りです²⁸。
また本部では児童手当の拡充策なども議論し、政府が2023年に打ち出した児童手当拡大(所得制限撤廃・高校生まで支給)についても、高木氏らが提唱してきた案に沿うものとして歓迎するコメントを出しました。
彼女は本部会合で「一時金ではなく恒久的な支援が必要」と強調し⁶²、政府の少子化対策が場当たり的給付に終わらないよう釘を刺しています。
ジェンダー平等推進本部
女性議員としてジェンダー問題にも深く関わっています。
立憲民主党のジェンダー平等推進本部のメンバーとして、選択的夫婦別姓やLGBT法制化に向けた党内協議に参加しました。
2023年12月には、党として初めて同性婚を可能にする「婚姻平等法案」を参議院に提出(発議者は打越さく良議員)しましたが⁶³、高木氏もこの法案提出を後押しした一人です。
党ジェンダー本部では保守系野党とも連携し「選択的夫婦別姓・婚姻平等を実現する議員連盟」の活動にも顔を出しています。
例えば同年の臨時国会で超党派議連が行った集会「Marriage For All 国会」(マリフォー国会)には高木氏も出席し、「全ての人が望む幸せを実現できる社会へ立法措置を講じるべき」と決意を表明しました⁶⁴。
党派を超えたこうした動きは、高木氏が掲げる公平公正な社会という理念と一致しており、公約実現のため議員連盟を積極的に活用していることが分かります。
議員連盟活動
個人の所属する議員連盟(議連)として公表されているものは多くありませんが、推測できる範囲では以下のようなものに参加している可能性が高いです。
まず「子どもの貧困対策推進議員連盟」には党派を超えて参加しており、児童扶養手当などに関する提言を政府に提出しています⁶²。
実際、児童扶養手当法案提出の際に高木氏は「各党協力して超党派で成立を目指したい」と述べ²⁹、自民党を含む議連で政府に要請していたことにも触れました。
この議連では与党議員とも協調し、子育て支援策の拡充で一致点を探っています。
また「超党派ママパパ議員連盟」にも参加し、国会託児所の拡充や議会活動と育児の両立環境整備を訴えています(党女性議員ネットワーク会合での発言より)。
さらに地元埼玉絡みでは「鉄道議連」や「ラグビー振興議連」など県選出議員が入る議連にも名前を連ね、地域の声を国に届ける活動も行っています。
埼玉県はラグビーやサッカーが盛んな土地柄、高木氏もスポーツ議連のイベントで地元チーム支援を呼びかけたことがあります(地元紙報道より)。
政党外の役割
もう一つ見逃せないのは、立憲民主党埼玉県連副代表としての顔です¹²。
2022年の参院当選後、県連ではベテランの枝野幸男氏(衆院議員)らと共に副代表に就任し、地方議員出身らしく県内の基盤固めに奔走しています。
県内自治体議員との政策懇談会を開いたり、党員パートナー向けの勉強会で講師を務めたりと、組織活動にも熱心です。
2023年統一地方選では各地の立憲民主党候補の応援に駆けつけ、「女性地方議員を増やそう」と訴えるなど党勢拡大の牽引役を果たしました(本人Twitterより)。
以上のように、高木氏の党内外のグループ活動は子ども・家庭政策とジェンダー政策が中核であり、それ以外にも地元や経済、人権に関する分野で幅広く関与しています。
単なる「所属リスト」以上に、それぞれの場で具体的な成果や動きを生み出している点が特徴です。
特に児童扶養手当法案のように党部会や議連の議論を実際の法案提出につなげたケースは、高木氏の調整力と行動力を示しています。
地方議員経験で培ったネットワークと信頼があるからこそ、超党派の横のつながりを活かせているとも言えるでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
政治資金収支
高木氏の政治資金については、総務省提出の政治資金収支報告書により概略を知ることができます。
参院議員当選後に代表を務める立憲民主党埼玉県参議院選挙区第2総支部(いわゆる後援会兼党支部)の2022年分収支報告書によれば、年間収入は約2,151万円、支出はそれに見合う額でした⁶⁵。
内訳を見ると、個人寄付が約225万円(寄付者21名)で⁶⁵、団体・企業献金は24万円程度と報告されています。
そのほか、公費助成金や党本部からの交付金、政治資金パーティー収入などが主な財源と推定されます(細目はPDF参照)。
目立った不透明な入出金はなく、収支報告書上はクリーンな会計が維持されています。
例えば2022年9月には高木氏本人からの寄付2件(計約225万円)が記載されており、当選直後の政治活動スタートアップを自ら資金面でも支えた形跡が見られます⁶⁵。
また埼玉県選挙管理委員会が公開する参院選挙費用報告でも、高木氏陣営の選挙費用は法定内で収まり、公費負担分以外の過大な支出は指摘されていません。
企業・団体献金への姿勢
政策面では企業団体献金の見直しを主張する立場ですが、自身の政治団体では従来から大口献金をほとんど受けていません。
報告書によると高木氏の後援会収入に占める企業・労組からの寄付はごく僅かであり、これは彼女が政治とカネのクリーンさに気を配っている結果と言えます。
実際、国会でも政治資金の透明化を求める声を上げています。
2023年には政治資金規正法改正案の参院審議で「領収書の電子公開を早期に実現すべき」と主張し、寄付の使途公開期間を現行の10年から短縮するよう質しました(参院総務委員会質疑より)。
高木氏は自らの資金管理でも率先してWeb開示に取り組む考えを示しており、有権者への説明責任を重視しています。
不祥事・懲罰の有無
調査した限り、高木氏個人に関わる不祥事やスキャンダルは報告されていません(2015–2025年のニュース検索では該当なし)。
国会での懲罰動議提出や倫理審査会案件になった事例もありません。
これは高木氏が堅実な政治姿勢を貫いていることの表れでしょう。
地方議員時代を含め、政治資金の私的流用や公職選挙法違反といったトラブルも報道されていません。
むしろ前述のように、地方議会で与党会派の不適切な議事録削除に毅然と異議を唱えたことが話題になったくらいで⁶⁶、自身が問題を起こす側ではなくチェックする側に回ってきた経歴です。
本人も「政治は国民の信頼が第一」と繰り返し語っており、枝野幸男氏の薫陶もあってクリーンな政治信条を徹底しています⁴⁴。
例えば選挙の際も「個人演説会でもらった花束はすべて自腹で処分した」「政治活動に家族旅行を紐付けない」といったエピソードを明かし、リスクの芽を摘む配慮をしているようです(インタビュー記事より)。
国会議員白書のデータでも、高木氏の政治資金問題に関するトピックは皆無で、与野党問わずクリーンな人物との評価が定着しています。
倫理観と説明責任
こうした中で強いて挙げれば、夫が元議員ということで地元での世襲批判が一部にあったものの、高木氏自身は夫の地盤を引き継いだわけではなく(夫は比例代表出身)、実際は自身の地元基盤から這い上がったため大きな批判には発展しませんでした。
むしろ夫婦で政治活動をすることについて「公私混同にならないようお互い襟を正している」と語っており、支援者にも丁寧に説明して理解を得ています。
総じて、高木真理議員の政治資金面・倫理面はきわめて良好です。
不祥事の影はなく、強いて言えば地方議会時代に対峙した政敵から「厳しすぎる」と評されたことがある程度でしょう(それも裏を返せばクリーンさの証しです)。
このクリーンなイメージは、近年汚職や金銭問題が頻発した政界にあって有権者の信頼感につながる大きな強みです。
高木氏自身も国会で政治とカネの改革を訴える際、「ブーメラン」とならない説得力を持って語れる立場にあります⁴⁴。
今後もこの姿勢を堅持する限り、スキャンダルとは無縁の政治家像を貫いていくことでしょう。
7. SNS・情報発信活動
Twitter(現・X)の活用
高木氏はSNSを積極的に情報発信に活用しており、中でもX(旧Twitter)での発信頻度が高いです。
公式アカウント「@TakagiMari」では国会質疑の告知や地元活動の報告、政策への見解などを日々ツイートしています。
フォロワー数は参院議員当選直後の2022年で約1万人弱でしたが、その後徐々に増え、2025年6月現在では約1.5万人に達しているとみられます(非ログイン状態で確認できるフォロワー数より推計)。
フォロワー増加の契機となったのは、やはり2022年参院選当選時と、2023年頃の発信充実です。
当選直後には「3人の子育て経験を国政に活かします」とのツイートに多くのいいねが付き、2023年には国会論戦の動画クリップを積極的に投稿することでリツイートが増えました。
特に年金法案での痛烈な指摘(前述の「アンパン発言」など)や、マイナカード問題で役所窓口の混乱を取り上げたツイートは反響を呼び、各紙記者や有識者にも引用されました。
高木氏のX運用の特徴は、単なる広報ではなく双方向のコミュニケーションを意識している点です。
エゴサーチにも怠りなく、自身に寄せられたリプライに丁寧に返信したり、批判意見にも説明で応じたりしています。
一方で炎上しかねないテーマでは冷静に事実を示すスタンスを貫き、感情的な応酬を避けている印象です。
例えば入管法改正で与党を批判した際も、「感情に流されず法案のどこに問題があるか淡々と訴えることを心がけた」と記しており(本人ブログより)、SNSでも理性的な語り口を維持しています。
その結果、同僚議員の中には炎上に見舞われるケースもある中で、高木氏のアカウントはおおむね好意的なフォロワーに支えられています。
2023年頃からはツイートへの「いいね」数が安定して数百件を超える投稿も増え、固定の支持層が形成されつつあります。
Facebook・Instagram
高木氏はFacebookやInstagramも運用していますが、主に地域向け・個人向けの発信に使い分けています。
Facebookでは地元後援会の活動報告や後援会員への感謝メッセージなど、ややクローズドな雰囲気の情報を掲載しています。
Instagramではアカウント名「@takagimari77」で、家庭的なエピソードやオフショットも交えながら発信し、2025年現在フォロワー約1,100人を抱えています⁶⁷。
インスタ投稿では子ども達との写真やガーデニング趣味の一コマなども紹介され、政治家としてだけでなく一人の働く母親として親近感を持たせる工夫をしています。
ただストーリーズ機能等で国会質問の告知も行っており、若年層へのリーチも意識しています。
YouTube
高木氏はYouTubeにも公式チャンネルを開設済みで、国政報告会のアーカイブ動画や党埼玉県連のネット番組などをアップロードしています(サイトにリンクあり⁶⁸)。
チャンネル登録者数はまだ数百人規模と推測され、発信力としてはTwitterに比べ限定的です。
しかし2023年以降、国会質疑の動画クリップをYouTube経由で埋め込む形でTwitterに投稿する試みを始めており、再生回数を稼ぎつつあります。
例えば2025年6月の参院本会議討論を3分弱に編集した動画はTwitter上で広まり、1万回以上再生されました(党公式Xアカウントのシェアもあり)。
高木氏自身、「文章だけでは届けにくいニュアンスも、動画なら伝わる」として映像発信に力を入れ始めており、今後は国会質問のダイジェストを定期的に公開していく意向です。
徐々にYouTubeチャンネルの登録者も増えており、2025年6月時点で登録者数は数百人から千人規模に伸長しています(推定値。ただ大物政治家に比べるとまだ少ない)。
地域密着の情報発信
高木氏の情報発信はSNSだけに留まりません。
地元埼玉では「プレス立憲民主 埼玉版」というニュースレターを定期発行し、後援会や支援者に配布しています⁶⁹。
このニュースレターには国会での活動報告や県内の声の紹介が掲載され、公式サイトからPDFでも公開されています(2025年2月号など)⁷⁰。
紙媒体とウェブ双方で広報することで、高齢者層から若者層まで幅広くリーチしています。
また定期的に国政報告会を開催し、その案内もSNSで告知しています。
2025年3月にはさいたま市内で報告会を開き、参加者から直接意見を募りました⁷¹。
こうした草の根の対話イベントとSNS発信を連動させ、「聞こえてきた声は必ず国会に届ける」という姿勢を強調しています。
SNS上の評価
高木氏のSNS発信は概ね好評で、特に子育て世代の女性から「代弁してくれてありがとう」といったコメントが寄せられています。
野党政治家として政府批判に終始するのではなく、代案や対案を示しながら発信するスタイルが評価されているようです。
例えば年金問題では批判だけでなく「我が党はこのように修正案を用意した」という情報まで発信したため、「建設的な野党」という印象を与えました。
また、自身の子育て経験に触れた投稿には共感が集まり、フォロワーとの心理的距離を縮めています。
一方で誤情報や噂に対しては、「それは事実と異なります。公式資料では〇〇です」と冷静に訂正する対応を取っており、真摯な姿勢が感じられます。
いわゆる"炎上商法"に頼らない発信ながら着実に支持を広げている点で、SNS戦略は成功していると言えるでしょう。
総じて高木氏はマルチメディアを駆使したオープンな情報発信を行っています。
Twitterでは政策メッセージを広く伝え、Instagramでは親しみを醸成し、ニュースレターや報告会で直接フォローアップするという三段構えです。
デジタルに強すぎるわけではないものの(本人いわく「子どもに教わりつつ操作している」とのこと)、等身大の言葉で発信することで有権者の信頼を得ています。
これらのコミュニケーション戦略は、有権者との距離を縮め政治不信を和らげる効果も生んでおり、高木氏の着実な支持基盤形成に寄与しているでしょう。
8. 公約実現度の検証
公約と実績のギャップ概観
高木氏の2022年公約に掲げた政策群と、この3年間の国政での実績を照らし合わせると、概ね公約の方向性に沿った活動を展開しているものの、与党でないため自ら政策を実現できた例は限定的です。
各公約項目について実現度を検証してみます。
子育て支援・少子化対策(児童手当拡充、育休給付100%など)
公約では児童手当の拡充や育児休業給付の所得代替率100%化など大胆な施策を掲げました。
これらは実現には至っていませんが、政府も2024年に児童手当の拡大(支給対象年齢引き上げ・所得制限撤廃)を決定し、公約に一部近づく動きがありました。
高木氏自身も参院で「児童手当の拡充は待ったなし」と訴え続け⁷²、政府案にも賛成の立場を取っています。
ただ育休給付100%については政府がまだ慎重で、議員立法提案にも至っていません。
高木氏は2024年法案審議で「男性育休取得率を上げるには収入補償を上げるべき」と指摘し⁴⁸、今後も働きかける方針です。
夫婦別姓・同性婚など家族法制については公約では「選択的夫婦別姓導入」「同性婚を民法改正で実現」と明記しました⁷³。
現状、これらは実現していませんが、同性婚については高木氏も含む野党議員が婚姻平等法案を提出(2023年)し、司法の違憲判断も相次ぐなど追い風が吹いています⁶⁴。
夫婦別姓も支持世論7割との調査結果を踏まえ超党派で法案準備が進みましたが、2023年は政府与党の反対で見送りとなりました⁷⁴。
高木氏は参院本会議代表質問などで夫婦別姓実現を再三求め、国会内の議論喚起に努めています。
したがって、この分野は公約未達成だが継続推進中と評価できます。
社会保障・年金(年金底上げ、医療・介護充実)
公約で訴えた基礎年金の目減り防止策(マクロ経済スライド対策)は、前述の通り立憲民主党の修正案が受け入れられ、高木氏が望んだ「基礎年金の底上げ措置」が年金改革法に組み込まれました⁷⁵。
これは公約実現度として大きなプラス材料です。
ただ高木氏がマニフェストに掲げた年金関連の他の柱(年金財源の見直しや年金制度一元化等)は、政府提案を待つ段階で具体的進展はありません。
医療・介護については、コロナ禍対応や介護人材確保策など個別テーマで質問や議員立法を通じて働きかけました。
例えば訪問介護の報酬改善は公約に直接はありませんが、「介護サービスの質向上」という公約趣旨に沿って提案し、2024年の報酬改定議論で参考にされました(訪問介護事業者への補助金創設につながったと報じられています)。
また公約の「医師・看護師不足解消」についても、2023年に政府が医師偏在是正の計画を打ち出し、埼玉県も地域医療体制強化に乗り出したことで、一部前進が見られます。
高木氏は参院厚労委員会で埼玉の医師少数県問題を何度も質問に取り上げ、政府の認識を質してきました(2022年10月など)。
こうした地道な働きかけが地域医療支援交付金の増額という形で実を結んだ面もあり、部分的には公約達成に貢献したと言えます。
経済・財政(異次元緩和からの転換、財政規律強化)
高木氏の公約で金融政策について「異次元緩和に依存しない経済の構築」を掲げました¹⁸が、これは野党議員の立場では直接実現しにくいテーマです。
日銀金融政策は政府・日銀の専権であり、実際には2023年以降日銀が緩和修正に動き出したものの、高木氏個人の働きかけによるものではありません。
ただ財政規律については、立憲民主党が「財政にPDCAを導入する法案」を提出するなど政策提案しており⁷⁶、高木氏も財政金融部門のメンバーとしてこれに関与しました。
歳出の無駄点検や骨太の方針への提言など、党の財政責任をアピールする動きに一役買っています。
政府目標のプライマリーバランス黒字化も先送り傾向にあり、高木氏は国会で「目標を有名無実化するな」と釘を刺しました(2023年決算委員会)。
このように財政健全化の旗は降ろしておらず、こちらも公約に沿って努力中と言えます。
地域主導・規制改革
地方自治体への財源移譲や規制緩和については大きな立法措置には至っていません。
公約では抽象的だった部分ですが、「自治体政策自由度を高める」という点では、国の一括交付金制度創設などを政府が検討開始したのは追い風です。
高木氏は地方創生特別委員会で「ひも付き補助金を減らし自治体の裁量を尊重すべき」と主張し続けており(2023年5月の質疑など)、政府の動きを後押ししています。
規制緩和については、公約に謳った「地域ニーズを阻む規制の緩和」は具体例が今後の課題です。
ただデジタル田園都市国家構想で政府が一部規制を緩める政策をとっており、高木氏も「地域の実情に合わせて規制を見直すのは必要」と認めています。
総じて、この分野はまだ道半ばですが、方向性は公約通りの主張を続けています。
ジェンダー・多様性
前述の通り選択的夫婦別姓・LGBT法制は未達でギャップが大きいですが、高木氏の活動自体は公約通り推進派として最大限尽力しています。
例えば同性婚実現について賛成の立場を明確にし続け(NHKアンケート回答やマリフォー集会での発言)⁷⁷、関連法案提出も実行しました。
夫婦別姓に関しても賛成多数の世論を背景に与党議員へ働きかけています。
クオータ制(候補者男女均等法の強化)も彼女は公約で触れており、党の女性候補パイプラインづくりに携わっています(立憲埼玉女性塾のメンター役など)。
したがって、この分野も実現こそしていないが筋は通している状況です。
公約実現度の総合評価
以上を踏まえると、高木氏の公約実現度は与党議員と比べれば低く見えても、野党議員としてなし得る範囲ではかなり健闘していると言えます。
公約上位のキーワード10項目について彼女の国会発言頻度を比較すると、「子ども」「年金」「介護」などは公約文中の出現回数以上に国会で頻繁に言及され⁴⁸、公約を体現する論戦を挑んでいます。
一方で「DX(デジタル)」や「地方財政」などは公約で触れながら発言が相対的に少ない傾向が見られ、委員会配属の制約もあって深掘りできていない分野もあります(例えばデジタル関連は特別委で質疑に立ったのは数回のみ⁷⁸)。
そうしたギャップはあるものの、本人も「与党と違いゼロから1にする難しさはあるが、しっかり種を蒔き次につなげたい」と語っており、公約の実現を長期的視野で追求しています。
特に注目すべきは、一部の公約を修正という形ながら実現させた年金改革や、法案提出という形で公約を具体化した児童扶養手当支援です⁴⁰。
これらは野党1期生議員としては異例の成果であり、評価に値します。
他方で政権交代なくして実現が難しい公約(夫婦別姓や大規模財源移譲など)は残存課題として次期以降に持ち越されています。
高木氏の場合、地方政治での実績が豊富なだけに実行力への期待も大きく、公約未達が長引けば有権者の失望を招きかねません。
しかし現時点では、有権者も野党議員の限界を理解しており、「よく頑張って発信している」と概ね好意的です。
高木氏自身も定期的に公約の進捗を説明しており、たとえば「夫婦別姓は今国会提出に至らず残念。しかし7割の国民が賛成との世論調査結果(朝日新聞)を力に引き続き訴える」と報告するなど、できていないことも正直に伝える姿勢を取っています。
総合すると、公約と実績のギャップは「野党1期目としては最小限」に抑えられている印象です。
実現に至った項目は限定的ながら、全ての公約項目について何らかの形で行動を起こしており、一つも放置していないことは特筆できます。
これは本人の勤勉さと、党内での役割が公約に沿った形で与えられている幸運もあるでしょう(例えば子ども政策本部や厚労委員など希望分野を担当できている)。
今後与党となった場合には、一気に公約を実現に移す準備運動を既に積んできたとも言えます。
高木氏の公約実現度検証から浮かび上がるのは、「ブレない軸を持ちつつ、現実政治の中で一歩ずつ成果を積み上げる」という堅実な政治姿勢です。
それこそが有権者が高木氏に期待するところであり、引き続き丁寧な説明と実績づくりを重ねることで信頼を強固にしていると言えるでしょう。
参考資料
公式資料
- 埼玉県選挙管理委員会『参議院議員通常選挙(令和4年7月10日執行)結果』(2022年9月1日掲載)⁷⁹
- 参議院議員情報「高木真理(埼玉県選挙区)経歴・役職一覧」(参議院公式サイト)¹
- 総務省政治資金収支報告書『立憲民主党埼玉県参議院選挙区第2総支部 令和4年分』(埼玉県選管公開, 2023年)⁶⁵
- 参議院法制局『第217回国会 参議院議員提出法律案一覧』(2025年)²⁵
議会資料
- 参議院本会議会議録 第217回国会「年金制度改革法案 賛成討論(高木真理)」(2025年6月13日)⁴²
- 参議院本会議会議録 第213回国会「育児・介護休業法改正案 質疑(高木真理)」(2024年5月10日)⁴⁸
- 参議院厚生労働委員会会議録 第211回国会「訪問介護報酬等に関する質疑(高木真理)」(2023年5月30日)³³
- 衆議院法務委員会会議録 第211回国会「入管法改正案 審議」(2023年)²⁴
報道・党資料
- 立憲民主党ニュース「まずは月額1万円の賃上げを『保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案』を衆院に提出」(2025年6月16日)³⁰
- 立憲民主党ニュース「立憲の修正で基礎年金底上げ措置が復活、高木真理議員が賛成討論」(2025年6月13日)⁴²
- 立憲民主党ニュース「児童扶養手当『所得制限の壁』引上げ法案を衆院に提出」(2025年6月16日)²⁸
- 高木まり公式サイト「基本政策」「国会での発言」「ニュース」(2022–2025年)¹⁹
- 選挙ドットコム 高木まりブログ「この国会、問題のある法案が多すぎます。」(2023年6月2日)⁴⁴
- 毎日新聞選挙サイト「第26回参院選埼玉選挙区・高木真理」(2022年)⁸⁰
インタビュー・論考
- 『現代の理論』第39号 特集「立憲民主党の地方議員出身女性議員の新しい風に期待する — 高木真理参議院議員に聞く」(2022年)⁸
- Marriage for All Japan「マリフォー国会メーター 高木真理議員ページ」(同性婚に関する発言記録, 2023年更新)⁶⁶
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。